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本編
72.「う〜ん……これは物凄く貴重な調味料を混ぜてるわね?なにを使っているのかしら……」
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清波城にある織波一族が住まう居住区……
厳かな雰囲気を醸し出す木造の廊下、 その突き当たりにある、部屋こそが織波家嫡女・織波信葉の部屋である。
質素だが、繊細な模様が施された襖の前で一人の少年が佇んでいた。
「……」
白狐である。彼は手に盆を持ち、その上には信葉の食事が載っている。
信葉の食事係として見事に役目を果たし、料理を完成させた白狐であるが、その表情はイマイチ優れなかった。
ほかほかの白米。ぷりぷりの卵焼き。サクシュワの焼き魚。アチアチの味噌汁。
そして……精液臭漂う肉じゃが……
「うっうっ……このまま持ってきちゃった……」
キヌとの情事を終えてスッキリした白狐だったが、その弊害と言うべきか白狐の精液は肉じゃがの鍋の中に注がれてしまった。
今更作り直している暇もなく、しょうがないのでこのまま持ってきたという訳だ。
しかし……臭い。何がとは言わないが臭い。
キツネの敏感な嗅覚が肉じゃがに浸透する自らの精液の匂いを白狐に感じさせる。
明らかに生臭いような匂いで、自分で作っておいてなんだが食べたくはない。
半化生よりも鈍い人間の嗅覚でもこれは流石に気付くだろう。
「どうしよう……でももう出さない訳には……」
白狐が途方に暮れていると、突然目の前の襖が開いた。
「わっ!?」
ガラッ!と勢いよく開かれた襖から出てきたのは織波信葉……ではなく、その妹である織波信根であった。
特徴的な縦ロールの黒髪を揺らし、肩で息をする彼女は顔を真っ青にして俯いていた。
「オェーっ!!っっ…ハァッ……ハァッ……あの女まだキレてやがりますわっ……!!何回、人を腹パンすれば気が済みますの……!?」
信根は腹部を抑えつつ、部屋の中に向けて悪態をつく。
信葉の部屋から意外な人物が出てきたので白狐は呆気に取られた。しかもなんだか不穏な言葉を発して疲労困憊の様子ではないか。
「の、信根様!大丈夫ですか!?」
「ッ……!!えぇご心配なくですわ!!あの女の暴力など痛くも痒くもありませんもの……!それより貴女……って………えっ……?白狐………?」
信根もまた信葉の部屋の前にいた白狐の姿を見て目をぱちくりとさせた。
「ど、どうして貴女がここに……?あ……よく考えたら貴女はあの女、じゃなくてお姉様の忍者でしたわね。ならいてもおかしくないか……」
信根は納得したような、納得していないような微妙な表情を浮かべて白狐を見つめている。
一方で白狐は初めて見る着物姿の信根に目を奪われていた。髪型も相まって、本物のお姫様のような気品を感じる。
いや、織波家の次女なんだから本物のお姫様か……と一人でツッコミを入れるが兎に角白狐は信根の美麗な姿に見惚れてしまっていた。
「あの……白狐、その……戦の時は……」
目を奪われポケーっとしていた白狐とは正反対に信根は小さな忍者を見て申し訳なさそうにボソボソと話し始める。
あの戦の後……白狐が気を失った後こうして会うのは初めてなのだ。
信根は白狐に負い目を感じていた。戦の前は散々イビり倒したのに蛇紅に襲われた時は命を賭して自分を救ってくれた。
だというのに、お礼を言うどころか白狐の戦果はいつの間にか信根の手柄にされている始末。
―――なんと情けなく、なんと卑劣な行いだろう。
そう内心で自分を責める信根。助けてくれた者の手柄を横取りするなど武士の風上にも置けない行為だ。
何かを言い辛そうにしてまごまごしている信根だったが、白狐は何かを思い出したかのようにハッ!と顔を上げると、
「信根様!お怪我はありませんでしたか!?」
なんてことを聞いてきた。
予想だにしない言葉を聞いて信根は思わず面食らったが、すぐに顔を引き締めて返答する。
「え、えぇ……傷一つありませんわ……」
「……よかったぁ」
白狐ははにかむような笑顔を向けてそう返事した。
「……っ!!」
その笑顔を見て信根は何故か胸が高鳴る感覚に陥った。相手はこんなにも小さい……それも女子だというのに。
そもそも恩を仇で返してしまった相手に胸がときめくなどあってはならないというのに……!
罪悪感と奇妙な感覚がおり混ざる信根は慌てて言葉を紡ぐ。
「あの……その……ご、ごめんなさ……あ、いや、そうじゃなくて……あぁそうでございますわ!貴女は今何をしていますの!?見たところ御食事を運んでらっしゃるみたいですけどぉ!?」
―――違うだろ!
と信根は心の中で自分に向けてそう叫んだ。
謝ろうと思ったのに変な羞恥心と虚栄心が邪魔をして逆に奇妙な事を口にしてしまった。
頭を抱えたい信根であったが白狐は一瞬きょとんとした後に
「え?あ……そうなんです!僕、信葉様の御食事も作ってるんです!」
なんて言いながらお盆を顔の前に持ってきた。
確かにそこには美味しそうな肉じゃががあった。見た目は普通の肉じゃがだが妙に生臭いような……?
いや、匂いはどうでもいい。重要なのは白狐が食事を作っているという事実であった。
「お姉様の食事……?白狐、貴女忍者じゃありませんこと?それがなんで料理なんか……」
白狐は忍者だ。信根は白狐の戦いを目の前で見ている。彼女の実力は蛇紅を退けた事からも分かる通り相当なものだ。
見た目は小さいが並みの忍者を遥かに凌駕する力を持っている事を信根は知っていた。そのような実力の持ち主を料理係にする……?
それに忍者は本来、諜報や潜入を主な任務とする忍術の使い手だ。料理なんてものとは無縁の存在である。
そんな白狐が姉である信葉のために食事を作っているとはどういう事だ、と信根は訝しんだ。
「はい、えっと……信葉様が僕の作ったご飯が食べたいって言ったので、僕が作る事になりました!」
しかし白狐は特に気負う様子もなく笑顔で答えるのだった。
……なんだろう、このモヤモヤは。どこか納得できない信根は白狐に詳しく聞いてみる事にした。
「貴女、忍者なのにそんな事させられて不愉快じゃありませんの?」
「え?なんでですか?」
「だって料理だなんて……忍者らしくないですわ!それに、食事係なんて雑用役みたいじゃないの!」
それを聞いた瞬間。白狐の表情が一瞬固まったが、すぐに笑顔を作って話し出す。
「僕、家事に慣れてるからこれくらいどうってこともないです。それに、案外楽しいですから!」
白狐はそんな事を言ったのだ。しかも心からの笑顔で。これには信根も面食らった。
事実、白狐はそれ程今の仕事を苦だとは思っていない。何故なら幻魔の住処で散々雑用をやっていたからだ。
掃除、洗濯、料理に畑仕事……etc……
正直な話、幻魔はとんでもない怠惰な人物であった。白狐が家事をする前はどうやって暮らしていたかが不思議なくらいである。
そんな幻魔の住処で暮らしていた白狐は必然的に家事全般を習得せざるを得なかった。
嫌では無かったし白狐も母の為なら、と率先して家事をした結果白狐の家事スキルはメキメキと上がっていった。
今では料理だけでなく洗濯や畑仕事など、忍者とはかけ離れた事までこなせるようになっていたのだ。
だから白狐は得意な分野である家事をする事に抵抗が無い。しかも、この雑用めいた(雑用だが)仕事は葉脈衆頭領の大事な任務だと信葉から聞いているので余計にやる気マンマンであった。
「……っ!!」
そんな白狐を見た信根は思わず口を噤んだ。
なんという無垢で素直な心の持ち主だろうか。信葉が白狐を傍に置くのも頷ける話だと納得してしまった。
同時に、そんな清い心を持つ者に自分はなんて酷い事を言ってしまったのだろう……という罪悪感が芽生えてくる。
そもそも、姉が白狐を雑用扱いしている事を批判する権利は自分にはないのだ。
何故なら、自分とて姉への嫌がらせの為に白狐に対して掃除などの雑用を言い付けたのだから……
「そ、そう……」
そんな葛藤を抱えた信根はそれ以上何も言えなくなってしまう。
目の前の子がとても眩しくて、羨ましくて……劣等感を感じた。
白狐はそんな信根の様子を不思議そうに見つめていたが、信根は白狐から目を逸らしてしまった。
そして逃げるようにして、
「あ、ワタクシ用事があったんでしたわ!で、ではご機嫌よう!」
と言ってそそくさとその場を後にしてしまった。
「……?」
その場に取り残された白狐は疑問符を浮かべながら去りゆく信根の背を見送る。
なんだか前と雰囲気が違うなぁ、と思ったが自分の手に持つ盆を見て信葉に料理を持っていく途中であった事を思い出し、慌てて信葉の部屋に向き直り部屋の中にいるであろう彼女に向かって声を掛ける。
「信葉様……ご飯の時間でーす」
白狐はおずおずと襖を開けて信葉の部屋の中に入った。
中に入ると、信葉は部屋の真ん中で何やら本らしきものを床に広げながらうんうん唸っていた。
「あの……信葉様?」
白狐が声を掛けると、信葉はようやく気付いた様子で顔を上げて白狐の方に目を向けた。
「ん?あぁ、ご飯ね。ありがとう」
そう言って信葉は床に広がる書物を隅に寄せて小さな円卓を広げ始めた。どうやらご飯を置いた白狐をそこに誘導しているらしい。
白狐は信葉が本を片付けている間に円卓の上に肉じゃがを盛った小皿や味噌汁の入ったお椀、ご飯の盛られた茶碗を乗せていった。
それを見た信葉は嬉しそうに配膳された料理を見て目を輝かせた。
「あ!今日は肉じゃがなのね!私じゃがいも好きなのよね~!」
箸を手に取り、信葉は白狐の作った料理を食べ始める。その食べっぷりに白狐は内心ホッとしながら彼女の様子を注視する。
しかし、次の瞬間白狐の表情が硬くなった。何故なら信葉が一口食べてから急に黙り込んでしまったからだ。
そして何かを考え込むように眉を顰めるといきなり箸と茶碗を置いてしまい、白狐を見つめた。
「ど、どうか……しましたか?」
白狐は冷や汗をダラダラと流しながら信葉に尋ねる。すると信葉は暫く無言で白狐を見つめてから
「ねぇ?一つ聞いていい?」
と聞いてきた。
―――頼む、肉じゃが以外の事であってぇ!
白狐は内心でそう叫びながらも信葉の質問を待つ。
すると信葉は白狐の目をしっかりと見据えながらこんな質問をしてきたのだ。
「この肉じゃがなんだけど……」
「ふ、ふぁい!?ににに肉じゃががががどうかいたしますかねぇ!?」
白狐の身体は小刻みに震え、みるからに尋常ではない様子で言葉も覚束ない。だが信葉の方は白狐の様子を気にも止めずに言葉を続ける。
「これ……この……肉じゃが……」
―――ば、バレた……!?肉じゃがに精液が混入……いや、混入とかそういうレベルではなく味付けの主役として肉じゃがに混ぜられている事がバレたのか!?
肉じゃがではなく、肉とじゃがいもの精液煮込みである事がバレたのか!?
白狐はこの時点で涙目である。当然だろう、お姫様の食事に精液を混ぜて提供するなど不敬もいいところである。
というか完全に変態の所業である。
「この味付け……アンタ……!」
もう駄目だ……おしまいだぁ……
これから自分は変態キツネとして追放されて、この国で後ろ指をさされて生きていくんだ……
そして数百年後まで「あれ?アイツって、精液肉じゃがを食わせる変態キツネじゃね?」なんて言われて一生後ろ指さされるんだ……
白狐は内心で絶望し、号泣しながら信葉の沙汰を待った。
そして信葉はゆっくりと箸を置くと―――
「これ……美味しいわ!」
と、顔を輝かせてそんな事を言ったのだ。
「へ?」
白狐は気の抜けた声を出した後にポカンとして信葉を見つめる。すると信葉は目を輝かせながら話を続けた。
「なにこれ!妙な生臭さの中にまろやかな旨味があって後味がサッパリしてて……こんな美味しい肉じゃが食べた事ない!」
「あ、え……?そ、その……」
信葉は白狐の作った肉じゃがをべた褒めしていた。白狐はまさかの反応に戸惑ってしまい上手く言葉が紡げない。
しかしそんな白狐の事など気に留めず、信葉は興奮した様子でまくし立てるように言葉を続ける。
「アンタの料理の中でも一番美味しい!これだけはハッキリと言えるわ!」
そう言い、ガツガツと肉じゃがを口に運ぶ信葉。
だが白狐は戸惑いを隠せずにいた。匂いは勿論、見た目も精液塗れになっているのだが、何故彼女はそれに気付かないのだろうか……?
「う~ん……これは物凄く貴重な調味料を混ぜてるわね?なにを使っているのかしら……」
白狐が困惑している一方で、信葉はそんな独り言を呟いていた。どうやら彼女は自分の嗅覚には絶対の自信を持っているらしく、肉じゃがに混入されているモノの正体を探り当てようとしているようだ。
しかし彼女にはその正体に心当たりがない様子であった。それも当然であろう、混ざって(主成分)いるのは白狐の精液なのだから……
「……」
白狐は自分の精液を美味しそうに食べる信葉を見てなんだか妙な気分になってきた。
やってはいけない事だというのに、変態的な行為だというのにムラムラとしてくる。
それは何故か?答えは明白だ。目の前で自分の精液を美味しそうに食べる美少女を見て欲情しない男などいようものか。
「(信葉様が僕の精液美味しそうに食べてる……♡)」
白狐は頬を紅潮させながらジッと信葉の食事風景を見つめていた。
そんな白狐の視線に気付いたのか、信葉は箸を止めると顔を上げて白狐の方を見た。
「何よ?人のことジロジロ見て」
「ふぇ!?な、なんでもにゃいです!!」
突然声をかけられた白狐は驚いてしまうが、信葉の言葉でハッとすると慌てて目を逸らした。
「あ、そうか。もしかしてアンタも食べたいんでしょコレ?」
「えっ」
白狐の不可思議な反応を見た信葉はそんな事を言ってきた。
「なんかアンタいつもと様子違うんだもの。さてはこれ……西蛮由来の調味料かなんかでしょ?で、それを使って私の為に料理したけど主君の食事には手を付けるなんて不敬だから自分は味わえなかった……それで物欲しそうに私の事見てたんでしょ。どう、合ってる?」
いや、全く違うが……
本当は精液を入れた事をいつバレるかドキドキしながら見ているだけだったのだが、何故か信葉は自信満々でそんな事を聞いてくる。
しかし否定しようにも、自分の精液を入れたなんて言おうものなら変態性がバレてしまう。
それだけは避けたかった白狐は誤魔化すように笑いつつ言葉を発した。
「そ、そうです!流石信葉様ですね!!」
「ま、当然よね!で?食べたい?」
「いえっ!僕如きが信葉様の高貴な御食事を食べる訳にはいきませんので!」
誰が自分の精液で煮込んだ料理を食べたいと思うのか。信葉は美味しいと称したが白狐の鼻にはとてもではないが耐えられる匂いではなかった。
しかし信葉は白狐の言葉を聞くとニヤリと笑い、箸でおかずを摘んで持ち上げた。
「ふぅん、殊勝な態度ね。でもそんな従者にご褒美をあげられない程私はケチじゃないわ」
「え?」
白狐が困惑している間に信葉は精液塗れの肉じゃがを箸で掴むと、そのまま白狐の方に差し出した。
「ほら!あーんしなさい!」
「え……えぇ!?」
信葉は笑顔で肉じゃがを差し出してくる。白狐はそれを見て困惑した。
な、何故今日はこんな優しいのだ?あーんまでしてくれるなんて信葉とは思えない。
いつもはもっと厳しいのに、なぜ……
「い、いや僕は……!」
白狐はなんとか逃げ出そうとするがいつの間にか信葉が自分の腕を握り締めているではないか。
万力の力で握られているのか、腕がビクともしない。
「やめてぇ!離してえ!」
「なに遠慮してるのよ?主君が許すって言ってんだから大人しく食べなさい!」
信葉はそんな白狐を叱りつけるように怒鳴るとさらに強く腕に力を込める。
英傑の力から逃れられる筈もなく、白狐は涙目になって肉じゃがを食べさせられる。
「うぐっ……」
口の中に広がる生臭さと苦味。それを無理矢理咀嚼して飲み込むと口の中から鼻腔まで精液の独特の香りが広がった。
「―――――――――」
「どう?美味しい?」
白狐の尻尾の毛が逆立ち、まるでハリセンボンのように膨らんでいるが信葉はそれに気付かず笑顔で感想を聞いてくる。
「う……あ……」
「?」
一瞬の静寂。そして……
「オエーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!」
白狐の絶叫が城中に響き渡った。
厳かな雰囲気を醸し出す木造の廊下、 その突き当たりにある、部屋こそが織波家嫡女・織波信葉の部屋である。
質素だが、繊細な模様が施された襖の前で一人の少年が佇んでいた。
「……」
白狐である。彼は手に盆を持ち、その上には信葉の食事が載っている。
信葉の食事係として見事に役目を果たし、料理を完成させた白狐であるが、その表情はイマイチ優れなかった。
ほかほかの白米。ぷりぷりの卵焼き。サクシュワの焼き魚。アチアチの味噌汁。
そして……精液臭漂う肉じゃが……
「うっうっ……このまま持ってきちゃった……」
キヌとの情事を終えてスッキリした白狐だったが、その弊害と言うべきか白狐の精液は肉じゃがの鍋の中に注がれてしまった。
今更作り直している暇もなく、しょうがないのでこのまま持ってきたという訳だ。
しかし……臭い。何がとは言わないが臭い。
キツネの敏感な嗅覚が肉じゃがに浸透する自らの精液の匂いを白狐に感じさせる。
明らかに生臭いような匂いで、自分で作っておいてなんだが食べたくはない。
半化生よりも鈍い人間の嗅覚でもこれは流石に気付くだろう。
「どうしよう……でももう出さない訳には……」
白狐が途方に暮れていると、突然目の前の襖が開いた。
「わっ!?」
ガラッ!と勢いよく開かれた襖から出てきたのは織波信葉……ではなく、その妹である織波信根であった。
特徴的な縦ロールの黒髪を揺らし、肩で息をする彼女は顔を真っ青にして俯いていた。
「オェーっ!!っっ…ハァッ……ハァッ……あの女まだキレてやがりますわっ……!!何回、人を腹パンすれば気が済みますの……!?」
信根は腹部を抑えつつ、部屋の中に向けて悪態をつく。
信葉の部屋から意外な人物が出てきたので白狐は呆気に取られた。しかもなんだか不穏な言葉を発して疲労困憊の様子ではないか。
「の、信根様!大丈夫ですか!?」
「ッ……!!えぇご心配なくですわ!!あの女の暴力など痛くも痒くもありませんもの……!それより貴女……って………えっ……?白狐………?」
信根もまた信葉の部屋の前にいた白狐の姿を見て目をぱちくりとさせた。
「ど、どうして貴女がここに……?あ……よく考えたら貴女はあの女、じゃなくてお姉様の忍者でしたわね。ならいてもおかしくないか……」
信根は納得したような、納得していないような微妙な表情を浮かべて白狐を見つめている。
一方で白狐は初めて見る着物姿の信根に目を奪われていた。髪型も相まって、本物のお姫様のような気品を感じる。
いや、織波家の次女なんだから本物のお姫様か……と一人でツッコミを入れるが兎に角白狐は信根の美麗な姿に見惚れてしまっていた。
「あの……白狐、その……戦の時は……」
目を奪われポケーっとしていた白狐とは正反対に信根は小さな忍者を見て申し訳なさそうにボソボソと話し始める。
あの戦の後……白狐が気を失った後こうして会うのは初めてなのだ。
信根は白狐に負い目を感じていた。戦の前は散々イビり倒したのに蛇紅に襲われた時は命を賭して自分を救ってくれた。
だというのに、お礼を言うどころか白狐の戦果はいつの間にか信根の手柄にされている始末。
―――なんと情けなく、なんと卑劣な行いだろう。
そう内心で自分を責める信根。助けてくれた者の手柄を横取りするなど武士の風上にも置けない行為だ。
何かを言い辛そうにしてまごまごしている信根だったが、白狐は何かを思い出したかのようにハッ!と顔を上げると、
「信根様!お怪我はありませんでしたか!?」
なんてことを聞いてきた。
予想だにしない言葉を聞いて信根は思わず面食らったが、すぐに顔を引き締めて返答する。
「え、えぇ……傷一つありませんわ……」
「……よかったぁ」
白狐ははにかむような笑顔を向けてそう返事した。
「……っ!!」
その笑顔を見て信根は何故か胸が高鳴る感覚に陥った。相手はこんなにも小さい……それも女子だというのに。
そもそも恩を仇で返してしまった相手に胸がときめくなどあってはならないというのに……!
罪悪感と奇妙な感覚がおり混ざる信根は慌てて言葉を紡ぐ。
「あの……その……ご、ごめんなさ……あ、いや、そうじゃなくて……あぁそうでございますわ!貴女は今何をしていますの!?見たところ御食事を運んでらっしゃるみたいですけどぉ!?」
―――違うだろ!
と信根は心の中で自分に向けてそう叫んだ。
謝ろうと思ったのに変な羞恥心と虚栄心が邪魔をして逆に奇妙な事を口にしてしまった。
頭を抱えたい信根であったが白狐は一瞬きょとんとした後に
「え?あ……そうなんです!僕、信葉様の御食事も作ってるんです!」
なんて言いながらお盆を顔の前に持ってきた。
確かにそこには美味しそうな肉じゃががあった。見た目は普通の肉じゃがだが妙に生臭いような……?
いや、匂いはどうでもいい。重要なのは白狐が食事を作っているという事実であった。
「お姉様の食事……?白狐、貴女忍者じゃありませんこと?それがなんで料理なんか……」
白狐は忍者だ。信根は白狐の戦いを目の前で見ている。彼女の実力は蛇紅を退けた事からも分かる通り相当なものだ。
見た目は小さいが並みの忍者を遥かに凌駕する力を持っている事を信根は知っていた。そのような実力の持ち主を料理係にする……?
それに忍者は本来、諜報や潜入を主な任務とする忍術の使い手だ。料理なんてものとは無縁の存在である。
そんな白狐が姉である信葉のために食事を作っているとはどういう事だ、と信根は訝しんだ。
「はい、えっと……信葉様が僕の作ったご飯が食べたいって言ったので、僕が作る事になりました!」
しかし白狐は特に気負う様子もなく笑顔で答えるのだった。
……なんだろう、このモヤモヤは。どこか納得できない信根は白狐に詳しく聞いてみる事にした。
「貴女、忍者なのにそんな事させられて不愉快じゃありませんの?」
「え?なんでですか?」
「だって料理だなんて……忍者らしくないですわ!それに、食事係なんて雑用役みたいじゃないの!」
それを聞いた瞬間。白狐の表情が一瞬固まったが、すぐに笑顔を作って話し出す。
「僕、家事に慣れてるからこれくらいどうってこともないです。それに、案外楽しいですから!」
白狐はそんな事を言ったのだ。しかも心からの笑顔で。これには信根も面食らった。
事実、白狐はそれ程今の仕事を苦だとは思っていない。何故なら幻魔の住処で散々雑用をやっていたからだ。
掃除、洗濯、料理に畑仕事……etc……
正直な話、幻魔はとんでもない怠惰な人物であった。白狐が家事をする前はどうやって暮らしていたかが不思議なくらいである。
そんな幻魔の住処で暮らしていた白狐は必然的に家事全般を習得せざるを得なかった。
嫌では無かったし白狐も母の為なら、と率先して家事をした結果白狐の家事スキルはメキメキと上がっていった。
今では料理だけでなく洗濯や畑仕事など、忍者とはかけ離れた事までこなせるようになっていたのだ。
だから白狐は得意な分野である家事をする事に抵抗が無い。しかも、この雑用めいた(雑用だが)仕事は葉脈衆頭領の大事な任務だと信葉から聞いているので余計にやる気マンマンであった。
「……っ!!」
そんな白狐を見た信根は思わず口を噤んだ。
なんという無垢で素直な心の持ち主だろうか。信葉が白狐を傍に置くのも頷ける話だと納得してしまった。
同時に、そんな清い心を持つ者に自分はなんて酷い事を言ってしまったのだろう……という罪悪感が芽生えてくる。
そもそも、姉が白狐を雑用扱いしている事を批判する権利は自分にはないのだ。
何故なら、自分とて姉への嫌がらせの為に白狐に対して掃除などの雑用を言い付けたのだから……
「そ、そう……」
そんな葛藤を抱えた信根はそれ以上何も言えなくなってしまう。
目の前の子がとても眩しくて、羨ましくて……劣等感を感じた。
白狐はそんな信根の様子を不思議そうに見つめていたが、信根は白狐から目を逸らしてしまった。
そして逃げるようにして、
「あ、ワタクシ用事があったんでしたわ!で、ではご機嫌よう!」
と言ってそそくさとその場を後にしてしまった。
「……?」
その場に取り残された白狐は疑問符を浮かべながら去りゆく信根の背を見送る。
なんだか前と雰囲気が違うなぁ、と思ったが自分の手に持つ盆を見て信葉に料理を持っていく途中であった事を思い出し、慌てて信葉の部屋に向き直り部屋の中にいるであろう彼女に向かって声を掛ける。
「信葉様……ご飯の時間でーす」
白狐はおずおずと襖を開けて信葉の部屋の中に入った。
中に入ると、信葉は部屋の真ん中で何やら本らしきものを床に広げながらうんうん唸っていた。
「あの……信葉様?」
白狐が声を掛けると、信葉はようやく気付いた様子で顔を上げて白狐の方に目を向けた。
「ん?あぁ、ご飯ね。ありがとう」
そう言って信葉は床に広がる書物を隅に寄せて小さな円卓を広げ始めた。どうやらご飯を置いた白狐をそこに誘導しているらしい。
白狐は信葉が本を片付けている間に円卓の上に肉じゃがを盛った小皿や味噌汁の入ったお椀、ご飯の盛られた茶碗を乗せていった。
それを見た信葉は嬉しそうに配膳された料理を見て目を輝かせた。
「あ!今日は肉じゃがなのね!私じゃがいも好きなのよね~!」
箸を手に取り、信葉は白狐の作った料理を食べ始める。その食べっぷりに白狐は内心ホッとしながら彼女の様子を注視する。
しかし、次の瞬間白狐の表情が硬くなった。何故なら信葉が一口食べてから急に黙り込んでしまったからだ。
そして何かを考え込むように眉を顰めるといきなり箸と茶碗を置いてしまい、白狐を見つめた。
「ど、どうか……しましたか?」
白狐は冷や汗をダラダラと流しながら信葉に尋ねる。すると信葉は暫く無言で白狐を見つめてから
「ねぇ?一つ聞いていい?」
と聞いてきた。
―――頼む、肉じゃが以外の事であってぇ!
白狐は内心でそう叫びながらも信葉の質問を待つ。
すると信葉は白狐の目をしっかりと見据えながらこんな質問をしてきたのだ。
「この肉じゃがなんだけど……」
「ふ、ふぁい!?ににに肉じゃががががどうかいたしますかねぇ!?」
白狐の身体は小刻みに震え、みるからに尋常ではない様子で言葉も覚束ない。だが信葉の方は白狐の様子を気にも止めずに言葉を続ける。
「これ……この……肉じゃが……」
―――ば、バレた……!?肉じゃがに精液が混入……いや、混入とかそういうレベルではなく味付けの主役として肉じゃがに混ぜられている事がバレたのか!?
肉じゃがではなく、肉とじゃがいもの精液煮込みである事がバレたのか!?
白狐はこの時点で涙目である。当然だろう、お姫様の食事に精液を混ぜて提供するなど不敬もいいところである。
というか完全に変態の所業である。
「この味付け……アンタ……!」
もう駄目だ……おしまいだぁ……
これから自分は変態キツネとして追放されて、この国で後ろ指をさされて生きていくんだ……
そして数百年後まで「あれ?アイツって、精液肉じゃがを食わせる変態キツネじゃね?」なんて言われて一生後ろ指さされるんだ……
白狐は内心で絶望し、号泣しながら信葉の沙汰を待った。
そして信葉はゆっくりと箸を置くと―――
「これ……美味しいわ!」
と、顔を輝かせてそんな事を言ったのだ。
「へ?」
白狐は気の抜けた声を出した後にポカンとして信葉を見つめる。すると信葉は目を輝かせながら話を続けた。
「なにこれ!妙な生臭さの中にまろやかな旨味があって後味がサッパリしてて……こんな美味しい肉じゃが食べた事ない!」
「あ、え……?そ、その……」
信葉は白狐の作った肉じゃがをべた褒めしていた。白狐はまさかの反応に戸惑ってしまい上手く言葉が紡げない。
しかしそんな白狐の事など気に留めず、信葉は興奮した様子でまくし立てるように言葉を続ける。
「アンタの料理の中でも一番美味しい!これだけはハッキリと言えるわ!」
そう言い、ガツガツと肉じゃがを口に運ぶ信葉。
だが白狐は戸惑いを隠せずにいた。匂いは勿論、見た目も精液塗れになっているのだが、何故彼女はそれに気付かないのだろうか……?
「う~ん……これは物凄く貴重な調味料を混ぜてるわね?なにを使っているのかしら……」
白狐が困惑している一方で、信葉はそんな独り言を呟いていた。どうやら彼女は自分の嗅覚には絶対の自信を持っているらしく、肉じゃがに混入されているモノの正体を探り当てようとしているようだ。
しかし彼女にはその正体に心当たりがない様子であった。それも当然であろう、混ざって(主成分)いるのは白狐の精液なのだから……
「……」
白狐は自分の精液を美味しそうに食べる信葉を見てなんだか妙な気分になってきた。
やってはいけない事だというのに、変態的な行為だというのにムラムラとしてくる。
それは何故か?答えは明白だ。目の前で自分の精液を美味しそうに食べる美少女を見て欲情しない男などいようものか。
「(信葉様が僕の精液美味しそうに食べてる……♡)」
白狐は頬を紅潮させながらジッと信葉の食事風景を見つめていた。
そんな白狐の視線に気付いたのか、信葉は箸を止めると顔を上げて白狐の方を見た。
「何よ?人のことジロジロ見て」
「ふぇ!?な、なんでもにゃいです!!」
突然声をかけられた白狐は驚いてしまうが、信葉の言葉でハッとすると慌てて目を逸らした。
「あ、そうか。もしかしてアンタも食べたいんでしょコレ?」
「えっ」
白狐の不可思議な反応を見た信葉はそんな事を言ってきた。
「なんかアンタいつもと様子違うんだもの。さてはこれ……西蛮由来の調味料かなんかでしょ?で、それを使って私の為に料理したけど主君の食事には手を付けるなんて不敬だから自分は味わえなかった……それで物欲しそうに私の事見てたんでしょ。どう、合ってる?」
いや、全く違うが……
本当は精液を入れた事をいつバレるかドキドキしながら見ているだけだったのだが、何故か信葉は自信満々でそんな事を聞いてくる。
しかし否定しようにも、自分の精液を入れたなんて言おうものなら変態性がバレてしまう。
それだけは避けたかった白狐は誤魔化すように笑いつつ言葉を発した。
「そ、そうです!流石信葉様ですね!!」
「ま、当然よね!で?食べたい?」
「いえっ!僕如きが信葉様の高貴な御食事を食べる訳にはいきませんので!」
誰が自分の精液で煮込んだ料理を食べたいと思うのか。信葉は美味しいと称したが白狐の鼻にはとてもではないが耐えられる匂いではなかった。
しかし信葉は白狐の言葉を聞くとニヤリと笑い、箸でおかずを摘んで持ち上げた。
「ふぅん、殊勝な態度ね。でもそんな従者にご褒美をあげられない程私はケチじゃないわ」
「え?」
白狐が困惑している間に信葉は精液塗れの肉じゃがを箸で掴むと、そのまま白狐の方に差し出した。
「ほら!あーんしなさい!」
「え……えぇ!?」
信葉は笑顔で肉じゃがを差し出してくる。白狐はそれを見て困惑した。
な、何故今日はこんな優しいのだ?あーんまでしてくれるなんて信葉とは思えない。
いつもはもっと厳しいのに、なぜ……
「い、いや僕は……!」
白狐はなんとか逃げ出そうとするがいつの間にか信葉が自分の腕を握り締めているではないか。
万力の力で握られているのか、腕がビクともしない。
「やめてぇ!離してえ!」
「なに遠慮してるのよ?主君が許すって言ってんだから大人しく食べなさい!」
信葉はそんな白狐を叱りつけるように怒鳴るとさらに強く腕に力を込める。
英傑の力から逃れられる筈もなく、白狐は涙目になって肉じゃがを食べさせられる。
「うぐっ……」
口の中に広がる生臭さと苦味。それを無理矢理咀嚼して飲み込むと口の中から鼻腔まで精液の独特の香りが広がった。
「―――――――――」
「どう?美味しい?」
白狐の尻尾の毛が逆立ち、まるでハリセンボンのように膨らんでいるが信葉はそれに気付かず笑顔で感想を聞いてくる。
「う……あ……」
「?」
一瞬の静寂。そして……
「オエーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!」
白狐の絶叫が城中に響き渡った。
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