乙女ゲームで唯一悲惨な過去を持つモブ令嬢に転生しました

課外授業一日目？（落ちた先にあるもの）

「どうして…どうして？誰も私わたくしを見てくれないの？」
　元美の神であるツェリーシア
　彼女は自分より美しく、ツェリーシアの好きな人の妻になった妹を憎み殺害を試みた
　けれど実行前に、創造神であり妹の夫、そしてツェリーシアの好きな人であるウェリスベールに気づかれ、天界から堕と追放された
　その事に憎しみや怒り、哀しみをグチャグチャと煮詰め貯め続けた結果、堕神オプスキュリアとなった
　そんなツェリーシアは願う 
　いつか、いつか、この思いが報われることを
　けれど彼女は知らなかった
　好きな人であるウェリスベールの本当の気持ちに………そう締めくくられた本があった

　その本の名は、───【堕神書】───



　────【神書】────
　それは、神々について語った本である
　そんな神書には種類がある 
　例えば春の神であるフローラなら、《春神書》という題名でフローラの事が書かれている
　この国で大々的に語られている神は四季の神だが、この世界も日本と同じように八百万の神やおよろずのかみに習っているので、実際には何百万という神が存在する
　そんな沢山いる神の中の一人、美の神ツェリーシアが堕神になるまでの過程を示した本を───堕神書と言う
　そんな数ある本の中、シエルが読んだ本で《堕神書》という随分と印象に残る本  
　内容も過激で、美の神ツェリーシアが双子の妹の癒の神のユリヴェーナを殺そうと画作する
　なぜなら、妹にユリヴェーナにツェリーシアの大事なものを全て奪われたから
　美貌も知識も好きな人も…信頼も信用も
　そして───彼女のツェリーシアにとって世界で一番大切な███も
　そうしてユリヴェーナの殺害を目論んだツェリーシアは、その事を好きな人である創造神ウェリスベールに気づかれた
　そうしてツェリーシアは、美の神という身分から追放された元美の神に落とされた
　ツェリーシアは、その事に憎しみや怒り、哀しみを募らせた……好きな人であるウェリスベールの本当の気持ちに気づかずに───

　本の内容を思い出しながら、シエルはユミリアの横に座った
「堕神書は、確か悲恋……なのかな？そういえばこの像もしかして堕神？見た目が本の挿絵と酷似してるし……いや、でもこの後のページは、どれもグチャグチャとしていて読めなかったんだよね……うーん第二形態的なのが存在する可能性だって…………誰！？」
　シエルが一人考えていると、視界の端で何かが動くのが分かった
　ユミリアは自分の横でまだ寝ている
　シエルは、ユミリアに防御魔法をかけて視界の端を睨め付けた
　その瞬間……閃光が走った