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〜青春編〜
五話 『よくわからない光景』
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笹川さんは徐々にみんなと打ち解けて来ていた。気品があって美人な彼女は男子からの人気が地味に高いらしいのだけど――。
「(……笹川さん、今日もお昼一人?大丈夫かなぁ)」
今日も笹川さんはぼっち飯だった。一人でご飯をささっと食べていつも何処かに消えてしまうのだ。一体何をしているのか……?
「おー?どうしたー?洋介。」
「祐介か……いや、笹川さんの事考えてたんだよ……」
「あー……そうなの」
俺がそう言うと、裕介はニヤニヤしながらそう言った。
その顔何か腹立つ……
「何だよ。その顔!」
「……はて?何のことやらー?それにさー…」
「あんたら何の話してるの?」
唐突に隣の席から割り込んできたのは松岡だ。松岡は何故か不機嫌そうな顔をしていた。何でそんなに怒ってんだろ……?
「笹川さんのこと。あの子ってお昼休みになるとすぐどっかいっちゃうじゃん?だから何してんだろうなって思ってさ……」
「そんなの簡単じゃない」
俺の疑問に松岡はあっさりとした表情でこう答えた。
「他のクラスに友達がいるから他のクラスに行ってるだけでしょ。笹川さんだって友達いるだろうし」
………なるほど。そういうことか。確かに笹川さんだって、友達くらい居るよな……そんな考えに及ばない俺って馬鹿かも……そこまで考えた時、俺は何故か心がモヤモヤした。
「ま、んなこと俺らが気にしてもしょうがいけどなー」
そう言いながら祐介は弁当を広げた。
△▼△▼
部活が終わった後も自習練をする為に残っている生徒は多いが、今日は俺以外誰もいないようだ。……まぁ、いないのは何となく分かるが、
「(……石崎さんがいないからだよね)」
石崎つばめさんはサッカー部のマネージャーである。翡翠中のアイドル的な存在であり、容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群という完璧超人なのだ。
そんな人がマネージャーをしている訳なので当然のようにモテるのだが、当の本人は全く興味がないらしく告白されても全て断っているらしい。
この前も石崎さんに告った奴がいたらしいが、見事に撃沈したという話を聞いたことがあるし、『今はサッカー部に専念したい』と言って断ったそうだ。
そんなかっこいい石崎さんが今日は用事があるらしく、早く帰ってしまったのだ。その為、いつもより練習する部員が少なく、皆帰ってしまった。……と、言ってもみんなサッカーが好きなのは本当なので結構やっていたが。
ただ、石崎さんがいるときよりは早かったと思う。
そして今、部室に一人残っているのは俺、ということだ。
「(今早く帰ると余計なことまで考えて落ち込む気がするんだよなあ……。だからもう少しだけ残ろうかな……)」
サッカーをする時は何も考えずにサッカーに集中することが出来るから楽だ。……だって――今は……とそんなことを考えているときだ。ガラッと扉を開ける音がした。
俺は反射的に顔を上げてそちらを見た。そこにいたのは―――石崎さんだった。
「……え?石崎さん?今日は用事があったんじゃ……」
「うん。そうよ。用事があったんだけど……」
………めっちゃくちゃ目が泳いでますけど!?何かあったんだろうか……?
『あ、あの……つばめさん…?』
そんなスマホのアプリの機械声が聞こえてくる。……そのスマホアプリを使うのは一人しかいない。それは――
「………笹川さん?」
俺がそう言うと石崎さんも笹川さんも固まって動かなくなってしまった――
「(……笹川さん、今日もお昼一人?大丈夫かなぁ)」
今日も笹川さんはぼっち飯だった。一人でご飯をささっと食べていつも何処かに消えてしまうのだ。一体何をしているのか……?
「おー?どうしたー?洋介。」
「祐介か……いや、笹川さんの事考えてたんだよ……」
「あー……そうなの」
俺がそう言うと、裕介はニヤニヤしながらそう言った。
その顔何か腹立つ……
「何だよ。その顔!」
「……はて?何のことやらー?それにさー…」
「あんたら何の話してるの?」
唐突に隣の席から割り込んできたのは松岡だ。松岡は何故か不機嫌そうな顔をしていた。何でそんなに怒ってんだろ……?
「笹川さんのこと。あの子ってお昼休みになるとすぐどっかいっちゃうじゃん?だから何してんだろうなって思ってさ……」
「そんなの簡単じゃない」
俺の疑問に松岡はあっさりとした表情でこう答えた。
「他のクラスに友達がいるから他のクラスに行ってるだけでしょ。笹川さんだって友達いるだろうし」
………なるほど。そういうことか。確かに笹川さんだって、友達くらい居るよな……そんな考えに及ばない俺って馬鹿かも……そこまで考えた時、俺は何故か心がモヤモヤした。
「ま、んなこと俺らが気にしてもしょうがいけどなー」
そう言いながら祐介は弁当を広げた。
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部活が終わった後も自習練をする為に残っている生徒は多いが、今日は俺以外誰もいないようだ。……まぁ、いないのは何となく分かるが、
「(……石崎さんがいないからだよね)」
石崎つばめさんはサッカー部のマネージャーである。翡翠中のアイドル的な存在であり、容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群という完璧超人なのだ。
そんな人がマネージャーをしている訳なので当然のようにモテるのだが、当の本人は全く興味がないらしく告白されても全て断っているらしい。
この前も石崎さんに告った奴がいたらしいが、見事に撃沈したという話を聞いたことがあるし、『今はサッカー部に専念したい』と言って断ったそうだ。
そんなかっこいい石崎さんが今日は用事があるらしく、早く帰ってしまったのだ。その為、いつもより練習する部員が少なく、皆帰ってしまった。……と、言ってもみんなサッカーが好きなのは本当なので結構やっていたが。
ただ、石崎さんがいるときよりは早かったと思う。
そして今、部室に一人残っているのは俺、ということだ。
「(今早く帰ると余計なことまで考えて落ち込む気がするんだよなあ……。だからもう少しだけ残ろうかな……)」
サッカーをする時は何も考えずにサッカーに集中することが出来るから楽だ。……だって――今は……とそんなことを考えているときだ。ガラッと扉を開ける音がした。
俺は反射的に顔を上げてそちらを見た。そこにいたのは―――石崎さんだった。
「……え?石崎さん?今日は用事があったんじゃ……」
「うん。そうよ。用事があったんだけど……」
………めっちゃくちゃ目が泳いでますけど!?何かあったんだろうか……?
『あ、あの……つばめさん…?』
そんなスマホのアプリの機械声が聞こえてくる。……そのスマホアプリを使うのは一人しかいない。それは――
「………笹川さん?」
俺がそう言うと石崎さんも笹川さんも固まって動かなくなってしまった――
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