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29.セクハラ寝技
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あれだけ五月蝿く泣いていた蝉はどこにいったのか?
ときどきツクツクホウシの声が聞こえるくらいで、季節ははっきりと秋になっていたのだろう。
当然のことながら、夏休みは終わり、学校が始まった。
秋とはいってもまだまだ暑く、それでもボクは学生服をきなければいけないのが辛い。
女体化したので仕方ないとしても、胸がちょっと大きすぎるのだ。
夏服では、おっぱいをどうにも隠すことができない。
お風呂上りには、なんかどんどん大きくなっていく気のするおっぱいと、近づく夏休みの終わりにどうしようかと考えたものだった。
とにかく、ボクはサラシでなんとかおっぱいを押さえ込む。
そして上からワイシャツ、学生服を着て、なんとかフォルムを整えるのだけど……
とにかく学校で上手くごまかせることを祈るだけだった。
◇◇◇◇◇◇
「暑い……」
ボクはそう何回も言うしかない。
九月はまだまだ、気温ということでは夏と大差がない。
軽く三〇度を超えているだろう。
その中で、黒い学生服にサラシでおっぱいを縛りこんだ身体は暑さに弱すぎる。
始業式の最中は貧血を起こしそうになった。
校長先生の話が普段より4.5倍の長さ(当社比)に感じた。
やっと、教室のもどった。
一応、エアコンはきいているのだけど、それでも顔が赤くなり汗が流れてくる。
「お、おい、御楯大丈夫か?」
普段ならもっと気軽に声をかけくる男子生徒も、おそるおそると声をかけてくる。
これは、自分でも分っていたのだけど、学生服をきても、なんともボクは艶かしい雰囲気があるのだ。
女体化したせいか、目に見えないフェロモンが全身から流れているような感じがしている。
男子生徒は、なぜかボクのことを異様なギラギラした目でみてくる。
女子もなんか、見とれるような感じでボクを見るのだ。
「なあ、暑いなら学生服を脱いだらいいんじゃないか?」
「いやいいんだ」
「そ、そうか」
ボクのそっけない答えに、男子生徒はすぐに引っ込む。
そもそも、クラスにそれほど親しい生徒がいないのが、今となっては幸いだったかもしれない。
耳を澄ますと――
男子生徒の「なんか、御楯のやつ妙に色っぽくなってないか?」「え? おまえその気があるのか」「いやそうじゃなくてさ、あいつの雰囲気変わってね?」「確かにそういわれれば――」という会話も聞こえてくる。
女子の中の何人かは、明らかにボクのことをジッと見つめ続けているのがいる。
「なんとか、対策が必要か……」
ネットで男装の方法でも検索してみようか、などど今更ながらに思ったりする。
ボクは遺伝子操作で女体化したのだけども、性的な嗜好に付いては全く変化がないような気がする。
男子は御免被るし、女子だって、先生意外は全く興味がない。
ボクの心はもう、三日後の四試合目が占めている。
そして、早く先生と対戦し、先生に勝って、先生をボクの物にする――
今のボクは、それだけを目指しているのだった。
◇◇◇◇◇◇
「脚を痛めたんだよなぁ―― あれは、なんとも無様な戦いぶりだと思うわけだよ」
と、江須田論師匠が言った。
「まあ、うかつといえばうかつでした。予断はなかったんですけどね」
「空手家に関節極められるとか、それは、オレの弟子としてどうかとおもうわけだよね~」
「というか、先生に関節技とか寝技とか教えてもらってないんですけど」
「あ、そうだっけ!」
論師匠は、明るい顔をして、にやぁぁと笑う。
「寝技の練習を要求したね――」
「え?」
「したよね。文脈としてそう受け取れるよね」
「まあ…… そうかもしれませんけど」
「あはははは、いいぞ。寝技だ。寝技の特訓だ!」
「え――!!」
「ま、立ち技より脚に負担はかからんし、いいかもなぁ…… それ!」
そう言って師匠は、ボクに飛び掛ってきた。
ボクは散々にセクハラ技の実験台になってしまったのだった。
ただ、それは全部覚えたけど。
ときどきツクツクホウシの声が聞こえるくらいで、季節ははっきりと秋になっていたのだろう。
当然のことながら、夏休みは終わり、学校が始まった。
秋とはいってもまだまだ暑く、それでもボクは学生服をきなければいけないのが辛い。
女体化したので仕方ないとしても、胸がちょっと大きすぎるのだ。
夏服では、おっぱいをどうにも隠すことができない。
お風呂上りには、なんかどんどん大きくなっていく気のするおっぱいと、近づく夏休みの終わりにどうしようかと考えたものだった。
とにかく、ボクはサラシでなんとかおっぱいを押さえ込む。
そして上からワイシャツ、学生服を着て、なんとかフォルムを整えるのだけど……
とにかく学校で上手くごまかせることを祈るだけだった。
◇◇◇◇◇◇
「暑い……」
ボクはそう何回も言うしかない。
九月はまだまだ、気温ということでは夏と大差がない。
軽く三〇度を超えているだろう。
その中で、黒い学生服にサラシでおっぱいを縛りこんだ身体は暑さに弱すぎる。
始業式の最中は貧血を起こしそうになった。
校長先生の話が普段より4.5倍の長さ(当社比)に感じた。
やっと、教室のもどった。
一応、エアコンはきいているのだけど、それでも顔が赤くなり汗が流れてくる。
「お、おい、御楯大丈夫か?」
普段ならもっと気軽に声をかけくる男子生徒も、おそるおそると声をかけてくる。
これは、自分でも分っていたのだけど、学生服をきても、なんともボクは艶かしい雰囲気があるのだ。
女体化したせいか、目に見えないフェロモンが全身から流れているような感じがしている。
男子生徒は、なぜかボクのことを異様なギラギラした目でみてくる。
女子もなんか、見とれるような感じでボクを見るのだ。
「なあ、暑いなら学生服を脱いだらいいんじゃないか?」
「いやいいんだ」
「そ、そうか」
ボクのそっけない答えに、男子生徒はすぐに引っ込む。
そもそも、クラスにそれほど親しい生徒がいないのが、今となっては幸いだったかもしれない。
耳を澄ますと――
男子生徒の「なんか、御楯のやつ妙に色っぽくなってないか?」「え? おまえその気があるのか」「いやそうじゃなくてさ、あいつの雰囲気変わってね?」「確かにそういわれれば――」という会話も聞こえてくる。
女子の中の何人かは、明らかにボクのことをジッと見つめ続けているのがいる。
「なんとか、対策が必要か……」
ネットで男装の方法でも検索してみようか、などど今更ながらに思ったりする。
ボクは遺伝子操作で女体化したのだけども、性的な嗜好に付いては全く変化がないような気がする。
男子は御免被るし、女子だって、先生意外は全く興味がない。
ボクの心はもう、三日後の四試合目が占めている。
そして、早く先生と対戦し、先生に勝って、先生をボクの物にする――
今のボクは、それだけを目指しているのだった。
◇◇◇◇◇◇
「脚を痛めたんだよなぁ―― あれは、なんとも無様な戦いぶりだと思うわけだよ」
と、江須田論師匠が言った。
「まあ、うかつといえばうかつでした。予断はなかったんですけどね」
「空手家に関節極められるとか、それは、オレの弟子としてどうかとおもうわけだよね~」
「というか、先生に関節技とか寝技とか教えてもらってないんですけど」
「あ、そうだっけ!」
論師匠は、明るい顔をして、にやぁぁと笑う。
「寝技の練習を要求したね――」
「え?」
「したよね。文脈としてそう受け取れるよね」
「まあ…… そうかもしれませんけど」
「あはははは、いいぞ。寝技だ。寝技の特訓だ!」
「え――!!」
「ま、立ち技より脚に負担はかからんし、いいかもなぁ…… それ!」
そう言って師匠は、ボクに飛び掛ってきた。
ボクは散々にセクハラ技の実験台になってしまったのだった。
ただ、それは全部覚えたけど。
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