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OLYMPUS QUEST Ⅲ ~神々の復活~
改変
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ルーシュが言っていた光景と、特徴はあっている。ここが冥界で間違いないだろう。
そして、目の前でイザナミが呆れた顔をしていることから、俺の作戦は成功したと考えられる。
「貴方はなんて無茶をするのですか。これから現世に戻しますから、もう此の件には関わらないで下さい」
イザナミがそう言うが、俺は首を横に振る。
「あんたみたいな神さまは知らないかもしれないが、日本には『毒を食らわば皿まで』って言葉があるんだ」
苦虫を噛み潰したような顔のイザナミ。意味が分かったのだろう。そして、イザナミは大きくため息をついてから、一つの大きな虹色の球を取り出した。
「この宝玉は、私とイザナギの結晶のようなものです。これを使えば、冥界との移動もできるでしょう」
「ということは──」
「頑固な貴方の説得が無駄だと判断しただけです。勘違いしないでください」
こ、これがツンデレか!
「私にとっては未知の領域なので、アドバイスをすることはできません。しかしそれは逆に言うとどんな可能性もあるということ。どんな事件を起こしても何も変わらないかもしれないし、小石を動かしただけで世界が終わることも考えられます。それを忘れないよう」
「ラジャ」
イザナミの姿が消える。恐らくカオスを抑えに行ったのだろう。さて、俺はどうするべきか……
最も簡単なのは、俺とルーシュがカオスのところに行かないようにすること。そうすれば彼が消える原因もなくなり、その未来は書き換えられる。だが、この方法だとカオスを倒すこともできない。
ならば、イザナミと俺があの場所から逃げずに戦うか──いや、そうしても全滅するのが関の山だろう。
そうだ。最初にカオスの話を聞いた時、彼女は手が足りないと言った。ならば手が足りている状態にすればいいのではないか? そのためにはどうすればいいのか……オリンポスの神を引退させなければ!
この宝玉でどの程度時間移動をできるのかわからないが、試す価値はある。
「古代ギリシャのユピテリア? に蘇生!」
球が強い光を放ち、視界が白く埋め尽くされ、思わず目をつぶってしまう。いつの間にか俺は眠ってしまっていた。
風が心地いい。頬を撫でる風と、草の香りで目が覚める。
目を開けると、そこは小高い丘の上で、少し遠くにはいくつかの家と──大きく陥没した地面?
「何やったんだよ……」
はは……と苦笑いを浮かべたとき、俺の頭上を大きな白鳥が通った。その行先は、あの窪地だ。
まさか、もう引退するのか⁉
俺は、神が集まっていると思われる場所に向けて走り出した。
「私達は臨時のオリンポス会議を開きました。その結果、神々は引退を決しました」
「ちょ、待ってください!」
なんとか、女神の話に割り込めた。ギリギリセーフだといいんだが……
「貴方は誰ですか?」
「俺がだれかなんて、どうでもいいんです! 引退を止めてください!」
明らかに不機嫌そうな顔の12人の神と、一人の少年。この顔は、間違いなく当時のルーシュだ。
「俺は未来の日本から来た、立原という者です。未来の世界は暴走したカオスに脅かされています。しかしあなた方がここでいなくなったので、その力を抑えることができなくなっています。どうかこの世界を守るために、考え直してください」
このルーシュに日本語は通じない。だが、少なくともこの女神が日本語を理解してくれていることはわかっている。
しばらく沈黙が続いた後、女神は口を開いた。
「何点か質問があります。まず、貴方が未来から来たということ。その方法と証拠を示してください。次に、なぜこのタイミングに来たのか。以上の点を正確に、正直に話してください」
……これは、説得の余地があると考えていいのだろうか。
「イザナミ──日本にいる死者の神の協力を得て、一度死んでからこの時空に蘇生されました。証拠になるかはわかりませんが、そこにいるルーシュが『時の旅人』であることを知っています」
ざわめく神々。当のルーシュは何事かとでも言うようにきょろきょろしている。
蛇が絡みついた杖を持った神と女神が何かを話し合い、俺の方を向く。
「彼が時の旅人であることをヘルメスが確認しました。そのことは我々さえも知らなかったため、貴方を未来人または我々以上の神と認めましょう。それでは次の説明をしてください」
「次はさっきも言ったのですが……引退を取り消してほしいんです。未来世界ではカオスを止めるための戦力が足りていない状態です。イザナミやイザナギと共に戦ってください!」
何かを考えこむ女神。ゲームに出てくる神官のような姿の神に話しかけたりもしている。
「貴方の話が本当だと仮定するならば──」
女神が話し出す。
「なおさら引退を止めるわけにはいきません」
「どうしてですか!」
「タイムパラドックスを知っていますか?」
そして、目の前でイザナミが呆れた顔をしていることから、俺の作戦は成功したと考えられる。
「貴方はなんて無茶をするのですか。これから現世に戻しますから、もう此の件には関わらないで下さい」
イザナミがそう言うが、俺は首を横に振る。
「あんたみたいな神さまは知らないかもしれないが、日本には『毒を食らわば皿まで』って言葉があるんだ」
苦虫を噛み潰したような顔のイザナミ。意味が分かったのだろう。そして、イザナミは大きくため息をついてから、一つの大きな虹色の球を取り出した。
「この宝玉は、私とイザナギの結晶のようなものです。これを使えば、冥界との移動もできるでしょう」
「ということは──」
「頑固な貴方の説得が無駄だと判断しただけです。勘違いしないでください」
こ、これがツンデレか!
「私にとっては未知の領域なので、アドバイスをすることはできません。しかしそれは逆に言うとどんな可能性もあるということ。どんな事件を起こしても何も変わらないかもしれないし、小石を動かしただけで世界が終わることも考えられます。それを忘れないよう」
「ラジャ」
イザナミの姿が消える。恐らくカオスを抑えに行ったのだろう。さて、俺はどうするべきか……
最も簡単なのは、俺とルーシュがカオスのところに行かないようにすること。そうすれば彼が消える原因もなくなり、その未来は書き換えられる。だが、この方法だとカオスを倒すこともできない。
ならば、イザナミと俺があの場所から逃げずに戦うか──いや、そうしても全滅するのが関の山だろう。
そうだ。最初にカオスの話を聞いた時、彼女は手が足りないと言った。ならば手が足りている状態にすればいいのではないか? そのためにはどうすればいいのか……オリンポスの神を引退させなければ!
この宝玉でどの程度時間移動をできるのかわからないが、試す価値はある。
「古代ギリシャのユピテリア? に蘇生!」
球が強い光を放ち、視界が白く埋め尽くされ、思わず目をつぶってしまう。いつの間にか俺は眠ってしまっていた。
風が心地いい。頬を撫でる風と、草の香りで目が覚める。
目を開けると、そこは小高い丘の上で、少し遠くにはいくつかの家と──大きく陥没した地面?
「何やったんだよ……」
はは……と苦笑いを浮かべたとき、俺の頭上を大きな白鳥が通った。その行先は、あの窪地だ。
まさか、もう引退するのか⁉
俺は、神が集まっていると思われる場所に向けて走り出した。
「私達は臨時のオリンポス会議を開きました。その結果、神々は引退を決しました」
「ちょ、待ってください!」
なんとか、女神の話に割り込めた。ギリギリセーフだといいんだが……
「貴方は誰ですか?」
「俺がだれかなんて、どうでもいいんです! 引退を止めてください!」
明らかに不機嫌そうな顔の12人の神と、一人の少年。この顔は、間違いなく当時のルーシュだ。
「俺は未来の日本から来た、立原という者です。未来の世界は暴走したカオスに脅かされています。しかしあなた方がここでいなくなったので、その力を抑えることができなくなっています。どうかこの世界を守るために、考え直してください」
このルーシュに日本語は通じない。だが、少なくともこの女神が日本語を理解してくれていることはわかっている。
しばらく沈黙が続いた後、女神は口を開いた。
「何点か質問があります。まず、貴方が未来から来たということ。その方法と証拠を示してください。次に、なぜこのタイミングに来たのか。以上の点を正確に、正直に話してください」
……これは、説得の余地があると考えていいのだろうか。
「イザナミ──日本にいる死者の神の協力を得て、一度死んでからこの時空に蘇生されました。証拠になるかはわかりませんが、そこにいるルーシュが『時の旅人』であることを知っています」
ざわめく神々。当のルーシュは何事かとでも言うようにきょろきょろしている。
蛇が絡みついた杖を持った神と女神が何かを話し合い、俺の方を向く。
「彼が時の旅人であることをヘルメスが確認しました。そのことは我々さえも知らなかったため、貴方を未来人または我々以上の神と認めましょう。それでは次の説明をしてください」
「次はさっきも言ったのですが……引退を取り消してほしいんです。未来世界ではカオスを止めるための戦力が足りていない状態です。イザナミやイザナギと共に戦ってください!」
何かを考えこむ女神。ゲームに出てくる神官のような姿の神に話しかけたりもしている。
「貴方の話が本当だと仮定するならば──」
女神が話し出す。
「なおさら引退を止めるわけにはいきません」
「どうしてですか!」
「タイムパラドックスを知っていますか?」
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