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1、変身

一章 日常は突然に崩れ去る

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 どーも、初めてまして! 俺は霧谷 光、十六歳!
 このあと彼女とデートなんだ! えへ、えへへへへへ、ヤバい、顔のにやけが止まんない。
「ねえ、光ー」
 いやー楽しみ楽しみ。
「ひ・か・る?」
 どのバックで行こうかなー。
「アタシを無視んな!」 
 ビクッ!
「ひっ! い、居たのか榛名!」
 焦ったー。
 なんて存在感が薄いんだ! その胸と一緒だな!
「なんかうまいこと言ったって顔がムカつく!」
「い、痛い! 腕、腕が逝くぅぅーーーっ!」
 腕が変な方向に曲がった。
 いってーな、もう。あ、紹介していなかった、コイツは登尾先 榛名、いわゆる幼なじみだ。お隣だからよく俺の部屋に入ってくる(勝手に)
 ベットの下の肌色成分多めの薄いアレが心配。
 あとは黒髪のロング。可愛いのに胸が残念。そう、胸が。
「もう一本いっておこうかー」
 榛名さんが腕をぐるぐる回しております! 死にます!
「ウソだよ、マジでバインバインだって!」
「そう、ならどこかどれくらいバインバインなのかを言ってみなさい」
「・・・・・・」
 ボキリ!
「理不尽だぁぁーーーっ!」


「で? 奈桜とデートにいくのね?」
「ああ」
 いいだろー、彼氏いない歴=年齢のお前とは違うんだよ、格が。
「アターック」
「ぐふっ!」 
 なんてパンチだ! 意識が飛ぶレベル! え、なにコイツ、エスパー&格闘家なの?
 榛名さんTUEEEEEEEE!
 榛名は俺の状態を気にせず話しかけてきた。
「それで? 待ち合わせ時間は?」
「午前十時だけど」
「え? あと十分後よ!?」
「しまったーーーっ!」
 俺は財布を掴んで走り出した。
「やべー! 行ってくるわ!」
「ふー、いってら、ってあれ? アンタズボンは・・・・・・?」
「ん?」
 恐る恐る下半身を見るとパンツのみだった。
「ノォオーーーッ!」
「キャーッ!」
 声と同時に拳が目の前に・・・・・・。

 俺は急いでズボンを履き、家を飛び出した。
 奈桜が怒る! 俺の評価が下がる! パフェを奢らされる! 俺の財布の中身が危ない!
「ハァ、ハァ、つ、着いた・・・・・・」
 危ない危ない、あと二分だった。まだ奈桜は到着していなかった。
 奈桜は俺の彼女ですごく可愛い。
 だけどおかしいな? いつもならとっくに着いているはずなのに。あ、ちなみに彼女のモットーは一時間前行動だ。
 俺はスマホを出そうとバックを漁った。あちゃー、家に忘れたようだ。まあ、無くてもいいか。
 だが、何十分、何時間待っても彼女は来なかった・・・・・・。
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