オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ

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幕間 番外編 ウィルのつぶやき *

私の婚約者であるリリーシアは15歳になっていた。
明るい茶色の髪は母親のシャーロレット様譲りだ。
そして碧眼。父親のルーズローツ様と同じ。
更にその碧眼は光の加減で光り始める。
笑うとシャーロレット様に似ている。


私が9歳、リリィが7歳の時に私たちの婚約は成立していた。
従妹となる彼女との婚約はお互いが望んだことだった。
もう8年にもなる。

その髪に揺れる水色のリボン。
ザイン家の紋章入りだ。
彼女は私のものだという印。
そのリボンをして微笑んでくれると私は幸せな気持ちになる。

しかし、このところ私はとっても気が気ではない。


「ねぇ、ねぇ、ウィルとなんて結婚やめて俺にしない?
二人で話がしたんだよ。」

なんて声かけているやつがいる。

ハイドシーク=ダマガラン。


隣国の王太子の第一王子だ。
隣国とは友好国なので王族は16歳前後のころに留学しにやってくる。
ちなみに彼は15歳。リリィと同い年だ。

黒髪を短くした彼はどちらかというと挑発的な視線を私に送ってくる。
「しない。」
そうリリィが答えるのを聞いてから私は彼女に近づいた。
「リリィ、お待たせ。帰ろうか。」
3年生になった私は生徒会の副会長をしていたので
いつもリリィを待たせてしまう。
「ウィル、お疲れ様。」
そう言って笑う彼女に癒される。

「ナイトさまのご登場か。まあリリィ、考えておいて。」
「先ほどもお断りしたはずです・・・。」
「そんなこと言わないでね。」

第一王子はリリィの頬にすっとキスをして手を挙げて走って去っていった。
リリィは頬に手を当てて眉間にしわを寄せていた。
「ウィル、あの・・・。ご、ごめんなさい。」
もう何なんだあいつは。
留学期間は3か月。
もうそのくらい経ったはずだ。
はやく国に帰れ!

私はリリィの手をどかしてそこにキスを落とした。
「もう、リリィは私のなんだから。」
「でも、ウィル・・・。そんなことしたらハイドシーク殿下と間接的にキスしてませんか?」
「は?」

思わずバッとリリィから離れてしまった。
あ、いやいや。リリィ・・・そこを言うんだ。

「ただいま。」
「ただいま戻りました。」

今、リリィの両親や妹弟達はキルナスに近い別荘にいる。
シルバーサの動きが激しくてキルナスの辺境伯であるアイザック様と協力していろいろ動いているらしい。
学園からは遠くなるのでリリィだけ家に預かっている。
まあそのまま帰すつもりはないけどね。

「おかえりなさい。」
家に戻ると母上が荷物を持ってちょど階段をのぼることろだった。
「そんなにたくさんの荷物を持ってどうしたんですか?」
すっと母上の荷物を持ち上げた。
「ああ、ウィルありがとう。助かるわ。少しお客様がいらっしゃるの。
お泊りになるらしいから客室を用意しているんだけど。」
「そんなの使用人にやらせればいいだろ?」
「今夕飯の支度をしているから申し訳なくて。」
「ってお客様って誰?」

カランとドアベルが鳴った。
スッとガーシュインが現れ扉を開けた。

「やあ!リリィ。君と一緒にいたくて来てしまったよ。」

・・・ハイドシーク殿下・・お前かよ!

「シャーロレット様は今はこちらにいらっしゃらないんですね。残念だな。」
夕食の時間に一人べらべらしゃべるやつがいた。
「私の母上とシャーロレット様は同級生だと伺いました。いまでも魔法石でたまにお話されているようです。会ってお話したかったのに残念です。」

本当にその理由か?
ニコニコしながら私の家の夕食の場を独占しているやつを見るとむかむかしてくる。
というのもリリィがそんな奴に優しく微笑んでいるからだ。

「お母様も王太子妃殿下のことはたまにお話するんです。とても綺麗で凛とした方だとか。私も王太子妃殿下にお会いしたいです。」
「じゃあ、今度はリリィが私の国に留学しにおいでよ。」
「あ、いや。それは・・・。」

リリィが私の方をチラッとみた。
行くわけないだろう!

「おや?なにやら気にくわなさそうにしている奴がいるな。ねぇ、ウィル?」
「リリィ、早く夕飯食べよう。宿題で分からないところがあったんだろ?教えてあげるから。」
「ウィル、ありがとう!」
「心狭いね。本当・・・。ふっ」

父上と母上、妹は顔をピクピク引きつらせている。
早くこの夕食がおわらないかなって感じだ。

しかし一体何しにきたこの第一王子!

「で、ここはこうなる。わかる?」
「さすがウィルね。先生よりわかりやすいわ。」
リリィの部屋で宿題を見ていた。
彼女は計算的なものは苦手らしい。
「終わった?」
「ん!何とかできた!ありがとう。ウィル。いつも助かるわ。」
「言葉だけ?」
「もう・・・。」
そんな言葉を言いながらリリィは目を閉じる。
私はリリィの頬に手をかけた。
そっと彼女に近づいた。

「リリィ!今日の宿題終わった?写させて!」
バタンと扉が開いて奴が入ってきた。
あ~!やっぱりそうなるんかよ!ノックくらいしろよ!
あわててリリィは私から離れようとした。
しかし彼女を肩をぐいっと引っ張った。
「ウィル?」
「宿題は写すものではないな。」
「またまた優等生だね。君は。」
「リリィは私の婚約者なんだ。邪魔しないでくれないか。」

ギュッと後ろからリリィを抱きしめた。
こんな大胆なことができる自分に少し驚いた。
リリィが心配そうに私を見上げた。

「私はリリィと話がしたいんだ。学園ではできない話でね。
申し訳ないが少し時間をくれないか?」

ハイドシーク殿下は深々と頭を下げた。

リリィはニコリと笑った。
「ウィルと一緒ではいけないんですか?」
「申し訳ない・・・。どうしても他の人には聞かれたくないんだ。
スイートポテトっていえば君にもわかるんじゃないだろうか?」

リリィの顔を少しゆがんだ。
スイートポテトと言えばシャーロレット様の得意なお菓子だ。
ただシャーロレット様のスイートポテトは変わった形をしている。
さらに上に何か塗っているようでテカテカと光っている。
そのスイートポテトに何があるんだ?

「ウィル、大丈夫。彼は何もしないわ。少しだけ2人にして。」
私には言えない何かがあるのか?
「わかった。何かあったらすぐ呼ぶんだよ。」
「信用ないな。」
「あるわけないだろう!」
私はリリィの部屋の外に出て扉の前で落ち着かない時間を過ごしていた。

30分くらいしたらリリィの部屋の扉が開いた。
「ウィル、もういいわよ。ごめんね。」
リリィが可愛らしい微笑みで私を見た。
本当に私の婚約者は可愛い。

部屋の中で立っていたハイドシーク殿下は私に向かって頭を下げた。
「ウィル、すまなかった。
リリィ、よかったよ。君と話ができて。」
「明日、お母様にスイートポテトを作ってもらうように言っておきます。」
「ありがとう。もう昔から何度も母上の話を聞いていたから食べたくて仕方なかったんだ。帰る前に食べられそうで嬉しいよ。」

ハイドシーク殿下の顔も心なしか明るい。
そんなにスイートポテトが食べたかったのか?

「しかし君は知っていたんだな。」
「お父様とお母様の会話を聞いていたらわかります。あの二人全然隠そうとしないんですもの。私もあなたが知っていたことには驚きました。」
「同じだな。母上の行動から少し疑問に思ったことを聞いたことがあったんだよ。そしたら懐かしい顔をしていたからね。レイクルーゼ王太子妃殿下にスイートポテトはとどけるんでしょ?私もその時一緒にいってもいいかい?」
「そうですね。レイクルーゼ様も大好物ですからね。」

・・・何だ?何だ?私は仲間外れ?
話の内容についていけれない。

レイクルーゼ様とシャーロレット様、隣国の王太子妃殿下の間に何があるんだ?
それを教えてくれる日は来るんだろうか?

ハイドシーク殿下は部屋を出ていった。
「ねえ、リリィ?話が全く見えないんだけど?」
「ウィルには言えないわね。ただ一つ言えるのは私たちの母親は仲がいいってことね。ふふふっ」

一生わからないままになりそうだな。

私はリリィを抱きしめた。
「まあいいか。母親が仲が良くてもリリィは私のものなんだからね。」
「そうね。」
ふふふっと笑うリリィが可愛くて、別にリリィが私の側にいてくれるなら
母親の秘密なんて関係ないな。

今日は週末だ。

「リリィ、今日はゆっくりできるね。愛しているよ。」





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