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第一章-すれ違い-
-part15-実行の後
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中村は彼女に土下座して、帰って行った。
「えーと。大丈夫ですか?」
「・・・うぅぅぅ・・・」
「ほら、ハンカチ。これ使って」
「・・・・・」
「怖がらなくていいよ。その人、顔は怖いけど、めっちゃ優しい人だから」
「会長。顔の事、気にしてるんですけど」
場を和ませる為に、中村が帰った後にフードで顔を隠して、さっきまで中村と一緒にいた女子に話しかけた。
ずれ違い実行は概ね成功。
まず、すれ違い実行委員会のOBである竹谷《たけや》さんに連絡して、中村を脅してほしいと頼んだ。これで、中村は誰が竹谷さんと付き合っているか分からないから全員と別れないといけなくなる。しかも、泣かなとも言われてるせいで、円満に別れないといけない。
これが、今回の計画。
ちなみにだが、計画を実行する前に、この女子にはこちらからコンタクトをして、話をしていた。つまり、協力関係者である。
「・・・ありがとうございます。教えて頂けなかったら、啓輝がこんなにもクズだって、気づきませんでした」
「いや、すいません。つらい思いさせてしまって」
女子に頭を下げて謝った。
「そんなに謝らないでいいです」と女子は言うが、しっかり謝らないといけない。
失恋はつらい。相手が本当にクズで愛想も愛情もなければいいが、今回は違う。
中村はどの女子に対しても、愛情をもって接触ていた。
それが駄目なのだ。
優しくされていたのに、いきなり別れを。それも別の女子と付き合ってました。なんて事実を聞かされては、立ち直れずに引きこもってしまうかもしれない。
だから、少しでも円満に別れるようにさせた。中村が付き合っていた女子たちにはできる限り、複数の女子と付き合っていた事実を気づかれないように。
でも、誰か一人はこの事実を知って欲しかった。
誰か一人でも知っているなら話が広まっていると思い、中村への抑止力になるからである。そこで、付き合っている女子の中で一番、正義感の強くて立ち直りが早そうな、今、目の前にいる女子にコンタクトを取って、聞きたくなかったかもしれない、中村の事実を話した。
「・・・あの。ところで、竹谷さんは、彼女がいるんですか?」
「え。あー。彼女の話?あれは嘘だよ。顔が怖くてなかなか女の人が近寄ってくれないんだって」
「会長。やめて下さいよ。本気で顔は気にしてるんですから」
「竹谷さんが、俺に敬語を使うのを辞めたら考えるよ」
「・・・・そうなんですね。竹谷さん」
「はい?」
「今度、食事でもどうでしょうか?今日のお礼がしたいです!」
もう、次の恋愛。
とても心が強い女子。これなら、竹谷さんの事を引っ張って行ってくれそう。
安心していると。プルプルと顔を震わせる竹谷さん。
女子との付き合いなし、しかも相手は年氏。テンパっているのである。
俺は、こっそり竹谷さんに親指を立てた。
「えーと。大丈夫ですか?」
「・・・うぅぅぅ・・・」
「ほら、ハンカチ。これ使って」
「・・・・・」
「怖がらなくていいよ。その人、顔は怖いけど、めっちゃ優しい人だから」
「会長。顔の事、気にしてるんですけど」
場を和ませる為に、中村が帰った後にフードで顔を隠して、さっきまで中村と一緒にいた女子に話しかけた。
ずれ違い実行は概ね成功。
まず、すれ違い実行委員会のOBである竹谷《たけや》さんに連絡して、中村を脅してほしいと頼んだ。これで、中村は誰が竹谷さんと付き合っているか分からないから全員と別れないといけなくなる。しかも、泣かなとも言われてるせいで、円満に別れないといけない。
これが、今回の計画。
ちなみにだが、計画を実行する前に、この女子にはこちらからコンタクトをして、話をしていた。つまり、協力関係者である。
「・・・ありがとうございます。教えて頂けなかったら、啓輝がこんなにもクズだって、気づきませんでした」
「いや、すいません。つらい思いさせてしまって」
女子に頭を下げて謝った。
「そんなに謝らないでいいです」と女子は言うが、しっかり謝らないといけない。
失恋はつらい。相手が本当にクズで愛想も愛情もなければいいが、今回は違う。
中村はどの女子に対しても、愛情をもって接触ていた。
それが駄目なのだ。
優しくされていたのに、いきなり別れを。それも別の女子と付き合ってました。なんて事実を聞かされては、立ち直れずに引きこもってしまうかもしれない。
だから、少しでも円満に別れるようにさせた。中村が付き合っていた女子たちにはできる限り、複数の女子と付き合っていた事実を気づかれないように。
でも、誰か一人はこの事実を知って欲しかった。
誰か一人でも知っているなら話が広まっていると思い、中村への抑止力になるからである。そこで、付き合っている女子の中で一番、正義感の強くて立ち直りが早そうな、今、目の前にいる女子にコンタクトを取って、聞きたくなかったかもしれない、中村の事実を話した。
「・・・あの。ところで、竹谷さんは、彼女がいるんですか?」
「え。あー。彼女の話?あれは嘘だよ。顔が怖くてなかなか女の人が近寄ってくれないんだって」
「会長。やめて下さいよ。本気で顔は気にしてるんですから」
「竹谷さんが、俺に敬語を使うのを辞めたら考えるよ」
「・・・・そうなんですね。竹谷さん」
「はい?」
「今度、食事でもどうでしょうか?今日のお礼がしたいです!」
もう、次の恋愛。
とても心が強い女子。これなら、竹谷さんの事を引っ張って行ってくれそう。
安心していると。プルプルと顔を震わせる竹谷さん。
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俺は、こっそり竹谷さんに親指を立てた。
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