オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ

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その35 晴れの日にて シャーリー視点

新年になった。
今日は新年初日にふさわしい青く晴れた空が広がる。
風もなく暖かい冬の日。

貴族はこの日、王宮に新年の挨拶をする。
序列の上からになる。

ザイン公爵家は序列5位だ。
実は建国当初からある4つの公爵家が上位なのだ。
つまり、ヴィクセレーネ公爵家の方が上なのだ。

きらびやかに正装を着こなすザイン公爵様、タチヒア公爵夫人、カール兄様、ルース。
ラリサお姉様は出産直後の為欠席だ。
先日男の子が生まれた。母子ともに元気だ。
私も会わせてもらったがやはり赤ちゃんは可愛い。

わたしもいずれ…あ、いけない。顔が赤くなる。
ルースが隣でクスッと笑った。
「また、何考えていたの?」
ルースの笑い顔に見惚れてしまった。

いつの間にこんなにしっかりしたのだろう。
ザイン公爵様、カールお兄様と身長も気になるほど変わらなくなっていた。
金色のストレートの髪は少し伸びて肩にかかるくらいだ。今は縛っている。
大きかった目も少し切れ長になっただろうか。この一年で少年と言うよりすっかり青年になった。
大きく変わったのは笑い方。
前より柔らかく優しく笑うようになった。

新年の挨拶は家族ごとだ。
もう一度いいます。家族単位です!!
で、何故私がザイン公爵家と一緒なんだ!

私は大きなため息を吐く。
思い出せば今朝。私の新年は衝撃に幕をあけた。
「シャーリー!見て見て。」
「ん…何?ルース?」
「寝起きのシャーリーはいつも可愛いっ。」
ルースが頬にキスをする。
「ん…ルース。おはよう。何を見るの?」
昨日も日にちが変わるくらいまでルースは私を可愛がってくれていたから頭がボーッとしてる。

ルースが何か紙を手にしている。それは何?

ルースが私の目の前にバンとその紙を広げた。

「結婚証明書?!!」

一気に目が覚めたわ。
私はルースからその紙を奪い取り目を凝らしてみた。

夫 ルーズローツ=ディ=サー=ザイン 
妻 シャーロレット=ディ=サー=ヴィクセレーネ

ザイン公爵様の印、ヴィクセレーネのお父様の印、国王陛下の印が押されていた。
婚姻届みたいなものだ。
「今日からシャーリーはシャーロレット=ディ=サー=ザインだよ。」
「だって今日新年初日よ!まだ朝だし!いつのまに?」
「陛下にはお願いしてあったから事前に書類は渡してあったんだ。今、陛下の印鑑が押されて戻ってきたんだ。これでシャーリーは僕の奥さんだ。」

ルースが抱きしめてくる。
ああ、やっぱりこうなるのか。
覚悟はしていたが…。

「シャーリー、これで全部僕のものだ。愛してるよ。ずっと離さない。」

ま、いいか。私はルースが好きだ。
この愛しい人が隣でずっと笑ってくれるなら幸せだ。
「シャーリー、全部僕のもの。」
ルースが頬をすりすりしてくる。
もうくすぐったい。
仕方ない。
私はルースの首に両手を回した。

「離さないでね…あなたとならずっと変わらない気持ちを持ち続けていける。ルース、愛してる。」
「シャーリー…愛してる。」

まあ、朝から甘々で盛り上がってしまい遅刻しそうになりました。まあ新婚になりますので大目に見てください。

で、今に至ります。
私は新年早々ザイン公爵家子息ルーズローツ=ディ=サー=ザインの妻の座に居座ることになった。
「大丈夫、シャーリー。君が一番綺麗だよ。ほらしっかり前向いて。」
ルースが私のこめかみにキスををした。そうだ、しっかりしろ。前向かなきゃ!

私達の前にレイクルーゼ様がいらっしゃった。
さすが今日の主役だ。
煌びやかな水色のドレス。何重にも重なったレース。
大きな宝石。極め付けは青い宝石が散りばめられたティアラ。着る人が着ると凄く煌びやかになる。
もうお似合いすぎます。
そうそう。いくら碧眼でもルースの方が青いのよね。
王太子殿下の方はどっちかというと水色に近い方。
私はやはりルースの青が好きだ。

「ザイン公爵様、並びに公爵家の皆様、新年おめでとうございます。」
「アインシュバッツ公爵令嬢。新年おめでとうございます。昨年はいろいろありがとうございました。こうしてみんなで新しい年を迎えられたのはあなたのおかげです。今年はお互い良い年になりそうですね。息子達共々よろしくお願いします。」

レイクルーゼ様はお義父さまに軽く頭を下げてから私達の方を見た。

「シャーリー、おめでとう。」
「おめでとうございます。」
「あら、いやね。まあ新年の挨拶もだけれどもあなたの友達として一番にお祝いを言いたかったのですわ。ふふっ。」

…知っているんだ…

「あ、はい!ありがとうございます。」
「ルーズローツ様、わたくしのシャーリーをよろしくお願い致しますわ。」
「新年おめでとうございます。わたくしのとは?」
「わたくしの可愛いシャーリーだからわたくしのと言ったまでですわ。」
レイクルーゼ様はルースの方を勝ち誇ったように見ていた。

ちっ…。
ルース…舌打ちはいけないわよ。

「レイクルーゼ嬢、ありがとうございます!僕のシャーリーとこれからも仲良くしてやって下さい。」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします。」
この二人割と仲がよいのかしら?やはり息ピッタリ。

今から新年の舞踏会が始まる。
周りの皆さんにはばれてしまいました。
だって、入場する際にルースの次に名前呼ばれました。
少し…あ、いや、かなりざわつきました。

しかし久しぶりにヴィクセレーネ家の家族に会えて嬉しかった。
…ずっとルースが腰に手を回してくっついていたけど。
なんかジョーカスが騒いでいたな。
しかしお父様、お母様は泣いて喜んでくれたと思ったら今度は孫の顔が見たいとか言い出した。
私の笑顔、ひきつっているの分かりますか?
「まだ僕は2人の時間を堪能したいな。申し訳ないけど義理のご両親のお願いはもう少し待ってもらってね。」
なんてルースが囁いた。
私も10代で母親したくないです。賛成です。

ようやく王族の方の登場です。
ファンファーレが鳴り響く中、陛下に続いて王妃様、レオンハルト王太子殿下がレイクルーゼ様をエスコートして入ってくる。今日の主役お二人です。

黒に水色のアクセントの入った正装を着こなす殿下。
やはり素敵です。レイクルーゼ様と見つめ合う姿…素敵すぎます!

「ここに新年の挨拶と共に王太子レオンハルトとアインシュバッツ侯爵令嬢レイクルーゼの婚約を宣言する」
国王陛下の高らかな声と共に周りから盛大な拍手が起こる。
王太子陛下とレイクルーゼ様は寄り添いあって幸せそうだ。

私も隣のルースの顔をみた。
ルースも同じように私を見た。
隣にはルースがいる。彼は笑っていつものセリフを言う。

「シャーリー可愛い。愛してる。」

ルースが後ろから抱きついてきた。
まあこんな祝いの席だ。大盤振る舞いしてあげよう。
「ルース、愛してる。」
と少し背伸びしてルースの頬にキスをした。すると、
「早く家に帰ろう。もう可愛すぎて我慢できない。」
…朝もおねだりに負けてしましたよね!
お義父様!止めてください!暴走し始めます。みんな見てます!…ってニコニコしてる。お義母様!…あ、やはりニコニコしてる。では、お義兄様…あ、無理。あかん、みんな家族だわ。
更に…お義父様…トドメは結構です。
「いやぁ、孫の顔が見れるのが早そうだな。」
「いやだわ、エドワード。自分の事棚にあげて。」
「そうだったかな?」
「あなたの息子でしょう?三年は無理だと思いますよ。」
「だな。私も三年が限界だったかな?いいかげんラリサに飽きられたからね。」
…いやいや新年早々何ですかこの会話。嫌です…。

なんとか苦手なダンスも無難にこなした。

「シャーリー、愛してる。」
また、言ってる。もう何回聞いたかしら?
肩を寄せられた。私はルースの腕にくっついた。
ルースの笑顔が私に向けられる。
この人は私を大好きなんだってわかる。

ルースが顳顬にチュッとキスをした

「シャーリー、愛してる。」
もうなんだかくすぐったい。だから私も彼に言う。
「ルース、愛してる。」
幸せしか感じない。
二人で額をコツンと合わせた。
愛しい人の笑顔が目の前にある。
それだけで幸せだ。

私はきっと彼の為に転生してきたんだ。
自惚れてるかもしれないけど彼を幸せするのは私だけ。
その為にここにいる。

ルース、私は幸せだわ。
あなたしかいらない。
私を離さないでね。
あなたの中に閉じ込めていてね。

目を閉じた。
ほら幸せのキスが降ってくる。
彼の気持ちも一緒に…。



「ルース…シャーリー…」
うっ!!王太子殿下とレイクルーゼ様が来た。
「あなた方はみんな見てる前で何をしているんですか。今ぐらいは我慢したらいかがでしょうか?」
レイクルーゼ様が少し顔を赤くして呆れていた。
「あ、いえ…」
今は私の方が絶対赤い。恥ずかしい…。
「まあ、レイチェ。新婚さんだから大目に見てあげてよ。」
「ですが…」
王太子殿下はすっとレイクルーゼ様を引き寄せ頬にキスをした。
「ねっ。まあ今日は新年のお祝いだからね。」
レイクルーゼ様は頬に手を当ててさっきより真っ赤になっていた。

兄弟だ…やっぱり兄弟だ…。

「王太子殿下、レイクルーゼ様、この度はおめでとうございます。」
ルースと私は頭を下げた。
「ありがとう。」
王太子陛下の言葉にレイクルーゼ様が続く。
「ありがとう。しかし形式ばったのはここまで。もう緊張して疲れてしまったわ。」
「なんたって壇上に上がる前は真っ青で震えてたからね。」
「バラさないで下さい。」
眩しいわ。
確かに来ている服も付けている宝石もキラキラですが本人たちが煌びやかすぎます。
これぞ絵に書いた美男美女。

「シャーリー、大丈夫ですか?疲れていませんか?」
確かに疲れている…だってあんまり良く寝させてくれないんだから。隣でニコニコしている人を恨めしそうに見る。

「レイクルーゼ様ほどではないですが、私も今日一日緊張してましたが大丈夫です。」
「そんなことないよね?疲れてるよね?早く帰ろう。」
ルースが顔を覗きこんでくる。
私の疲労の原因のお前が言うか!
大丈夫だって言ってるのに、ルースは目的がみえみえだわよ。

「そうかな?少し顔が疲れているように見えるが。ねぇレイチェそう見えないか?」
「ん、そうですね。せっかくマカロンがあるのにあまり食べていないようですね。」

あっ!私としたことがいろいろ忙しくて忘れてました。

「じゃあ、早速マカロン取りに行きます!」
「いや、待ってシャーリー。」
ガシッとレイクルーゼ様に腕を掴まれた。
ん?何だ??
「レオン様!シャーリーはマカロンを食べられないほど疲れきっているみたいですわ。どうしましょう。」
「まあ今日は王宮に泊まって行くといい。レイチェもそう思うだろ?」
「ええ!明日もまだ私達の婚約パーティーもあるし、そうね。レオン様良い考えだわ。そうしましょう?ねぇシャーリー。」
「あ、二人ともそう思いますよね?」

…みなさん…グルですか…。グルですよね!

「だって、シャーリー。そうしようよ。」
耳元でルースが囁く。
「だって今日のシャーリー可愛すぎる。本当我慢できないよ。」
いや疲れてるから休ませてよ。
殿下!レイクルーゼ様!今の聞こえたでしょう。
横向かない!聞いてないフリしない!

「シャーリー、ゆっくり休んでね。あとからマカロン持っていってもらうわね。」

優しく笑顔で手を振る殿下とレイクルーゼ様。
気の利く…気の利きすぎた方たちです。
生贄に差し出される気分です。

ドナドナ…って感じ。

ルースは耳元に何回もキスをふらせてくる。
そして何回も囁く。
「シャーリー…愛してる。」
まあいいか。
隣でルースが微笑んでいる。その笑顔があればいい。

これはゲームではない。ゲームなんて無かった。
私には何もなかったのではない。
何もしなかったのではない。私は前世の失敗したから得たものがあった。同じ間違いをしないように考えた。何とか生きていく道を探しだせた。それがこの人の手を離さないこと。この人を見失わないこと。この人を信じていくこと。そしてこの人を好きな自分を信じていくこと。

「ルース、離さないでね。わたしも離さない。ずっと抱きしめていてね。」
「大丈夫、離さないから。僕の愛しいシャーリー。」

新年のお祝いのこの日に私は愛しい人と一緒にいれる幸せを手に入れた。
あなたをずっと離さない。
だからあなたも私を離さないでね。

わたしを貴女の中にしまいこんでね。
ずっとあなたの腕に抱きしめていてね。
感想 3

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