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その32 応接間にて
夕食をザイン家のみんなと囲んだ。
なんか豪華なメニューだわ。いつもこうなのかしら?
まあヴィクセレーネ家は割と私が改革してしまったので
どちらかというと家庭的な料理が並ぶ。
目の前の料理はまさに公爵家って感じだ。
「夕食まで、ご一緒させていただいてありがとうございます。」
昼間のことで恥ずかしさいっぱいだ。
するとザイン侯爵は笑った。
「シャーリーはもうルースと結婚するんだから気にしなくていいんだよ。
あと二週間で新年で16歳になるんだからいつでも結婚できるんだ。
しかし結婚式はどうしよう。もうあれ以上のものができる気がしないな。
ひとまずもう結婚したも同然だ。このままいてくれるんだよね?」
その言葉に私の笑顔が引きつる。
そうだ、あと二週間で新年だ。というと16歳になる。
この国は16歳から結婚できる。しくじった。何故あんなところでやってしまったんだ。
サンドラに口止めしなかったんだ。
この家族…にこやかに笑う笑顔が逆に怖い。敵に回すと怖すぎる。
「あら、シャーリーそうしたら。私は賛成!」
エルシーお姉様が食卓から身を乗り出して言った。
公爵夫人は言葉はないが、私と目があったときに一回頷いた。
…どちらも敵には回しちゃいけない。でも…
「あ、ザイン侯爵様、家でもきっと心配してるから明日は帰ろうかな……ぁぁ」
ピキッ…楽しい一家の団欒だったが、みんなの手が止まった。
ルースが下を向きながら私の方へ顔を向けたのがわかる。
隣からルースの痛い視線が突き刺さる。
痛い!痛いわ。
ルースは下を向いてご飯を食べていた。
『さっきずっと一緒にいるって言ったのに。』
独り言?聞こえてますが…。
ルースの両親は無言で首をゆっくり横に振っている。
エルシーお姉様が慌てて何かを言っている。
私はきっと目が泳いでいるわ。
あ…触らぬルースに祟りはない…。
ルースの黒いオーラが横から溢れ出てるような気がした。
「って、思いましたが、愛しい婚約者の側にもう少しいたいなぁ~って。
ですから家に手紙を書くので届けていただけますか?」
隣にから花が咲き散らしたようなオーラが溢れ出してきたような気がする。
ルースの両親は今後は縦にゆっくり首を振った。エルシーお姉様はふぅっと安心したように息を吐いた。
「シャーリー!今なんて言った?」
ワンコになったルースがじゃれてくる。
「手紙を…」
「違う!もっと前!」
「家で心配…」
「そのあと!」
やっぱりそこが聞きたいのよね…。
「愛しい…婚約者……」
「ふふふっ!あれ?父上、母上、姉様、あまり食事が進んでませんが大丈夫ですか?
昨日は本当に心配をおかけしてしまいました。
もう僕とシャーリーは大丈夫ですので安心してお食べ下さい。」
…よく味がわからないご飯だった。
夜ご飯も食べてお腹一杯。
まったりしていた。
「ルース、シャーリー、突然で申し訳ないんだけれども陛下や殿下、アインシュバッツ嬢が心配をしてるんだ。明日一緒に登城してくれないかな?」
ザイン公爵様がそう話しにきた。
「レイクルーゼ様も?ですか?」
「シャーリー、実は君を探し当てたのにはアインシュバッツ嬢の力添えが大きかったんだ。
まだまだルースでは時間がかかってね。」
ルースが私の下でむくれていた。
そうなのだ。何故か今、私はルースの家の応接間のソファーでルースの膝の上に乗せられている。
「シャーリー、ごめんよ。なかなかコツが掴めなくて。次はすぐに見つけるよ。」
「あ、いや…。できれば次はいらないかな…?」
もう誘拐は勘弁です。
「ごめん、ごめん。そうだね。シャーリーは僕のものだからもう離さないから次はないね。
もう怖い思いはさせないからね。」
ルースが耳元でキスをする。
「ふっぅ」
少し肩があがる。このキス魔め。
ザイン公爵様も呆れてるわよ…って全然じゃない?
笑ってるよ。息子が女の子を膝にのせてキスしてる姿見て喜んでる。
腕を組んで大きくうなずいている。
「仲がいいのはいいことだ。はははっ。」
笑って出て行った。
明るい家族だ・・・。
「次はブドウ食べる?ほら後ろ向いて。」
私は首を回しルースを見る。
彼の碧眼がすぐ側にある。膝に乗っているのでほぼ視線は同じ高さ、
いつより…いつも以上に近い。次から次へと食べ物を食べさせてくれる。
「もう、今ご飯食べたばかりでお腹いっぱいだし、自分で食べれるから。」
「もうお腹いっぱいなんだね。じゃあ寝ようか!」
なんか嫌な予感がする。
「でも、ちょっと本でも読んで…なんて思うんだけど駄目?」
ぎゅっとルースが後ろから抱きしめてくる。
あら、出来たメイドさん達はいつの間にかいない…。
「今度にしない?」
「まだ眠くないんだけどな……。」
「ふーん、まだ、眠くないんだよね?シャーリー。」
しまった。
答えの選択を間違えた?って『はい』を選んでも『いいえ』を選んでも一緒のような気がする。
「ねぇ、もうヴィクセレーネの家には帰らないで。ここにいて。」
耳元でルースが話す。
実は私は耳元は駄目、弱いの。
耳元で話されるとフニャとなるの!
無理って…無理。
「えっ、でもまだお父様やお母様には何も言ってないし…」
「大丈夫。いつでも帰れるじゃない。家は近いし。
僕はシャーリーの側にいたいよ。シャーリーはいたくない?」
「…でも…ふ…っ」
ルースが耳元でふっと笑った。あ、気づかれた。
「シャーリー、僕と一緒にいてよ。君を大事にするよ。
君は僕の手の中で自由に生きていけばいいんだよ。ねぇ、シャーリー。
愛しい愛しい僕のシャーリー。ずっと僕といて…離れないで…」
耳元で甘い言葉をかけないでっ…
「う…うん。」
「じゃあ、僕の部屋に行こうか。」
だから…耳元で言わないで!
「ねえ、いいよね?」
「うっ…うん…」
結局、私が家に帰れたのはかなり後からだった。
ちなみにその時はすでに里帰りと言う名目になっていた。
なんか豪華なメニューだわ。いつもこうなのかしら?
まあヴィクセレーネ家は割と私が改革してしまったので
どちらかというと家庭的な料理が並ぶ。
目の前の料理はまさに公爵家って感じだ。
「夕食まで、ご一緒させていただいてありがとうございます。」
昼間のことで恥ずかしさいっぱいだ。
するとザイン侯爵は笑った。
「シャーリーはもうルースと結婚するんだから気にしなくていいんだよ。
あと二週間で新年で16歳になるんだからいつでも結婚できるんだ。
しかし結婚式はどうしよう。もうあれ以上のものができる気がしないな。
ひとまずもう結婚したも同然だ。このままいてくれるんだよね?」
その言葉に私の笑顔が引きつる。
そうだ、あと二週間で新年だ。というと16歳になる。
この国は16歳から結婚できる。しくじった。何故あんなところでやってしまったんだ。
サンドラに口止めしなかったんだ。
この家族…にこやかに笑う笑顔が逆に怖い。敵に回すと怖すぎる。
「あら、シャーリーそうしたら。私は賛成!」
エルシーお姉様が食卓から身を乗り出して言った。
公爵夫人は言葉はないが、私と目があったときに一回頷いた。
…どちらも敵には回しちゃいけない。でも…
「あ、ザイン侯爵様、家でもきっと心配してるから明日は帰ろうかな……ぁぁ」
ピキッ…楽しい一家の団欒だったが、みんなの手が止まった。
ルースが下を向きながら私の方へ顔を向けたのがわかる。
隣からルースの痛い視線が突き刺さる。
痛い!痛いわ。
ルースは下を向いてご飯を食べていた。
『さっきずっと一緒にいるって言ったのに。』
独り言?聞こえてますが…。
ルースの両親は無言で首をゆっくり横に振っている。
エルシーお姉様が慌てて何かを言っている。
私はきっと目が泳いでいるわ。
あ…触らぬルースに祟りはない…。
ルースの黒いオーラが横から溢れ出てるような気がした。
「って、思いましたが、愛しい婚約者の側にもう少しいたいなぁ~って。
ですから家に手紙を書くので届けていただけますか?」
隣にから花が咲き散らしたようなオーラが溢れ出してきたような気がする。
ルースの両親は今後は縦にゆっくり首を振った。エルシーお姉様はふぅっと安心したように息を吐いた。
「シャーリー!今なんて言った?」
ワンコになったルースがじゃれてくる。
「手紙を…」
「違う!もっと前!」
「家で心配…」
「そのあと!」
やっぱりそこが聞きたいのよね…。
「愛しい…婚約者……」
「ふふふっ!あれ?父上、母上、姉様、あまり食事が進んでませんが大丈夫ですか?
昨日は本当に心配をおかけしてしまいました。
もう僕とシャーリーは大丈夫ですので安心してお食べ下さい。」
…よく味がわからないご飯だった。
夜ご飯も食べてお腹一杯。
まったりしていた。
「ルース、シャーリー、突然で申し訳ないんだけれども陛下や殿下、アインシュバッツ嬢が心配をしてるんだ。明日一緒に登城してくれないかな?」
ザイン公爵様がそう話しにきた。
「レイクルーゼ様も?ですか?」
「シャーリー、実は君を探し当てたのにはアインシュバッツ嬢の力添えが大きかったんだ。
まだまだルースでは時間がかかってね。」
ルースが私の下でむくれていた。
そうなのだ。何故か今、私はルースの家の応接間のソファーでルースの膝の上に乗せられている。
「シャーリー、ごめんよ。なかなかコツが掴めなくて。次はすぐに見つけるよ。」
「あ、いや…。できれば次はいらないかな…?」
もう誘拐は勘弁です。
「ごめん、ごめん。そうだね。シャーリーは僕のものだからもう離さないから次はないね。
もう怖い思いはさせないからね。」
ルースが耳元でキスをする。
「ふっぅ」
少し肩があがる。このキス魔め。
ザイン公爵様も呆れてるわよ…って全然じゃない?
笑ってるよ。息子が女の子を膝にのせてキスしてる姿見て喜んでる。
腕を組んで大きくうなずいている。
「仲がいいのはいいことだ。はははっ。」
笑って出て行った。
明るい家族だ・・・。
「次はブドウ食べる?ほら後ろ向いて。」
私は首を回しルースを見る。
彼の碧眼がすぐ側にある。膝に乗っているのでほぼ視線は同じ高さ、
いつより…いつも以上に近い。次から次へと食べ物を食べさせてくれる。
「もう、今ご飯食べたばかりでお腹いっぱいだし、自分で食べれるから。」
「もうお腹いっぱいなんだね。じゃあ寝ようか!」
なんか嫌な予感がする。
「でも、ちょっと本でも読んで…なんて思うんだけど駄目?」
ぎゅっとルースが後ろから抱きしめてくる。
あら、出来たメイドさん達はいつの間にかいない…。
「今度にしない?」
「まだ眠くないんだけどな……。」
「ふーん、まだ、眠くないんだよね?シャーリー。」
しまった。
答えの選択を間違えた?って『はい』を選んでも『いいえ』を選んでも一緒のような気がする。
「ねぇ、もうヴィクセレーネの家には帰らないで。ここにいて。」
耳元でルースが話す。
実は私は耳元は駄目、弱いの。
耳元で話されるとフニャとなるの!
無理って…無理。
「えっ、でもまだお父様やお母様には何も言ってないし…」
「大丈夫。いつでも帰れるじゃない。家は近いし。
僕はシャーリーの側にいたいよ。シャーリーはいたくない?」
「…でも…ふ…っ」
ルースが耳元でふっと笑った。あ、気づかれた。
「シャーリー、僕と一緒にいてよ。君を大事にするよ。
君は僕の手の中で自由に生きていけばいいんだよ。ねぇ、シャーリー。
愛しい愛しい僕のシャーリー。ずっと僕といて…離れないで…」
耳元で甘い言葉をかけないでっ…
「う…うん。」
「じゃあ、僕の部屋に行こうか。」
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「ねえ、いいよね?」
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