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第13話
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執拗に内奥を擦られて、熱くなって震えるものの先端から、透明なしずくを滴らせる。その様子を、鷹津はまばたきもせず凝視していた。
「……なるほど。最初にお前を抱いたときにわかったつもりだったが、今日また、実感した。お前は――いい〈オンナ〉だ。とことん男を悦ばせて、狂わせてくれる」
片足だけを抱え上げられて、指で綻ばされた内奥の入り口に、鷹津の欲望が擦りつけられる。
「うあっ……」
性急に押し入ってきた鷹津のものを、意識しないまま和彦の内奥は締め付ける。すぐに鷹津は腰を使い始め、苦しさに喘ぎながらも和彦は、深々と貫かれていた。
「――佐伯」
鷹津に呼ばれて見上げると、半ば強引に唇を塞がれる。熱い舌に口腔をまさぐられ、唾液を流し込まれているうちに、和彦は口づけに応えていた。舌を絡め合う頃には、鷹津が内奥深くをゆっくりと抉り始め、官能を刺激されて腰が揺れる。
「あうっ、うっ、ううっ」
円を描くように内奥を掻き回されると、抵抗を覚えながらも和彦は、鷹津の背に両腕を回してしがみついていた。ほとんど癖のようになっているが、刺青のせいで独特の質感を持つ肌をまさぐろうとして、戸惑う。刑事である鷹津の背に、当然のことながら刺青などない。
和彦の行為の意図を察したのか、鷹津は薄く笑んだ。
「お前はいつもそうやって、ヤクザの男たちを可愛がっているのか? お前のこの手つきにかかったら、強面のヤクザもペットみたいなものだな」
「うる、さい……」
鷹津の返事は、貪るような口づけだった。その合間に内奥を突き上げられ、抉られて、和彦は肉の悦びに酔う。鷹津にしがみついたまま身を震わせ、噴き上げた絶頂の証で下腹部を濡らしていた。
上体を起こした鷹津は、内奥の淫らな蠕動を堪能するように激しく腰を使い、和彦は仰け反って放埓に声を上げる。
「ああっ、あうっ、うっ、んあっ」
鷹津が乱暴に腰を突き上げてから、動きを止める。和彦は、自分の中で力強い脈動を感じ、身震いするほどの興奮を覚えた。どんな男であろうが隠しようのない、素直な反応だ。例え、心底嫌な男である鷹津であっても――。
「いい、締まりだ……。自分でもわかるか? 怯える小娘みたいに中をビクビクと震わせていたくせに、今は、いやらしく波打つみたいに俺のものを締め上げてくる。本当に、男のものを突っ込まれるのが好きでたまらないんだな」
侮辱されたと思い、和彦は唇を引き結んで鷹津を睨みつける。しかし鷹津は痛痒を感じた様子もなく、和彦の濡れた肌を両手でまさぐってくる。
触れられないまま凝った胸の突起を抓られ、感じた疼きに身を捩った途端、内奥深くに収まった鷹津のものが蠢き、官能を刺激される。和彦は上擦った声を上げ、その声に唆されたように、鷹津が胸の突起にしゃぶりついてきた。
「はあっ、あっ、あっ――ん」
内奥を犯されながら胸を愛撫され、和彦はベッドの上でしどけなく乱れる。そんな和彦の姿を、鷹津は目でも楽しんでいるようだった。目を細め、口元に嫌な笑みを浮かべている。
そんな男から与えられる口づけにすら、和彦は感じてしまう。獣のような粗野さで口腔を舌で犯されながら、内奥もふてぶてしい欲望で犯されるのだ。無意識のうちに、腰を揺らして求めていた。
「感極まる、というやつだな。さっきから、お前の尻が締まりっぱなしだ」
口づけの合間に下卑た言葉を囁かれたが、もう和彦は睨みつけることもできなかった。羞恥して目を伏せると、誘われたように鷹津の唇が目元に押し当てられる。
求められるまま和彦は、差し出した舌を鷹津と絡め合っていた。どんなに嫌な男でも、今、強烈で深い快感を与えてくれているのは、この男なのだ。
鷹津の欲望が内奥で爆ぜる。注ぎ込まれる熱い精を和彦は、小さく悦びの声を上げながらすべて受け止めた。
いつの間にか体の下に敷き込んだバスタオルに、うつ伏せの姿勢のまま和彦は頬をすり寄せる。行為の間中、このふかふかとした感触をずっと握り締めていたような気がする。
「――お前は、刺青は入れないのか」
突然、頭上から声が降ってくる。わずかに視線を動かして見上げると、何も身につけないままベッドにあぐらをかいて座った鷹津が、グラスに注いだワインを飲んでいた。
「ぼくは、ヤクザじゃない。なんでそんなものを入れないといけないんだ」
「入れろと言われないか」
「……たまに」
「この体に何か彫ったら、凄まじく、いやらしくなるだろうな」
性的趣向が賢吾と似ているのではないかと思わせることを言って、鷹津の片手が、汗で濡れている背に這わされる。
「もっとも、刺青なんて入れたら、ヤクザの所有物だと看板を背負っているようなものだがな。特に、蛇の刺青なんて入れたら――」
「……なるほど。最初にお前を抱いたときにわかったつもりだったが、今日また、実感した。お前は――いい〈オンナ〉だ。とことん男を悦ばせて、狂わせてくれる」
片足だけを抱え上げられて、指で綻ばされた内奥の入り口に、鷹津の欲望が擦りつけられる。
「うあっ……」
性急に押し入ってきた鷹津のものを、意識しないまま和彦の内奥は締め付ける。すぐに鷹津は腰を使い始め、苦しさに喘ぎながらも和彦は、深々と貫かれていた。
「――佐伯」
鷹津に呼ばれて見上げると、半ば強引に唇を塞がれる。熱い舌に口腔をまさぐられ、唾液を流し込まれているうちに、和彦は口づけに応えていた。舌を絡め合う頃には、鷹津が内奥深くをゆっくりと抉り始め、官能を刺激されて腰が揺れる。
「あうっ、うっ、ううっ」
円を描くように内奥を掻き回されると、抵抗を覚えながらも和彦は、鷹津の背に両腕を回してしがみついていた。ほとんど癖のようになっているが、刺青のせいで独特の質感を持つ肌をまさぐろうとして、戸惑う。刑事である鷹津の背に、当然のことながら刺青などない。
和彦の行為の意図を察したのか、鷹津は薄く笑んだ。
「お前はいつもそうやって、ヤクザの男たちを可愛がっているのか? お前のこの手つきにかかったら、強面のヤクザもペットみたいなものだな」
「うる、さい……」
鷹津の返事は、貪るような口づけだった。その合間に内奥を突き上げられ、抉られて、和彦は肉の悦びに酔う。鷹津にしがみついたまま身を震わせ、噴き上げた絶頂の証で下腹部を濡らしていた。
上体を起こした鷹津は、内奥の淫らな蠕動を堪能するように激しく腰を使い、和彦は仰け反って放埓に声を上げる。
「ああっ、あうっ、うっ、んあっ」
鷹津が乱暴に腰を突き上げてから、動きを止める。和彦は、自分の中で力強い脈動を感じ、身震いするほどの興奮を覚えた。どんな男であろうが隠しようのない、素直な反応だ。例え、心底嫌な男である鷹津であっても――。
「いい、締まりだ……。自分でもわかるか? 怯える小娘みたいに中をビクビクと震わせていたくせに、今は、いやらしく波打つみたいに俺のものを締め上げてくる。本当に、男のものを突っ込まれるのが好きでたまらないんだな」
侮辱されたと思い、和彦は唇を引き結んで鷹津を睨みつける。しかし鷹津は痛痒を感じた様子もなく、和彦の濡れた肌を両手でまさぐってくる。
触れられないまま凝った胸の突起を抓られ、感じた疼きに身を捩った途端、内奥深くに収まった鷹津のものが蠢き、官能を刺激される。和彦は上擦った声を上げ、その声に唆されたように、鷹津が胸の突起にしゃぶりついてきた。
「はあっ、あっ、あっ――ん」
内奥を犯されながら胸を愛撫され、和彦はベッドの上でしどけなく乱れる。そんな和彦の姿を、鷹津は目でも楽しんでいるようだった。目を細め、口元に嫌な笑みを浮かべている。
そんな男から与えられる口づけにすら、和彦は感じてしまう。獣のような粗野さで口腔を舌で犯されながら、内奥もふてぶてしい欲望で犯されるのだ。無意識のうちに、腰を揺らして求めていた。
「感極まる、というやつだな。さっきから、お前の尻が締まりっぱなしだ」
口づけの合間に下卑た言葉を囁かれたが、もう和彦は睨みつけることもできなかった。羞恥して目を伏せると、誘われたように鷹津の唇が目元に押し当てられる。
求められるまま和彦は、差し出した舌を鷹津と絡め合っていた。どんなに嫌な男でも、今、強烈で深い快感を与えてくれているのは、この男なのだ。
鷹津の欲望が内奥で爆ぜる。注ぎ込まれる熱い精を和彦は、小さく悦びの声を上げながらすべて受け止めた。
いつの間にか体の下に敷き込んだバスタオルに、うつ伏せの姿勢のまま和彦は頬をすり寄せる。行為の間中、このふかふかとした感触をずっと握り締めていたような気がする。
「――お前は、刺青は入れないのか」
突然、頭上から声が降ってくる。わずかに視線を動かして見上げると、何も身につけないままベッドにあぐらをかいて座った鷹津が、グラスに注いだワインを飲んでいた。
「ぼくは、ヤクザじゃない。なんでそんなものを入れないといけないんだ」
「入れろと言われないか」
「……たまに」
「この体に何か彫ったら、凄まじく、いやらしくなるだろうな」
性的趣向が賢吾と似ているのではないかと思わせることを言って、鷹津の片手が、汗で濡れている背に這わされる。
「もっとも、刺青なんて入れたら、ヤクザの所有物だと看板を背負っているようなものだがな。特に、蛇の刺青なんて入れたら――」
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