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解明
真相
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私は、昔から東京に行きたかった。でも、そんなお金はない。
「お母さん、ちょっとだけお金貸して」
何度交渉しただろう。しかし、無駄だった。
「何言ってるの。そんなに東京行きたいんだったら、勉強して東大行きなさい」
もちろん、そんなこと不可能だ。
ある日、天啓のように思いついた。
お金が無いなら、稼げばいい。校則でバイトはできないけど、お金の稼ぎ方と自転車の直し方なら知っている。
私は空き地で、自転車整備を仕事にした。
最初の方こそ誰も来ないものの、1台直せば評判は広がる。少しずつではあれ、お金は溜まっていった。
女子高生が毎日空き地に行っていたら、不審に思われる。自転車整備屋は、毎月12~15日に開くことにした。
さらに、自転車の壊れた部品を持って帰れば親に仕事がバレる。油で光る部品は顧客に渡した。
「ばいくとるねーど!」
「じてんしゃびーむ!」
子供たちが反射板で遊んでいた12日の午後、事件が起きた。
カラスだ。以前から目をつけていたんだろう。小さな人間が持っている、光る何かを狙ったカラスがやってきた。
案の定、カラスは子供たちを襲い始めた。それに気づいた私は、カラスを追い払った。
私は必死だった。……そして、悲しかった。
何が悲しかったか━━私は、子供たちを守るためではなく、子供たちの怪我で、仕事がバレないようにするため、子供たちを守ろうとしたのだ。
1年の子を残して、あとは一掃した。
最後の一羽に突きを出そうとした途端、視界になにかが飛び込んできた。吉沢くんだ。
突きの勢いは強く、逃げたカラスの代わりに吉沢くんに突きが当たっていた。
「……ぐっ」
呻き声で正気に戻った。
目の前には、プラスドライバーが刺さった吉沢くんが倒れていた。
辺りを見ると、腕や肩から血を流した子供たちがいた。
私はドライバーを持ちながらカラスを追い払っていたんだ。
━━それでも、素性が割れていたならいい。見つかってもいいように、私は男装していた。
急に怖くなって、証拠隠滅を図ったけど……裏目に出たみたい。
それが、この事件の全て━━
そうだったのか……
姉貴がやったと思っていたが、本人の口から聞くと、やはり衝撃だ。でも……
「よかったよ。姉貴が悪人じゃなくて」
姉貴がみんなを傷つけたのは事実。それでも、悪意があってやったわけじゃない。それどころか助けようとして行動しただけだ。
「警察に出さないの?」
姉貴が訊いてくるが、僕は首を横に振る。
「この国では、姉貴は『悪』だろう。でも、この町では姉貴は『自転車屋さん』だよ」
━━これで、この事件は終わった。今はまだザワついてるけど、いつかは落ち着くだろう。
姉貴は自転車の整備を辞め、母さんに交渉をしている。成功する日は来るのだろうか……
「お母さん、ちょっとだけお金貸して」
何度交渉しただろう。しかし、無駄だった。
「何言ってるの。そんなに東京行きたいんだったら、勉強して東大行きなさい」
もちろん、そんなこと不可能だ。
ある日、天啓のように思いついた。
お金が無いなら、稼げばいい。校則でバイトはできないけど、お金の稼ぎ方と自転車の直し方なら知っている。
私は空き地で、自転車整備を仕事にした。
最初の方こそ誰も来ないものの、1台直せば評判は広がる。少しずつではあれ、お金は溜まっていった。
女子高生が毎日空き地に行っていたら、不審に思われる。自転車整備屋は、毎月12~15日に開くことにした。
さらに、自転車の壊れた部品を持って帰れば親に仕事がバレる。油で光る部品は顧客に渡した。
「ばいくとるねーど!」
「じてんしゃびーむ!」
子供たちが反射板で遊んでいた12日の午後、事件が起きた。
カラスだ。以前から目をつけていたんだろう。小さな人間が持っている、光る何かを狙ったカラスがやってきた。
案の定、カラスは子供たちを襲い始めた。それに気づいた私は、カラスを追い払った。
私は必死だった。……そして、悲しかった。
何が悲しかったか━━私は、子供たちを守るためではなく、子供たちの怪我で、仕事がバレないようにするため、子供たちを守ろうとしたのだ。
1年の子を残して、あとは一掃した。
最後の一羽に突きを出そうとした途端、視界になにかが飛び込んできた。吉沢くんだ。
突きの勢いは強く、逃げたカラスの代わりに吉沢くんに突きが当たっていた。
「……ぐっ」
呻き声で正気に戻った。
目の前には、プラスドライバーが刺さった吉沢くんが倒れていた。
辺りを見ると、腕や肩から血を流した子供たちがいた。
私はドライバーを持ちながらカラスを追い払っていたんだ。
━━それでも、素性が割れていたならいい。見つかってもいいように、私は男装していた。
急に怖くなって、証拠隠滅を図ったけど……裏目に出たみたい。
それが、この事件の全て━━
そうだったのか……
姉貴がやったと思っていたが、本人の口から聞くと、やはり衝撃だ。でも……
「よかったよ。姉貴が悪人じゃなくて」
姉貴がみんなを傷つけたのは事実。それでも、悪意があってやったわけじゃない。それどころか助けようとして行動しただけだ。
「警察に出さないの?」
姉貴が訊いてくるが、僕は首を横に振る。
「この国では、姉貴は『悪』だろう。でも、この町では姉貴は『自転車屋さん』だよ」
━━これで、この事件は終わった。今はまだザワついてるけど、いつかは落ち着くだろう。
姉貴は自転車の整備を辞め、母さんに交渉をしている。成功する日は来るのだろうか……
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