裏切りのその後 〜現実を目の当たりにした令嬢の行動〜

本編(別視点)

アイリーン視点 ⑧

その日から調教される日々が始まった。

ほぼ人権が失ったと過言ではない。

自由に外を出かけられるどころか、部屋からも出させてくれない。
服も食事も自由に選べない。
自由に言葉を発する事すら出来ない…
行動、表情、そして思考さえ彼に管理されてる。


何か少しでも彼に反した事をすると調教と言われ鞭で打たれる毎日。


そんな私は彼の着せ替え人形になってしまった。




そして、人形に囲まれた部屋で過ごす毎日。


そんな暮らしを続けてきたせいか精神的に辛くなり、性格がしおらしくなってしまったのだ…

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今、オルコット子爵は私の髪を撫でている。


前の私なら彼が私の髪を触ったらすぐに離れて彼に怒鳴るかもしれない、だけど今の私は鞭が怖過ぎて身動きが出来なくなっていた。



「あ、そーいやね…」

オルコット子爵は珍しく私に声をかけてきた。


彼はいつも独り言を言うように話すので、今回みたいに私に問いかけるような言葉遣いをするのは嫁いだ日から初めてだ。


「君のお母様。亡くなったらしいよ。」


(っ！？お母様が亡くなった！？)


私はその言葉に驚いて、彼が居る方に向いた。

「あ…。いけない子だね。そんなに感情的になって… 人形らしくないね。」

彼はニヤリと微笑んだ。


そんな彼の微笑みに私はビクビクと震えていた。

(また鞭で叩かれる…)


そう思ってたら、彼は意外な事を言った。


「まぁ、仕方ないよね。生みの親が死んだもんね～。今回は許してあげるよ。」


(ゆ、許してもらえた… よ、良かったー)

私は彼の言葉に安堵した。

そして彼は話を続けた。

「君のお母様ね。君のお父様に捨てられて、すぐに浮気相手のとこに行ったんだけど、彼に騙されて娼婦になったらしいよ。デュフフ。浮気相手は君のお母様の事金蔓しか思ってなかったらしいよ。あのダルトン夫人がね… あんなになっちゃって… デュフフ。娼婦になったもののババアだからね… 体力が持たなくて死んじゃったらしいよ…」


(あ…、あ、お母様…)

私は悲しんだ。

最後まで私を庇ってくれたお母様…

お互い愚かの事をしたのね…




私は嫌な予感がした。

お母様の話を聞いてると、今後起きる私の未来なのではないのかと思ってします。


数十年後、私の嫌な予感が的中した…
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数十年後、私は老けていった。

そのせいかオルコット子爵は段々私への関心を無くし、若い女性を家へ連れてきた。

そんな私を使用人達は見て、私に仕事を押し付けるようになった。


そしていつの間にかズタボロの服を着させられ、肌が荒れていった。


私はオルコット子爵にこういう扱いを受けてると抗議したが、彼は…

「君にピッタリじゃないか」

ってニコリした顔で言ってきた。


え、私が何してきたって言うのよ！？

私はこんな酷い目に遭ってるのに、誰でも助けてくれない…

どうして…




そう思いながら過ごしてたある日、私はオルコット子爵に呼ばれた。

「もう君の事要らないんだ。出てってくれる？」

「え…」


ど、どうしてなの…

もしここを出たら、どこに行けばいいの…？

「な、何故ですか？」

「あれ？僕に口答えするのかい？」

「ひっ！？」


ごめんなさいごめんなさい

鞭で打たないで…


私はそう思いながら、私は自分の頭を抑えて震えた。


そんな私を見て、オルコット子爵はため息をついた。

「あのね…、僕は若い子が怖がってるのは可愛いけど、君はもうおばさんでしょ？だからそんなに怯えないでくれる？キモいんだけど…」

私はゆっくりとオルコット子爵が居る方を向いた。

「僕の家は癒しの為にあるんだ。帰ってきた時、君を見てるとイライラするんだよね…。僕の美学に反してる。だからもう捨てようかなって！あ、どこに行くか心配してるんだったら心配しないで。とっておきのとこ連れてってあげるよ。君のお母様と同じお店で娼婦になればいいよ。死ぬまでね…」


あ…、あ…


「良かったね！君の大好きなお母様と同じ事ができるんだよ！めでたいじゃないか！」


「いやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


私は叫んで、そのまま気絶してしまった…

現実を受け止められなくて…
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気づいた時、私は馬車の中に居た。


このまま店に連れかれて行くのか…


そう思いながらぼんやりしてた時、御者が私にある言葉を言った。


『あの方が許しても、私は許しません。』


その声は明らかに女性だった。


(どういうこと？)


そう思った時、急に馬車がガタッと落ちる感覚がした。


重力であまり身動きが出来なかったが、必死に窓に近づいてみたら、なんと馬車が崖から落ちてるではないか！？


御者はどこって思ったら、崖の上から見下ろしていた。


私は彼女の言葉の意味を考えた…


もしかして私は恨まれる事をしたのかもしれない…


そう思ったら、色々思い出した。


シルヴィア…
お父様…
クラスメイト…


私は彼らに恨まれてもおかしくない事をしでかしたのかもしれない…


私は使用人達に仕事を押し付けられた時、なんで私はこんな目に会わなければいけないのと悲劇の主人公のように考えてた。


だけど、私は使用人達と同じ事をしてたのだ。
私は自分の夢、そして自分が楽になる為に他の事を彼らに任せたのだ…
彼らの気持ちを考えるないで…


(これは私の天罰なのね…)


そう思いながら、私は目を閉じた…