狂━クルイ━

狩野 理穂

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消失

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「彩香!大丈夫なの!?」
 目が覚めると目の前にママがいた。
「えっと……ゴメン。何が起きたの?」
 ママの話によると、私は授業中に肩から血を流して倒れたらしい。
「お医者さんは、普通はこんな所から血が出るわけないって言ってたけど……」
 でも、血が出てる。それは事実だ。
「意識が戻ったら退院していいらしいから、ママ、もう行くね」
 帰り支度をして病室から出ようとするママ。最後に、私は声をかける。
「ねえ、ひとつ聞いていい?どうして?」


 病院を出た私は、学校に向かった。今日は木曜日。狂部屋が出ているはず。
 3組と4組の間━━いつもの場所に狂部屋のドアは無かった。
「なんで……なんでよ……!」
 この間、人が来た時間よりも早いのに!なんでないの!
「狂部屋は……消えた」
 背後から男の声が聞こえた。真っ黒のコートを羽織って革靴を履いている。厨二病か?
「そんなにも狂部屋が愛おしいのなら、
 そんな言葉を聞いた時、私の中で何かが切れた。


━━狂部屋が消えたのなら、自分で狂部屋を作ればいい。
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