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sideノエル
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時は少し遡って……
「アリステア!何処にいるの!」
そう叫びながら、広大な王宮の中を走り回る一人の少年。
その少年……ノエルは目に涙を溜めながら、必死にアリステアを探していた。
「アリステア!居るなら返事して!」
そう必死に叫んでも、返事はない。
ノエルには、何故突然アリステアが走り出したのか分からなかった。
……僕が何か、気に障るような事でもしたのだろうか。
そう思い原因を考えてみても、やはり何も分からなくて、遂にノエルは混乱と不安で泣き始めた。
「うっ……アリステアぁぁ」
幼子の泣き声が辺りに響き、空気を揺らす。
そうして、どれ程泣いていただろう。
突然、辺りに足音が響いた。
コツコツと綺麗に足音を響かせるその人物は、顔を伏せて泣いているノエルの目の前で足を止めると、口を開いた。
「ノエル?どうしたのだ?」
そのとてもよく聞き慣れた声に、ノエルは泣きながら顔を上げると、その人物の名を呼んだ。
「っ……リーヴェンス殿下ぁぁ」
ノエルの目の前には、長い金髪を緩く編み、美しいタンザナイトの耳飾りを着けた王太子、リーヴェンスが立っていた。
リーヴェンスは、泣いているノエルの頭を撫でると優しく言葉を紡いだ。
「泣くな……ノエル。一体、何があった?」
「……うっ……アリステアが……ひっく……居なくなってしまって……」
アリステア、そうノエルの口から発せられた聞き慣れない名にリーヴェンスは眉を寄せた。
「アリステア?それは誰だ?」
「僕の……ふえっ……友達です……」
そう言って、再び泣き始めたノエルに、リーヴェンスは困ったように眉を下げると、ため息を吐いた。
「ノエル、もう泣くな……私も一緒に探してやるから。」
その言葉に、ノエルは泣きながら顔を上げた。
「……ほ、本当ですか?」
「ああ、本当だ。だから、いつまでも泣くな……溶けてしまうぞ?」
「えっ……嫌です!僕、溶けたくないです!」
そう焦ったように言い、キュッと顔を引き締めたノエルを見て、リーヴェンスは笑うと、己よりも小さな手を握り、歩き始めた。
アリステアは肩まである黒髪と紫の瞳を持つ、六歳の美少年。
それを聞いたリーヴェンスと、ノエルは共に探していたのだが……
ーーアリステアは、一向に見つからなかった。
そんな状況にノエルは不安を感じ、再び顔を歪めた。
「アリステアっ……」
そう呟き、涙を零し始めたノエルだったが……次のリーヴェンスの言葉に顔を上げた。
「……まだ、探していない場所が一箇所残っている。」
その言葉に、ノエルは面食らった。
……てっきり、もう全ての場所を探し終えたと思っていたから。
だが……それなら、話が早い。
「殿下!そこを探しに行きましょう!」
そう明るい声で言ったノエルに対して、リーヴェンスは顔を顰めた。
……とても嫌そうに。
その表情に、ノエルは驚いた。
これ程、露骨に厭悪の表情を見せるリーヴェンスは初めてで……よっぽど、そこに行きたくないらしい。
だが……そこにアリステアが居る可能性が僅かにでもあるのならば、譲れない。
ーーどんな恐ろしい場所でも、行ってやろうではないか。
そんな強い決意を胸に秘め、ノエルはリーヴェンスの真紅の瞳を見つめると口を開いた。
「殿下……お願いします!僕をそこに連れて行って下さい!」
そのお願いに、最初はかなり渋ったリーヴェンスだったが……それを繰り返すうちに、根負けした。
「仕方ない……行くぞ、ノエル。」
そう言って、手を深く握り直したリーヴェンスに、ノエルは心から笑った。
「ありがとうございます……殿下。」
そうして、二人はその場所へと歩き始めた。
リーヴェンスが連れて来たのは、王宮の庭に隠れるようにして存在した通路。
その通路は薄暗く、不気味だった。
その予想以上の見た目の通路に、ノエルは思わず顔を顰め、リーヴェンスに問い掛けた。
「あの……本当に、ここですか?」
「ああ、この通路を抜けた先に、離れがある。」
その言葉に、ノエルは驚くと共に疑問を抱いた。
「誰が、住んでいるんですか?」
「…………」
それにリーヴェンスは無表情のまま、無言でノエルの手を引くと、その薄暗い通路を歩き始めた。
最初ノエルはその通路の不気味さに、かなりビクビクしていたが、通路を抜け出た先の光景を見て、思わず目を見開いた。
そこには沢山の花々に囲まれた、とても綺麗な離れがあった。
薄暗いのは通路だけで、そこを出てしまえば燦々と太陽が照りつける場所に出る事に、ノエルはかなり驚いたが同時に安堵した。
そうして、恐ろしい場所に出なくて良かった……とほっと息を吐いていたノエルだったが、次の瞬間目を輝かせた。
「アリステア!」
その視線の先には、リーヴェンスと同じ髪色をした少年に寄り添うアリステアの姿があった。
「アリステア!何処にいるの!」
そう叫びながら、広大な王宮の中を走り回る一人の少年。
その少年……ノエルは目に涙を溜めながら、必死にアリステアを探していた。
「アリステア!居るなら返事して!」
そう必死に叫んでも、返事はない。
ノエルには、何故突然アリステアが走り出したのか分からなかった。
……僕が何か、気に障るような事でもしたのだろうか。
そう思い原因を考えてみても、やはり何も分からなくて、遂にノエルは混乱と不安で泣き始めた。
「うっ……アリステアぁぁ」
幼子の泣き声が辺りに響き、空気を揺らす。
そうして、どれ程泣いていただろう。
突然、辺りに足音が響いた。
コツコツと綺麗に足音を響かせるその人物は、顔を伏せて泣いているノエルの目の前で足を止めると、口を開いた。
「ノエル?どうしたのだ?」
そのとてもよく聞き慣れた声に、ノエルは泣きながら顔を上げると、その人物の名を呼んだ。
「っ……リーヴェンス殿下ぁぁ」
ノエルの目の前には、長い金髪を緩く編み、美しいタンザナイトの耳飾りを着けた王太子、リーヴェンスが立っていた。
リーヴェンスは、泣いているノエルの頭を撫でると優しく言葉を紡いだ。
「泣くな……ノエル。一体、何があった?」
「……うっ……アリステアが……ひっく……居なくなってしまって……」
アリステア、そうノエルの口から発せられた聞き慣れない名にリーヴェンスは眉を寄せた。
「アリステア?それは誰だ?」
「僕の……ふえっ……友達です……」
そう言って、再び泣き始めたノエルに、リーヴェンスは困ったように眉を下げると、ため息を吐いた。
「ノエル、もう泣くな……私も一緒に探してやるから。」
その言葉に、ノエルは泣きながら顔を上げた。
「……ほ、本当ですか?」
「ああ、本当だ。だから、いつまでも泣くな……溶けてしまうぞ?」
「えっ……嫌です!僕、溶けたくないです!」
そう焦ったように言い、キュッと顔を引き締めたノエルを見て、リーヴェンスは笑うと、己よりも小さな手を握り、歩き始めた。
アリステアは肩まである黒髪と紫の瞳を持つ、六歳の美少年。
それを聞いたリーヴェンスと、ノエルは共に探していたのだが……
ーーアリステアは、一向に見つからなかった。
そんな状況にノエルは不安を感じ、再び顔を歪めた。
「アリステアっ……」
そう呟き、涙を零し始めたノエルだったが……次のリーヴェンスの言葉に顔を上げた。
「……まだ、探していない場所が一箇所残っている。」
その言葉に、ノエルは面食らった。
……てっきり、もう全ての場所を探し終えたと思っていたから。
だが……それなら、話が早い。
「殿下!そこを探しに行きましょう!」
そう明るい声で言ったノエルに対して、リーヴェンスは顔を顰めた。
……とても嫌そうに。
その表情に、ノエルは驚いた。
これ程、露骨に厭悪の表情を見せるリーヴェンスは初めてで……よっぽど、そこに行きたくないらしい。
だが……そこにアリステアが居る可能性が僅かにでもあるのならば、譲れない。
ーーどんな恐ろしい場所でも、行ってやろうではないか。
そんな強い決意を胸に秘め、ノエルはリーヴェンスの真紅の瞳を見つめると口を開いた。
「殿下……お願いします!僕をそこに連れて行って下さい!」
そのお願いに、最初はかなり渋ったリーヴェンスだったが……それを繰り返すうちに、根負けした。
「仕方ない……行くぞ、ノエル。」
そう言って、手を深く握り直したリーヴェンスに、ノエルは心から笑った。
「ありがとうございます……殿下。」
そうして、二人はその場所へと歩き始めた。
リーヴェンスが連れて来たのは、王宮の庭に隠れるようにして存在した通路。
その通路は薄暗く、不気味だった。
その予想以上の見た目の通路に、ノエルは思わず顔を顰め、リーヴェンスに問い掛けた。
「あの……本当に、ここですか?」
「ああ、この通路を抜けた先に、離れがある。」
その言葉に、ノエルは驚くと共に疑問を抱いた。
「誰が、住んでいるんですか?」
「…………」
それにリーヴェンスは無表情のまま、無言でノエルの手を引くと、その薄暗い通路を歩き始めた。
最初ノエルはその通路の不気味さに、かなりビクビクしていたが、通路を抜け出た先の光景を見て、思わず目を見開いた。
そこには沢山の花々に囲まれた、とても綺麗な離れがあった。
薄暗いのは通路だけで、そこを出てしまえば燦々と太陽が照りつける場所に出る事に、ノエルはかなり驚いたが同時に安堵した。
そうして、恐ろしい場所に出なくて良かった……とほっと息を吐いていたノエルだったが、次の瞬間目を輝かせた。
「アリステア!」
その視線の先には、リーヴェンスと同じ髪色をした少年に寄り添うアリステアの姿があった。
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