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第一章
2
「あの…なんで、さっきから顔を隠すんです?」
「!?」
率直にそう問えば目の前の美形は驚いて、そのまま固まる。
しばらくその固まった様子を眺めているとようやく思考が回り出したのか美形はゆっくり語り出す。
だが、次の瞬間、美形の口から放たれた言葉に今度は俺が驚く番だった。
「お、俺は…醜い、から…」
「………は?」
「俺の、姿は醜悪で、見るだけでも吐き気を催して、しまう、から」
「………はあああああああああ!!!????」
ぼそぼそ、と言いにくそうに語る美形の言葉を聞いた俺は開いた口が塞がらなかった。
「醜い??? 醜悪??? 何処が!!!??? そんだけ綺麗な顔してるのに!?」
「は、?」
俺は立ち上がると美形に歩み寄り、驚いた形で固まる美形の布を勢いよく剥いだ。
美しい銀髪が現れた後、目を丸くして俺を見上げる美形と目が合う。
慌てて俺が剥いだ布を奪おうとする美形より早く俺は両手で美形の顔を挟むとぐい、と自分の顔を近付ける。
目と鼻の先まで近付いても肌の毛穴が見えないとかどんだけきめ細かい肌してんの本当に!
「めっっっっっちゃくちゃ綺麗だからねオタク!!!!! この銀髪もキラキラしてるし、ぱっちり二重で青と緑のオッドアイ…あ、人間だとヘテロクロミアだっけ? も、すっげぇ綺麗だし、鼻だってすっとしてるし、唇だってぷるぷるしてて柔らかそうだし、ていうか柔らかかったです!!」
「ま、な…っ!? なに、を」
「まだ信じらんない!? 後、唇は人工呼吸しました!!! 御馳走様でした!!! マジ初めて見た時、王子様かお人形さんかと思ったし、ぶっちゃけ今でもそう思うくらいアンタの顔綺麗だよ!!!」
「き…!!? き、綺麗なのは、アンタの方、」
「は~あああああ????? 何処からどぉお見てもクソモブ顔ですよ嫌味かこの野郎!!!」
震えながら透き通るきめの細かい肌が林檎みたいに真っ赤に染まっていくのを可愛いなあ、と思いながら眺めていると美形は意を決したように俺の腕を掴むと口を開いた。
「じ、じゃあ、アンタ、俺の事抱けるのか!!!???」
「いいんですか!!!!!??????」
まさかの発言に脊髄反射でそう聞くと美形は了承されるとは思ってなかったのだろう、美形は目を見開いたまま「え…? あ、ぅ…」と言葉を詰まらせる。
正直クソどストライクだから抱ける抱けない以前に俺ごときが抱いていいんですかって感じだ。つか抱けるなら喜んで抱く。寧ろ金出して抱かせてくださいって頼むレベル。
首筋まで真っ赤にした美形は困惑したように目線を泳がせる。ああ~その反応、めちゃくちゃ初で勃ってしまいます~。
(…ん? そういえば、この美形…さっき俺の事、綺麗…とか言ってなかったか? ん~?)
この絶世の美形が醜悪な醜男で特徴のないクソモブ顔の俺が綺麗認識って事はもしかして…?
「…質問しても?」
「な、なにを?」
「俺の顔、どう見える?」
「? ものすごく整っていて…天使のようだ」
美醜逆転世界ですねーーーーーーーーー!!!!!!!!
俺が天使とかマジ笑えない吐いちゃうゲロゲロ!!!!
こんな展開、漫画か小説の中だけかと思ってたのに…神様ありがとうございます!!!!!!!
いるかどうかも分からない神様に向かって手を合わせて拝んでいる俺を美形は不思議そうに眺めていた。
「あ…っと、すみません、ちょっと舞い上がってました」
「…? そ、そうか…」
「えっと、それでさっきの話なんですけど」
「…貴方の容姿についてか? それなら先程言った通り…」
「違う違う! その前! 貴方を抱いてもいいのかどうか!」
「!? そ、それは…」
先程のやり取りを思い出したのか、美形の顔がかぁ…と赤くなり、もごもごと口ごもる姿をにこにこと見つめる。
いやあ、美形は動作一つとっても目の保養になりますなぁ…。
「………その、こ、こんなので、良いなら…」
「抱く」
「!?」
目線を下げ、自身の体を抱き締めるように腕を回しながら呟かれたその言葉に思わず真顔で即答してしまっていた。
…いや、でもこれは仕方なくね? どちゃくそ好みの男が抱いてくださいって言ってくれるなんて昨今のエロゲでも中々ないぞ??????
いっそ本能に身を任せて、このまま抱いてしまおうかと思っていた時、俺は自分の鼻が何やらムズムズする感覚に陥った。
「…は、はっくしょおおおおおいっっっ!!!!!」
盛大にくしゃみをした後、ずずず、と鼻水を啜れば、自分の体が未だびしょ濡れだった事を思い出す。
水に濡れた事で体が冷えたのか、ぞくぞく、と悪寒が背中に走り、身震いをすれば、それを見ていた美形がハッと顔色を変えた。
「は、早く体を温めなければ…!」
「ずび…っ、そう、ですね。まずは服とかも乾かさないと…どこかに民家とかありますかね…」
「…いや、この近くには集落などはない筈だ」
そう言うと美形は立ち上がり、草むらの方に向かって行こうとするので、何処に行くのかと問えば枝を拾ってくる、とだけ告げ、森の中に姿を消した。
俺も付いて行こうか、と思ったけれど、そう遠くない場所にいるらしく、何やらごそごそとした物音も聞こえるので、この場で待つ事にした。
下手に入って迷子になりたくもないしね。
「へっぶしゅ!!! …ずず、服でも絞るか…」
濡れた衣服はぴったりと体に貼り付き、着ているだけで体温を奪われていく。
Tシャツを脱いで川辺に向かって、雑巾絞りをする容量で水を絞る。高い服を着ていなくて良かったと今この瞬間程思った事はないだろう。
ある程度絞ってから、パンパン、と勢いよくシャツを振ってシワを伸ばしていると背後から、こちらに近付いてくる足音が聞こえ、振り返ると両手一杯に枝を持った美形がぼう、とした顔で俺を見つめていて。
「ああ、おかえりなさい。それに火を点けるんですか?」
「あ、ああ…」
美形は不自然に目を伏せた後、少し離れた乾いた地面に枝を置く。
テキパキと焚き火の準備をする美形の背中を見て、何か手伝おうかと聞いてはみるが自分がやるから、と一蹴されてしまう。
実際火起こしなんてやった事なかったから出来るかどうか不安だったけれど、美形があっという間に火を起こしていて、俺と美形は二人で火を囲むようにして体を温める事にした。
「!?」
率直にそう問えば目の前の美形は驚いて、そのまま固まる。
しばらくその固まった様子を眺めているとようやく思考が回り出したのか美形はゆっくり語り出す。
だが、次の瞬間、美形の口から放たれた言葉に今度は俺が驚く番だった。
「お、俺は…醜い、から…」
「………は?」
「俺の、姿は醜悪で、見るだけでも吐き気を催して、しまう、から」
「………はあああああああああ!!!????」
ぼそぼそ、と言いにくそうに語る美形の言葉を聞いた俺は開いた口が塞がらなかった。
「醜い??? 醜悪??? 何処が!!!??? そんだけ綺麗な顔してるのに!?」
「は、?」
俺は立ち上がると美形に歩み寄り、驚いた形で固まる美形の布を勢いよく剥いだ。
美しい銀髪が現れた後、目を丸くして俺を見上げる美形と目が合う。
慌てて俺が剥いだ布を奪おうとする美形より早く俺は両手で美形の顔を挟むとぐい、と自分の顔を近付ける。
目と鼻の先まで近付いても肌の毛穴が見えないとかどんだけきめ細かい肌してんの本当に!
「めっっっっっちゃくちゃ綺麗だからねオタク!!!!! この銀髪もキラキラしてるし、ぱっちり二重で青と緑のオッドアイ…あ、人間だとヘテロクロミアだっけ? も、すっげぇ綺麗だし、鼻だってすっとしてるし、唇だってぷるぷるしてて柔らかそうだし、ていうか柔らかかったです!!」
「ま、な…っ!? なに、を」
「まだ信じらんない!? 後、唇は人工呼吸しました!!! 御馳走様でした!!! マジ初めて見た時、王子様かお人形さんかと思ったし、ぶっちゃけ今でもそう思うくらいアンタの顔綺麗だよ!!!」
「き…!!? き、綺麗なのは、アンタの方、」
「は~あああああ????? 何処からどぉお見てもクソモブ顔ですよ嫌味かこの野郎!!!」
震えながら透き通るきめの細かい肌が林檎みたいに真っ赤に染まっていくのを可愛いなあ、と思いながら眺めていると美形は意を決したように俺の腕を掴むと口を開いた。
「じ、じゃあ、アンタ、俺の事抱けるのか!!!???」
「いいんですか!!!!!??????」
まさかの発言に脊髄反射でそう聞くと美形は了承されるとは思ってなかったのだろう、美形は目を見開いたまま「え…? あ、ぅ…」と言葉を詰まらせる。
正直クソどストライクだから抱ける抱けない以前に俺ごときが抱いていいんですかって感じだ。つか抱けるなら喜んで抱く。寧ろ金出して抱かせてくださいって頼むレベル。
首筋まで真っ赤にした美形は困惑したように目線を泳がせる。ああ~その反応、めちゃくちゃ初で勃ってしまいます~。
(…ん? そういえば、この美形…さっき俺の事、綺麗…とか言ってなかったか? ん~?)
この絶世の美形が醜悪な醜男で特徴のないクソモブ顔の俺が綺麗認識って事はもしかして…?
「…質問しても?」
「な、なにを?」
「俺の顔、どう見える?」
「? ものすごく整っていて…天使のようだ」
美醜逆転世界ですねーーーーーーーーー!!!!!!!!
俺が天使とかマジ笑えない吐いちゃうゲロゲロ!!!!
こんな展開、漫画か小説の中だけかと思ってたのに…神様ありがとうございます!!!!!!!
いるかどうかも分からない神様に向かって手を合わせて拝んでいる俺を美形は不思議そうに眺めていた。
「あ…っと、すみません、ちょっと舞い上がってました」
「…? そ、そうか…」
「えっと、それでさっきの話なんですけど」
「…貴方の容姿についてか? それなら先程言った通り…」
「違う違う! その前! 貴方を抱いてもいいのかどうか!」
「!? そ、それは…」
先程のやり取りを思い出したのか、美形の顔がかぁ…と赤くなり、もごもごと口ごもる姿をにこにこと見つめる。
いやあ、美形は動作一つとっても目の保養になりますなぁ…。
「………その、こ、こんなので、良いなら…」
「抱く」
「!?」
目線を下げ、自身の体を抱き締めるように腕を回しながら呟かれたその言葉に思わず真顔で即答してしまっていた。
…いや、でもこれは仕方なくね? どちゃくそ好みの男が抱いてくださいって言ってくれるなんて昨今のエロゲでも中々ないぞ??????
いっそ本能に身を任せて、このまま抱いてしまおうかと思っていた時、俺は自分の鼻が何やらムズムズする感覚に陥った。
「…は、はっくしょおおおおおいっっっ!!!!!」
盛大にくしゃみをした後、ずずず、と鼻水を啜れば、自分の体が未だびしょ濡れだった事を思い出す。
水に濡れた事で体が冷えたのか、ぞくぞく、と悪寒が背中に走り、身震いをすれば、それを見ていた美形がハッと顔色を変えた。
「は、早く体を温めなければ…!」
「ずび…っ、そう、ですね。まずは服とかも乾かさないと…どこかに民家とかありますかね…」
「…いや、この近くには集落などはない筈だ」
そう言うと美形は立ち上がり、草むらの方に向かって行こうとするので、何処に行くのかと問えば枝を拾ってくる、とだけ告げ、森の中に姿を消した。
俺も付いて行こうか、と思ったけれど、そう遠くない場所にいるらしく、何やらごそごそとした物音も聞こえるので、この場で待つ事にした。
下手に入って迷子になりたくもないしね。
「へっぶしゅ!!! …ずず、服でも絞るか…」
濡れた衣服はぴったりと体に貼り付き、着ているだけで体温を奪われていく。
Tシャツを脱いで川辺に向かって、雑巾絞りをする容量で水を絞る。高い服を着ていなくて良かったと今この瞬間程思った事はないだろう。
ある程度絞ってから、パンパン、と勢いよくシャツを振ってシワを伸ばしていると背後から、こちらに近付いてくる足音が聞こえ、振り返ると両手一杯に枝を持った美形がぼう、とした顔で俺を見つめていて。
「ああ、おかえりなさい。それに火を点けるんですか?」
「あ、ああ…」
美形は不自然に目を伏せた後、少し離れた乾いた地面に枝を置く。
テキパキと焚き火の準備をする美形の背中を見て、何か手伝おうかと聞いてはみるが自分がやるから、と一蹴されてしまう。
実際火起こしなんてやった事なかったから出来るかどうか不安だったけれど、美形があっという間に火を起こしていて、俺と美形は二人で火を囲むようにして体を温める事にした。
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