臆病男子のゾンビ世界探検記

松田ゆさく

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第1部

1日目

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目が覚めたらそこは知らない世界でした。

あれれ?おかしいな。さっきまで部屋でネトゲやってたんだけどな。



「たかし、大丈夫か?俺の声が聞こえるか?」



銀杏いちょうくんの声が耳元で聞こえる。

さっきまでしていたはずのイヤホンマイクと同じ聞こえ方だ。



「聞こえてる。聞こえるって変な気分だ。」



「いいじゃないか。いつもより音質がクリアになってるぜ。」



これが所謂、脳に直接語り掛けてる状態か。

近くに銀杏くんの姿はないのに、声だけ聞こえてる。

少し声が大きく聞こえるな。音量調整機能がどこにあるのか実に気になる。あればいいんだけど。



銀杏くんのおかげで少し冷静になれた。

どうやらここは日本ではないらしい。

辺りは野原だ。太陽の位置はほぼ真上。所々に木や花が生えてるけど…日本の植生じゃないというか。

よく目を凝らして花を見たら、花の名前が表示された。たんぽぽ。

え?これたんぽぽなの?見たことあるたんぽぽとなんか違うよ?真っ赤だし。



「こいつは、夢でも見てるんじゃねえか?まるでゲームの中だぜ?」

「夢の可能性はあるね。ゲームのやりすぎかな。最近、君と寝ずにオープンサーバで遊んでたからなあ。夢でまで銀杏くんとゲームやってんのかぁ。」

「そうと決まったら、いろいろ遊んでみようぜ。周り超リアルだぜ。」



その前向きな姿勢、見習いたいよ。

でもそうだよね、夢の中でくらい、いいかな…

まず二人が合流してから考えよう。



「あ、豚発見。食料にしようぜ。グーでいけるだろ。ふんっふんっ」

声の向こうからドカッバキッと音が聞こえる。



【銀杏は死亡しました】



視界の端からポップアップしたコトバに戦慄した。



「銀杏くーーーーーん!!!」



早すぎる死。嘘だろ。夢なのに展開が悪すぎる!



「あぶねー、びびった。豚つよ。」



生きてた~!



「びっくりだよ銀杏くん!もっと慎重にいこうよ!っていうか死んだんじゃないの!?」



「ああ、うん、多少痛かった。夢でも痛いんだな。で、全然別のところに飛ばされたっぽい」



この世界では死んでも生き返るのか?

死なないなら、少しは安心だろうか。



僕も少し歩いてみた。ふむ。都会と比べて空気が澄んでるなあ。空も高いし、コンビニとか無いんだろうな。そう考えると、なんだかそれだけでお腹すいてきたな。



おや?人影が見える。第一村人発見だ。声をかけてみよう。



「こんにちわ~!いい天気ですね~!」



くるッ!

ぎぇえええええええい!



わあああああ、目が飛び出てる!腕ドロドロだ~!( ゚Д゚)

こっちめがけて近寄ってくる!



「ゾンビだ!ゾンビがいるよ~!」

「おお、豚の次はゾンビと遭遇か。こっちも遠目にハイテンションで踊ってるやつが見える。つまりそいつもゾンビってことだな。」



僕はその場からダッシュで逃げた。生きてきた中でこれほどのスピードで走ったことはないくらいで走った。走り疲れて後ろを振り返ると、追っては来てないみたいだった。



「銀杏くん、ここやばくない?」

「やばいね~、この夢。どうやらここはゾンビな世界みたいだね~。」



銀杏くんは楽しんでいる!ゾンビだよゾンビ!怖くないの!?



「死なないから大丈夫だろう。むしろどんどん倒そうぜ。武器とか探そう。」



だめだ。銀杏くんは、完全にゲーム脳だ。殺る気でいる。

早く合流したい。なんなんだこの世界。こわっ。早く目が覚めないかなあ。



「今、銀杏くんはどこにいるの?」

「こっちはなんか砂漠だぜ?さっきから暑くて仕方ねえ。」



え?砂漠?どれだけ離れているんだろう。



「よくわからん世界だ。今、砂漠と野原の境目にいるんだ。」



そんなことある?



「ゲームだからアリなんだろう?そんなことより視界の左上を見てみろ。」



左上?



「パーティ組める機能があるみたいだぜ?組んでおこうぜ?」



組むよぉ!組む組む><



視界左上のメール風のアイコンに集中するとピコンと音が鳴って



【パーティが承認されました】



銀杏 76/100 ↑3.4㎞



僕もたいがい、ゲーム脳だ。

これが銀杏くんの残り体力と距離だということがわかった。



3.4kmもあるのかあ。遠いなあ。



日はもう落ちていた。辺りはもう真っ暗だ。

待って。街灯とかないからホントに真っ暗なんだけど!

こわ!なんも見えねえ!



「視界の下のバーに松明があるだろ。それ使え。」



さすが銀杏くん!頼りになる!

僕はすぐさま松明を持った。



ぎぃえええええええ!



灯りをつけた途端、ゾンビさん登場!今度は女の人っぽいモノ。

またも逃げる。

待って、さっきよりゾンビさんの足が速い!



「夜は走れるみたいだな。気をつけろ」



早く言ってえええええ。

叫びながらガチ逃げする。

この夢はいつ終わるのか。




二日目へつづく



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