臆病男子のゾンビ世界探検記

松田ゆさく

文字の大きさ
9 / 20
第1部

9日目

しおりを挟む
ギルの遺した3人を、このままにはしていけない。

コトミの住処では手狭なので、こちらの教会に引っ越すことにした。

引っ越しの作業中、3匹の恐竜を見るのは僕の役割になった。

一番上がシュウ。たぶん7歳の男児。茶髪に黒い目。普段の聞き分けはいいが、少し気が弱いところがあるようだ。
二番目がレナ。たぶん6歳の女児。金髪に燃えるような赤い目だ。3人のリーダーのように気を強く持っている。そしてよく喋る。
三番目がツキ。たぶん5歳の男児。赤髪に緑の目。これが言うことを聞かない。フリーダムだ。

「なあ、たかしにいちゃん。コトミと付き合ってるのは二人のうちどっちだ?」

レナめ!なんてマセたことを。
まだコトミと出会って1週間も経ってねえっつの。

「にいちゃん、コトミに惚れてんだろ?言っちまえよ。ぜってェ、まんざらじゃねえって。」

そ、そうかな?いやいや、そういう気持ち持ってないから!

「ヒュー、お兄さん、赤くなってるね。」

シュウも面白がって乗ってきた。

「イエーイ!赤くなってる!赤くなってる!ウエーイ」

ツキは猿だ!さっきから奇声ばっかり上げている。

うるさいよ!3人とも!はやく缶詰食べちゃってよ!片付かないじゃん!

「しょうがねえなあ、にいちゃん、アタシが貰ってやるよ。」

何をだよ。

「察しが悪いなア。アタシの旦那にしてやるって言ってんだよ。」

わお、プロポーズされちゃった。

「死ぬまでこき使ってやるから覚悟しろよ?旦那。」

違うこれ。奴隷契約だ。
こらシュウ、隠れて笑ってるんじゃありません。

「ぎぃえええええええ!」

やめろツキ!ゾンビの声真似なんてするんじゃありません!

「ずいぶん懐かれてるじゃないか。」

銀杏の通信だ。
いや、これ、懐かれてんじゃなくて、おもちゃにされてるだけだよ…。で、どうしたの?

「朗報だ。コトミの畑をどうするか考えてたら、スキルがあった。道具なしに畑が作れて、種があれば埋めるだけで成長するみたいだ。水もいらん。」

種はあるの?

「じゃがいもと、とうもろこし、キュウリにキャベツ。これで3日ごとに収穫できるみたいだ」

なんじゃそりゃ!ほんとにゲームみたいだな。3日て!コトミの努力の畑が一瞬にして出来てしまうなんて!

「コトミは、便利ならいいってよ。」

3日で収穫かあ。ちゃんと食えるのかなぁ?味としてはどうなんだろうなぁ?

これで食料問題は解決したと言ってもいい。缶詰ばかりの毎日にサヨナラだ。

「あとは、料理スキルがあれば完璧なんだが、どうも俺じゃとれないらしい。スキルポイントは余ってるけど、料理アイコンは暗いままだ」

ふむ。取れる人が限定されてるのか…?
あれ?僕取れるみたいだよ。とっちゃうね。

これでコーヒーや茶、果実ジュース、ステーキ、肉や野菜の水炊きなどができるようになった。
便利って素晴らしい。

「料理ができる夫って良いじゃないか。」

こら、銀杏くんまでレナの話に乗るんじゃない!

「ははは、元気そうでよかった。ギルを殺したこと、気にしてると思ってたぜ。」

…。気にしてるよ。
でも、三人のお世話はそれ以上に忙しいよ!?
3人とも、死んだらゾンビになることだって心配してる。
ギルが出来なかったこいつらの成長を見守ってやんないと。

夜になると、三人が僕の寝所に潜り込んできた。
こいつらだって不安なんだろう。

「なぁ、旦那。ギルはかえってくるかな?」

レナ…。ごめん、言えない。

「旦那が代わりになってくれんのかよ。」

うん。できるだけ頑張るよ。

だから今日はおやすみ。
きっと君たちは僕が守ってみせる。

おやすみなさい


続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...