知らない世界に転生したと思ったら、すぐ側にガチ勢がいた件について

花宮

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二章 〜思惑〜

十七話 『自覚する恋心?』

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レオン様と私でリリィの監視を始めて数日が経ったある日のことだ。


「……最近の、お前……どうしてレオンと一緒にいるんだ?……レオンと……仲良くなりたいのか……?」


……ニコラス様にそう言われた。その目には怒りが籠っているように見える。
……どうして、怒ってるんだろう? ……もしかして、嫉妬してるのか?


いや、どっちにしろ――、


「………私がどうしようと勝手でしょう?私達の間に愛なんてない。……だから、私が誰といようが関係ないでしょう?それにレオン様とは全く仲良くなってないし、むしろ嫌われてると思いますよ」


とゆうか、私の間では私達はまだ喧嘩しているからね?なんて思いながらも私はにっこりと微笑む。


それに私とレオン様は仲良くなっていないし、ただの監視仲間だし、そんな他の生徒とヒソヒソされる程露骨な監視はしていない。


……だから、レオン様と仲良くなっているとか、そういう勘違いをされるのは困るのだ。


「だとしても、婚約者がいる身で、他の男といるのはどうかと思うぞ」


「まぁ、それはそうですか。……そんなに噂される程私達一緒にはいないと思いますけど、これからは気をつけますね」


ニコラス様に悟られていたとか前代未聞な上に恥だ。今後はもっと気をつけなければ。


「……じゃあ、何のために……レオンと一緒にいるんだ?」


「それは……ニコラス様には関係ないでしょう?」


睨みつけながらも、私はそう答えた。だって本当に関係ないもーん。大体、ニコラス様の女装のこと教えてくれないし、喧嘩のことも終わってないし!……それに、これは私の問題だ。ニコラス様には関係ない。だから、話すつもりもない。


「関係あるに決まっているだろう?だって……」


「婚約者だからですか?」


この前もそう言われたけど、私は納得していない。


「……そうだ」


「そうですか。でも、それ肩書きでしょう?私は……貴方に愛なんてない。これ前にも言いましたよね?忘れたんですか?それとも、都合の悪いことは忘れるようにしているんですか?」


皮肉。嫌味。恨み言。怒りを込めて、私はそう言った。
……だって、仕方ないじゃないか。私とニコラス様は婚約者同士だけど、お互いを好きでもなんでもないんだから。むしろ嫌っているし、溝は深いし。


「そっちが婚約破棄した後の復縁なんですよ、私がどうしようと責める立場じゃないと思うんですけど?それに、私はレオン様とは何もないです」


闇魔法のせいとはいえ、立場的にはこっちの方が上なはずだし。私がそういうとニコラス様は――


「…確かにそうだ。僕はナタリーさんを責める権利なんてない。……それでも、お前が他の男といるのは不愉快なんだ」


「何で?私達の間には愛なんてないのに」


私はニコラス様に愛なんてものを抱いたことはない。いや、礼儀正しくていい人なのは知ってるけどね?でも、それだけだし。


「レオン様とは、ただの監視仲間です。……それ以上でもそれ以下でもない」


だから、私はニコラス様から目を逸らしてそう言った。
――そして、そんな時だった。


「――ナタリー・アルディにニコラス?」


私達の背後から、聞き覚えのある声が聞こえてきたのは。
……それは、レオン様の声だ。


「レオン…?どうしてここに?」


ニコラス様が、レオン様を見てそう言った。
……私も、どうしてレオン様がここにいるんだろうって思ったけど――。


「どうしてって、それはこっちのセリフなんだが?何でお前達、二人きりでそんな所にいるんだよ?」


レオン様は、私とニコラス様を見ながらそう言った。


「わ、悪いか?」


「いや、別に悪くはねーけど…」


「おーい!レオン!」


うわ!スティブーン様まで来たわ……。
……なんか、嫌な予感がするんだけど。
そして、スティブーン様は私達の方を見ると――、
――何故か、ニヤニヤした笑みを浮かべた。


……え?なに?何なのその顔……? 気持ち悪っ!そんなことを思っていると、スティブーン様が口を開いた。


「こんなところで何~~?密談~~?婚約者同士なのに?」


……うわ、うざっ!何その喋り方。イラつくわ~!


「スティブーン、うるさい」


「え~、ひど~い。レオンが冷たいから僕泣いちゃう~」


……いや、がっつり嘘泣きだなー、これ。……スティブーン様、相変わらずウザいなー……そんなことを思っていると、レオン様が口を開いた。


「そんなことよりナタリー・アルディ。ローラとアシュリー・ベルナールが一緒にいるけどいいのか?」


「え、あ、本当だ……」


レオン様にそう言われ、私は慌てて二人の方を見る。……確かに、一緒にいるな?ローラ、アシュリー。まぁ、二人は友達だし、おかしくはないと思うけど……。
――でも、なんかローラがアシュリーに抱きついたりしていて距離が近い気がするな?……何か話して、笑っているし……


「(当たり前じゃない。彼女は、アシュリーと仲が良いのよ)」


私以外にも、ローラだって仲がいい人はいるだろうし、あのかわいい笑顔を見せるだろう。………だというのに。


「(……モヤモヤする)」


……何だろう、この気持ち。ローラがアシュリーと仲良くしているのを見ると、胸がざわつくというか……嫌な気持ちになる。どうして……?


「(…………まさか、これ)」


恋しちゃったの?私……?……いやいや、それはない。うん、絶対ない。だってローラは友達だし、それ以上の感情なんてないし……


――でも、なら、何かのモヤモヤは何だろう? ……もしかして、嫉妬とか?ローラがアシュリーと仲良くしているから、私はヤキモチを妬いているのだろうか……?


「……あら?ナタリー様?どうかなさったんですか?」


何か、ローラがこっちに気付いた!……あ、やばい。どうしよう?今、私はどんな顔をしているんだろう……!なんて答えよう? ……どうしよう。今、ローラと顔を合わせたくない……!
――私は、慌ててその場から離れた。
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