血と束縛と

北川とも

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第20話

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 体がじわりと熱くなってきたところで和彦は、相手の意図を知った。
 三日前、和彦は鷹津と体を重ねた。そのとき鷹津から受けた愛撫の痕跡がまだいくつか肌に残っており、それを辿っているのだ。
 急に羞恥と後ろめたさに襲われて身じろごうとしたが、すかさず敏感なものをてのひらに包み込まれて動けなくなる。
 和彦のささやかな抵抗すら封じ込めると、相手の手つきは、冷静に体を検分するものから、官能を刺激するものへと変わる。そして和彦は、逆らえない。
 相手がベッドを下りる気配がした。もちろん、行為がこれだけで終わるはずもなく、和彦の耳に衣擦れの音が届く。すぐにベッドが揺れ、再び相手の手が和彦の体に触れる。
 愉悦を与えられる手順の何もかもが、あの夜と同じように思えた。
 和彦のものは再びてのひらに包み込まれ、緩やかに上下に扱かれる。もう片方の手が腿から腰、胸元へと這わされ、撫で回してくる。相手の手つきはあくまで丁寧で、緊張で強張っている体を解そうとしているのだ。
 和彦はゆっくりと呼吸を繰り返し、てのひらの感触が肌に馴染んでいくのを感じていた。目隠しの下で目を閉じながら、さきほどまで自分が身を置いていた状況を思い返し、目まぐるしく思考を働かせる。
 あの場にいた男たちに、自分はどんな存在として認知されているのだろうか。ふとそれが気になったが、喉元にまでてのひらが這わされて我に返る。一瞬、首を絞められるのではないかと危惧したのだ。
 当然だが、そんな物騒なことはされなかった。
 あごの下をくすぐられ、頬を撫でられて、耳の形をなぞられる。唇には指先が擦りつけられた。考えてみれば、前回は顔全体に布をかけられていたため、このように触れられることはなかったのだ。
 そしてまた、胸元から腰にかけててのひらを這わされる。
「ふっ……」
 腰の辺りに疼くような心地よさが広がり、和彦は小さく声を洩らす。絶えず愛撫を与えられている和彦のものは、すでに身を起こしていた。それを待っていたように相手の手が、今度は和彦の柔らかな膨らみにかかった。
 爪先をベッドに突っ張らせて、和彦はビクビクと腰を震わせる。怖い、と咄嗟に思ったが、足を閉じることはできず、相手の愛撫に身を任せるしかない。
 柔らかく揉みしだかれ、弱みを指先でまさぐられる。時間をかけてじっくりと。気がつけば和彦は、上擦った声を上げて感じていた。
「あっ、あぁっ、あっ――……」
 ベッドの上で背を反らし、頭上の枕を両手で握り締める。快感に、体が素直な反応を示すようになっていた。
 相手の興味は、まだ触れていない部分へと向く。片足を抱え上げられた和彦は、次に何が行われるか、すぐに予測できた。
 その予測通り――。
 秘裂をまさぐられ、潤滑剤らしきものを垂らされた。内奥の入り口を擦られながら、丹念に解されていく。和彦が大きく息を吐き出した瞬間、ヌルリと指が内奥に挿入された。
 じっくりと内奥を指で犯される。まだ硬い肉を突き崩すように解され、襞と粘膜を擦られて淫靡な音を立てる頃には、和彦の肌は汗ばみ、息遣いも妖しさを帯び始めていた。ときおり指が引き抜かれ、たっぷりの潤滑剤とともにすぐにまた挿入されると、腰を揺らして締め付けてしまう。
 相手は決して焦らず、和彦を観察している。どの部分でより感じ、どの力加減を好むか、愛撫だけでどこまで身悶えるか、知ろうとしているのだ。
「あうっ……」
 内奥を強く指で押し上げられ、堪える術もなく和彦は精を噴き上げる。
 この頃になると、和彦の理性は危ういものになっていた。いつもであれば、衝動のままに相手にしがみつき、身を任せてしまえばいいが、今和彦の体を自由にしている相手に、自分から触れることはできなかった。頭ではそうわかってはいても、容赦なく押し寄せる快感の中、しっかりと自分を保つのは難しい。
 無意識のうちに手を伸ばしそうになり、寸前のところで我に返る。そんな和彦の動作に、相手は何か感じたらしい。まるで子供をあやすように、頭や頬を撫でてきた。その手つきに和彦は安堵する。
 自分に触れているのは、感情を持った人間なのだと実感していた。相手の手から、感情が流れ込んでくる気がしたのだ。少なくとも、和彦に対して敵意や害意は持っていない。
 うつ伏せの姿勢を取らされた和彦は、枕を握り締める。蕩けた内奥の入り口に熱くて硬いものが押し当てられ、潤滑剤で潤った肉をゆっくりと割り開かれていた。
「うっ、うああっ」
 ゾクゾクするような強烈な疼きが背筋を駆け抜ける。腰を突き出した姿勢で背をしならせ、和彦は逞しい欲望を内奥に呑み込んでいく。

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