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sideノエル
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親友のセレクディアに弟がいる、その事について知ったのは突然だった。
『本当、エイヴァ様はどうしようもない方よね……』
『そうね……それに、あんな方の息子だからかアリステア様も大変我儘な方だし……本当、腹違いとはいえ、あのアリステア様が我が家の誇る聡明なセレクディア様の弟だなんて、信じられないわ。』
セレクディアに会う為に訪れたセーリアス侯爵家で、偶然聞いてしまったその会話に、ノエルは己の耳を疑った。
アリステア?
それに……セレクに弟?
……そんな話、聞いた事ない。
その事について、ノエルは直ぐにセレクディアを問い質した。
「ねぇ、セレク……どうして君は、腹違いの弟が居る事を僕に黙っていたの?」
その言葉にセレクディアは一瞬表情を曇らせたが、直ぐに無表情に戻り、そのまま何も答えなかった。
それは……その様子は、まるで『弟』という存在を煩わしいと思っているようだった。
ああ、きっと兄弟仲が悪いから教えてくれなかったんだ、とその時は軽く考えたが……それは違っていた、と後に知る事となる。
ーー隠されていたアリステアの秘密と共に。
そうして、ノエルがセレクディアの弟『アリステア』の存在を知って、数日が経ったある日の事。
今日もノエルは、セレクディアに会いに、セーリアス侯爵家を訪れていたのだが……
その時、偶然見てしまった。
いつもながらに麗しいセーリアス侯爵と……
ーーその目の前で、体を縮こませ震える少年を。
最初にその少年を見た時は、誰だろう……と思った。
艶やかな黒髪に綺麗な顔をしたその少年は、とても使用人には見えなかったし、着ているものも上等な物だった。
だが、使用人で無いのなら……一体、彼は何者なのか。
そんな疑問を抱きながら、少年の事が気になってしまったノエルは、こっそりと物陰からその様子を窺っていたのだが……次の瞬間、目を見開いた。
「アリステア様……此処にいたのですか。」
突然現れた、従者らしき少年が発したその言葉に。
アリステア、それは……
ーーセレクの弟の名前。
つまり……あの黒髪の綺麗な顔をした少年が……
ーーセレクの腹違いの弟。
それに気付いたノエルは『アリステア』と呼ばれたその少年を食い入るように見つめていたのだが……不意に、二つの疑問を抱いた。
一つ目は、
ーー彼がセーリアス侯爵に対して、物凄く怯えている事。
そして、二つ目の疑問は、
ーーセーリアス侯爵と造形が全く似ていない事。
そう……そうなのだ。
アリステア……彼はセーリアス侯爵やセレクに全く似ていなかった。
母親似なのだろう、とも考えたがそれでも……
ーー違和感を拭い去る事は出来なかった。
そうして、その二つの疑問に頭を捻っていたノエルだったが、いつの間にかその場からセーリアス侯爵やアリステアが居なくなっていた事に気付いた。
「もういない……あの子と話してみたかったのに。」
そう呟いて、頬を膨らませていたノエルだったが、セレクディアとの約束の時間が迫っている事に気付いて、急いで廊下を歩き始めた。
いつかアリステアと話せたら良い、とそんな想いを抱きながら。
ーーそして、その機会は俄雨と共に訪れる事となる。
『本当、エイヴァ様はどうしようもない方よね……』
『そうね……それに、あんな方の息子だからかアリステア様も大変我儘な方だし……本当、腹違いとはいえ、あのアリステア様が我が家の誇る聡明なセレクディア様の弟だなんて、信じられないわ。』
セレクディアに会う為に訪れたセーリアス侯爵家で、偶然聞いてしまったその会話に、ノエルは己の耳を疑った。
アリステア?
それに……セレクに弟?
……そんな話、聞いた事ない。
その事について、ノエルは直ぐにセレクディアを問い質した。
「ねぇ、セレク……どうして君は、腹違いの弟が居る事を僕に黙っていたの?」
その言葉にセレクディアは一瞬表情を曇らせたが、直ぐに無表情に戻り、そのまま何も答えなかった。
それは……その様子は、まるで『弟』という存在を煩わしいと思っているようだった。
ああ、きっと兄弟仲が悪いから教えてくれなかったんだ、とその時は軽く考えたが……それは違っていた、と後に知る事となる。
ーー隠されていたアリステアの秘密と共に。
そうして、ノエルがセレクディアの弟『アリステア』の存在を知って、数日が経ったある日の事。
今日もノエルは、セレクディアに会いに、セーリアス侯爵家を訪れていたのだが……
その時、偶然見てしまった。
いつもながらに麗しいセーリアス侯爵と……
ーーその目の前で、体を縮こませ震える少年を。
最初にその少年を見た時は、誰だろう……と思った。
艶やかな黒髪に綺麗な顔をしたその少年は、とても使用人には見えなかったし、着ているものも上等な物だった。
だが、使用人で無いのなら……一体、彼は何者なのか。
そんな疑問を抱きながら、少年の事が気になってしまったノエルは、こっそりと物陰からその様子を窺っていたのだが……次の瞬間、目を見開いた。
「アリステア様……此処にいたのですか。」
突然現れた、従者らしき少年が発したその言葉に。
アリステア、それは……
ーーセレクの弟の名前。
つまり……あの黒髪の綺麗な顔をした少年が……
ーーセレクの腹違いの弟。
それに気付いたノエルは『アリステア』と呼ばれたその少年を食い入るように見つめていたのだが……不意に、二つの疑問を抱いた。
一つ目は、
ーー彼がセーリアス侯爵に対して、物凄く怯えている事。
そして、二つ目の疑問は、
ーーセーリアス侯爵と造形が全く似ていない事。
そう……そうなのだ。
アリステア……彼はセーリアス侯爵やセレクに全く似ていなかった。
母親似なのだろう、とも考えたがそれでも……
ーー違和感を拭い去る事は出来なかった。
そうして、その二つの疑問に頭を捻っていたノエルだったが、いつの間にかその場からセーリアス侯爵やアリステアが居なくなっていた事に気付いた。
「もういない……あの子と話してみたかったのに。」
そう呟いて、頬を膨らませていたノエルだったが、セレクディアとの約束の時間が迫っている事に気付いて、急いで廊下を歩き始めた。
いつかアリステアと話せたら良い、とそんな想いを抱きながら。
ーーそして、その機会は俄雨と共に訪れる事となる。
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