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OLYMPUS QUEST Ⅱ ~原初の神々~
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そんな過去があったのか……
あれ?一つだけ引っかかる。
「今の話だと、冥界には来られないはずですが、どうやってここに?」
「カオスです」
俺の質問に、イザナミは即答した。
「恐らく、貴方は彼らに、カオスを殺せとでも言われたのでしょう。しかし、それは違います。カオスは善き協力者であり、世界の波長を乱しているのはニュクスなのです」
ニュクスは冥界から神器を奪った。もちろん世界には大きな影響があるだろう。それが、悪しき存在になっている。イザナミはそう考えているのだ。
「聖杯が持っている力は、恐らく他のどれよりも強いでしょう」
「確か、力を圧縮できるとか……」
「ニュクスがそう言ったのですか。あながち間違ってないですが、厳密には違います」
そうか……力を圧縮出来たらなんとかなるかと思ったのに、残念だ。
「聖杯を使えば、神のコピーを作れるのです」
「は?」
おっと。率直な感想が出てしまった。
「すみません。少し間違えました。神のみならず、生物も、無生物も、その一部を聖杯に入れるだけでコピーが出来ます」
なんだよ……そのマジックアイテム。
「で、その聖杯はどこにあるんですか?」
俺はイザナミに訊いてみた。聖杯の効果がわかっても、手に入れないと意味が無い。
「聖杯は、私の城にあります」
「それでは、今すぐ行きましょう!」
「残念ながら、それは不可能です」
まさか……ここまで来て、そんな終わり方ないだろ……
「私がカオスと契約した範囲は、ここの周辺のみです。とても城までは届きません」
「…………」
「ニュクスからは手を引くことをお勧めします。それでは、お元気で」
「…………」
信頼していたニュクスやヘーメラに裏切られ、イザナミにも打つ手は無い。本当に終わりなのか……?
「待ちたまえ。エンディングにはまだ早いよ」
死の暗闇から、声と足音が聞こえた。どうやら、ここに向かっているようだ。
イザナミを見ると、声のした方を信じられないとでも言うように見つめている。
「この声は──イザナギ?」
イザナギ!ニュクスに敗れて死んだんじゃないのか!
「やあ、待たせたね。聖杯は護り通したよ」
小さな皿のようなものを持った神が出てきた。この人がイザナギ……
「イザナギ!貴方は死んだのではないのですか?」
「イザナミ。君は身をもって知っているはずだ。私は生の加護があるのだよ」
「そういえば、あなたが会いに来た時も運よく岩が落ちてきましたね」
「その話はよしてくれよ。少し後ろめたく思っているんだ」
イザナミとイザナギが感動の再会を果たす。
「さて、ルーシュくん」
イザナギが話しかけてきた。
「きみは、この聖杯を欲しがっているようだね。今なら、ちょっとした条件で聖杯と僕の力をあげよう」
「その条件は?」
「ニュクスを殺してくれ」
イザナギの目が暗く光る。
「必ずニュクスを殺し、彼女を解放してくれ。生半可じゃダメだ。殺すんだ」
強い殺意を感じる……とても悲しい殺意だ。
「コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコワロセコロセ」
怖い。今までも怖い経験をしてきたけど、いま初めて本物の恐怖を感じている。
その時、目の端でイザナミが動いた。
背後からイザナギに忍び寄り、聖杯を奪う。不規則に動く腕に短刀の刃を入れ、血液を聖杯に採る。川の流れのようにスムーズな動きだ。
「これは、イザナギのコピーです。これを貴方が飲めば、イザナギの特性である『不滅』を使えるようになるでしょう」
不滅……それで、ニュクスとの戦いで生き抜いたのか。
「私は此処で、イザナギと待っています。彼の目的は私を解放すること。ニュクスを殺さずとも、契約を解いてください」
俺は左胸に手を当てる。
「分かりました。必ずニュクスを倒しましょう」
聖杯を傾ける。
口、喉元と焼けるように熱くなる。感覚としては、正に不滅。今なら何をされても大丈夫な気がする。
「地上は奴らの管轄下です。悟られないように気をつけてください」
イザナミの言葉が遠くで聴こえる。俺はいま、生き返る──
俺は目を開ける。大きい窓から入ってくる光が眩しい。どうやら、無事に還ってこれたようだ。
全身に漲る力を感じる。ここからは、ガイアやニュクスとの騙し合いだ。いかに相手を、なにより自分を騙せるかが勝敗を分ける。
幸いにも、俺は嘘をつくのが得意だ。
ハルピュイアに、ヘラに、ニュクス。俺は今まで追われる側だった。だが、これからは俺が追い詰めてやる。
待っていろ、ガイア。
あれ?一つだけ引っかかる。
「今の話だと、冥界には来られないはずですが、どうやってここに?」
「カオスです」
俺の質問に、イザナミは即答した。
「恐らく、貴方は彼らに、カオスを殺せとでも言われたのでしょう。しかし、それは違います。カオスは善き協力者であり、世界の波長を乱しているのはニュクスなのです」
ニュクスは冥界から神器を奪った。もちろん世界には大きな影響があるだろう。それが、悪しき存在になっている。イザナミはそう考えているのだ。
「聖杯が持っている力は、恐らく他のどれよりも強いでしょう」
「確か、力を圧縮できるとか……」
「ニュクスがそう言ったのですか。あながち間違ってないですが、厳密には違います」
そうか……力を圧縮出来たらなんとかなるかと思ったのに、残念だ。
「聖杯を使えば、神のコピーを作れるのです」
「は?」
おっと。率直な感想が出てしまった。
「すみません。少し間違えました。神のみならず、生物も、無生物も、その一部を聖杯に入れるだけでコピーが出来ます」
なんだよ……そのマジックアイテム。
「で、その聖杯はどこにあるんですか?」
俺はイザナミに訊いてみた。聖杯の効果がわかっても、手に入れないと意味が無い。
「聖杯は、私の城にあります」
「それでは、今すぐ行きましょう!」
「残念ながら、それは不可能です」
まさか……ここまで来て、そんな終わり方ないだろ……
「私がカオスと契約した範囲は、ここの周辺のみです。とても城までは届きません」
「…………」
「ニュクスからは手を引くことをお勧めします。それでは、お元気で」
「…………」
信頼していたニュクスやヘーメラに裏切られ、イザナミにも打つ手は無い。本当に終わりなのか……?
「待ちたまえ。エンディングにはまだ早いよ」
死の暗闇から、声と足音が聞こえた。どうやら、ここに向かっているようだ。
イザナミを見ると、声のした方を信じられないとでも言うように見つめている。
「この声は──イザナギ?」
イザナギ!ニュクスに敗れて死んだんじゃないのか!
「やあ、待たせたね。聖杯は護り通したよ」
小さな皿のようなものを持った神が出てきた。この人がイザナギ……
「イザナギ!貴方は死んだのではないのですか?」
「イザナミ。君は身をもって知っているはずだ。私は生の加護があるのだよ」
「そういえば、あなたが会いに来た時も運よく岩が落ちてきましたね」
「その話はよしてくれよ。少し後ろめたく思っているんだ」
イザナミとイザナギが感動の再会を果たす。
「さて、ルーシュくん」
イザナギが話しかけてきた。
「きみは、この聖杯を欲しがっているようだね。今なら、ちょっとした条件で聖杯と僕の力をあげよう」
「その条件は?」
「ニュクスを殺してくれ」
イザナギの目が暗く光る。
「必ずニュクスを殺し、彼女を解放してくれ。生半可じゃダメだ。殺すんだ」
強い殺意を感じる……とても悲しい殺意だ。
「コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコワロセコロセ」
怖い。今までも怖い経験をしてきたけど、いま初めて本物の恐怖を感じている。
その時、目の端でイザナミが動いた。
背後からイザナギに忍び寄り、聖杯を奪う。不規則に動く腕に短刀の刃を入れ、血液を聖杯に採る。川の流れのようにスムーズな動きだ。
「これは、イザナギのコピーです。これを貴方が飲めば、イザナギの特性である『不滅』を使えるようになるでしょう」
不滅……それで、ニュクスとの戦いで生き抜いたのか。
「私は此処で、イザナギと待っています。彼の目的は私を解放すること。ニュクスを殺さずとも、契約を解いてください」
俺は左胸に手を当てる。
「分かりました。必ずニュクスを倒しましょう」
聖杯を傾ける。
口、喉元と焼けるように熱くなる。感覚としては、正に不滅。今なら何をされても大丈夫な気がする。
「地上は奴らの管轄下です。悟られないように気をつけてください」
イザナミの言葉が遠くで聴こえる。俺はいま、生き返る──
俺は目を開ける。大きい窓から入ってくる光が眩しい。どうやら、無事に還ってこれたようだ。
全身に漲る力を感じる。ここからは、ガイアやニュクスとの騙し合いだ。いかに相手を、なにより自分を騙せるかが勝敗を分ける。
幸いにも、俺は嘘をつくのが得意だ。
ハルピュイアに、ヘラに、ニュクス。俺は今まで追われる側だった。だが、これからは俺が追い詰めてやる。
待っていろ、ガイア。
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