追放された聖騎士は《武具分解》と《武具融合》を駆使して成り上がる

くぬぎ

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厄災③

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 フレッシュゴーレムを討伐した俺たちは、疲労困憊ながらも、地下墓地のさらに奥へと進んでいた。リリの『目』によれば、邪悪なオーラの源は、この通路の最深部にある霊廟から発せられているという。

 しかし、ゴーレムという主戦力を失ってもアンデッドの数は一向に減る気配がなかった。むしろ、その動きは統率を失ったことでより無秩序で、予測不能なものになっている。

「キリがない……! こいつら、どこから湧いてきやがるんだ!」

 ドルガンが戦斧でスケルトンを薙ぎ払いながら悪態をつく。俺たち討伐隊は、消耗戦を強いられ、じりじりと後退を余儀なくされていた。

 その時だった。
 後方から数人の武装した集団が、松明の光と共に現れた。その先頭に立つ、恰幅のいい男を見て、俺は目を見開いた。

「ギルドマスター……!」

 この街の冒険者ギルドを取り仕切る、ギルドマスターのバルトその人だった。彼は屈強なギルド職員たちを引き連れ、自らも戦棍を手にしている。

「アルゼスト君、だったな。見事な指揮だ。君たちのおかげで街への被害は最小限に食い止められている。感謝する」
「いえ……。それより、なぜあなたがここに?」
「決まっているだろう。私の街の冒険者たちが、命を張って戦っているのだ。マスターがふんぞり返って報告を待っているだけなど、性に合わんのでな」

 バルトは豪快に笑うと俺たちの前に立ちその戦棍で、襲いかかってきたゾンビの頭を粉砕した。

「さて、状況は聞いた。どうやらただのアンデッドの暴走ではなさそうだな。君の意見を聞かせてくれんか」

 俺は呪われた騎士の伝説、そして、自分が手に入れた篭手のことを、ギルドマスターに正直に話した。何者かがこの事件を裏で操っている可能性が高い、と。

 俺の話を黙って聞いていたバルトは、厳しい顔で頷いた。

「……やはり、そうか。実はギルドでも、最近、不審な動きを掴んでいたのだ。街の周辺で、死霊術師ネクロマンサーらしき人物の目撃情報が相次いでいた」
「ネクロマンサー……!」

 つまり今回の事件は、そのネクロマンサーが、呪われた騎士の『怨念』を利用し、アンデッドの軍勢を作り出そうとしている……ということか。

「アルゼスト君」

 バルトは俺の目を真っ直ぐに見つめて言った。

「君にギルドからの『特命』を与える。この即席の討伐隊の指揮権を、君に正式に委ねる。そして、この事件の黒幕であるネクロマンサーを突き止め、その野望を打ち砕いてほしい」
「俺に、ですか?」
「そうだ。君の卓越した指揮能力とその盾。そして……」

 バルトは俺の後ろに隠れているリリに、優しい視線を向けた。

「その嬢ちゃんの、不思議な『目』。君たち二人なら、この事件を解決できると、私は判断した」

 ギルドマスターからの、あまりにも重い信頼。俺は一度はパーティから追放された身だ。そんな俺が、再び誰かを率いるなど……

 俺が躊躇していると、リリが俺の服の裾をくいっと引っ張った。

「おにいちゃん。やろうよ。このままじゃ街の人が、もっと悲しむ」

 リリの言葉に、俺は覚悟を決めた。

「……拝命いたします。必ずや、黒幕を討ち取ってみせましょう」

 俺はギルドマスターから指揮権の証である紋章を受け取ると、改めて仲間たちに向き直った。

「作戦を変更する! これより、我々は二手に分かれる! ドルガンさん、あなたには冒険者たちの半数を預ける。ギルドの方々と協力し、この通路の防衛線を死守してほしい!」
「おう、任せとけ!」
「残りの者は、俺と共に最深部の霊廟へと向かう。目的は、ネクロマンサーの確保だ!」

 俺はリリと、数人の腕利きの冒険者たちと共に、別通路から霊廟を目指すことにした。リリの『目』があれば、敵の警戒網を潜り抜け、最短ルートで黒幕の元へたどり着けるはずだ。

 薄暗い通路を進む中俺の頭には、一つの疑念が渦巻いていた。
 なぜネクロマンサーは今このタイミングで、この街を狙ったのか。
 そしてその目的は?
 単なる破壊活動か、それとも……

「おにいちゃん、こっち。嫌なキラキラが、どんどん強くなってる」

 リリの声に俺は思考を中断し、気を引き締めた。
 今は目の前の敵に集中しなければ。
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