生贄になりし少女はドラゴンの王太子に溺愛される

中七七三

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9.部屋に窓がないので

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「たらら、らちゃっちゃ~ ふふふ、ふふんふーん♪」

 浮かれている若い男。岩をり貫かれ造られた通路を歩いている。

「ご機嫌ですな、リューク王太子殿下」

「わ――ッ!! びっくりしたぁぁ! いきなり出てくるなセバスチャン!」

「御意にござります」

 全然、御意という感じをみせず、セバスチャンと呼ばれた執事の見本のような男が答えた。

「最近は、人間の娘と上手くいっているようですな」

「はぁ? なにそれ。オレが鼻歌歌っているのは、シャノーラと仲良くなれて、アーンしてでご飯を食べさせてやっているからだというのか? その餌付け感覚が可愛くて、浮かれているとでもいのか!」

「そこまで、詳細には思い描いておりませんでした」

「ふん、まあいい!」
 
 リュークは胸を反らし、言葉を放った。

「オレは忙しいのだ。これから、シャノーラのところ行かねばならぬからな」

「左様にござりまするか」

 老執事然としたセバスチャンは恭しく頭を下げる。
 すっと、顔を挙げ「はて」という感じで疑問の表情を浮かべる。

「人間の娘のところへ行って何をなさるのですか、食事にはまだ時間があるはずですが」

「あ~ん、いいじゃないか。何をしに行こうか! 面談だ。面談! 人間のことを聞き取り、調べるのだ」

「何のためにですかな?」

「うるせーばーか。ばーか。そんなこと自分で考えろ!」

 人間の娘・シャノーラにガチ惚れしているドラゴン王太子のリュークは、浮かれスキップを踏みながら、彼女の部屋へと向かうのであった。

        ◇◇◇◇◇◇

「はぁ……」

 わたしはいつまでここにいればいいのかしら。
 確かに、リューク様は優しいのだけど……。この部屋。
 わたしは、部屋の中をくるっと見る。豪華な家具、ベットもあるし、すごく快適な場所だとは思う。
 食べ物も美味しいし。そういったことには不満は無いわ。村にいたときとは全然違う。

「でも……」

 シャノーラは高い天井と高い壁を見つめた。そこには、本当は無くてはならないものが無かった。

「窓がない。この部屋は窓が全然ない」

 山の中に洞窟を掘って造った? 多分そうだと思うけど。だから、窓がないんだ…… やっぱり外が見えないのはつまらないし、息が詰まりそうになる。

 ガチャっと音がして扉が開いた。

「やあ! シャノーラ元気にしていたか」

「ああ、リューク様」

 ドラゴンの皇太子が入ってきた。

        ◇◇◇◇◇◇

「え? 外が見れる窓だって」

 リュークは困ったような顔をして言った。
 
「そうなの。外が見れる窓が欲しいって思ったの。でもいいわ。リューク様とお話していると楽しいから」

(おおおおお!! おうッ!!)

 リュークは心の中でガッツポーズを決めた。
 どうみても、シャノーラが己に好意をもっているとリュークは判断したのだ。

「窓――。穴を開けるのは簡単だが、ここから地上に穴を開けても、井戸を覗き込むようなものだしなぁ」

 ドラゴンの力をもってすれば、分厚い岩盤でも一撃で穴を開けることができる。
 が、そうしたところで、遥か彼方に切り取られた小さな四角形の風景が見えるだけだ。

「いいのよ。リューク様」

 外の散歩に行くのはいいが、前回のようにチンピラ・ゴロツキに絡まれると面倒だ。
 斃すのは簡単だが、シャノーラがドン引きしてしまう。

「う~ん。よし! 空だ。空で散歩しよう」

「え? 空って……」

 リュークは、決めた。
 翼だけを生やして、シャノーラを抱っこして飛ぶということを。
 
(これで、シャノーラと、もっと親密になれるじゃないか)

 リュークは自分の考えに喝采を叫んだ。心の中で。
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みんなの感想(1件)

壱度木里乃(イッチー☆ドッキリーノ)

1ページの
執事の表現で笑いました
(´∀`*)

解除

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