オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ

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その4 ザイン宅にて

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週末になった。
エルシーお姉様が帰ってきてるとのことで私はルースの家に遊びに行くことにした。

「姉さん、はやく。」

二つ年下のジョーカスが顔を出す。
彼はまあ簡単に言えば養子だ。この家には私の他に兄がいるが兄は少し体が弱い。
数年前、私同様に高熱を出し、一ヶ月ほど生死を彷徨ったことがある。
その為、保険みたいなものだが親戚のジョーカスを引き取っていた。
最悪なことも考えてだが、将来兄を助けてくれる存在が欲しいのも確かだ。
確か父の弟の…いや、祖父の弟の妻の兄弟の…?まあ、遠い親戚ね。

「姉さん、学校はどう?」
馬車の中でジョーカスが話題を切り出した。
「結構難しいことがあるけど楽しいわよ」
「僕もはやく行きたいな。」
「ジョーカスは政科に行くのよね?」 
「僕は姉さんと一緒。魔科に行くよ。」
「あら?大丈夫なの?」
「だって、将来、調合師になる姉さんを助けたいんだよ。いいでしょ?」
うっ、頭に耳が見えるわ。ワンコ系だわ。この閏閏した目。あ~無理だわ。かわいすぎる!抱きしめてあげたい!
「僕、結構魔力あるから大丈夫。姉さんを手伝えるようになりたいんだ。政治のこともちゃんと勉強するから心配しないで。」
悪役令嬢の義理の兄弟もよく攻略対象になるけど、この子は違うな。
普通悪役令嬢の義理の弟はいじめられて姉を嫌ってるはず。この子はこんなに私に懐いている。
以前の私は姉しかいなかったから弟かわいい!
もう目にいれても痛くない。やだやだ、かわいすぎ。
いじめるなんてできない。私がいじめてないから彼は私を嫌ってない。むしろかわいい顔で見てくれる。
悪役令嬢ならいじめなきゃいけなかったのだけど
こんなかわいい子をいじめるなんて出来ない。
まあ、この子が攻略対象から外れるだけの話だからいいでしょう。

「姉さんは国外追放されたら本当に森で調合師になるの?」
「そうよ。そのつもりだから、その時はお父様、お母様、お兄様のことお願いね。」
「わかった!頑張るね。」

あ~癒されるわ。

『でも僕は姉さんと一緒に行くから無理だけど。』

「なんか言った?」
「ううん。何も言ってないよ。もうすぐ着くね。ほら姉さん窓閉めようか風でせっかくの髪がくちゃくちゃになるよ。」
「あらそうね。やだわ。」
ジョーカスはしっかりしてるから家のことは安心だわ。

ザイン家に着いた。
エルシーお姉さまが出迎る為に立っていてくれた。

「エルシーお姉様!お久しぶりです。」
「シャーリー!よく来たわね。会いたかったわ。」
「私もです。」
馬車から降りるなり私はエルシーお姉様に飛び込んだ。
「少し見ない内に可愛くなったわね。まあ、これじゃルースが心配で苛立つのがわかるわ。」
「心配?苛立つ?」
「こっちの話よ。ふふふ。ルースは後からくるみたいだから、先に行きましょう。ガーデンには領地から持ってきた美味しい紅茶を用意してるから。さあ、ジョーカスもいきましょう。」

この頃、私の事なのにこっちの話とか独り言が多くない。
何かみんな隠してないかな?
私が首を傾げながらエルシーお姉様の腕を取ってガーデンに行こうとしたら立派な馬車が門の前に止まった。

ん?馬車の紋章を見る。王族の紋章!へっ!

エルシーお姉様は慌てて使用人に指示をして馬車の前で頭を下げて、中の人が降りてくるのを待った。
私とジョーカスも横に並んで頭を下げた。

国王陛下?妃殿下?…王太子殿下?誰だろう。
金色の髪を風にふんわり靡かせて王太子殿下が降りてきた。
私たちは慌ててさらに深く礼をとる。

「ジェラルド辺境伯夫人。こんにちは。急に訪ねて申し訳ないね。どうしても君のご主人に会いたくてきてしまったよ。小さい頃からジェラルド卿にはよく遊んでもらってたからね。私は彼が大好きなんだよ。」
「光栄にございます。今用意をしておりますので、応接間にて少しお待ちいただくことになってしまいますがよろしいでしょうか?申し訳ありません。」
「気にしなくていいよ。約束しないで訪ねた私が悪いのだから。むしろ時間を作らせて申し訳ない。感謝するよ。」

私は少し顔をあげた。殿下と目があった。
「おや?シャーロレット嬢。また、会ったね。」
私は顔をあげながら
「はい。私も殿下にお会いできて光栄です。」
隣から何なら圧が凄い。
「また?いつ姉さんと会ったんだ・・・。」
「ん?」
ジョーカスは前をみていた。
空耳だったかしら?

しかし」いつ見ても殿下は素敵だわ。後ろに勝手にバラが見えるわ。
さすがに攻略対象。
1推し。もうどうしたらあんな造りになるの。
でもやっぱりルースに似ているわね。金髪、碧眼が一緒だから?兄弟って言われても素直にそうって思ってしまうわ。数年後のルースをまた想像してしまう。 顔が熱くなる。ん!やだ、また私ルースのこと考えてる。顔が赤いんじゃない?こんなんではルースの顔がまともに見れないじゃない。
私がそんなことを考えていると殿下は玄関に向かって歩きだした。

殿下は玄関手前で立ち止まり、振り返った。
「ああ、ジェラルド辺境伯夫人、あとで私もお茶に混ぜてもらっても良いかな?」
「はい、おまちしております。」

「姉さん、殿下に会ったの?」
ジョーカスが少し怖い顔をして話しかけてきた。
「ええ、入学式の日に学校で偶然少しお話する機会があったの。」
エルシーお姉様がふんわり笑った。
「そういうことね。王太子殿下だったのね。ルースったら。ふふふっ」
「ル、ルース??えっ?ルース……?」
今の私にルースの名前を出さないでください。更に顔が赤くなったみたいだ?平常心よ。いい、シャーロレット!平常心よ。
「ふふふシャーリーって素直ね。これで愚弟も意味がわかるわね。よかったわ。」
「へっ?」
私には意味が分かりませんが……?
本当にこの頃周りが変だわ。
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