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OLYMPUS QUEST Ⅲ ~神々の復活~
異変
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やあ、俺の名前は立原響。友達からは「響」って呼ばれている。そのまんまだな。
まあ、そんなことはどうでもいい。いま読んでもらってるこれは、俺の手記だ。何のって?俺が実際に体験した不思議な話の、さ。
始まりはいつだったか……確か、半年前の夏の日──
俺が愛するものはそこまで多くもない。猫、マンガ、きのこ型のチョコ(悪いな。たけのこ派じゃないんだ)。あとは、平穏な生活くらいか。
だが、よく考えてみて欲しい。平穏なんてものは長続きしない。
だって、そうだろう。世界は常に廻っているんだ。
さて、なんでこんなことを話しているのか疑問に思っていることだろう。
端的に言うと、俺は今、人生最大(という程でもない)葛藤と戦っている。
もう少し具体的に話そうか。現在時刻は20時を過ぎたくらい。ちょうど部活が終わって帰るところだ。そして、目の前には小さめのダンボール箱。蓋は閉じているが、「拾ってください」という文字と中から聞こえるニイニイという鳴き声が、中に入っているものを示唆している。
「子猫……だよな」
ご名答とばかりに箱の蓋が開き、綺麗な白い毛をもった子猫が姿を見せる。
俺は、猫が好きだ。ペットショップでも1時間は眺めてられる。だが、今までの16年間で猫に触れたことは1度もない。母が喘息持ちなのだ。
故に、家に持って帰るわけにも行かない。だったらこの猫はどうしよう。初雪はまだだけど夜は冷える。
さて、どうしたものか──
トゥルルル……ガチャ
『もしもし、響。今大丈夫か?』
電話だ。画面に表示される名前を見ると、『中野晴』の文字。
彼はクラスメイトで、入学式の日に電話番号を交換していた。自己紹介によると、両親は生きているが別居中だという。つまりは一人暮らしなわけだ。あと猫好きとも言っていたか……。
──そうだ。いいことを思いついた。
「俺も用があったんだ。これからお前の家に行ってもいいか?」
晴の家は、ボロアパートの一室だった。
「さあ、気にせず上がれよ」
「お……おう」
俺は子猫の入ったダンボール箱を傍に置き、辺りを見渡した。
うん。外見に似つかず、意外と部屋の中は綺麗だ。
ちゃんと自炊をしているようでカップ麺とかも無いし、洗い物も溜まっていない。
「あんまりジロジロ見ないでくれよ。──ところで、その箱はなんだい?」
「ああ、これはな……猫だ」
「は?」
うん。予想通りの反応。
そりゃそうだろう。何か箱を持っていると思ったら、それが猫なんだから。
「さっき拾ったんだけど、うちでは飼えないから。中野が飼ってくれないかと思ってな」
「それはいいけど……俺も暮らしが楽なわけじゃないんだぜ」
「それは申し訳ないと思うよ。でも、猫も見捨てられないだろ!餌なら俺も少しは買ってきてやるから!」
「それなら……そうだな!俺が引き取ってやろう!」
無料で、しかも保護という名目で猫を飼いことができる興奮のあまり、俺と中野はいつの間にか立ち上がっていた。
「よし……少し落ち着こう。ところで、まだお前に当の猫を見せてなかったな。あれは一目惚れするぞ」
「それは楽しみだな。早く見せてくれよ」
俺は、勢いよくダンボールを開ける。
中野も感動してくれるはず!──そう思っていたのに、中野は首をかしげている。
「おい、猫はどこだ?どこにもいないぞ」
「そんなわけ──!!」
箱の中に白い子猫の姿はなく、底に何かの跡があるだけだった。
まあ、そんなことはどうでもいい。いま読んでもらってるこれは、俺の手記だ。何のって?俺が実際に体験した不思議な話の、さ。
始まりはいつだったか……確か、半年前の夏の日──
俺が愛するものはそこまで多くもない。猫、マンガ、きのこ型のチョコ(悪いな。たけのこ派じゃないんだ)。あとは、平穏な生活くらいか。
だが、よく考えてみて欲しい。平穏なんてものは長続きしない。
だって、そうだろう。世界は常に廻っているんだ。
さて、なんでこんなことを話しているのか疑問に思っていることだろう。
端的に言うと、俺は今、人生最大(という程でもない)葛藤と戦っている。
もう少し具体的に話そうか。現在時刻は20時を過ぎたくらい。ちょうど部活が終わって帰るところだ。そして、目の前には小さめのダンボール箱。蓋は閉じているが、「拾ってください」という文字と中から聞こえるニイニイという鳴き声が、中に入っているものを示唆している。
「子猫……だよな」
ご名答とばかりに箱の蓋が開き、綺麗な白い毛をもった子猫が姿を見せる。
俺は、猫が好きだ。ペットショップでも1時間は眺めてられる。だが、今までの16年間で猫に触れたことは1度もない。母が喘息持ちなのだ。
故に、家に持って帰るわけにも行かない。だったらこの猫はどうしよう。初雪はまだだけど夜は冷える。
さて、どうしたものか──
トゥルルル……ガチャ
『もしもし、響。今大丈夫か?』
電話だ。画面に表示される名前を見ると、『中野晴』の文字。
彼はクラスメイトで、入学式の日に電話番号を交換していた。自己紹介によると、両親は生きているが別居中だという。つまりは一人暮らしなわけだ。あと猫好きとも言っていたか……。
──そうだ。いいことを思いついた。
「俺も用があったんだ。これからお前の家に行ってもいいか?」
晴の家は、ボロアパートの一室だった。
「さあ、気にせず上がれよ」
「お……おう」
俺は子猫の入ったダンボール箱を傍に置き、辺りを見渡した。
うん。外見に似つかず、意外と部屋の中は綺麗だ。
ちゃんと自炊をしているようでカップ麺とかも無いし、洗い物も溜まっていない。
「あんまりジロジロ見ないでくれよ。──ところで、その箱はなんだい?」
「ああ、これはな……猫だ」
「は?」
うん。予想通りの反応。
そりゃそうだろう。何か箱を持っていると思ったら、それが猫なんだから。
「さっき拾ったんだけど、うちでは飼えないから。中野が飼ってくれないかと思ってな」
「それはいいけど……俺も暮らしが楽なわけじゃないんだぜ」
「それは申し訳ないと思うよ。でも、猫も見捨てられないだろ!餌なら俺も少しは買ってきてやるから!」
「それなら……そうだな!俺が引き取ってやろう!」
無料で、しかも保護という名目で猫を飼いことができる興奮のあまり、俺と中野はいつの間にか立ち上がっていた。
「よし……少し落ち着こう。ところで、まだお前に当の猫を見せてなかったな。あれは一目惚れするぞ」
「それは楽しみだな。早く見せてくれよ」
俺は、勢いよくダンボールを開ける。
中野も感動してくれるはず!──そう思っていたのに、中野は首をかしげている。
「おい、猫はどこだ?どこにもいないぞ」
「そんなわけ──!!」
箱の中に白い子猫の姿はなく、底に何かの跡があるだけだった。
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