百均怪盗ハンドレット

千音 兎輝

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16.実行

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「ええ、順調です」
 謎の女性が、誰かと通話している。
「はい、ええ、問題ありません。ーいえ、強いて言えば一つだけ、彼に近づく女が一人。名前は・・・・・・中将 彩香です」



 よし、今日決行だ。
 臨時のバイトをしてから早四日、ちょうど曇りの夜が訪れた。
「短いようで長い四日間だったぜ・・・・・・」
 まあ、アニメ見てただけなんだけどね(笑)。
「やっべ、学校遅刻する!」
 鬼の耕作先生に怒られる!
 慌てて焼きたてのトーストをつかんで走りだした。
「きゃー遅刻遅刻!」
 やっぱりパンを咥えて走るならこのセリフは必須だよね!
 でもさすがに曲がり角は確認するよ?
「はいオッケ」
 右に曲がろうとしたとき、
「きゃー遅刻遅刻!」
 同じセリフが聞こえてきた。
「誰?」
 後ろを振り向くと、
「おはよー終!」
「美咲か、おはよう」
 幼なじみだからか考える事は同じようだ。美咲もパンを咥えている。
「ってやべっ! 遅刻しちまう!」
 今日は珍しく彩香より先に学校に到着した。



「なー戒場、お前中将さんと付き合っているってホント?」
 二時間目が終わった休み時間。誰だっけ? まあ、仮にクラスメートAとしておこう。Aが話かけてきた。
「は?」
 何を言ってんだ?
「おっと、とぼけなくていいぜ、ネタは上がっているんだよ」
「何のこっちゃ」
 うぜぇ。マジうぜー。一発ぶん殴るか。
 こいつをぶん殴ろうと席を立つと、
「ダンナ確保」
「・・・・・・何?」
 彩香の友達のBさん俺の腕を掴まれた。
「いーからいーからちょっときて!」
 いや、いいけどさ、ダンナって何!?
「彩香ー、連れて来たよー」
「な、なんで連れてきちゃったのー!?」
「いやー、彩香のダンナを見つめる視線があまりにうっとりしてたもんだからさー」
「ま、まあ、見つめたのは認めますが、うっとりって何!?」
「じゃ、後はごゆっくり~」
 友達Bは風のように過ぎ去っていった。
「しゅ、終夜君」
「うん?」 
「明日の日曜日、暇かな?」
 どうだったかな、でも、だいたい開いてるからないつも。
「多分開いてるよ」
 するとさっきまで不安そうだった彩香の顔が明るくなった。
「本当ですか!? じゃ、じゃあ私とお買い物に行きませんか?」
「ん、いいね、行こうか!」
 やった! 手帳の日曜日の欄が初めて埋まるぞ! 
「そ、それでどこに行きます?」
「近くのショッピングモールでどうかな?」
「いいですね! そうしましょう!」
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