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第10話
(15)
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和彦が喉を反らして声を洩らすと、露わになった喉元を三田村の舌先になぞられる。ゾクゾクするような愉悦が体を駆け抜けていた。深く繋がっている三田村にも、その反応が伝わったらしく、腰を揺すられ、それでなくても感じやすくなっている襞と粘膜を擦り上げられる。
「はっ……、あっ、あっ、あぁっ――」
三田村のものが慎重に内奥から引き抜かれ、淫らな収縮を繰り返す部分の感触を堪能するように、すぐにまた奥深くまで挿入される。同じ行為を数回繰り返された。
三田村の引き締まった下腹部に擦られたこともあり、さきほどからずっと反り返って、悦びの涙をはしたなく滴らせていた和彦のものは、精を噴き上げる。
声も出せずに快感にのたうつ和彦を、優しい男は容赦なく貫きながら、精で濡れそぼった和彦のものを片手で扱いてくる。
「ダメ、だ……。三田村、もう、これ以上はっ……」
「なら、舐めようか?」
三田村は、和彦を羞恥させるためにこんなことを言っているのではない。本気で、そうしようとしているのだ。
和彦は三田村に両腕でしっかりとしがみつくと、両足も逞しい腰に絡みつかせる。
「――これがいい」
和彦の囁きは、すぐに激しい律動となって応じられる。そして今度こそ内奥で、三田村の熱い精を受け止める。
声を洩らして全身を震わせる和彦に対して、残った欲望の欠片すら与えようとするかのように、三田村は緩やかに内奥を突き上げてくれる。
触れ合っている部分が燃えそうに熱く、このまま蒸発しても惜しくないとすら思え、和彦は恍惚とする。まだ筋肉が硬く張り詰めている三田村の背を撫で、自分の〈虎〉を可愛がる。行為の最中は獰猛な三田村も、今は、ただ優しい。
「……先生、どこか痛めなかったか?」
真剣な顔で問いかけてくる三田村の顔をぼんやりと見上げながら、和彦は小さく首を横に振る。ふと、あることを思い出し、三田村の片手を取る。スーツを脱ぎ捨てても、仕事から離れられない状況のため、腕時計を外せないのはやむをえない。
「三田村、そろそろ仕事に戻らないと……。今ならまだ、シャワーを浴びる時間ぐらいあるだろ」
和彦が無理を言ってこうして会っているのだから、別れのタイミングを計るのも、こちらの義務のようなものだ。和彦の気持ちがわかったのか、三田村は一瞬物言いたげな眼差しをしたものの、頷き、ゆっくりと体を離してベッドを下りた。
シャワーの水音を聞きながら和彦は、三田村が与えてくれた愛撫をいとおしむように、自分の体を指先でまさぐる。そうしているうちに、シャワーを浴びた三田村が部屋に戻ってきて、和彦が見ている前で淡々とスーツを身につけていく。
優しく激しいオトコが、長嶺組の若頭補佐に変わる様に、つい和彦は惚れ惚れと見入ってしまう。そんな和彦の視線に気づいたのか、三田村がふっと表情を和らげた。
しどけなくベッドの上に横たわる和彦を、スーツ姿で覆い被さってきた三田村が見下ろしてくる。簡単にシャワーを浴びただけだというのに、すでにもう三田村には、情交後の気だるい様子は微塵もなく、端然として鋭いヤクザとしての佇まいを取り戻している。
「……すまない。できることなら、先生ともっと一緒にいたいんだが……」
まだ汗と精で濡れている和彦の体を撫でてきながら、三田村が心底申し訳なさそうに言う。和彦は微笑みかけ、首を横に振った。
「ぼくのわがままにつき合ってくれただけで、十分だ」
三田村も柔らかい笑みを浮かべ、和彦の唇をそっと吸い上げてくる。戯れのような軽いキスを繰り返しながら和彦は言った。
「あんたに仕事を抜けさせたことは、ぼくから組長に謝っておく」
「先生は気にしなくていい。それに、組長から言われているんだ。――先生を寂しがらせるなと。そのためなら、多少の無茶をしてもかまわないと」
そんなやり取りをしていたのかと、和彦は複雑な心境になる。
「……子供扱いされているみたいだ」
「違う。先生を大事にしたいんだ。俺も、組長も」
情欲の熱以外のものによって、顔が熱くなっていくのを和彦は感じた。妖しい衝動が胸の内でうねり、和彦の変化に気づいたのか、三田村のキスが変わる。唇と舌をきつく吸われ、たまらなくなった和彦は舌を絡める。
行為の成果を確かめるように三田村の指に、蕩けて綻んだ内奥の入り口をまさぐられ、慎重に挿入された。
「あっ……、うぅっ」
ゆっくりと指が出し入れされるたびに、内奥に注ぎ込まれた三田村の精が溢れ出してくる。さんざん逞しいもので押し広げられ、擦り上げられた和彦の内奥は、もうすぐ立ち去る愛しい男の指を懸命に締め付ける。
「すごいな、先生――……」
吐息交じりに三田村が洩らし、口元に笑みを刻んだが、穏やかで甘い時間はすぐに終わりを迎える。三田村の携帯電話が、無機質な呼出し音を二回鳴らしてから切れた。どうやら、三田村が自由になれる時間は終わりらしい。
内奥から指が引き抜かれ、濃厚な口づけを与えられる。
「無理してすぐに起きなくていいから、動けるようになるまでしっかり休んでくれ。帰るときは、護衛の連中に連絡したら、この部屋まで迎えに来てくれる」
「……過保護だ」
「本当は俺が、先生を送り届けたいぐらいだ」
和彦は三田村の唇に軽く噛みついてから、囁いた。
「――……ありがとう、三田村」
これ以上側にいると、離れられなくなりそうだった。同じ危惧を三田村も抱いたのか、和彦の上から退いてベッドを下りた。
和彦は体の向きを変え、立ち去る三田村の背を見送ってから、ドアが閉まる音のあと、満たされた吐息をこぼした。
「はっ……、あっ、あっ、あぁっ――」
三田村のものが慎重に内奥から引き抜かれ、淫らな収縮を繰り返す部分の感触を堪能するように、すぐにまた奥深くまで挿入される。同じ行為を数回繰り返された。
三田村の引き締まった下腹部に擦られたこともあり、さきほどからずっと反り返って、悦びの涙をはしたなく滴らせていた和彦のものは、精を噴き上げる。
声も出せずに快感にのたうつ和彦を、優しい男は容赦なく貫きながら、精で濡れそぼった和彦のものを片手で扱いてくる。
「ダメ、だ……。三田村、もう、これ以上はっ……」
「なら、舐めようか?」
三田村は、和彦を羞恥させるためにこんなことを言っているのではない。本気で、そうしようとしているのだ。
和彦は三田村に両腕でしっかりとしがみつくと、両足も逞しい腰に絡みつかせる。
「――これがいい」
和彦の囁きは、すぐに激しい律動となって応じられる。そして今度こそ内奥で、三田村の熱い精を受け止める。
声を洩らして全身を震わせる和彦に対して、残った欲望の欠片すら与えようとするかのように、三田村は緩やかに内奥を突き上げてくれる。
触れ合っている部分が燃えそうに熱く、このまま蒸発しても惜しくないとすら思え、和彦は恍惚とする。まだ筋肉が硬く張り詰めている三田村の背を撫で、自分の〈虎〉を可愛がる。行為の最中は獰猛な三田村も、今は、ただ優しい。
「……先生、どこか痛めなかったか?」
真剣な顔で問いかけてくる三田村の顔をぼんやりと見上げながら、和彦は小さく首を横に振る。ふと、あることを思い出し、三田村の片手を取る。スーツを脱ぎ捨てても、仕事から離れられない状況のため、腕時計を外せないのはやむをえない。
「三田村、そろそろ仕事に戻らないと……。今ならまだ、シャワーを浴びる時間ぐらいあるだろ」
和彦が無理を言ってこうして会っているのだから、別れのタイミングを計るのも、こちらの義務のようなものだ。和彦の気持ちがわかったのか、三田村は一瞬物言いたげな眼差しをしたものの、頷き、ゆっくりと体を離してベッドを下りた。
シャワーの水音を聞きながら和彦は、三田村が与えてくれた愛撫をいとおしむように、自分の体を指先でまさぐる。そうしているうちに、シャワーを浴びた三田村が部屋に戻ってきて、和彦が見ている前で淡々とスーツを身につけていく。
優しく激しいオトコが、長嶺組の若頭補佐に変わる様に、つい和彦は惚れ惚れと見入ってしまう。そんな和彦の視線に気づいたのか、三田村がふっと表情を和らげた。
しどけなくベッドの上に横たわる和彦を、スーツ姿で覆い被さってきた三田村が見下ろしてくる。簡単にシャワーを浴びただけだというのに、すでにもう三田村には、情交後の気だるい様子は微塵もなく、端然として鋭いヤクザとしての佇まいを取り戻している。
「……すまない。できることなら、先生ともっと一緒にいたいんだが……」
まだ汗と精で濡れている和彦の体を撫でてきながら、三田村が心底申し訳なさそうに言う。和彦は微笑みかけ、首を横に振った。
「ぼくのわがままにつき合ってくれただけで、十分だ」
三田村も柔らかい笑みを浮かべ、和彦の唇をそっと吸い上げてくる。戯れのような軽いキスを繰り返しながら和彦は言った。
「あんたに仕事を抜けさせたことは、ぼくから組長に謝っておく」
「先生は気にしなくていい。それに、組長から言われているんだ。――先生を寂しがらせるなと。そのためなら、多少の無茶をしてもかまわないと」
そんなやり取りをしていたのかと、和彦は複雑な心境になる。
「……子供扱いされているみたいだ」
「違う。先生を大事にしたいんだ。俺も、組長も」
情欲の熱以外のものによって、顔が熱くなっていくのを和彦は感じた。妖しい衝動が胸の内でうねり、和彦の変化に気づいたのか、三田村のキスが変わる。唇と舌をきつく吸われ、たまらなくなった和彦は舌を絡める。
行為の成果を確かめるように三田村の指に、蕩けて綻んだ内奥の入り口をまさぐられ、慎重に挿入された。
「あっ……、うぅっ」
ゆっくりと指が出し入れされるたびに、内奥に注ぎ込まれた三田村の精が溢れ出してくる。さんざん逞しいもので押し広げられ、擦り上げられた和彦の内奥は、もうすぐ立ち去る愛しい男の指を懸命に締め付ける。
「すごいな、先生――……」
吐息交じりに三田村が洩らし、口元に笑みを刻んだが、穏やかで甘い時間はすぐに終わりを迎える。三田村の携帯電話が、無機質な呼出し音を二回鳴らしてから切れた。どうやら、三田村が自由になれる時間は終わりらしい。
内奥から指が引き抜かれ、濃厚な口づけを与えられる。
「無理してすぐに起きなくていいから、動けるようになるまでしっかり休んでくれ。帰るときは、護衛の連中に連絡したら、この部屋まで迎えに来てくれる」
「……過保護だ」
「本当は俺が、先生を送り届けたいぐらいだ」
和彦は三田村の唇に軽く噛みついてから、囁いた。
「――……ありがとう、三田村」
これ以上側にいると、離れられなくなりそうだった。同じ危惧を三田村も抱いたのか、和彦の上から退いてベッドを下りた。
和彦は体の向きを変え、立ち去る三田村の背を見送ってから、ドアが閉まる音のあと、満たされた吐息をこぼした。
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