乙女ゲームの攻略やめたら、王子様に誘拐された。

えも

文字の大きさ
21 / 23

おでかけ

しおりを挟む


次の日起きたら、結構な寝坊をしてしまってハルト様はもう出掛けたあとだった。

ぼーっとベッドの上で何もせずに居たら千花がやってきて、早く着替えて外に行こうと急かされる。

「もー、桜そんな寝起き悪いわけじゃないでしょ?何そんなに昨日遅くまで殿下と話してたの」

「いや、話はそんなにしていない…けど」

もそもそ着替えて顔を洗って、二人で玄関まで歩きながらお喋りする。
これどこまで千花に話していいのかな、全部話すの恥ずかしい。

「なーによ今更でしょ、前世からの付き合いじゃん」

「前世なのは千花だけじゃん…いや、なんか、ドキドキさせるためのハルト様の策略だった気が」

話の流れ的にそんな感じする、あの辺記憶朧気だけど。

「だからどんな話だったのよー」

「えぇと、ドキドキしないけど好きかもって言ったら、ハルト様ももうあんまドキドキしないよって言って」

「へぇ?慣れたから?」

「なんかそんな感じ。そんで、こう…気がついたら濃厚な感じの」

「ふむ、エロい感じの?」

変換しないで。間違ってはない気がするのがまた恥ずかしい。

「……をされて、なんかすごい恥ずかしくなっちゃって逃げた」

「べろちゅーされてテンパった」

なんで分かるの?

千花は真っ赤になった私の顔を見ながら、桜との付き合いは長いんだからとふふんと得意気に言った。

「ドキドキした?」

「した、したけど…よく考えたらあんなことされたら誰にだってドキドキするような」

これ恋のときめきとかと違くない?昨日ぐるぐる考えてたらもっとわかんなくなっちゃったんだけど。

「えぇー、違ったらきもっ!ってなってどうにか逃げようとすんじゃない、別に脅されたわけでも羽交い締めにされてたわけでもないんだし」

「だから逃げたって」

「キモくて逃げるのと恥ずくて逃げるのはちが…あ、マークスさんきたけど話続けてい?」

玄関で待ってたらヒラヒラ手を振りながらマークスさんがやってきた。恥ずかしいから話は続けたくない。

「二人ともお待たせ~、外出ていいよ、馬車来た。あ、サクラちゃんおめでとー」

おめでとうってなんだ。

「朝ハルト送ってった時超ご機嫌だったよ、おめでとー」

「いや、あのおめでとうはわけわかんないです…」

「ちょっと前進、おめでとうは可笑しくなくない?はい、乗って~」

マークスさんに促され、千花と三人で馬車に乗り込む。

「んで、結局どうなったのさ」

話続けようとしないで欲しい。

「ラブラブに一歩踏み出した感じでしょ?ハルトから聞いたらそんな感じだった」

ハルト様は何を喋ったんだ。

「一歩ぉ~?逃げないでもっとガッと踏み込めば良かったのに」

「あの状況で更に踏み込めって…大体話しに行ったんだよ?結局ほとんど出来てないし」

「スキンシップは話し合いを凌駕する」

「聞いたことないよそんなの…ああハルト様の顔見るのがおそろしい」

今日の夜帰ってくるよね、どんな顔して会えばいいの。

「なんで?」

「恥ずかしい。ところで馬車停まったよ、おりよーよ」

「え、ここで話切る気?やーよせっかくの桜の恋バナ」

ニヤニヤ千花とにこにこマークスさんに両手を引かれて馬車を降り、そのままカフェに連れてかれた。

「オレコーヒーにするけど、二人はオレンジだよね。それで、サクラちゃん何か恥ずかしいの?」

マークスさんがスマートに全員分注文しながら聞いてくる。お話続行ですか、そうですか。

「ありがとうございます…アレ恥ずかしくない人居ません」

「ちゅーしただけでしょ?今までとそう変わんないじゃん」

「チカちゃんさすがにそれは…変わらないことはないでしょ」

ですよねマークスさん。めっちゃ違うよ。

千花は受け取ったジュースを飲みながら目を細めて私を見る。

「殿下にドキドキしない問題解決したじゃん」

「他の問題が勃発した!ちょっとも~からかってばっかりじゃん千花っ」

「桜の恋バナ初めてだからたのしーい♡大体そーんな顔して話しててさぁ、好きじゃないかもしれないとか言うのが可笑しい」

顔赤い自覚はあるけども。

「今だけじゃないし。温泉街で見たときとかも、超笑顔でホヤホヤしてたじゃん。あの顔は殿下にしか向けないのに、のほほんと考えなさすぎて自覚しなかっただけでしょ。そこはマークスさんの助言もあるっぽいけど」

「あ~、うん…そこはごめんね。こんな何ヶ月もそのままだとは思わなくて」

指をさされたマークスさんが苦笑いして言うけど、ダメだったのか。

「サクラちゃん考えすぎるか考えなさすぎるか両極端だね」

口を尖らせた私の手を千花が掴んで、テーブルの上に置いていたマークスさんの手に重ねる。

「何してんの千花」
「ほーら、なんともないじゃん。さっき馬車乗る時普通にマークスさんに支えてもらってた時も桜普通な顔だったし、誰にでも反応するわけじゃないっしょ」

「いや、手だけなら今までだってハルト様に反応してないし」

重ねられた手を離して、マークスさんに謝りながら返事をする。

「そー思ってるだけじゃん?普段の顔と無表情は別よ?無理くり平静保とうとしてるだけなんだから」

「ああ、なるほど。サクラちゃんそんな感じあるね」

そうだったっけ。

「そんな気もしてくるけど……なんか騙されてるような気もする」

「も~、桜うだうだ言い過ぎ。大体好きじゃなきゃいけないわけでもないじゃん、理由なんて好きになれそうだからでいいでしょ。惚れた腫れたが一生に一度って決まってるわけでもあるまいし」

来世とか言っちゃうハルト様相手に?

「ああ、殿下に引き摺られてるのか。そんで腰が引けてんだ」


千花のその言葉が胸にストンと落ちた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...