18 / 33
一章
18.二対二
しおりを挟む
「レン、退魔の光を頼む」
「うん、【たいまのひかり】」
白い光のベールが俺たちを包み込む。
さて、これでどれくらいもつのだろう。
俺は牛刀包丁を構え、いつでも立ち向かえるようにしておく。
しかし剣だけは買っておけば良かった。
剣の振り方と竹刀の振り方は、実は大きく異なり、下手に剣を使うと反対に危ないと思い買わなかったのだが、こういう武器を持った相手には有効だったかもしれない。
尤も、今更後悔したところで当然遅かった。
二体の鳥マネキンはレンの張った結界に、長い針を持って近づいて来ている。
そしてそのまま俺たちを突き刺そうとしてくるのだが、光のベールに阻まれ、その動きが止まった。
しまった。今のは絶好のチャンスだった。結界にぶつかった時に大きな隙が出来たのだ。その瞬間こっちから刺しに行けば良かったのだが、所詮一般人である俺にそんな思い切りのある行動は出来ない。
次だ。次に隙が生まれたら勝負を決めに行こう。
そう考えたのだが、上手くは行かないようだ。
鳥マネキンが結界に向けて針を振り下ろす。
――ガキンッ。
針は結界に阻まれ、俺たちに到達することは無い。
だが、もう一体が針を振り下ろすと、
――ガキンッ、ピシっ。
ひびが入ってしまった。
あと一撃でも入れられたら、粉々砕け散ってしまいそうである。
「レン、もう一回退魔の光だ」
「うん、【たいまのひかり】」
退魔の光が重ね掛けされる。
これならもう少しはもつだろう。
だがこんなのは当然一時凌ぎでしかなく、やがては限界が来る。その前に何とかしなくては。
鳥マネキンがまた針を振り下ろすと、初めに張っていた結界がガシャンと、ガラスが割れるような音と共に粉々砕け散ってしまった。
耐えられるのは三発までか。
やはり長くはもたなさそうだ。
よし、こうなったらこちらから隙を作って、こっちから倒しに行ってやろう。
「おい、鳥マネキン。お前のへなちょこな攻撃なんて、いくら当てても痛くとも痒くとも無いぞ!」
二体の内一体に向かってそう言うと、一瞬そいつの動きが止まった。
どうやら俺の言葉の意味までは分かっていないようだが、馬鹿にされたことは分かったらしい。でも、まだだ。まだ決定的な隙とは言えない。
鳥マネキンが大きく針を振り上げた。
今だ!
俺は牛刀包丁を構えたまま、一気に光のベールの中から抜け、鳥マネキン向けて突貫した。
「【狂化】!」
さらにスキルを使って俺自身を強化する。
「おらぁぁぁっ!」
俺は鳥マネキンの首辺りに牛刀包丁を突き刺した。
軽い手応えと共に、鳥マネキンの首が断ち切られ、鳥頭と胴体が泣き別れしてしまった。
武器を持ってはいるが、耐久力は大したことが無かったらしい。
鳥マネキンはあっけなく絶命した。
残るはもう一体だ。
もう一体の鳥マネキンは結界に攻撃するのをやめ、俺に向かってきていた。
俺も牛刀包丁を構えて迎え撃つ。
やはり「狂化」はすでに解けてしまっているが、一体くらいなら何とかなるはずだ。
――ドウゾゴランクダサーイ!!
鳥マネキンが針を振り下ろしてきた。
俺は咄嗟にそれを右手の掌で受け止め、痛みを堪えつつカウンターで牛刀包丁を鳥マネキンの鳥頭目掛けて振り下ろす。
俺の振り下ろした包丁は、一気に鳥マネキンの頭をかち割り、そのまま胸辺りまで到達してしまった。
俺にそんな力はなかったと思うのだが、きっとステータスの恩恵だろう。
鳥マネキンは息絶え、光の粒子となって俺の体に吸い込まれた。
「あー、痛ってー」
右手の掌を見てみると、ちょうど真ん中に穴が開いていた。
しかし大した傷ではない。てっきり貫通でもしているかと思ったのだが、やはりこれもステータスの恩恵だろうか。
「イクト、だいじょうぶ? 【いやしのひかり】」
放っておけばそのうち塞がりそうではあるが、レンがすぐに駆け寄ってきて、俺の傷を手当てしてくれた。
何も指示していないのに、自分で出来るようになるとは、レンはやはり賢い子だ。
「おう、ありがとうな、レン」
レンがにへっと笑んだ。
しかしすぐに真面目な顔を作り、俺を見上げてくる。
「ぼくもイクトみたいにつよくなれるかなぁ?」
いや、俺は別に強くないんだが。
でも、そうか。ルージュを見ていると、ついモンスターの一体や二体なんて何でもないことのように思ってしまうが、レンから見たらモンスターを倒せるというだけで、俺も強く見えるのかもしれない。
「ああ、なれるさ。レンはきっと俺よりも強くなれる。今だってレンのおかげで勝てたようなもんだろ」
俺の言葉を聞くと、レンははにかんだような笑みを浮かべた。
俺はレンの頭を撫でつつ、これからどうするか考える。
特に重要なことは思い浮かばなかったのだが、何となく帽子が見たくなった。
俺は家から「ガシャドクロ」というブランドのお気に入りのキャップを持ってきているから必要ないのだが、レンやあとの二人に必要かもしれない。
うん、そうだ。必要だ。これから暑くなるし。決して俺がキャップ好きなせいではないのだ。
ということで、俺たちは同じ階にある帽子の専門店を見に行くことにした。
帽子屋には、当然だが帽子しか並んでいない。
しかし腹立たしいことに、あるのは女物ばかりで男物が少なかった。
あ、ルージュと春川さんの分を手に入れるからそれでいいのか。それにちゃんと子供用のもあるし。
とりあえず二人に似合いそうなキャップを手に入れ、俺も一つだけ持っていくことにする。
ダメージ加工がされており、縁が黒く、頭の前部が白、後部が青の、ちょっと派手な奴だ。
もう二年で三十なのだが、大丈夫だ。まだいける。俺の好きなバンドのボーカルは、俺より年上だが、もっと派手なキャップを被っていたはずだ。うん、問題ない。
「スーパーライダーのぼうし、ないねー」
「うーん、専門店じゃなくて、エオンの服屋とかにならあるかもな。あ、おもちゃ屋かな?」
「おもちゃやさんだとおもうよー」
そう言ったレンの瞳はキラキラと輝いていた。
お前、おもちゃが見たいだけだろう。
だが、それも仕方ないか。
こんな状況とはいえ、レンはまだ五歳か六歳の幼児だ。本来であれば命の心配なんかしないで、遊んでいる年頃である。
だがこんな状況になってしまった今、あまり甘やかすわけにもいかない。
もっと余裕ができるまでは、緊張を持ち続けているべきだ。
俺はレンを諭すため、彼の瞳を覗き込んだ。
レンは相変わらずキラキラした瞳で俺を見上げてくる。
……見るだけならいっか。……一個ぐらいなら持って行っても大丈夫だろ。
ということで、一度二人と合流するため、パーティーコールを掛けてみることにした。
『あ、八雲さん。どうしましたか?』
『ああ、そろそろ三階に向かおうと思うんだけど、合流してくれないか?』
『え、えっと、ちょうど今下着は選び終わったんですが、まだ服が選べてなくって』
ん? おかしいぞ。もうかれこれ一時間は経過してないか?
まさかずっと下着選んでたのか?
いや、きっと春川さんたちもモンスターたちと戦っていたのだろう。そうに違いない。
深く考えては駄目なのだ。あ、でも、ルージュがいたら数秒で片づけられるよな。どう考えても、……考えるのは止そう。
『わかった。じゃあ、そっちに向かうから。今どこにいんの?』
『すいません。えっと「ガイア」というお店に向かっています』
同じ階にある女性物の店だ。
若い娘から三十代くらいまでの、落ち着いた雰囲気で、それでも可愛らしいデザインの服を扱っている店である。
清楚系か。まぁ悪くない。実のことを言うと、俺はギャル服が趣味なのだが、今俺の趣味は関係ないし、いいか。それに俺の趣味を話すと、ちょっと引かれそうな気がする。ペンシルタイトスカートに革ジャンとか、最高なんだけどなぁ。確かに春川さんには似合っていない。だけどルージュには似合いそうだ。
俺の趣味はとりあえず捨て置いて、俺はレンを連れてそちらに向かうことにした。ここからならそう遠くない。
「レン、ルージュと春川さんが服を選ぶらしいから、俺たちも先にそっちに合流するぞ」
「え゛っ」
レンが渋い顔をしている。
「大丈夫だ。おもちゃ屋さんにも後で行くから」
「ううん。あのね、ママとね、ママのおようふくかいにいったことがあるの」
相槌を打って先を促した。
「そしたらね、すごーくながくてつかれちゃった」
なるほど、もうすでにその年齢で、女性の服選びがトラウマになっていると。
何というか、可哀想なやつだな。将来レンがハゲないか不安になってきた。
「大丈夫だ。俺に任せろ」
俺はサムズアップを決め、レンの手を引っ張って決戦の場へと向かったのだった。
「うん、【たいまのひかり】」
白い光のベールが俺たちを包み込む。
さて、これでどれくらいもつのだろう。
俺は牛刀包丁を構え、いつでも立ち向かえるようにしておく。
しかし剣だけは買っておけば良かった。
剣の振り方と竹刀の振り方は、実は大きく異なり、下手に剣を使うと反対に危ないと思い買わなかったのだが、こういう武器を持った相手には有効だったかもしれない。
尤も、今更後悔したところで当然遅かった。
二体の鳥マネキンはレンの張った結界に、長い針を持って近づいて来ている。
そしてそのまま俺たちを突き刺そうとしてくるのだが、光のベールに阻まれ、その動きが止まった。
しまった。今のは絶好のチャンスだった。結界にぶつかった時に大きな隙が出来たのだ。その瞬間こっちから刺しに行けば良かったのだが、所詮一般人である俺にそんな思い切りのある行動は出来ない。
次だ。次に隙が生まれたら勝負を決めに行こう。
そう考えたのだが、上手くは行かないようだ。
鳥マネキンが結界に向けて針を振り下ろす。
――ガキンッ。
針は結界に阻まれ、俺たちに到達することは無い。
だが、もう一体が針を振り下ろすと、
――ガキンッ、ピシっ。
ひびが入ってしまった。
あと一撃でも入れられたら、粉々砕け散ってしまいそうである。
「レン、もう一回退魔の光だ」
「うん、【たいまのひかり】」
退魔の光が重ね掛けされる。
これならもう少しはもつだろう。
だがこんなのは当然一時凌ぎでしかなく、やがては限界が来る。その前に何とかしなくては。
鳥マネキンがまた針を振り下ろすと、初めに張っていた結界がガシャンと、ガラスが割れるような音と共に粉々砕け散ってしまった。
耐えられるのは三発までか。
やはり長くはもたなさそうだ。
よし、こうなったらこちらから隙を作って、こっちから倒しに行ってやろう。
「おい、鳥マネキン。お前のへなちょこな攻撃なんて、いくら当てても痛くとも痒くとも無いぞ!」
二体の内一体に向かってそう言うと、一瞬そいつの動きが止まった。
どうやら俺の言葉の意味までは分かっていないようだが、馬鹿にされたことは分かったらしい。でも、まだだ。まだ決定的な隙とは言えない。
鳥マネキンが大きく針を振り上げた。
今だ!
俺は牛刀包丁を構えたまま、一気に光のベールの中から抜け、鳥マネキン向けて突貫した。
「【狂化】!」
さらにスキルを使って俺自身を強化する。
「おらぁぁぁっ!」
俺は鳥マネキンの首辺りに牛刀包丁を突き刺した。
軽い手応えと共に、鳥マネキンの首が断ち切られ、鳥頭と胴体が泣き別れしてしまった。
武器を持ってはいるが、耐久力は大したことが無かったらしい。
鳥マネキンはあっけなく絶命した。
残るはもう一体だ。
もう一体の鳥マネキンは結界に攻撃するのをやめ、俺に向かってきていた。
俺も牛刀包丁を構えて迎え撃つ。
やはり「狂化」はすでに解けてしまっているが、一体くらいなら何とかなるはずだ。
――ドウゾゴランクダサーイ!!
鳥マネキンが針を振り下ろしてきた。
俺は咄嗟にそれを右手の掌で受け止め、痛みを堪えつつカウンターで牛刀包丁を鳥マネキンの鳥頭目掛けて振り下ろす。
俺の振り下ろした包丁は、一気に鳥マネキンの頭をかち割り、そのまま胸辺りまで到達してしまった。
俺にそんな力はなかったと思うのだが、きっとステータスの恩恵だろう。
鳥マネキンは息絶え、光の粒子となって俺の体に吸い込まれた。
「あー、痛ってー」
右手の掌を見てみると、ちょうど真ん中に穴が開いていた。
しかし大した傷ではない。てっきり貫通でもしているかと思ったのだが、やはりこれもステータスの恩恵だろうか。
「イクト、だいじょうぶ? 【いやしのひかり】」
放っておけばそのうち塞がりそうではあるが、レンがすぐに駆け寄ってきて、俺の傷を手当てしてくれた。
何も指示していないのに、自分で出来るようになるとは、レンはやはり賢い子だ。
「おう、ありがとうな、レン」
レンがにへっと笑んだ。
しかしすぐに真面目な顔を作り、俺を見上げてくる。
「ぼくもイクトみたいにつよくなれるかなぁ?」
いや、俺は別に強くないんだが。
でも、そうか。ルージュを見ていると、ついモンスターの一体や二体なんて何でもないことのように思ってしまうが、レンから見たらモンスターを倒せるというだけで、俺も強く見えるのかもしれない。
「ああ、なれるさ。レンはきっと俺よりも強くなれる。今だってレンのおかげで勝てたようなもんだろ」
俺の言葉を聞くと、レンははにかんだような笑みを浮かべた。
俺はレンの頭を撫でつつ、これからどうするか考える。
特に重要なことは思い浮かばなかったのだが、何となく帽子が見たくなった。
俺は家から「ガシャドクロ」というブランドのお気に入りのキャップを持ってきているから必要ないのだが、レンやあとの二人に必要かもしれない。
うん、そうだ。必要だ。これから暑くなるし。決して俺がキャップ好きなせいではないのだ。
ということで、俺たちは同じ階にある帽子の専門店を見に行くことにした。
帽子屋には、当然だが帽子しか並んでいない。
しかし腹立たしいことに、あるのは女物ばかりで男物が少なかった。
あ、ルージュと春川さんの分を手に入れるからそれでいいのか。それにちゃんと子供用のもあるし。
とりあえず二人に似合いそうなキャップを手に入れ、俺も一つだけ持っていくことにする。
ダメージ加工がされており、縁が黒く、頭の前部が白、後部が青の、ちょっと派手な奴だ。
もう二年で三十なのだが、大丈夫だ。まだいける。俺の好きなバンドのボーカルは、俺より年上だが、もっと派手なキャップを被っていたはずだ。うん、問題ない。
「スーパーライダーのぼうし、ないねー」
「うーん、専門店じゃなくて、エオンの服屋とかにならあるかもな。あ、おもちゃ屋かな?」
「おもちゃやさんだとおもうよー」
そう言ったレンの瞳はキラキラと輝いていた。
お前、おもちゃが見たいだけだろう。
だが、それも仕方ないか。
こんな状況とはいえ、レンはまだ五歳か六歳の幼児だ。本来であれば命の心配なんかしないで、遊んでいる年頃である。
だがこんな状況になってしまった今、あまり甘やかすわけにもいかない。
もっと余裕ができるまでは、緊張を持ち続けているべきだ。
俺はレンを諭すため、彼の瞳を覗き込んだ。
レンは相変わらずキラキラした瞳で俺を見上げてくる。
……見るだけならいっか。……一個ぐらいなら持って行っても大丈夫だろ。
ということで、一度二人と合流するため、パーティーコールを掛けてみることにした。
『あ、八雲さん。どうしましたか?』
『ああ、そろそろ三階に向かおうと思うんだけど、合流してくれないか?』
『え、えっと、ちょうど今下着は選び終わったんですが、まだ服が選べてなくって』
ん? おかしいぞ。もうかれこれ一時間は経過してないか?
まさかずっと下着選んでたのか?
いや、きっと春川さんたちもモンスターたちと戦っていたのだろう。そうに違いない。
深く考えては駄目なのだ。あ、でも、ルージュがいたら数秒で片づけられるよな。どう考えても、……考えるのは止そう。
『わかった。じゃあ、そっちに向かうから。今どこにいんの?』
『すいません。えっと「ガイア」というお店に向かっています』
同じ階にある女性物の店だ。
若い娘から三十代くらいまでの、落ち着いた雰囲気で、それでも可愛らしいデザインの服を扱っている店である。
清楚系か。まぁ悪くない。実のことを言うと、俺はギャル服が趣味なのだが、今俺の趣味は関係ないし、いいか。それに俺の趣味を話すと、ちょっと引かれそうな気がする。ペンシルタイトスカートに革ジャンとか、最高なんだけどなぁ。確かに春川さんには似合っていない。だけどルージュには似合いそうだ。
俺の趣味はとりあえず捨て置いて、俺はレンを連れてそちらに向かうことにした。ここからならそう遠くない。
「レン、ルージュと春川さんが服を選ぶらしいから、俺たちも先にそっちに合流するぞ」
「え゛っ」
レンが渋い顔をしている。
「大丈夫だ。おもちゃ屋さんにも後で行くから」
「ううん。あのね、ママとね、ママのおようふくかいにいったことがあるの」
相槌を打って先を促した。
「そしたらね、すごーくながくてつかれちゃった」
なるほど、もうすでにその年齢で、女性の服選びがトラウマになっていると。
何というか、可哀想なやつだな。将来レンがハゲないか不安になってきた。
「大丈夫だ。俺に任せろ」
俺はサムズアップを決め、レンの手を引っ張って決戦の場へと向かったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる