DREAM DAYS

ドリーム？リアル？

アナザー

「まず『君』だと呼びづらいから、名前をつけたいんだが、いいか？」
━━オ好キナヨウニ、ドウゾ。
「それなら……アナザーでどうだ？」
━━フム。悪クナイ。トコロデ、ドウシテ直グ二落チ着イテクレタンダイ。君ハ大分興奮シテイタヨウダガ。
「アナザーのせいだよ。このままだったら、ろくに動けないしね。とりあえず話を聞くだけでもしよう、と」
━━ナルホドネ。デハ訊クガ、君ハ本当ニ吉沢ガ死ンダト思ウノカイ？
「何を言っているんだ。母さんが言っていただろう」
━━ダガ、君ハ自分ノ目デ見タワケジャナイダロウ。
「母さんが嘘をついてなんの得がある」
━━ナルホド……一理アルナ。タガ、ドッキリトイウ可能性ガアル。
「お前、そんなひねくれた考えしか出来ないなんて、育ちが悪いのか？」
━━サッキモ言ッタダロウ。私ト君ハ人格コソ違エド同ジ人生ヲ送ッテイルノダヨ。
「そうかもしれないけど……」
━━無駄ナ話デ時間ヲ使ッテシマッタナ。サテ、本題ニ入ロウ。君ハ、ココガ現実ダト思ウカネ？
「現実に決まってるだろ。こんなにリアルなんだから」
━━私ハ君ノ意識ダ。ソンナモノトコンナニ話セルノハ、夢ダト考エナイノカ。
「確かにな……」
━━結果ヲ端的ニ言ウト、コレハ君ノ夢ダ。実際ニ見テイナイ光景ヲ憶エテイルダロウ。
　そう言われて初めて気づいた。謎の男も、死んだヨッシーも、実際には見てもいないのに鮮明に覚えている。
「ひとつ聞くが、この光景は僕の夢なのか？」
━━正確ニ言エバ、君ガ以前見タ夢ダ。ソシテ、私ガ見セタ夢デモアル。
「アナザーは……本当に僕の別人格なのか？」
━━アア。ソウダ。ダガ、私ノ意識ハ非常ニ弱ク、表ニ出ルコトハ無イ。
「そう……だったのか」
━━残念ダ。話シタイ事ヲ話ス前ニ朝ガ来テシマッタ。モウ、コンナ夢ヲ見ルコトハ無イダロウ。デモ、私ハ常ニ君ト━━
　目の前が真っ白になる。

　僕は布団から起き上がり、カーテンを開ける。不思議と、気分がスッキリしている。
　━━よし。アナザーとの会話は覚えている。
　アナザーが何を言いたかったかは分からない。それでも、僕は自分に出来ることをする。そして、アナザーが僕に見せた夢の真意を暴いてやる。
　待っていろ、アナザー。