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第6話
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反り返ったものの先端から、はしたなく透明なしずくを滴らせる。誤魔化しようのない快感の証だ。すると三田村は、和彦のものを握り締め、律動に合わせて上下に扱いてくれる。和彦は呆気なく、二度目の絶頂を迎え、精を迸らせた。
ここで三田村が深い吐息を洩らし、動きを止める。内奥では、逞しい欲望が脈打ち、三田村の限界が近いことを知らせてくる。
和彦は三田村の顔を撫で、伝い落ちる汗を拭う。微かに笑みらしきものを浮かべた三田村だが、次の瞬間には表情を引き締め、律動を再開する。
三田村が動くたびに、滴る汗が和彦の肌すらも濡らしていた。そして、汗だけではなく――。
「先生、中に、いいか?」
三田村の切実な囁きに、頷く。二度、三度と強く突き上げられたあと、内奥深くに熱い精を注ぎ込まれていた。
こうして和彦は、肌だけでなく、体の内も三田村によってたっぷり濡らされる。
まだ力強く脈打つものを意識しないまま締め付けると、三田村にきつく抱き締められていた。こんなふうに抱き合うたびに、和彦の胸の奥には、高揚感にも似た所有欲が湧き起こる。
三田村は、自分のオトコだ。
この事実を噛み締めると、三田村が与えてくれる愛撫同様、ひどく甘くて心地よい刺激を味わうことができる。賢吾が、和彦を何度となくオンナ呼ばわりするのは、同じような心地よさを味わっているからかもしれない。
「……オトコ、か」
和彦がぽつりと洩らすと、三田村に顔を覗き込まれた。
「何か言ったか?」
和彦は、汗で濡れている三田村の顔を両手で撫でる。
「これは、ぼくのオトコだと思って」
「違う。俺は、先生の犬だ」
「こうしているときは、オトコだ。ぼくの――大事なオトコ」
三田村の顔から肩を、腕から背を撫で続けているうちに、和彦の内奥深くに埋め込まれたままの三田村のものが、再び力を漲らせていく。
和彦が背に回した両腕に力を込めると、三田村が緩やかに腰を動かし始めた。
組事務所に顔を出した和彦を見るなり、賢吾は意味ありげな笑みを唇に刻んだ。その笑みにドキリとした和彦は、意味もなく髪を掻き上げる。
「――隣に座れ」
指先で賢吾に呼ばれ、素直に従う。テーブルの上には、何枚かの書類が広げられており、和彦が見ている前で賢吾はそれを片付け始める。それを見て、他の組員たちは静かに応接室を出ていった。この場面だけを見ると、まるでどこかの会社の仕事風景だ。
組長とは、偉そうに座っていて務まる仕事ではないのだと、賢吾を見ているとよくわかる。賢吾の多忙ぶりは、ビジネスマンのそれと変わらない。そのくせ、和彦を連れ回して楽しんでいるのだから、とにかく精力的な男だ。
ちなみに今日、和彦がこうして組事務所にやってきたのは、やはり仕事のためだ。各方面に提出する書類の準備も整い始め、クリニックの改装も順調に進んでいる現在、そろそろクリニックに雇い入れるスタッフも考えなくてはならない。なんといっても、普通のクリニックとは事情が違う。
「コンサルタントに、人員計画を立ててもらっていただろ。俺もコピーを見たが、あれだけの人数でいいのか?」
「最低限、ということだ。こちらの複雑な事情を考えると、潤沢な人材を最初から揃えたいとは言えない」
「秘密を守るには、関わる人間は少ないほうがいいからな。――が、昼間は、まっとうなクリニック経営のことを考えろ」
話しながら賢吾が片付けてしまったテーブルの上に、和彦は持ってきた資料を広げる。こうしていると賢吾とは、ビジネスパートナーとしての会話が見事に成り立ち、その雰囲気が和彦は嫌いではない。実際賢吾は、ビジネス面に関しても頭が切れ、こちらもハッとさせられることが多い。
組員がお茶を運んできて、すぐに出ていく。ドアが開閉されるほんの一瞬、廊下を歩く三田村の姿が見えた。和彦をここに連れてきてくれたばかりだが、すぐに仕事で出なくてはならないらしい。帰りは、別の組員が運転する車で帰るよう言われている。
三田村は、和彦との関係によって若頭補佐という肩書きを奪われることもなく、それどころか、肩書き通りの仕事を任される機会が増えたようだ。そのため、賢吾や和彦の側を離れて行動することが多くなった。
自分が原因なのだろうかと訝しむ和彦に対して、賢吾は性質の悪い笑みを浮かべながら説明してくれた。
長嶺組として無視できないトラブルが起こっており、その調査のために、若頭の一人と、その補佐である三田村を中心にして動いている、と。そのトラブルがなんであるかまでは、和彦は問わなかった。どうせ、物騒なことに決まっている。それに、もしこちらに危険が及ぶなら、心配するまでもなく賢吾はしっかりと護衛をつけてくれるはずだ。
ここで三田村が深い吐息を洩らし、動きを止める。内奥では、逞しい欲望が脈打ち、三田村の限界が近いことを知らせてくる。
和彦は三田村の顔を撫で、伝い落ちる汗を拭う。微かに笑みらしきものを浮かべた三田村だが、次の瞬間には表情を引き締め、律動を再開する。
三田村が動くたびに、滴る汗が和彦の肌すらも濡らしていた。そして、汗だけではなく――。
「先生、中に、いいか?」
三田村の切実な囁きに、頷く。二度、三度と強く突き上げられたあと、内奥深くに熱い精を注ぎ込まれていた。
こうして和彦は、肌だけでなく、体の内も三田村によってたっぷり濡らされる。
まだ力強く脈打つものを意識しないまま締め付けると、三田村にきつく抱き締められていた。こんなふうに抱き合うたびに、和彦の胸の奥には、高揚感にも似た所有欲が湧き起こる。
三田村は、自分のオトコだ。
この事実を噛み締めると、三田村が与えてくれる愛撫同様、ひどく甘くて心地よい刺激を味わうことができる。賢吾が、和彦を何度となくオンナ呼ばわりするのは、同じような心地よさを味わっているからかもしれない。
「……オトコ、か」
和彦がぽつりと洩らすと、三田村に顔を覗き込まれた。
「何か言ったか?」
和彦は、汗で濡れている三田村の顔を両手で撫でる。
「これは、ぼくのオトコだと思って」
「違う。俺は、先生の犬だ」
「こうしているときは、オトコだ。ぼくの――大事なオトコ」
三田村の顔から肩を、腕から背を撫で続けているうちに、和彦の内奥深くに埋め込まれたままの三田村のものが、再び力を漲らせていく。
和彦が背に回した両腕に力を込めると、三田村が緩やかに腰を動かし始めた。
組事務所に顔を出した和彦を見るなり、賢吾は意味ありげな笑みを唇に刻んだ。その笑みにドキリとした和彦は、意味もなく髪を掻き上げる。
「――隣に座れ」
指先で賢吾に呼ばれ、素直に従う。テーブルの上には、何枚かの書類が広げられており、和彦が見ている前で賢吾はそれを片付け始める。それを見て、他の組員たちは静かに応接室を出ていった。この場面だけを見ると、まるでどこかの会社の仕事風景だ。
組長とは、偉そうに座っていて務まる仕事ではないのだと、賢吾を見ているとよくわかる。賢吾の多忙ぶりは、ビジネスマンのそれと変わらない。そのくせ、和彦を連れ回して楽しんでいるのだから、とにかく精力的な男だ。
ちなみに今日、和彦がこうして組事務所にやってきたのは、やはり仕事のためだ。各方面に提出する書類の準備も整い始め、クリニックの改装も順調に進んでいる現在、そろそろクリニックに雇い入れるスタッフも考えなくてはならない。なんといっても、普通のクリニックとは事情が違う。
「コンサルタントに、人員計画を立ててもらっていただろ。俺もコピーを見たが、あれだけの人数でいいのか?」
「最低限、ということだ。こちらの複雑な事情を考えると、潤沢な人材を最初から揃えたいとは言えない」
「秘密を守るには、関わる人間は少ないほうがいいからな。――が、昼間は、まっとうなクリニック経営のことを考えろ」
話しながら賢吾が片付けてしまったテーブルの上に、和彦は持ってきた資料を広げる。こうしていると賢吾とは、ビジネスパートナーとしての会話が見事に成り立ち、その雰囲気が和彦は嫌いではない。実際賢吾は、ビジネス面に関しても頭が切れ、こちらもハッとさせられることが多い。
組員がお茶を運んできて、すぐに出ていく。ドアが開閉されるほんの一瞬、廊下を歩く三田村の姿が見えた。和彦をここに連れてきてくれたばかりだが、すぐに仕事で出なくてはならないらしい。帰りは、別の組員が運転する車で帰るよう言われている。
三田村は、和彦との関係によって若頭補佐という肩書きを奪われることもなく、それどころか、肩書き通りの仕事を任される機会が増えたようだ。そのため、賢吾や和彦の側を離れて行動することが多くなった。
自分が原因なのだろうかと訝しむ和彦に対して、賢吾は性質の悪い笑みを浮かべながら説明してくれた。
長嶺組として無視できないトラブルが起こっており、その調査のために、若頭の一人と、その補佐である三田村を中心にして動いている、と。そのトラブルがなんであるかまでは、和彦は問わなかった。どうせ、物騒なことに決まっている。それに、もしこちらに危険が及ぶなら、心配するまでもなく賢吾はしっかりと護衛をつけてくれるはずだ。
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