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七、青色、カビ色、どんな色?
(四)
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十三年前。
即位なさったばかりの帝のもとに二人の女御が入内した。
一人は時の関白の娘、薫子。もう一人は関白の弟、右大臣の娘、崎子。
薫子には承香殿を与えられ、崎子には麗景殿を与えられた。
「主上は、最初から承香殿どのを好いておられた」
もともと二人は幼馴染。淡い恋心を抱いていた帝は、彼女が妻となったことで、その想いを自覚するようになったらしい。
「そのせいでね、姉、崎子はとても苦しんだんですよ。父になんとしても子を産めと責められてね」
帝の子を産み参らせることで、女御の父は外戚としての権力を得る。自分の孫が東宮となり、未来の帝となる。当時右大臣だった関白からしてみれば、目の上のたんこぶみたいな兄を追い落とす絶好のチャンスだ。なんとしても娘に子を産んでほしい。そうせっついたんだろう。いや、「せっつく」なんてレベルじゃない。「子はまだか」「あちらより先に子を成せ」と呪いのように迫り、女御を追い詰めていたのかもしれない。
「子さえ産めば、姉は安らかに暮らせる。そう思ったから、僕が授けてあげたんですよ」
ニッと笑って告げた少将。
けどその衝撃に、彩子たちは顔色を失っている。
「別にダメなことはないだろ? あっちの世界でも、光源氏が同じようなことをしてる」
「いや、あれは物語の世界……」
光源氏が、父親桐壷帝の妻、藤壺の女御との間に産ませた子。のちの冷泉帝は、光源氏の異母弟ではなく、実子。不義の子。だけど、それはあくまでフィクション。
「けどね、姉は光源氏たちみたいに図太い女じゃなかったんだよ。懐妊したことを父は喜んだが、姉は恐れ慄き、最後は帝にすべてを話して落飾するって言い出した」
姉弟の不義の子を、帝の子と称することに耐えられなかったんだろう。それも、帝と自分に男女の関係があればごまかすこともできるかもしれないけど、帝が麗景殿の女御を抱いたことは一度もない。それなのに懐妊したとなれば、どんな咎めがあるのか。麗景殿の女御の苦しみが窺い知れる。
「落飾されてはたまらないから、ちょっと閉じ込めてなんにもできないようにしたんだけど……」
フウッと少将が軽く息を吐き出す。
「……姉はね、塗籠のなかで自害したよ。自ら毒をあおってね。腹の子を堕ろす、そういう薬を大量に飲んだんだ。バカだよね」
何がおかしいのか。クツクツと喉を鳴らして笑う少将。
「――それで、あの娘、七緒に罪を着せたのか? 毒を盛った犯人として」
問いを発したのは雅顕。普段の飄々としたものではなく、低くくぐもった声。
「ああ、あの典薬寮の娘か。そうだよ。あの娘がキミの恋人だってわかったから。キミたちがあの娘に命じて姉に毒を盛ったことにしようって、父が計画したんだ」
聞いた雅顕が拳を握りしめる。
「姉の死を利用して、先の関白を追い落とそうとしたのに。あの娘、牢のなかで、アッサリ自害しちゃうんだもの。おかげで僕まで父上から大目玉をくらったよ。冤罪を着せることができなくなった、どうしてくれるんだって。腹がたったから、遺体は投げ棄てておいたけど。そういえば、あれを弔ったのもキミだったね」
うつむいたまま、唇を噛みしめる雅顕。肩が震える。
その肩に手を置いたのは帝。
「話を戻す。承香殿の女御を呼び寄せ、麗景殿を焼失させたのは何故か」
「ただの雷の実験――と言いたいところですが。父が、しびれを切らしたんですよ。関白となったはいいが、一向に孫が生まれないことに。このままではダメだって。父はね、主上と女御の関係をご存知だったんですよ」
「それは、そなたが伝えたからではないのか?」
「そうですよ。そこの間抜けな兄妹が、和歌を読み解くなんてしてくれたおかげでね。お二人が愛し合ってる限り、妹、藤壺の女御が寵愛されることはないって考えた。だから、承香殿の女御を殺そうと呼び寄せた」
オレたちが東の廂で読み解いた歌。その歌をコイツはどこかで聞いていたらしい。
「僕としても、姉の思い出ある麗景殿をいつまでも残したくなかったのでね。燃えてくれてちょうど良かった」
「テメッ、そのせいでオレたちはなあっ!!」
思わず、少将の胸ぐらをつかむ。
コイツのせいで、彩子が焼け死にそうになり、オレも火傷を負ったんだぞ?
「いいじゃないか。ここで死んだら、また元の世界に生まれ変わればいい」
「そういう問題じゃねえっ!!」
「僕は生まれ変わりたいよ。姉が向かったかもしれない、あちらの世界にね」
「お前……」
つかみ上げた手から力が抜ける。
「主上のご明察通り、六条河原院で作ったのは〝鴆毒〟。父上が所望してたんだ。このまま主上が妹に手を出さないのなら、いっそのこと弑して別の親王を即位させようかってね」
帝を亡き者にして、新しい傀儡となる者を即位させる。
そういうことが、関白にならできる。できてしまう。
それほど絶大な権力を有する者。それが関白。
「けどさ、いつまでも父上の言いなりってのも面白くないし。せっかくだから、出来上がった鴆毒の味見を、父上にやってもらったってわけ。面白いよね、僕が毒を盛るなんて少しも考えないんだから。不死の妙薬って言ったら、ありがたがって一生懸命服毒してたよ」
ハハハッと大きな声で笑う少将。ちっとも面白くねえ。面白くもなんともねえ。むしろ、狂ってる。
「さて、すべてをお話しいたしました。主上。ご裁可を」
真顔に戻った少将。
その顔は、下されるだろう罰に正面から向き合う心構えを見せている。従容とすべてを受け入れるつもりだ。
「お待ち下さい、主上!!」
少将を抱きしめ、少女が叫んだ。
「兄は、たしかに悪業を働きました!! しかし行わねば、父から酷い折檻を受ける、そういう境遇に立たされていたのです!!」
え? 兄?
って、この子、藤壷の女御だったわけ?
ずっと少将に寄り添ってるから、それなりに近しい間柄だとは思ってたけど。
「父は、兄に不思議な知恵があると知ると、それを利用いたしました。歌詠み、からくり、毒、政。すべて父の思うようにことを動かすため、兄はひたすら働かされておりました。知恵が出せぬのならと閉じ込められたり、食事を与えられなかったり。殴る蹴るなどの暴行も受けておりました」
思わず喉がゴクリと鳴った。
愛されたくて、大事にされたくて披露する前世の知識。
オレの両親は、その知識を気味悪がってオレを捨てた。親父どのは、その知恵に興味を持って近づいてきたものの、情にほだされ、オレを息子として迎え入れてくれた。そして、コイツの父親はその知識を貪欲なまでに利用した。
親ガチャ失敗。
前世で聞いた言葉。生まれ落ちる場所を間違えた。こんな毒親の元になど生まれたくなかった。そういう意味。
もしかしたら、転生ガチャなんてのもあるのかもしれない。転生した先にも当たり外れがある。オレの場合、親父どの、北の方さま、それと彩子に巡り会えるっていう幸運が待っていたが、コイツは実の父親から利用され折檻される現実が待っていた。
「麗景殿の姉と子を成したのも、父の命なのです。子さえ成してしまえば、誰の種であっても構わぬと、兄に命じ――」
「違う!!」
少将が藤壷の女御の言葉を遮った。
「あれは僕が本懐を遂げただけだ!! 僕はずっと姉を、崎子を愛していたから!! 父の命に従ったふりして、崎子を抱いたんだ!! なのにっ、なのに崎子は……」
グッと唇を噛んだ少将。その体を女御が抱きしめる。
「主上。兄が承香殿さまを弑しようとしたのも、父に鴆毒を盛ったのも、すべて私のため。承香殿さまがご存命であれば、私が子を成すことはない。となれば、父はまた姉のときのように私を責めるでしょう。承香殿さまを弑することができぬのであれば、父を。全ては、私がここで心安く暮らすための兄の優しさだったのです」
切々と訴える女御。
「悪業ではあるとわかっております。仕方ないでは許されない罪であることも。ですので、罰するなら私もともに。覚悟はできております」
「解子……」
「兄様だけ逝かせません」
穏やかに微笑む女御。目を大きく開き女御を見つめる少将。
「少将さま、これを」
誰も動けなくなっていたなか、一人、彩子だけが動いた。
「麗景殿にあったものです」
コトリと、少将の前に置かれたのは小さな木彫りの観音像。誰が彫ったのか、荒削りなところもある、でもどこか穏やかな表情の観音像。
観音像を見るなり、少将の顔が崩れていく。
「う……あ、あ……」
絞り出された声。
「うあああっ、あっ、ああっ……、ああああっ……!!」
それはすぐに慟哭へと変わり、縄に縛られた体で、必死に観音像に覆いかぶさり嗚咽を漏らす。ギュッと少将を抱きしめ続ける女御。
その観音像に、どんな祈りが込められているのか知らない。どんな思いで誰が彫ったのかも。けど。
「兄さま……」
戻ってきた彩子がオレの袖にしがみつく。
オレも、無言のまま二人を見つめ、袖を握る彩子の手に自分の手を重ねた。
即位なさったばかりの帝のもとに二人の女御が入内した。
一人は時の関白の娘、薫子。もう一人は関白の弟、右大臣の娘、崎子。
薫子には承香殿を与えられ、崎子には麗景殿を与えられた。
「主上は、最初から承香殿どのを好いておられた」
もともと二人は幼馴染。淡い恋心を抱いていた帝は、彼女が妻となったことで、その想いを自覚するようになったらしい。
「そのせいでね、姉、崎子はとても苦しんだんですよ。父になんとしても子を産めと責められてね」
帝の子を産み参らせることで、女御の父は外戚としての権力を得る。自分の孫が東宮となり、未来の帝となる。当時右大臣だった関白からしてみれば、目の上のたんこぶみたいな兄を追い落とす絶好のチャンスだ。なんとしても娘に子を産んでほしい。そうせっついたんだろう。いや、「せっつく」なんてレベルじゃない。「子はまだか」「あちらより先に子を成せ」と呪いのように迫り、女御を追い詰めていたのかもしれない。
「子さえ産めば、姉は安らかに暮らせる。そう思ったから、僕が授けてあげたんですよ」
ニッと笑って告げた少将。
けどその衝撃に、彩子たちは顔色を失っている。
「別にダメなことはないだろ? あっちの世界でも、光源氏が同じようなことをしてる」
「いや、あれは物語の世界……」
光源氏が、父親桐壷帝の妻、藤壺の女御との間に産ませた子。のちの冷泉帝は、光源氏の異母弟ではなく、実子。不義の子。だけど、それはあくまでフィクション。
「けどね、姉は光源氏たちみたいに図太い女じゃなかったんだよ。懐妊したことを父は喜んだが、姉は恐れ慄き、最後は帝にすべてを話して落飾するって言い出した」
姉弟の不義の子を、帝の子と称することに耐えられなかったんだろう。それも、帝と自分に男女の関係があればごまかすこともできるかもしれないけど、帝が麗景殿の女御を抱いたことは一度もない。それなのに懐妊したとなれば、どんな咎めがあるのか。麗景殿の女御の苦しみが窺い知れる。
「落飾されてはたまらないから、ちょっと閉じ込めてなんにもできないようにしたんだけど……」
フウッと少将が軽く息を吐き出す。
「……姉はね、塗籠のなかで自害したよ。自ら毒をあおってね。腹の子を堕ろす、そういう薬を大量に飲んだんだ。バカだよね」
何がおかしいのか。クツクツと喉を鳴らして笑う少将。
「――それで、あの娘、七緒に罪を着せたのか? 毒を盛った犯人として」
問いを発したのは雅顕。普段の飄々としたものではなく、低くくぐもった声。
「ああ、あの典薬寮の娘か。そうだよ。あの娘がキミの恋人だってわかったから。キミたちがあの娘に命じて姉に毒を盛ったことにしようって、父が計画したんだ」
聞いた雅顕が拳を握りしめる。
「姉の死を利用して、先の関白を追い落とそうとしたのに。あの娘、牢のなかで、アッサリ自害しちゃうんだもの。おかげで僕まで父上から大目玉をくらったよ。冤罪を着せることができなくなった、どうしてくれるんだって。腹がたったから、遺体は投げ棄てておいたけど。そういえば、あれを弔ったのもキミだったね」
うつむいたまま、唇を噛みしめる雅顕。肩が震える。
その肩に手を置いたのは帝。
「話を戻す。承香殿の女御を呼び寄せ、麗景殿を焼失させたのは何故か」
「ただの雷の実験――と言いたいところですが。父が、しびれを切らしたんですよ。関白となったはいいが、一向に孫が生まれないことに。このままではダメだって。父はね、主上と女御の関係をご存知だったんですよ」
「それは、そなたが伝えたからではないのか?」
「そうですよ。そこの間抜けな兄妹が、和歌を読み解くなんてしてくれたおかげでね。お二人が愛し合ってる限り、妹、藤壺の女御が寵愛されることはないって考えた。だから、承香殿の女御を殺そうと呼び寄せた」
オレたちが東の廂で読み解いた歌。その歌をコイツはどこかで聞いていたらしい。
「僕としても、姉の思い出ある麗景殿をいつまでも残したくなかったのでね。燃えてくれてちょうど良かった」
「テメッ、そのせいでオレたちはなあっ!!」
思わず、少将の胸ぐらをつかむ。
コイツのせいで、彩子が焼け死にそうになり、オレも火傷を負ったんだぞ?
「いいじゃないか。ここで死んだら、また元の世界に生まれ変わればいい」
「そういう問題じゃねえっ!!」
「僕は生まれ変わりたいよ。姉が向かったかもしれない、あちらの世界にね」
「お前……」
つかみ上げた手から力が抜ける。
「主上のご明察通り、六条河原院で作ったのは〝鴆毒〟。父上が所望してたんだ。このまま主上が妹に手を出さないのなら、いっそのこと弑して別の親王を即位させようかってね」
帝を亡き者にして、新しい傀儡となる者を即位させる。
そういうことが、関白にならできる。できてしまう。
それほど絶大な権力を有する者。それが関白。
「けどさ、いつまでも父上の言いなりってのも面白くないし。せっかくだから、出来上がった鴆毒の味見を、父上にやってもらったってわけ。面白いよね、僕が毒を盛るなんて少しも考えないんだから。不死の妙薬って言ったら、ありがたがって一生懸命服毒してたよ」
ハハハッと大きな声で笑う少将。ちっとも面白くねえ。面白くもなんともねえ。むしろ、狂ってる。
「さて、すべてをお話しいたしました。主上。ご裁可を」
真顔に戻った少将。
その顔は、下されるだろう罰に正面から向き合う心構えを見せている。従容とすべてを受け入れるつもりだ。
「お待ち下さい、主上!!」
少将を抱きしめ、少女が叫んだ。
「兄は、たしかに悪業を働きました!! しかし行わねば、父から酷い折檻を受ける、そういう境遇に立たされていたのです!!」
え? 兄?
って、この子、藤壷の女御だったわけ?
ずっと少将に寄り添ってるから、それなりに近しい間柄だとは思ってたけど。
「父は、兄に不思議な知恵があると知ると、それを利用いたしました。歌詠み、からくり、毒、政。すべて父の思うようにことを動かすため、兄はひたすら働かされておりました。知恵が出せぬのならと閉じ込められたり、食事を与えられなかったり。殴る蹴るなどの暴行も受けておりました」
思わず喉がゴクリと鳴った。
愛されたくて、大事にされたくて披露する前世の知識。
オレの両親は、その知識を気味悪がってオレを捨てた。親父どのは、その知恵に興味を持って近づいてきたものの、情にほだされ、オレを息子として迎え入れてくれた。そして、コイツの父親はその知識を貪欲なまでに利用した。
親ガチャ失敗。
前世で聞いた言葉。生まれ落ちる場所を間違えた。こんな毒親の元になど生まれたくなかった。そういう意味。
もしかしたら、転生ガチャなんてのもあるのかもしれない。転生した先にも当たり外れがある。オレの場合、親父どの、北の方さま、それと彩子に巡り会えるっていう幸運が待っていたが、コイツは実の父親から利用され折檻される現実が待っていた。
「麗景殿の姉と子を成したのも、父の命なのです。子さえ成してしまえば、誰の種であっても構わぬと、兄に命じ――」
「違う!!」
少将が藤壷の女御の言葉を遮った。
「あれは僕が本懐を遂げただけだ!! 僕はずっと姉を、崎子を愛していたから!! 父の命に従ったふりして、崎子を抱いたんだ!! なのにっ、なのに崎子は……」
グッと唇を噛んだ少将。その体を女御が抱きしめる。
「主上。兄が承香殿さまを弑しようとしたのも、父に鴆毒を盛ったのも、すべて私のため。承香殿さまがご存命であれば、私が子を成すことはない。となれば、父はまた姉のときのように私を責めるでしょう。承香殿さまを弑することができぬのであれば、父を。全ては、私がここで心安く暮らすための兄の優しさだったのです」
切々と訴える女御。
「悪業ではあるとわかっております。仕方ないでは許されない罪であることも。ですので、罰するなら私もともに。覚悟はできております」
「解子……」
「兄様だけ逝かせません」
穏やかに微笑む女御。目を大きく開き女御を見つめる少将。
「少将さま、これを」
誰も動けなくなっていたなか、一人、彩子だけが動いた。
「麗景殿にあったものです」
コトリと、少将の前に置かれたのは小さな木彫りの観音像。誰が彫ったのか、荒削りなところもある、でもどこか穏やかな表情の観音像。
観音像を見るなり、少将の顔が崩れていく。
「う……あ、あ……」
絞り出された声。
「うあああっ、あっ、ああっ……、ああああっ……!!」
それはすぐに慟哭へと変わり、縄に縛られた体で、必死に観音像に覆いかぶさり嗚咽を漏らす。ギュッと少将を抱きしめ続ける女御。
その観音像に、どんな祈りが込められているのか知らない。どんな思いで誰が彫ったのかも。けど。
「兄さま……」
戻ってきた彩子がオレの袖にしがみつく。
オレも、無言のまま二人を見つめ、袖を握る彩子の手に自分の手を重ねた。
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