黒銀の精霊マスター ~ニートの俺が撃たれて死んだら異世界に転生した~

中七七三

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第七章:ぶち抜け!アストラル体!シャラートを救え!

第一一四話:シャラートの深く奥まで……

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「あはッ、殺したい! もっとだぁぁ!! もっと来い! ブチ殺してやる! ド畜生がぁぁ!」

 はぁ、はぁという呼気のリズムに合わせ、抜群に形のいいおっぱいを上下させるライサ。
 大きさではシャラート程ではないが、十分な大きさ弾力―― 
 そして、美しい身体のラインを構成するパーツとしての美乳だ。
 当然、俺専用なのは言うまでもない。
  
 スラリと伸びた右腕の先には、どす黒い体液にまみれた釘バットが握られている。
 その炎を思わせる緋色の髪は一部返り血で変色。
 その状態で、超絶美少女殺戮兵器は一応は稼働を停止していた。

 ただ、そのルビー色をした瞳は鋭い視線を周囲に送りこんでいる。
 警戒を解いているわけではない。というより「殺したりない」が正解なのかもしれない。

「もうね、これで終わり? なんなのよ! あっけないのよぉ! バカなの死ぬの? アホウなの? キャハハハハハハハ!」
 
 バーンとフラットな胸を反らし盛大に狂気満ちた哄笑をあげる愛らしい存在。
 エロリィだ。超ロングの金髪ツイーンテールは反り返った身体のせいで、地べたにつきそう。
 フラットで流麗なラインを描くロリコンボディは当然のことながら、俺専用なのだった。
 
 すでに、青白い魔力の刃は腕から消えていたが、腕の周囲ではまだ青白く光る積層魔法陣が腕輪のようにグルグルと回転している。
 それはいつでも、その魔力の刃を解き放つことができることを意味していた。
 彼女もまだ戦闘態勢を解除しているわけではない。

「もう、気配はありません。先に行きましょう。アイン」

 俺にペトッと密着してくる、シャラート(ミニ)。彼女は、シャラートのアストラル界内の無意識体のひとり(ひとつか?)だった。
 その姿は、本当に小さなときのシャラートそのままだ。
 怜悧な美貌の可能性を内に秘めた、愛らしい幼女なのだ。
 シャラート(ミニ)は真っ黒な体液に染まったチャクラムを両手に持ったまま、体だけを俺に預けてくる。

 俺の許嫁、三人が揃って戦うのはなんというか、久しぶりな気がして嬉しくなってくる。
 まあ、シャラートはまだミニで本物の一部でしかないんだけど。

『それにしても、本当に揃いも揃って、サイコ、シリアルキラー、ビッチ―― マジで狂った女ばかりだわ。感心するわ』

 サラームが俺の脳内で飽きれた声を出している。

『もう、いいんだよ。中身は俺にガチ惚れであればいいんだよ! それで十分!』

『開きなおったわね~』

『愛を育んだといってもらいたい!』

 ビシッと俺は言った。全員これだけの美貌だぞ?
 しかも、俺にガチ惚れで、メロメロだよ?
 これ以上ないだろ。

 だいたい、この精霊だって、他の生命などクソとも思っていない邪悪性丸出しの存在なのだ。
 俺の許嫁の凶暴性など可愛い物だ。人様の許嫁を評価できる立場になどないのだ。

 といわけで、戦闘は一段落したみたいだった。
 黒いヒルのようなモノは全滅したのか、やってこなくなった。
 
「ああ、戦って疲れました。抱っこして欲しいのです。アイン――」
 
 ふわりと長い黒髪を揺らし、トンと俺の胸に飛び込んでくるシャラート(ミニ)。
 細い腕を俺の首に回しぶら下がってくる。
 彼女ひんやりとした腕の温度が首から流れ込んでくる。
 でも、この体勢はちとキツイ。首にブラーンとかされるのは。

「わかったから。シャラート。抱っこするから」
「アインにお姫様抱っこされると、頭の中が沸騰しそうになります――」
 
 俺は、小さなシャラートを抱きかかえた。
 
「あーー!! もうね、ズルいのよ!! ワタシも抱きなさいよ!」

 ぴょーんとエロリィが飛び込んできた。
 キラキラと金色のツインテールが放物線を描く。
 俺は右手を空けて、エロリィを受け止める。

 両手で、ちんまい美少女を抱っこする俺。
 腕で太ももを抱え込んで、お座り抱っこだった。
 しかも片手にひとりずつ……
 
「もうね、アインに抱っこされると、お腹の奥がキュンってきちゃうのよぉ」
 
 エロリィが、太ももをクネクネさせ、俺にしがみ付いてくる。
 べ――ッとベロを出して、首筋を舐めだした……
 この北欧の妖精のような容姿で、すぐに発情してエロいこと初めてしまう。
 チロチロと遠慮がちに俺に首筋を舐めるエロリィ。

「私もです…… アイン」

 シャラート(ミニ)が耳に舌を這わせ始めた。
 ふたり揃って、エロすぎるんだけど。 

「あはッ! なんだよ! 抱っこか! アイン、私もぉ!」

 ライサまで突っ込んできた。
 つーか、両腕ふさがっているんだけどぉぉ!

 ライサは俺の後ろに回って、ギュッと抱き着く。
 
「あはッ、背中独り占めだ! ね、チュウしてよ!」

 ライサが後ろから首に手を回し、俺の顔を無理やり後方に向ける。 
 でもって、チュウである。

『アンタの許嫁は何かを殺すか、乳繰り合ってるかしか能がないの?』
 
 呆れたような、サラームの声。何かを殺すかヲタ話をするしか能のない精霊だ。

「アインから降りなさい。淫売ビッチ姫―― そして、チュウをやめるのです。赤色ゴリラ女――」

 氷のような声。シャラート(ミニ)だ。
 片手で俺の首にしがみつき、空いた手でチャクラムを握っていた。

「あはッ! なんだヤル気か? 殺し合いか? ここで、片を付けたいのか?」

 チュポンと俺の唇から離れたピンクの唇。
 それが、殺意にパンパンになった言葉を吐き出す。

「アンタね…… 所詮はアストラル体の一個体、もう先は見えたし、ここで、殺してもいいのよ。本体をぶち殺す予行演習のためにぃぃ~」

 3人の美少女が俺にしがみ付いたまま、殺意のボルテージを上げていく。
 空気が今にも「ピシッ」と音をたて崩壊しそうな感じ。

「私とアインの愛を邪魔する行為。その代償は死すら生ぬるい地獄です――」

 チャクラムに真っ赤な舌を這わせながら、シャラート(ミニ)は言った。
 俺にガチ惚れの部分とはいえ、言葉はいかにも本人そのものと言う感じだ。
 まさに、サイコなお姉さまだ。今は小っちゃいけど。

 しかし、このままではまずい。

「まて! 俺の身体の上では休戦だ! 『許嫁エッチ拡散制限条約』に追加する! 明文化されていないが、今までもそうだったはずだ!」

 俺はビジッと男らしく言った。
『許嫁エッチ拡散制限条約』とは許嫁間の関係を円滑にするため、平等なエッチを行うことを規定した取り決めだった。
 あれ…… そういえば、これって誰が言いだしたんだっけ? まあいいか。

 そのせいか知らんが、彼女たちは、ベッドやお風呂でイチャイチャしているときは、争ったりしないのだ。
 多分、お互いに俺の肉体を蹂躙というか凌辱というか……
 とにかく、俺を気持ちよくさせる競争に必死になるのだった。実際気持ちいい。いや、よすぎるのだ。

 おかげさまで、俺はあまりの快感に脳の思考回路と記憶中枢がショートする。
 つまり「バーン」となって意識を失う。
 で「朝チュン」というのが、パターンなのだ。
 一糸もまとわぬ美少女につつまれて、朝を迎えること数度――
 しかし、快感のトルネードの中で翻弄され、なにが起きたのかさっぱり記憶にない。

 よって、俺は波動関数が収束していない「シュレンディンガーの童貞」のままなのだ。

「アインが言うのなら仕方ありません。ああ―― もっと命じて欲しいです」
「もうね、アインは…… 強引なのよぉ。でも、ちょっと男らしいのよ……」
「あはッ! 分かったけど。でも、そんなら、順番にグルグル抱っこしてくれよなぁ」

 シャラート(ミニ)、エロリィが言った。
 でもって、ライサが提案。確かに『許嫁エッチ拡散制限条約』の精神である平等に反するかもしれん。
 なので俺は、彼女たちを「おんぶ⇒右だっこ⇒左だっこ⇒おんぶ」とローテーションさせる。

 魔力回路が平常回転しているだけで、俺はこの程度のことが楽々できるようになる。
 筋肉に魔力が流れ込んでいるからだ。

「んじゃ、いくかぁ」

「ああ、アインの背中―― いつの間にかこんなに逞しく」
「あはッ。さすがだね! 三人で乗ってもびくともしない」
「もうね、もっとアインにギュッとしてほしいのよぉ~」

 俺は許嫁を抱っこしておんぶして、体の上で順番に回しながら言った。

「もうね、チュウをしたいのよぉ~」

 エロリィが柔らかい身体を密着させ、唇をもとめてくる。

「ああ、私も欲しいのです」
「あはッ、チュウも順番か?」

「まて! ちょっとまて、3人を抱っこしておんぶして、キスまでしていたら、前に進めん!」

 彼女たちとチュウをするのは大歓迎なのである。
 しかし、ここはシャラートのアストラル界で迷宮だ。
 さっきまで、攻撃を喰らっていたように、この先なにがあるか分からん。
 さすがにキスしながら進むのは勘弁だ。

        ◇◇◇◇◇◇

「かなり、奥まできたわね」

 エロリィの言葉は俺の実感とも一致する。
 おそらく、全員がそう思っているかもしれない。
 ただ、道は分岐のない一本道だった。
 だから、迷うことはない。
 この先に【シ】の核があるのは間違いないだろう。

「あれ? あれなんだ」

 俺は前方、まだ距離がある。そこに黒い点のようなものを見つけた。
 もしかして、あれが……

「おい、エロリィ」

 右手で抱きかかえている金髪ツインテールの美少女に俺は声をかける。
 その碧い瞳が俺の視線の方向を見やった。
 そして、トンと自分から、飛び降りた。

「あれかもしれないのよ……」

「あれが【シ】の核?」

 シャラートの精神世界を汚染している元凶。
【シ】の撃ちこんだ核。そいつがあれか?

「でも、もっと近づかないと、はっきりわからいのよ」

「あはッ、なんでもいいから。敵なら、ぶち殺せばいいだけだからね」

 ライサも俺の背中から降りた。
 そして、釘バット、メリケンサックを身に着け、すっと俺を横切って前に出た。
 その紅く鋭い視線が、前方を見つめていた。

「間違いありません」

 そう言うと、シャラート(ミニ)がふわりと俺から降りた。
 長い黒髪が舞う。彼女もまた、武装完了。両手にチャクラムを握っていた。

「核です。【シ】に埋め込まれた、核です」

 彼女の声がシャラートのアストラル界の奥底で響いた。
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