2 / 18
1.ゾンビを狙撃する日々
しおりを挟む
ゾンビを三体ほどぶち殺した。
銃弾を一〇発以上使った。使いすぎか?
確かに、浪費は控えたいが仕方ないだろうと己に言い聞かせる。
素人だから。多分――。
小林有紀は自らのことをそう推定する。
すっと息を吸った。早春の風に巻き込まれ、火薬の匂いが鼻腔に流れ込む。
――闇夜に霜の降るごとく。
射撃の極意をこう言ったのは近代日本の銃器開発の嚆矢である村田経芳だったと思う。
何故だか、そんな言葉が脳裏に浮かぶ。闇夜でもなんでもなく、昼の日中だというのに。
地震前の記憶があやふやなのに、こんな余計なことは覚えている。
ただ、知っているからと言って出来るかというと、別の話になる。
この言葉は「筋肉」や「心」で引き金を引くな、という無理な極意を表現したものなのだけど、有紀に出来るはずがなかった。
「AK-47」は狙撃には向かない。威力は強いが反動も大きい。
そもそもアサルトライフルという種類の銃が狙撃を目的に開発されたものではないからだ。
有紀は距離五〇メートルで狙撃した。
ウロウロとホームセンターに近づいてくるゾンビを狙ってだった。
命中率約三割は、素人としては上々なのかもしれないし、ダメなのかもしれないし、その基準も良く分らない。
一〇〇メートル地点の目標でおおよそ半径10センチの的に集束するというスペックが頭に浮かぶ。
謎で、無駄な知識だ。
大体が「AK-47」を「AK-47」と認識できる記憶と、操作できる記憶があるのが謎だった。
操作に関しては「手続き記憶」なのだろうけど。
(何者だ、わたしは?)
目覚めてからずっとこびり付いている疑問を意識する。
だが、直ぐにそんな思考は頭の隅に追いやられた。
考えても思い出せないし、今は邪魔な思考だ。
有紀はリアサイトにゾンビの頭部をあわせる。
この距離なら見越し射撃はいらない。撃ち下ろしになるし、ダイレクトショットが可能だった。
(それでも命中率三割であるのだけれども)
晴天。ようやく弱々しさを脱しつつある陽光。
徐々に温かくなっていることから「今は春だ」ということが辛うじて分る。
風はまだ冷たい。ただ、この距離で影響がでるほどの強さではなかった。
なるべく、無心で引き金という装置を指で可動させる。
射撃モードは単発。
引き金が動き、薬莢内の火薬を爆発させるメカニズムが一瞬で動作する。
火薬の爆轟という化学変化が、銃弾に音速を超える速度を与えた。
パンっと乾いた音が耳朶を叩き、視線の先でゾンビの頭部が吹っ飛ぶ。
スイカ割のようだ。
「あはははは」
思わず笑ってしまった。
ゾンビは、同族が撃たれたにも関わらず、全くの無関心。
既に死者であるゾンビは他者に興味を持たないのか。
「生」が他者との関係によって成立し、「死」は他者との関係が断絶した物と考えれば、当然の帰結なのかもしれない。
ゾンビにとっては「同族」とか「明確な他者」を分別する知能がないのだろう。
ホームセンター屋上から、有紀は狙撃していた。
ゾンビを狙ってだった。
毎日毎日ゾンビを狙撃する。安全な屋上から。
こんな日常が二ヶ月ほど続いている。
世界にはゾンビが溢れ、今のところ、有紀以外の人間には出会っていない。
どうして世界がこんなになったのか?
謎だ。謎だらけ。
冷静になってみると笑ってしまう、異様で奇妙で滑稽な状況かもしれない。
しかし――
どうして?
人類は滅んだのか?
自分を除いて。と、有紀はこの世界の不可思議な部分について思う。
――とにかく分らない。
ただ、大きな地震があったことは覚えている。有紀は、ホームセンターの中で地震に巻き込まれ失神。
で、目を覚ましたらゾンビが溢れかえった理不尽な世界にいた。
記憶を辿るとそれが一番古い記憶になる。ひと月ほど前だ。
それ以前の記憶がない。
おそらく地震のときに頭でも打ったのか?
一次的な記憶喪失なのか。
それにしても、記憶を無くしたことに対する不安は皆無だった。
現状があまりに馬鹿馬鹿しすぎるからかもしれない。
ゾンビどもは眼下をうろうろと徘徊している。
奴らは、上方を見る習性がないようだった。だから、高所から射撃は効果的だった。
どうにも、意識を取り戻し世界にゾンビが溢れた世界に放り込まれてから、認識の精細度が上がった気がする。
「生きてる」という実感がある。ありすぎるほどある。記憶はないのだけど。
過去の記憶――
詳細に分類するならば、有紀には過去の体験の「エピソード記憶」が無い。
どこで何をしていたのか、一切覚えていない。
言葉の意味、常識などの学習で覚えていく「意味記憶」は残っている。
自分に関する情報は名前しか覚えていないが、余計な知識や記憶は、なぜか浮かんでくる。
「AK-47」も有紀が目を覚ましたときに、傍らにあったものだ。
なんで、そんなものが有るのかもよく分からない。
しかし「AK-47」を「AK-47」と分かる記憶が脳内にあった。
よく分からないことだらけだ。
それでも、この意味不明で理不尽で地獄のような世界で充実した日常を生きている。
有紀は安っぽくて小さな鏡を取り出す。掌に収まるサイズ。
見つめた。有紀の顔が鏡面に映っていた。
銀髪。やや釣り上がった意思の強そうな双眸。
極限のサバイバルの中で汚れはしている。が、刃のような美貌をもった存在だった。
「わたしは、小林有紀」
有紀は、自分の名を、口の中で転がしてみる。
他者がいない世界で自分をしっかりと意識しようと思っているからだ。
人間は「自分が何者か分らなくなる」と簡単に自我が崩壊する。
ナチスがユダヤ人に対し心理実験を行っている。
鏡に向かって「お前は何者だ?」と疑問を発し続けると、自我が崩壊する。気が狂う。
およそ三ヶ月ほどで廃人になるのだ。
有紀は日常のルーチンでその逆をやっている。
この異様な世界に、自分を定着させるために。正気を保つために。
脇に置いてあったリュックから缶詰を取り出す。サバの水煮。
後、水の入った水筒。それに、保温シートにつつんだタッパーの白米。
のりの佃煮をびっちりと敷き詰め、梅干を添えてある。
ゾンビが溢れかえり、ひとがいなくなった。
普通に考えれば、インフラもダメになりそうだった。
なぜか電気も水道も生きている。ガスは知らない。
だから、電子レンジで温めたレトルトの白米を食べることができた。
今のところ、食料は危機的とは言えないかもしれない。ホームセンターだけでも相当の保存食があった。
当然、荒らされていて万全の品ぞろえとは言えないが、女ひとりが食っていくなら当分は大丈夫だ。
問題は量よりも「保存期限」かもしれないが。
というわけで、有紀はありがたく昼食をいただくことにする。
タッパーを空けると、白米とのりの佃煮の匂いが混ざり合い、鼻腔を刺激する。
たまらず、割り箸で一気にかき込む。口の中に。
缶詰を空け、サバの水煮も口の中に放り込む。美味しい。
ゾンビを射殺した後のご飯は格別だった。
今の有紀に許される唯一の娯楽は、ゾンビを撃ち殺すことだけだ。
食後はしっかりと歯を磨くことにしている。
水筒の水でうがいをして、歯をキレイに保つ。
こんな世界で虫歯になったら、それこそ地獄だ。
近所に薬局があって、痛み止めの「ロキソニン」をガメてきている。
虫歯に対しては気休めのようなものだけども、月に一回はこの薬が必要になる。
女のサバイバルは色々面倒くさい。
歯磨きが終わると、念のためキシリトールガムを噛む。
風船を作ろうとするが、キシリトールガムでは風船は出来ないので諦めた。
有紀はまだ味の残っているに向け吐き捨てた。
銃弾を一〇発以上使った。使いすぎか?
確かに、浪費は控えたいが仕方ないだろうと己に言い聞かせる。
素人だから。多分――。
小林有紀は自らのことをそう推定する。
すっと息を吸った。早春の風に巻き込まれ、火薬の匂いが鼻腔に流れ込む。
――闇夜に霜の降るごとく。
射撃の極意をこう言ったのは近代日本の銃器開発の嚆矢である村田経芳だったと思う。
何故だか、そんな言葉が脳裏に浮かぶ。闇夜でもなんでもなく、昼の日中だというのに。
地震前の記憶があやふやなのに、こんな余計なことは覚えている。
ただ、知っているからと言って出来るかというと、別の話になる。
この言葉は「筋肉」や「心」で引き金を引くな、という無理な極意を表現したものなのだけど、有紀に出来るはずがなかった。
「AK-47」は狙撃には向かない。威力は強いが反動も大きい。
そもそもアサルトライフルという種類の銃が狙撃を目的に開発されたものではないからだ。
有紀は距離五〇メートルで狙撃した。
ウロウロとホームセンターに近づいてくるゾンビを狙ってだった。
命中率約三割は、素人としては上々なのかもしれないし、ダメなのかもしれないし、その基準も良く分らない。
一〇〇メートル地点の目標でおおよそ半径10センチの的に集束するというスペックが頭に浮かぶ。
謎で、無駄な知識だ。
大体が「AK-47」を「AK-47」と認識できる記憶と、操作できる記憶があるのが謎だった。
操作に関しては「手続き記憶」なのだろうけど。
(何者だ、わたしは?)
目覚めてからずっとこびり付いている疑問を意識する。
だが、直ぐにそんな思考は頭の隅に追いやられた。
考えても思い出せないし、今は邪魔な思考だ。
有紀はリアサイトにゾンビの頭部をあわせる。
この距離なら見越し射撃はいらない。撃ち下ろしになるし、ダイレクトショットが可能だった。
(それでも命中率三割であるのだけれども)
晴天。ようやく弱々しさを脱しつつある陽光。
徐々に温かくなっていることから「今は春だ」ということが辛うじて分る。
風はまだ冷たい。ただ、この距離で影響がでるほどの強さではなかった。
なるべく、無心で引き金という装置を指で可動させる。
射撃モードは単発。
引き金が動き、薬莢内の火薬を爆発させるメカニズムが一瞬で動作する。
火薬の爆轟という化学変化が、銃弾に音速を超える速度を与えた。
パンっと乾いた音が耳朶を叩き、視線の先でゾンビの頭部が吹っ飛ぶ。
スイカ割のようだ。
「あはははは」
思わず笑ってしまった。
ゾンビは、同族が撃たれたにも関わらず、全くの無関心。
既に死者であるゾンビは他者に興味を持たないのか。
「生」が他者との関係によって成立し、「死」は他者との関係が断絶した物と考えれば、当然の帰結なのかもしれない。
ゾンビにとっては「同族」とか「明確な他者」を分別する知能がないのだろう。
ホームセンター屋上から、有紀は狙撃していた。
ゾンビを狙ってだった。
毎日毎日ゾンビを狙撃する。安全な屋上から。
こんな日常が二ヶ月ほど続いている。
世界にはゾンビが溢れ、今のところ、有紀以外の人間には出会っていない。
どうして世界がこんなになったのか?
謎だ。謎だらけ。
冷静になってみると笑ってしまう、異様で奇妙で滑稽な状況かもしれない。
しかし――
どうして?
人類は滅んだのか?
自分を除いて。と、有紀はこの世界の不可思議な部分について思う。
――とにかく分らない。
ただ、大きな地震があったことは覚えている。有紀は、ホームセンターの中で地震に巻き込まれ失神。
で、目を覚ましたらゾンビが溢れかえった理不尽な世界にいた。
記憶を辿るとそれが一番古い記憶になる。ひと月ほど前だ。
それ以前の記憶がない。
おそらく地震のときに頭でも打ったのか?
一次的な記憶喪失なのか。
それにしても、記憶を無くしたことに対する不安は皆無だった。
現状があまりに馬鹿馬鹿しすぎるからかもしれない。
ゾンビどもは眼下をうろうろと徘徊している。
奴らは、上方を見る習性がないようだった。だから、高所から射撃は効果的だった。
どうにも、意識を取り戻し世界にゾンビが溢れた世界に放り込まれてから、認識の精細度が上がった気がする。
「生きてる」という実感がある。ありすぎるほどある。記憶はないのだけど。
過去の記憶――
詳細に分類するならば、有紀には過去の体験の「エピソード記憶」が無い。
どこで何をしていたのか、一切覚えていない。
言葉の意味、常識などの学習で覚えていく「意味記憶」は残っている。
自分に関する情報は名前しか覚えていないが、余計な知識や記憶は、なぜか浮かんでくる。
「AK-47」も有紀が目を覚ましたときに、傍らにあったものだ。
なんで、そんなものが有るのかもよく分からない。
しかし「AK-47」を「AK-47」と分かる記憶が脳内にあった。
よく分からないことだらけだ。
それでも、この意味不明で理不尽で地獄のような世界で充実した日常を生きている。
有紀は安っぽくて小さな鏡を取り出す。掌に収まるサイズ。
見つめた。有紀の顔が鏡面に映っていた。
銀髪。やや釣り上がった意思の強そうな双眸。
極限のサバイバルの中で汚れはしている。が、刃のような美貌をもった存在だった。
「わたしは、小林有紀」
有紀は、自分の名を、口の中で転がしてみる。
他者がいない世界で自分をしっかりと意識しようと思っているからだ。
人間は「自分が何者か分らなくなる」と簡単に自我が崩壊する。
ナチスがユダヤ人に対し心理実験を行っている。
鏡に向かって「お前は何者だ?」と疑問を発し続けると、自我が崩壊する。気が狂う。
およそ三ヶ月ほどで廃人になるのだ。
有紀は日常のルーチンでその逆をやっている。
この異様な世界に、自分を定着させるために。正気を保つために。
脇に置いてあったリュックから缶詰を取り出す。サバの水煮。
後、水の入った水筒。それに、保温シートにつつんだタッパーの白米。
のりの佃煮をびっちりと敷き詰め、梅干を添えてある。
ゾンビが溢れかえり、ひとがいなくなった。
普通に考えれば、インフラもダメになりそうだった。
なぜか電気も水道も生きている。ガスは知らない。
だから、電子レンジで温めたレトルトの白米を食べることができた。
今のところ、食料は危機的とは言えないかもしれない。ホームセンターだけでも相当の保存食があった。
当然、荒らされていて万全の品ぞろえとは言えないが、女ひとりが食っていくなら当分は大丈夫だ。
問題は量よりも「保存期限」かもしれないが。
というわけで、有紀はありがたく昼食をいただくことにする。
タッパーを空けると、白米とのりの佃煮の匂いが混ざり合い、鼻腔を刺激する。
たまらず、割り箸で一気にかき込む。口の中に。
缶詰を空け、サバの水煮も口の中に放り込む。美味しい。
ゾンビを射殺した後のご飯は格別だった。
今の有紀に許される唯一の娯楽は、ゾンビを撃ち殺すことだけだ。
食後はしっかりと歯を磨くことにしている。
水筒の水でうがいをして、歯をキレイに保つ。
こんな世界で虫歯になったら、それこそ地獄だ。
近所に薬局があって、痛み止めの「ロキソニン」をガメてきている。
虫歯に対しては気休めのようなものだけども、月に一回はこの薬が必要になる。
女のサバイバルは色々面倒くさい。
歯磨きが終わると、念のためキシリトールガムを噛む。
風船を作ろうとするが、キシリトールガムでは風船は出来ないので諦めた。
有紀はまだ味の残っているに向け吐き捨てた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【最新版】 日月神示
蔵屋
ミステリー
私は思想と言論の自由のもと、此処に岡本天明氏が最高級神霊の神憑りにあい神の意志により自動書記さされた日月神示の内容を編集し今回『【最新版】日月神示』として小説を執筆致しました。
この日月神示は第二次世界大戦中に自動書記されたものであるにも関らず今尚斬新なものであり、その多くは現代社会の通説、また、価値観と著しく異なるものだからです。
この日月神示を読み解いていきますと
次のようなことがわかったのです。
即ち『悪は滅び善は必ず栄えるのだ』と。
そして既に始まっている三千世界の大洗濯によりこの世の最後の審判でこの世の偽悪醜に満ちた世界を綺麗にする浄化作用により罪深き者は滅びる一方でひたすら善一筋で質素に生きた人は幸せな人生を歩んでいる、ということも分かったのです。
さて、最近日月神示の予言本に不安を抱いている方もあると思うがまったく心配いらない。
何故なら日月神示では「取り越し苦労や過ぎ越し苦労はするな!」
「今に生きよ!」
「善一筋で生きよ!」
「身魂磨きをせよ!」
「人間の正しい生き方」
「人間の正しい食生活」
「人間の正しい夫婦のあり方」
「身も心も神さまからお借りしているのじゃから夜になって寝る前に神さまに一旦お返しするのじゃ。そうしたら身と心をどのようにしたらよいか、分かるじゃろ!」
たったのこれだけを守れば良いということだ。
根拠のない書籍や情報源等に惑わされてはダメだ。
日月神示も出口王仁三郎もそのようなことは一切言っていない。
これらの書籍や情報源は「日月神示」が警告する「臣民を惑わすものが出てくるから気をつけよ!」
という言葉に注目して欲しい。
今回、私は読者の皆さんに間違った解釈をされている日月神示を分かりやすく解説していくことにしました。
どうか、最後までお読み下さい。
日月神示の予言については、私が執筆中の「神典日月神示の真実」をお読み下さい。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる