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プロローグ
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『この世界に私の居場所がなくなった』
スマホでライブ配信させて、呟く。
視聴人数は零から三を、繰り返している。
ライブのタイトルは『私の居場所がなくなりました』
『あんなにも、「好き」って私に向かって言って愛を確かめ合った仲だったのに』
数日前。私の彼氏が、他の女とショッピングモール歩いているのを目撃した。
浮気だと、問いただすも、その女と関係は持ってないと嘘をつかれた。
『彼がいない世界に、私が生きてても意味はない。だから』
彼にメッセージを送りつけた。
「私は、一生の思い出になる」と。
『せめて、彼に一生覚えておいてもらうために死にます』
私を裏切った事で、私が自殺すれば、きっと彼は後悔し続ける。それは、つまり一生彼の心の中に、私は居続けることが出来るという事になる。
永遠の愛と言っても過言ではない。
『間もなく2番ホームに電車が到着します。黄色の線、内側までお下がりください』
みんなに注目され、彼にも私が自殺したのを気づいてもらうために、公共の場を選んだ。
ホームに靴を脱いで、全体が映るようにスマホを置いた。
『それじゃ、バイバイ』
黄色い線を外側にいる私に気づいた電車の運転手は大きな汽笛を鳴らした。
* * * *
「何やってるんだ!」
私は死ねなかった。
電車の前に飛び出そうとした瞬間、見ず知らずの男性に手を引かれた。
「あ、えっ。あ・・・」
そのまま床に座り込んで、上手く立ち上がることが出来なかった。
死ぬつもりで気を張っていた私は、自殺に失敗して、一気に崩れたのだ。
「・・・君が、なんで死ぬつもりだったのか知らないし、赤の他人が聞こうとも思わない。けど、一言だけ。そんなに可愛いのに死ぬなんてもったいないぞ」
涙がポロポロと出てきた。
「え?!もしかして、まずいこと言っちゃった?違うんだよ。えーと」
泣いている私を必死に励まそうとしてくれた。
その後、騒ぎに気付いた駅員さんが来て、警察沙汰にまではされなかったものの、母親を呼ばれてこっぴどく怒られた。
「娘を助けてくれた方にお礼を言いたいのですが」
母が駅員に尋ねた。
私の事を助けてくれた男性は駅員が来たのと同時にいなくなっていた。
「あっ。すいません。名前を聞く前に会社に遅刻しそうなので後は任しますと言われてしまい」
「そうですか。色々とご迷惑をお掛けし、申し訳ありませんでした」
母が深く頭を下げ、私も頭を下げて謝った。
* * * *
夜。
私は、父に殴られた。
* * * *
母と父からの説教が終わった後、自分の部屋で布団に包っていた。
父から殴られた、右頬がジリジリと痛む。
「駅で死んだら一体どれだけの損害が出ると思っているんだ。それにだ。もし、娘が自殺などすれば私の印象も悪くなるだろうが!」
父に私の心配など一切なかった。父の頭にあったのは、お金と政治家である自分自身。
そんな父が嫌いだ。それを慕っている母も嫌いだ。
「・・・・」
私を助けて、優しくしてくれた男性の事を思い出していた。
もう一度、会って話がしたいと思っている。
きっと、あの人こそが運命の人なんだ。
スマホでライブ配信させて、呟く。
視聴人数は零から三を、繰り返している。
ライブのタイトルは『私の居場所がなくなりました』
『あんなにも、「好き」って私に向かって言って愛を確かめ合った仲だったのに』
数日前。私の彼氏が、他の女とショッピングモール歩いているのを目撃した。
浮気だと、問いただすも、その女と関係は持ってないと嘘をつかれた。
『彼がいない世界に、私が生きてても意味はない。だから』
彼にメッセージを送りつけた。
「私は、一生の思い出になる」と。
『せめて、彼に一生覚えておいてもらうために死にます』
私を裏切った事で、私が自殺すれば、きっと彼は後悔し続ける。それは、つまり一生彼の心の中に、私は居続けることが出来るという事になる。
永遠の愛と言っても過言ではない。
『間もなく2番ホームに電車が到着します。黄色の線、内側までお下がりください』
みんなに注目され、彼にも私が自殺したのを気づいてもらうために、公共の場を選んだ。
ホームに靴を脱いで、全体が映るようにスマホを置いた。
『それじゃ、バイバイ』
黄色い線を外側にいる私に気づいた電車の運転手は大きな汽笛を鳴らした。
* * * *
「何やってるんだ!」
私は死ねなかった。
電車の前に飛び出そうとした瞬間、見ず知らずの男性に手を引かれた。
「あ、えっ。あ・・・」
そのまま床に座り込んで、上手く立ち上がることが出来なかった。
死ぬつもりで気を張っていた私は、自殺に失敗して、一気に崩れたのだ。
「・・・君が、なんで死ぬつもりだったのか知らないし、赤の他人が聞こうとも思わない。けど、一言だけ。そんなに可愛いのに死ぬなんてもったいないぞ」
涙がポロポロと出てきた。
「え?!もしかして、まずいこと言っちゃった?違うんだよ。えーと」
泣いている私を必死に励まそうとしてくれた。
その後、騒ぎに気付いた駅員さんが来て、警察沙汰にまではされなかったものの、母親を呼ばれてこっぴどく怒られた。
「娘を助けてくれた方にお礼を言いたいのですが」
母が駅員に尋ねた。
私の事を助けてくれた男性は駅員が来たのと同時にいなくなっていた。
「あっ。すいません。名前を聞く前に会社に遅刻しそうなので後は任しますと言われてしまい」
「そうですか。色々とご迷惑をお掛けし、申し訳ありませんでした」
母が深く頭を下げ、私も頭を下げて謝った。
* * * *
夜。
私は、父に殴られた。
* * * *
母と父からの説教が終わった後、自分の部屋で布団に包っていた。
父から殴られた、右頬がジリジリと痛む。
「駅で死んだら一体どれだけの損害が出ると思っているんだ。それにだ。もし、娘が自殺などすれば私の印象も悪くなるだろうが!」
父に私の心配など一切なかった。父の頭にあったのは、お金と政治家である自分自身。
そんな父が嫌いだ。それを慕っている母も嫌いだ。
「・・・・」
私を助けて、優しくしてくれた男性の事を思い出していた。
もう一度、会って話がしたいと思っている。
きっと、あの人こそが運命の人なんだ。
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