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22.おっぱいへの必殺技
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辛うじて蹴りをかわしたボクは再び褐色の女と対峙した。
相変わらずのボクシングのようなスタイル。
ベースはやはりボクシングなのか――
でも、あの蹴りは――
と、雑念のような思考が脳に浮き上がる。
(蹴りがよく見えなかった――)
左ジャブを意識させ、その意識の外側から吹っ飛んできた蹴り。
この全てをボクは「観る」ことができなかった。
こんなことは初めてだ――
地下闘技場という閉じた空間の乾いた空気が肌を舐める。
ボクの肌が妙に濡れていることを感じた。
汗だった。
左ジャブを避け、蹴りを避け、そして再び対峙する。
それだけで、ボクはびっしょりと汗をかいていた。
空間には、凄まじい蹴りの放った風の残滓がまだ残っているかのようだった。
乾いた褐色の肌をした女は、黒い瞳でボクをねめつけている。
塑像のように静止していた。リズムを刻むとか、フェイントをしかけるとかそんな動きもない。
捕食獣が闇に潜んで、獲物を狙っているかのような感じだ。
その凶悪で美しいとさえ言える肉体は、空間を拒絶し、断絶し、外に向かって閉じていた。
次に何を仕掛けてくるのか?
それが一切読めない。予測もできない。ただ、構え立っているだけだった。
(ボクから行くか……)
相手の間合いすらよく分からない。
でも、攻撃してこないということは、まだ攻撃できる間合いの中には踏み込んでないということだろう。
このあたりの、基礎的なやり取り、機微というのは論さんとの、スパーリングでなんとなく分るようになっていた。
ボクはすっと、足の親指――
その爪の半分くらいだけ距離をつめた。
いきなりだった。唐突。
十分に警戒をしても尚、不意をつかれたといっていい。
予備動作が一切ない動きで褐色の肉体が動いた。
それは鞭のようなジャブだった。
腕関節が喪失したかのような撓《しな》るような動き――
さっきの左ジャブとはスピードが桁違い。軌道も埒外のものだった。
「わッ!」
ボクは踏み込もうとした意識を残しそのまま、前方に突っ込み頭を下げる。
ボクの頭上を凄まじい速度の何かがブオンと疾走し後方に突き抜けた。
背中に鳥肌がたった。
ジャブ――
それは分る。
無関節の鞭のようなジャブ。
トレースはできる。形だけなら、でもこれと同じ速度と軌道を実現するには、ボクの身体はあまりに非力すぎた。
もし、男の身体であったとしても、絶対にできなかっただろう。
真正面から突っ込めるものじゃない。
ボクは右に動く。セオリーだ。相手の左の攻撃をしにくくするため。右に動く。
でも、ボクが動くと同時に、滑るように褐色女は、キュンと方向を変えていた。
ボクを真正面に捉える。
静かだった肉体が沸騰していた。
濃厚な殺意、敵意、闘志、あらゆるものが、肉体から解き放たれ、暴風のようにボクに叩きつけられる。
長い黒髪がその圧力で、帯電したかのように宙に浮き上がる。
インド神話の破壊の女神を想起させるような姿だった。
ブォッ――
褐色女の蹴りがボクの股間を狙って吹っ飛んでくる。
かわせない――
でも……
ボクはけりに向かって両手の平をかぶせる。
で、威力を消さない。そのまま、力をゆっくりと受ける。身の中に溶け込むようにして威力を分散させる。
硬く激しい打撃を、手のひらで減速させ、柔らかい打撃に変える。
そして、その力積のまま、ボクは後方に跳んだ。半ば飛ばされた。
後方に転がり間合いを空けたボク。
その間合いを一気につめてくる褐色女――
鞭のような左ジャブが吹っ飛んでくる。
(それはさっき、見た――)
ボクは打撃を掻い潜る。
伸びてきたボクの髪の毛が巻き込まれるほどの速度で疾走する打撃。
空間に焼け焦げができそうだった。
それでも、ボクは自分の攻撃レンジに入る。
右手を伸ばした。届く。
むにゅん――
右手がおっぱいに触れた。
思いの外柔らかかった。
ボクはそのおっぱいを掴んだ。
逃がさないため。
「あうッ♥」
褐色女が小さく声を上げた。
論さんの触り方。おぱっぱいの弄り方を身をもって体験しているボク。
おっぱいを握り締めることで相手の動きを止めた。
指が柔らかい肉に中に沈んでいく。
思い切り揉む。
「呀っ! あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ――」
相手に隙ができた。
ボクは思いきり、身体を回転させる。
肩甲骨のあたりの後背筋を収縮させ固めた。
キュンと、身体を回転させると同時に、肩甲骨の筋肉を伸ばし突き出す。
これが「鬼雷崩」だった。
ぼこんと、おっぱいが凹み、相手が吹っ飛んだ。
ゴロゴロと転がっていく褐色の女――
そのまま、地べたでのたうちまわっている。
おっぱいへの一撃は、結構きいたのかもしれない。
今まで溢れんばかりの殺気を発していた双眸は、焦点をなくし、虚ろな色を映すだけになっていた。
ガクガクと震えている。
ボクは、腹に思い切り蹴りをぶち込んだ。
「げぼぉぉぉ――」
吐しゃ物をまきちらし、女はのたうち回る。
気持ちよかった。
なんかすっごく気持いい。
女の子のおなかを蹴飛ばして痛めつけるのは気持ちよく、爽快だった。
十発くらいは蹴りをぶちこんだ。
一発ごとに、いままでの退屈だった日常が、彩を帯びてくるように感じた。
(ああ、先生もこうして、ボクが倒してしまえば、ボクの物にならざるを得ないんじゃないか? その尊厳を矜持を誇りを全てボロボロにして、ボクが手を差し伸べれば――)
ボクはイヤホンから流れる勝利決定の声と同時に、そんなことを考えて得ていた。
やけに気分が良かった。
相変わらずのボクシングのようなスタイル。
ベースはやはりボクシングなのか――
でも、あの蹴りは――
と、雑念のような思考が脳に浮き上がる。
(蹴りがよく見えなかった――)
左ジャブを意識させ、その意識の外側から吹っ飛んできた蹴り。
この全てをボクは「観る」ことができなかった。
こんなことは初めてだ――
地下闘技場という閉じた空間の乾いた空気が肌を舐める。
ボクの肌が妙に濡れていることを感じた。
汗だった。
左ジャブを避け、蹴りを避け、そして再び対峙する。
それだけで、ボクはびっしょりと汗をかいていた。
空間には、凄まじい蹴りの放った風の残滓がまだ残っているかのようだった。
乾いた褐色の肌をした女は、黒い瞳でボクをねめつけている。
塑像のように静止していた。リズムを刻むとか、フェイントをしかけるとかそんな動きもない。
捕食獣が闇に潜んで、獲物を狙っているかのような感じだ。
その凶悪で美しいとさえ言える肉体は、空間を拒絶し、断絶し、外に向かって閉じていた。
次に何を仕掛けてくるのか?
それが一切読めない。予測もできない。ただ、構え立っているだけだった。
(ボクから行くか……)
相手の間合いすらよく分からない。
でも、攻撃してこないということは、まだ攻撃できる間合いの中には踏み込んでないということだろう。
このあたりの、基礎的なやり取り、機微というのは論さんとの、スパーリングでなんとなく分るようになっていた。
ボクはすっと、足の親指――
その爪の半分くらいだけ距離をつめた。
いきなりだった。唐突。
十分に警戒をしても尚、不意をつかれたといっていい。
予備動作が一切ない動きで褐色の肉体が動いた。
それは鞭のようなジャブだった。
腕関節が喪失したかのような撓《しな》るような動き――
さっきの左ジャブとはスピードが桁違い。軌道も埒外のものだった。
「わッ!」
ボクは踏み込もうとした意識を残しそのまま、前方に突っ込み頭を下げる。
ボクの頭上を凄まじい速度の何かがブオンと疾走し後方に突き抜けた。
背中に鳥肌がたった。
ジャブ――
それは分る。
無関節の鞭のようなジャブ。
トレースはできる。形だけなら、でもこれと同じ速度と軌道を実現するには、ボクの身体はあまりに非力すぎた。
もし、男の身体であったとしても、絶対にできなかっただろう。
真正面から突っ込めるものじゃない。
ボクは右に動く。セオリーだ。相手の左の攻撃をしにくくするため。右に動く。
でも、ボクが動くと同時に、滑るように褐色女は、キュンと方向を変えていた。
ボクを真正面に捉える。
静かだった肉体が沸騰していた。
濃厚な殺意、敵意、闘志、あらゆるものが、肉体から解き放たれ、暴風のようにボクに叩きつけられる。
長い黒髪がその圧力で、帯電したかのように宙に浮き上がる。
インド神話の破壊の女神を想起させるような姿だった。
ブォッ――
褐色女の蹴りがボクの股間を狙って吹っ飛んでくる。
かわせない――
でも……
ボクはけりに向かって両手の平をかぶせる。
で、威力を消さない。そのまま、力をゆっくりと受ける。身の中に溶け込むようにして威力を分散させる。
硬く激しい打撃を、手のひらで減速させ、柔らかい打撃に変える。
そして、その力積のまま、ボクは後方に跳んだ。半ば飛ばされた。
後方に転がり間合いを空けたボク。
その間合いを一気につめてくる褐色女――
鞭のような左ジャブが吹っ飛んでくる。
(それはさっき、見た――)
ボクは打撃を掻い潜る。
伸びてきたボクの髪の毛が巻き込まれるほどの速度で疾走する打撃。
空間に焼け焦げができそうだった。
それでも、ボクは自分の攻撃レンジに入る。
右手を伸ばした。届く。
むにゅん――
右手がおっぱいに触れた。
思いの外柔らかかった。
ボクはそのおっぱいを掴んだ。
逃がさないため。
「あうッ♥」
褐色女が小さく声を上げた。
論さんの触り方。おぱっぱいの弄り方を身をもって体験しているボク。
おっぱいを握り締めることで相手の動きを止めた。
指が柔らかい肉に中に沈んでいく。
思い切り揉む。
「呀っ! あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ♥、あ――」
相手に隙ができた。
ボクは思いきり、身体を回転させる。
肩甲骨のあたりの後背筋を収縮させ固めた。
キュンと、身体を回転させると同時に、肩甲骨の筋肉を伸ばし突き出す。
これが「鬼雷崩」だった。
ぼこんと、おっぱいが凹み、相手が吹っ飛んだ。
ゴロゴロと転がっていく褐色の女――
そのまま、地べたでのたうちまわっている。
おっぱいへの一撃は、結構きいたのかもしれない。
今まで溢れんばかりの殺気を発していた双眸は、焦点をなくし、虚ろな色を映すだけになっていた。
ガクガクと震えている。
ボクは、腹に思い切り蹴りをぶち込んだ。
「げぼぉぉぉ――」
吐しゃ物をまきちらし、女はのたうち回る。
気持ちよかった。
なんかすっごく気持いい。
女の子のおなかを蹴飛ばして痛めつけるのは気持ちよく、爽快だった。
十発くらいは蹴りをぶちこんだ。
一発ごとに、いままでの退屈だった日常が、彩を帯びてくるように感じた。
(ああ、先生もこうして、ボクが倒してしまえば、ボクの物にならざるを得ないんじゃないか? その尊厳を矜持を誇りを全てボロボロにして、ボクが手を差し伸べれば――)
ボクはイヤホンから流れる勝利決定の声と同時に、そんなことを考えて得ていた。
やけに気分が良かった。
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