戸を開いたその先に。~捨てられ縫い姫は、貧乏進士(実は皇帝)に溺愛される~

若松だんご

文字の大きさ
6 / 31

巻の六、正門から出入りする者

しおりを挟む
 「うえぇ~。また野菜かよぉ」

 人で溢れ、騒がしい市で。
 わたしについてきたハクエイが、ブーっと口を尖らせる。

 「うげ。それも蕪じゃん」

 野菜の並ぶ店先で。わたしが手に取ったものを見て、ものすごく嫌な顔をした。
 
 「いいじゃない、蕪」

 蕪を持ち上げて、状態を吟味。
 葉も萎れてないし、傷もなさそう。

 「ほら、これも籠に入れて」

 荷物持ち。そのためについてきたんでしょうが。
 店主への支払いを済ませ、ハクエイが持ってる籠に、強引に蕪を放り込む。

 「ううう。蕪……」

 そんなに蕪が嫌いなんだろうか。籠の中を見たハクエイが涙ぐむ。

 「文句言わないの。蕪、美味しいわよ?」

 人によって好き嫌い分かれるかもしれないけど、わたしは好き。
 大根なんかと同じで、蕪も上の葉の部分も料理に使える。本体と葉、それぞれ別の料理を作ることができる。
 そして、葉を切ってもその根元(?)を水に晒しておけば、また葉っぱが伸びて、もう一回ぐらい料理に使える。蕪はとってもお得野菜。同じ理由で、葱も好き。

 「ちゃんと、美味しく食べられるように作ってあげるから」

 なんでも食べられるようになって、アンタ、大きくならなきゃ。
 好き嫌いしてたら、大きくなれないわよ?

 「いや、ネエちゃんの料理はうめぇけどさぁ」

 ハアアッと大きくため息をつくハクエイ。

 「セイランに、『吝嗇ケチれ』とは言われてないんだろ? アイツ、そんなシブチンじゃないはずだぜ?」

 「それは……」

 今日も、勉学のために家を出たハクエイさん。
 わたしが夕飯のために買い物に出かけると知ると、ちゃんとお金を渡してくれた。ハクエイの言う通り、そんな少ない金額じゃない。あれこれ買うには充分な金額。
 
 「アイツだってさ、野菜ばっかじゃなくて、もっとこう……肉だって食べたいって思ってるぜ? きっと」

 そう……なんだろうか。
 野菜ばっかり買ってるせいで、渡されたお金は、まだまだ残ってる。
 これ……、「野菜じゃなくて、肉食わせろ」って意味で多めに渡されてる……とか?
 多めに渡されたけど、そのなかでもなるべく安く買い物したほうがいいって思ったんだけど。お肉とか、奮発して買ったほうがいいのかな。
 今朝の料理も、美味しそうに食べてくれたけど。本当はハクエイの言う通り、お肉とかモリモリ食べたいって思ってたのかな? そのために、お金を多く持たせてくれたのかな? お肉を入れたら。そしたらセイランさんも喜んでくれるかな?

 (って、なんでそこでセイランさんっ!?)

 そりゃ、作るんだから、喜んで欲しいってのはあるけど。今、思い浮かべたの、セイランさんだけだったような……。わたしの作ったものを、美味しそうに食べてくれるセイランさんの顔……。
 
 「ってことでさ。あっち! あれ、買おうぜ!」

 軽く混乱してたわたしと違って、ハクエイの声が弾んだ。

 「あっちって……」

 「さっきからさ、いい匂いしてんだよなぁ」

 目をつむり、クンクンと鼻を動かすハクエイ。
 彼の鼻が指す先。そこにあったのは、串に刺した羊肉を炙って売ってる屋台。その香ばしい匂い、沸き立つ煙は、市の客たちの空腹を刺激してやまない。屋台の前では、こらえきれなかっただろう人々が、美味しそうに羊肉にかぶりついてる。

 「な? ネエちゃんもいっしょに食べようぜ」

 わたしが「いいわよ」と言うのを期待してるハクエイの目。「いいわよ」の「いい」ぐらいまで言ったら、弾かれたように飛んでくんだろうな。餌を前に「待て」をされてる犬みたい。

 「ダメよ」

 ちょっとかわいそうだけど、そこは拒絶。

 「なんでだよぉ。あれ、絶対旨いって」

 クゥン。
 ハクエイ(犬)が悲しげに鳴く。

 「あれを買っても、夕餉にならないでしょ」

 そもそも。肉を買え、セイランさんだって、肉を食べたがってるって言ったのはアンタでしょ。わたしたちだけで食べたらダメでしょ。

 「そんなぁ……」

 哀れっぽいハクエイの声。

 「ほら、買い物、続けるわよ。……羊肉、買ってあげるから」

 「えっ!?」

 「わたしたちだけで食べるのがダメってだけよ。羊肉買って、家で同じもの、作ってあげる」

 この香ばしい匂いは醤の焦げたもの。
 串に刺した羊肉に醤を絡めながら、火で炙る。
 食べたことない料理だけど、見様見真似だけど、作れないことはないだろう。
 醤で足りなければ、塩をかけてもいいかもしれない。

 「やった!」

 先に歩き出したわたしを追いかけて、籠を背負ったハクエイがついてくる。よっぽどうれしいんだろう。肉屋めがけて、わたしを追い越していく。

 「ネエちゃん、早く、早く! 早くしねえと、肉が売り切れちまう!」

 ふり返るハクエイ。さっきまでのしょげた雰囲気はどこにも残ってない。

 「作ってはあげるけど。蕪もちゃんと食べなきゃダメよ」

 羊肉は、蕪を食べたご褒美にさせてもらうわよ?

 「わかったって。だから早く!」

 戻ってきたハクエイが、急かすようにわたしの背中を押す。

 「そんなに急がなくっても、売り切れたりしないわよ!」

 グイグイと背中を押され、早足になる。そんなに慌てないでって怒りたいのに、なぜか笑いたい気分になる。
 やっぱりこの子って、弟みたい。
 蕪が苦手なこと、肉が大好きなところ。こうやって無理やり背を押されてるのに、嫌な気分にならない。それどころか、「かわいいなあ」って思ってしまう。
 喜怒哀楽のハッキリした、裏表のない、憎めない、かわいい弟。 

     *     *     *     *

 「ねえ、ちょいと。アンタたち」

 蕪に茸に青菜に、羊肉。醤が少なくなってたから醤も。
 買い物して重くなった籠。ハクエイだけに持たせるのはかわいそうなので、二人で籠を持って帰ってきたら、屋敷の門前で見知らぬ年配女性二人から、声をかけられた。

 「アンタたちって、この家の使用人……よね?」

 「えっと……、はい。そうですけど」

 一瞬、どう答えるべきか。返答に迷った。
 ハクエイはセイランさんの従者だから「使用人」で間違いないけど。わたしの場合は、「使用人」で合ってるの?

 「じゃあ、つかぬこと訊くけど。この家の坊ちゃまって、ここで一人暮らしを始めなさったの?」

 「え?」

 坊ちゃま?

 「最近、この家に出入りしてるじゃない! 書をたくさん持って出入りしてる若者!」

 セイランさんのこと?

 「ちょっと変わった身なりをしてるけど。こちらで暮らしていらっしゃるんでしょ?」

 変わった身なりって。
 はしゃぐように話す二人に、思わず門を見上げる。

 (この家の坊ちゃまなら、確かに変わった身なりよねえ……)

 少し色の褪せた袍。袖のところとか、擦り切れてる。
 どっしりとした、どういう構造なのかわたしにはわからない、立派な表門。確かにあの服装とこの門は似つかわしくない。「変わった」と言われても仕方ない。

 (セイランさん、正門から出入りするから)

 わたしをここに連れてきた時もそうだった。
 正門は、家の主とその家族が使うもの。それ以外の者は、裏門を使うのが常識。
 なのに、セイランさんは、そのへん全然頓着しない。今日だって、この正門から出かけていった。
 そして、頓着しないのは、従者であるハクエイも同じ。
 今、わたしが正門の前にいるのは、ここをくぐって、屋敷に入ろうとしてたから。「出入りはここからだけ。そのほうが楽」というのが、ハクエイの言い分。――なんだけど。

 (そっか。正門から出入りしてると、そういう誤解をされちゃうか)

 この屋敷の主家族は、地方に赴任してる。いるのは留守居役の進士とその従者、そして留守居役の優しさにつけ込んで居候させてもらってる女だなんて。普通は想像すらしないよね。
 主家族の令息が帰ってきたって思うほうが自然だよね。そして、わたしとハクエイは、令息に仕える使用人。

 「それにしても、坊っちゃん。いつの間に、あんなに凛々しく育ったんだか」

 「え、あの……」

 「ほんとよねえ。身なりは変わってるけど、それがまたいい男に見せてるっていうのか」

 「昔は鼻タレの、勉強なんて大嫌いだ~って感じだったのにねえ」

 「いつの間に、あんなキリッと、書を抱えて歩くようになったんだか」

 盛り上がる女性たち。く、口が挟めない。挟みたいのに、ついていけない。

 (これ、ちゃんと訂正しておいたほうがいい?)

 セイランさんは、この屋敷の令息じゃないですって。ただの留守居役ですって。

 (でもそうしたら、セイランさんが、留守居役のくせに正門から出入りする常識知らずって思われちゃう?)

 本当のことを話すのは簡単だけど。勘違いを正すのは簡単だけど。
 そうすることで、本人不在の間に、評判を貶めちゃうことになる……。

 「ねえ、アンタ。あの坊っちゃんのこと、色々教えてくんない?」

 「え?」

 女性の一人に、ガツッと手を掴まれる。

 「ウチの娘の婿がねにどうかってね。昔のままの鼻タレならお断りだけど、今の様子じゃそれもいいんじゃないかって思ってんのよ。頭も良さそうだし、美丈夫だし」
 
 もう一人の女性は、ニッコニコ。

 「あとは、どんな性分なのか、知っておきたいのよ。ね。だから、教えてくれない?」

 「え、えっと……」

 どうしよう。
 勘違いを正すのもそうだけど、本人不在で、性格とか他人に教えちゃっていいわけ?

 「あのさ、オバさんたち」

 それまで黙ってたハクエイが、口を開いた。

 「アイツなら、結婚してるぜ?」

 いっしょに籠を運んでたわたしの手を女性に取られたことで、一人で籠を持つ格好になって。機嫌悪そうなハクエイの顔。口の端がベッキリ折られてる。けど。

 「アンタらが使用人扱いした、そのネエちゃんが、アイツの嫁だ」

 「ええっ!?」

 「このげじょ……、いや、お嬢さんがっ!?」

 目を白黒させて、驚く女性たちを前に、クルッと変わったハクエイの表情。
 イタズラ成功。
 ニシシっと笑うハクエイ。
 ハクエイが言ったこと、本当かどうかよりも、信じがたいってのが上回ってるだろう。何度もなんどもわたしをかなり不躾に見てくる。

 「ちょっ、ハクエイっ!?」

 驚いてるのは、女性たちだけじゃない。
 ううん。女性たちより、「嫁」と言われたわたしの方がもっと驚いてる。

 「オイラ、嘘はついてねえぞ。あん時、アイツがネエちゃん家の門戸を叩いたんだろ?」

 「そっ、それは……」

 それはそうなんだけどっ!
 婿取りの儀式で、わたしの待つ門の戸を叩いたのは、間違いなくセイランさんなんだけど。

 「門戸を叩いた男を迎え入れたら、結婚成立なんだろ?」

 そうなんだけどっ、そうなんだけどっ、そういうもんなんだけどっ!

 「だったら、アイツとネエちゃんは夫婦だ」

 ゔゔ。
 そうなのかなあ。そうなのかなあ。間違ってないけど、そうなのかなあ。
 ニッコニコのハクエイ。その堂々とした笑顔に、こっちが戸惑う。
 嫌とかそういうのじゃなくて、今のわたしって、行く宛のない居候でも、家事を行う下女でもなくって、セイランさんのお嫁さんってことで合ってるのかなあ。その認識で、間違いないのかなあ。

 「あ、あぁら、これはとんだ失礼をっ!」

 「ごめんなさいねぇ~」

 パタパタと一目散に、駆け去っていった女性たち。
 セイランさんが、この屋敷の坊っちゃんだとしたら。その嫁を下女扱いしたとなれば、居たたまれず、走り去るのも仕方ない。――けど。

 (下女……)

 かたやこの屋敷の坊っちゃんと勘違いされるセイランさんと、下女間違いなしと思われたわたし。その二人がふっ、夫婦だなんて宣言しちゃって、いいのかなあ。
 というか。

 「ちょっとハクエイ! もっとちゃんと説明差し上げなきゃダメでしょ!」

 あれじゃあ、「この屋敷の坊っちゃんが、下女っぽい女を嫁にした」って思われちゃうじゃない! セイランさんのこともだけど、この屋敷の坊っちゃんだって、とんでもない風評被害よ!

 「えー、いいじゃん。これで二度と、自分の娘を~とか言ってこないしさ」

 怒ってもケロッとしてるハクエイ。

 「それより、早く中に入ろうぜ。羊串、作ってくれるんだろ?」

 開けた門。
 重いはずの籠を持ったハクエイが、わたしを置いてスタスタと中に入っていく。

 (ごめんなさい。この家の坊っちゃん)

 さっきの女性たちを追いかけて、訂正することもできないわたしをお許しください。間違いを糾す機会があれば、絶対必ず訂正しておきますから。それと。

 (これ以上勘違いが起きないように、セイランさんに裏門を使ってもらうように、言っとかなきゃ)

 彼がキチンと裏門から出入りしてれば、そもそもの勘違いは起きなかったはず。

 「お~い。ネエちゃん、急げよぉ」

 こちらの気も知らないで、呑気にわたしを呼ぶハクエイ。
 あの子も、適当なこと言わないよう、しっかり教えておかなくては。
 わたしがセイランさんの嫁だなんて。とんでもないわ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~

花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。  だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。  エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。  そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。 「やっと、あなたに復讐できる」 歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。  彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。 過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。 ※ムーンライトノベルにも掲載しております。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます

久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」 大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。 彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。 しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。 失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。 彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。 「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。 蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。 地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。 そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。 これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。 数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。

国宝級イケメンとのキスは、最上級に甘いドルチェみたいに私をとろけさせます♡ 〈Dulcisシリーズ〉

はなたろう
恋愛
人気アイドルとの秘密の恋愛♡コウキは俳優やモデルとしても活躍するアイドル。クールで優しいけど、ベッドでは少し意地悪でやきもちやき。彼女の美咲を溺愛し、他の男に取られないかと不安になることも。出会いから交際を経て、甘いキスで溶ける日々の物語。 ★みなさまの心にいる、推しを思いながら読んでください ◆出会い編あらすじ 毎日同じ、変わらない。都会の片隅にある植物園で働く美咲。 そこに毎週やってくる、おしゃれで長身の男性。カメラが趣味らい。この日は初めて会話をしたけど、ちょっと変わった人だなーと思っていた。 まさか、その彼が人気アイドル、dulcis〈ドゥルキス〉のメンバーだとは気づきもしなかった。 毎日同じだと思っていた日常、ついに変わるときがきた。 ◆登場人物 佐倉 美咲(25) 公園の管理運営企業に勤める。植物園のスタッフから本社の企画営業部へ異動 天見 光季(27) 人気アイドルグループ、dulcis(ドゥルキス)のメンバー。俳優業で活躍中、自然の写真を撮るのが趣味 お読みいただきありがとうございます! ★番外編はこちらに集約してます。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/411579529/693947517 ★最年少、甘えん坊ケイタとバツイチ×アラサーの恋愛はじめました。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/411579529/408954279

敵国に嫁いだ姫騎士は王弟の愛に溶かされる

今泉 香耶
恋愛
王女エレインは隣国との戦争の最前線にいた。彼女は千人に1人が得られる「天恵」である「ガーディアン」の能力を持っていたが、戦況は劣勢。ところが、突然の休戦条約の条件により、敵国の国王の側室に望まれる。 敵国で彼女を出迎えたのは、マリエン王国王弟のアルフォンス。彼は前線で何度か彼女と戦った勇士。アルフォンスの紳士的な対応にほっとするエレインだったが、彼の兄である国王はそうではなかった。 エレインは王城に到着するとほどなく敵国の臣下たちの前で、国王に「ドレスを脱げ」と下卑たことを強要される。そんなエレインを庇おうとするアルフォンス。互いに気になっていた2人だが、王族をめぐるごたごたの末、結婚をすることになってしまい……。 敵国にたった一人で嫁ぎ、奇異の目で見られるエレインと、そんな彼女を男らしく守ろうとするアルフォンスの恋物語。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

いなくなった伯爵令嬢の代わりとして育てられました。本物が見つかって今度は彼女の婚約者だった辺境伯様に嫁ぎます。

りつ
恋愛
~身代わり令嬢は強面辺境伯に溺愛される~ 行方不明になった伯爵家の娘によく似ていると孤児院から引き取られたマリア。孤独を抱えながら必死に伯爵夫妻の望む子どもを演じる。数年後、ようやく伯爵家での暮らしにも慣れてきた矢先、夫妻の本当の娘であるヒルデが見つかる。自分とは違う天真爛漫な性格をしたヒルデはあっという間に伯爵家に馴染み、マリアの婚約者もヒルデに惹かれてしまう……。

処理中です...