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OLYMPUS QUEST Ⅱ ~原初の神々~
死闘
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ケラウノスに導かれるよう、俺は自由落下の速度を超えて落ちてゆく。
神界を飛び出してから数秒後──ユピテリアの姿が見えてきた頃からケラウノスは速度を落とし、俺はふわりと故郷の地に降り立った。
「ルーシュ!」
友人のサルミの声がした。野良仕事を終えて帰る途中だったのだろう。鍬をかついでいる。
「村長を──皆を集めてくれ」
俺はサルミに頼んだ。
太陽が丘の向こうに沈み、ユピテリアに夜の帳が落ちた。
「我が忠実なる下僕よ。よくぞ失態を犯してくれたな」
ニュクスだ。夜の闇に紛れ、姿を見ることは出来ないが間違いない。
「ニュクス。いい加減、三文芝居はやめたらどうだ」
「……イザナミか」
ニュクスの口調が変わった。次第に黒マントを纏った男が姿を見せる。
「これだから女は嫌なのだ。素直に相討ちしてくれれば良いものを──」
ニュクスが右手を前に出す。何かが握られているようだが、あれは──拳銃?
まったく……世知辛い世の中だ。最近は原初の神でさえ銃を使うのか?
パン!
なんの前触れもなく、ニュクスが引き金を引いた。
俺の心臓に八ミリの穴が開く。
熱い。痛い。全身を駆け巡る液体が小さな穴から飛び出ていく。
「……………………」
誰かが何かを言っているようだが、それを聞き取る力など残っていない。
ああ……もう、眠いや……
俺が目を開けると、そこはオリンポスによく似た宮殿の前だった。
「起きたか、小僧」
急にハデスが現れた。
「荒野に倒れていたお前を運命の三姉妹が俺のところに運んできた。どうやらお前は死んでいないらしいな」
イザナギの能力だ。ただ、それでも冥界に来てしまうほどのダメージは受けているようだ。
俺は、ハデスに地上の出来事を話した。
「そうか。道理でケルベロスが騒いでいるはずだ」
ニュクスの影響は冥界にも及んでいたのか……
「仕方がない。このままだとこっちにも不利益だ。お前に闇の軍勢を貸そう」
ハデスの『闇の軍勢』!聞いたことしかないが、アンデッドの集団で、狙った獲物は何としても殺すとのこと。そんなのが味方になれば、百人力だ。
「ただし、一つだけ条件がある」
ハデスが指を一本伸ばす。
「必ず勝て」
次の瞬間、俺はユピテリアの地に立っていた。
「何故だ!何故死んでいない!」
どうやら、ニュクスは俺が死んだと思っていたようだ。まあ、あたりまえか。
「あの銃弾は夜の闇を結晶化したもの。掠っただけでも生命力を吸い取る代物だ!生きていられるはずがない!」
ニュクスが再び銃を構える。だが、それは無駄なことだ。俺にはハデスがついているからな。
ニュクスが一、二発と射撃をする。それらは確実に俺の心臓を狙い、刻一刻と近づいてくる。
ニュクスが勝利を確信し、薄い笑みを浮かべた途端、二つの銃弾が消滅した。いや、銃弾を受け止めたモノがいた。
「アンデッド!」
俺の声に応えるよう、次々とゾンビの集団が湧く。
ゾンビ──アンデッドは、死なない。つまり常に生きていないか常に生きている状態なのだ。もしも後者だった場合、ニュクスの銃弾で吸い取る生命力に果てはない!
……ニュクスが手を止めた。拳銃を黒マントの中にしまい、呪文を唱える。次第に形作られるもの──あれは、サブマシンガン?
「まさか……」
ニュクスがニヤリとわらう。
「闇の軍勢は厄介だが、無限ではないだろう。ここからは持久戦だ」
目で追えない程の速さでアンデッドが消滅する。
ヤバい。このままだと、確実に負ける。
一分もしないうちに、全てのアンデッドが消えた。
「さあ、お前の持ち駒はなくなった。降伏するなら今のうちだ」
クソ……まさか、ここまで力に差があったとは。
本当は使いたくなかった方法だが、仕方がない。この方法を使わないと皆を守ることができない。
ただ、これを使うと皆を巻き込むことになる。
「時間切れだ」
ニュクスがサブマシンガンを構える。
ダメだ。もうこれ以外に方法がない。皆には悪いが、時間がない!
「メイさん!」
メイさんの物体浮遊によって空高くに維持されていたケラウノスがニュクスに向かって降下する。
「神器開放!」
神器解放──ケラウノスの真の力を放出した巨大な雷がニュクスを包み、ユピテリアが真昼のように明るくなる。
いないと思っていた仲間、死角に隠された神器、天変地異も起こせそうな落雷。それらは神を殺すに足る威力を持っていた。
雷霆が矛を収めた後、そこには一枚の黒い布のみが残されていた。
夜が、明ける。
神界を飛び出してから数秒後──ユピテリアの姿が見えてきた頃からケラウノスは速度を落とし、俺はふわりと故郷の地に降り立った。
「ルーシュ!」
友人のサルミの声がした。野良仕事を終えて帰る途中だったのだろう。鍬をかついでいる。
「村長を──皆を集めてくれ」
俺はサルミに頼んだ。
太陽が丘の向こうに沈み、ユピテリアに夜の帳が落ちた。
「我が忠実なる下僕よ。よくぞ失態を犯してくれたな」
ニュクスだ。夜の闇に紛れ、姿を見ることは出来ないが間違いない。
「ニュクス。いい加減、三文芝居はやめたらどうだ」
「……イザナミか」
ニュクスの口調が変わった。次第に黒マントを纏った男が姿を見せる。
「これだから女は嫌なのだ。素直に相討ちしてくれれば良いものを──」
ニュクスが右手を前に出す。何かが握られているようだが、あれは──拳銃?
まったく……世知辛い世の中だ。最近は原初の神でさえ銃を使うのか?
パン!
なんの前触れもなく、ニュクスが引き金を引いた。
俺の心臓に八ミリの穴が開く。
熱い。痛い。全身を駆け巡る液体が小さな穴から飛び出ていく。
「……………………」
誰かが何かを言っているようだが、それを聞き取る力など残っていない。
ああ……もう、眠いや……
俺が目を開けると、そこはオリンポスによく似た宮殿の前だった。
「起きたか、小僧」
急にハデスが現れた。
「荒野に倒れていたお前を運命の三姉妹が俺のところに運んできた。どうやらお前は死んでいないらしいな」
イザナギの能力だ。ただ、それでも冥界に来てしまうほどのダメージは受けているようだ。
俺は、ハデスに地上の出来事を話した。
「そうか。道理でケルベロスが騒いでいるはずだ」
ニュクスの影響は冥界にも及んでいたのか……
「仕方がない。このままだとこっちにも不利益だ。お前に闇の軍勢を貸そう」
ハデスの『闇の軍勢』!聞いたことしかないが、アンデッドの集団で、狙った獲物は何としても殺すとのこと。そんなのが味方になれば、百人力だ。
「ただし、一つだけ条件がある」
ハデスが指を一本伸ばす。
「必ず勝て」
次の瞬間、俺はユピテリアの地に立っていた。
「何故だ!何故死んでいない!」
どうやら、ニュクスは俺が死んだと思っていたようだ。まあ、あたりまえか。
「あの銃弾は夜の闇を結晶化したもの。掠っただけでも生命力を吸い取る代物だ!生きていられるはずがない!」
ニュクスが再び銃を構える。だが、それは無駄なことだ。俺にはハデスがついているからな。
ニュクスが一、二発と射撃をする。それらは確実に俺の心臓を狙い、刻一刻と近づいてくる。
ニュクスが勝利を確信し、薄い笑みを浮かべた途端、二つの銃弾が消滅した。いや、銃弾を受け止めたモノがいた。
「アンデッド!」
俺の声に応えるよう、次々とゾンビの集団が湧く。
ゾンビ──アンデッドは、死なない。つまり常に生きていないか常に生きている状態なのだ。もしも後者だった場合、ニュクスの銃弾で吸い取る生命力に果てはない!
……ニュクスが手を止めた。拳銃を黒マントの中にしまい、呪文を唱える。次第に形作られるもの──あれは、サブマシンガン?
「まさか……」
ニュクスがニヤリとわらう。
「闇の軍勢は厄介だが、無限ではないだろう。ここからは持久戦だ」
目で追えない程の速さでアンデッドが消滅する。
ヤバい。このままだと、確実に負ける。
一分もしないうちに、全てのアンデッドが消えた。
「さあ、お前の持ち駒はなくなった。降伏するなら今のうちだ」
クソ……まさか、ここまで力に差があったとは。
本当は使いたくなかった方法だが、仕方がない。この方法を使わないと皆を守ることができない。
ただ、これを使うと皆を巻き込むことになる。
「時間切れだ」
ニュクスがサブマシンガンを構える。
ダメだ。もうこれ以外に方法がない。皆には悪いが、時間がない!
「メイさん!」
メイさんの物体浮遊によって空高くに維持されていたケラウノスがニュクスに向かって降下する。
「神器開放!」
神器解放──ケラウノスの真の力を放出した巨大な雷がニュクスを包み、ユピテリアが真昼のように明るくなる。
いないと思っていた仲間、死角に隠された神器、天変地異も起こせそうな落雷。それらは神を殺すに足る威力を持っていた。
雷霆が矛を収めた後、そこには一枚の黒い布のみが残されていた。
夜が、明ける。
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