481 / 1,292
第22話
(18)
しおりを挟む
「気持ちいいか、先生? 尻が締まりっぱなしだ」
和彦は何も考えられず、夢中で頷く。賢吾の指が、繋がってひくつく部分を擦り上げてくる。それだけで、鳥肌が立ちそうなほど感じていた。
「いい顔だ。先生みたいな色男を、尻で感じさせているのが自分かと思ったら、限界まで奮い立っても仕方ねーよな。俺だけじゃない。先生を抱いている他の男も同じだろう」
一度内奥から引き抜かれた欲望が、すぐにまた奥深くまで押し入ってくる。和彦は思いきり仰け反って、頭の中で閃光が走るような感覚を味わう。
「また、イッたのか。こんなにすぐイクなら、こいつはもう、縛ったままでいいか?」
賢吾が怖い声で囁きながら、和彦の欲望に手をかけてくる。きつく縛められているせいで、少し感覚が鈍くなってきている。それでも、精を放ちたいという衝動だけは強くなっていた。
「い、や……。イ、きたい……。賢吾さん、早く――」
内奥に収まっている欲望は凶暴に育っているというのに、和彦の顔を覗き込んでくる賢吾の表情は冴え冴えとしていた。
「――お前は、俺のなんだ?」
突然の質問に、和彦は目を見開く。思わず口ごもると、欲望に食い込む皮紐を指でなぞられる。その感触に背を押されるように、和彦は震える声で答えた。
「あんたの、オンナだ……」
「俺は、誰だ?」
「……長嶺組、組長」
よく言えた、ということか、唇に賢吾のキスが落とされる。
「お前は、長嶺組組長のオンナだ。これは、何があっても変わらない。変えるつもりもない」
皮紐の縛めが解かれると同時に、内奥深くを抉るように突かれる。和彦は声も出せないまま絶頂に達し、賢吾が見ている前でたっぷりの精を迸らせた。
「――……お前は、大蛇の大事で可愛いオンナだ。しっかりと、この淫奔な体に刻み付けておけよ。どれだけの男と寝ようが、忘れられないぐらいしっかりと」
大蛇の執着は怖くて淫らだ。そんなことを頭の片隅で考えながら和彦は、賢吾にしがみついて何度も頷いた。
ビールを呷っていた賢吾が低く笑い声を洩らし、それが振動となって背に伝わってくる。つられるように和彦も小さく笑い声を洩らしてから、まだ汗に濡れている賢吾の背に唇を押し当てる。
激しい情交の最中、喉が渇きすぎて和彦の声が出なくなり、賢吾が部屋にビールと水を運ばせてきた。一度は体を離したもののすぐに賢吾の熱さが恋しくなり、和彦は喉の渇きを潤してすぐに、賢吾の背にしなだれかかっていた。
そして、ここぞとばかりに大蛇の刺青を愛撫する。
汗を舐め取り、大蛇の鱗に丹念に唇を押し当て、巨体の輪郭に舌先を這わせる。柔らかく肌を吸っていると、賢吾に片手を取られ、まだ高ぶっている欲望を握らされた。
「大蛇だけじゃなく、こいつも可愛がってやってくれ。嫉妬して暴発しそうだ」
「……さっき、さんざん――」
言いかけた言葉は、口中で消える。口にするにはあまりに露骨すぎる言葉だと気づいたからだ。
大蛇の刺青を唇と舌で愛撫しながら、賢吾の欲望を緩やかに片手で扱く。
「いやらしいな、先生」
笑いを含んだ声で賢吾が言い、和彦はぼそぼそと応じる。
「どっちがだ」
体の奥がまだ疼いていた。声も出なくなるほど嬌声を上げ、よがり狂い、賢吾と獣のように絡み合ったというのに、情欲の火は燻ったままだ。体のほうは、いつもならとっくに限界を迎えているはずだが、手の中で脈打つ欲望を受け入れたくてたまらなかった。
賢吾の見せた強い執着心によって、和彦の中で歯止めが壊れたのかもしれない。
大蛇の刺青に対する愛撫が熱を帯びる。和彦は、大蛇が巨体を巻きつけている剣をじっくりと舐め上げ、その感触に呼応するように、手の中で賢吾の欲望が震える。
今なら、とんでもなく淫らな〈オンナ〉になれそうだった。恥知らずな言葉で賢吾を求め、腰を突き出す姿勢すら、嬉々として取るだろう。
しかしここで、情欲を一気に冷ますようなことを賢吾が言った。
「――パンは美味かったか、先生?」
和彦はすぐには、賢吾の言葉の意味が理解できなかった。
「えっ……」
動きを止めた和彦が戸惑っていると、賢吾が肩越しにちらりと振り返る。口元には薄い笑みが浮かんでいた。
「オヤジとの旅行に出かける前の話だ。秦と中嶋との夜遊びを楽しんだあと、わざわざ遠回りして買いに行ったパン屋があるんだろ。先生は、周りが世話を焼いてやらなきゃ、自分から美味いものを食おうとしないのに、その先生が自分で足を運んだぐらいだ。うちの者から話を聞いて、珍しいこともあるもんだと、気になっていたんだ」
和彦は何も考えられず、夢中で頷く。賢吾の指が、繋がってひくつく部分を擦り上げてくる。それだけで、鳥肌が立ちそうなほど感じていた。
「いい顔だ。先生みたいな色男を、尻で感じさせているのが自分かと思ったら、限界まで奮い立っても仕方ねーよな。俺だけじゃない。先生を抱いている他の男も同じだろう」
一度内奥から引き抜かれた欲望が、すぐにまた奥深くまで押し入ってくる。和彦は思いきり仰け反って、頭の中で閃光が走るような感覚を味わう。
「また、イッたのか。こんなにすぐイクなら、こいつはもう、縛ったままでいいか?」
賢吾が怖い声で囁きながら、和彦の欲望に手をかけてくる。きつく縛められているせいで、少し感覚が鈍くなってきている。それでも、精を放ちたいという衝動だけは強くなっていた。
「い、や……。イ、きたい……。賢吾さん、早く――」
内奥に収まっている欲望は凶暴に育っているというのに、和彦の顔を覗き込んでくる賢吾の表情は冴え冴えとしていた。
「――お前は、俺のなんだ?」
突然の質問に、和彦は目を見開く。思わず口ごもると、欲望に食い込む皮紐を指でなぞられる。その感触に背を押されるように、和彦は震える声で答えた。
「あんたの、オンナだ……」
「俺は、誰だ?」
「……長嶺組、組長」
よく言えた、ということか、唇に賢吾のキスが落とされる。
「お前は、長嶺組組長のオンナだ。これは、何があっても変わらない。変えるつもりもない」
皮紐の縛めが解かれると同時に、内奥深くを抉るように突かれる。和彦は声も出せないまま絶頂に達し、賢吾が見ている前でたっぷりの精を迸らせた。
「――……お前は、大蛇の大事で可愛いオンナだ。しっかりと、この淫奔な体に刻み付けておけよ。どれだけの男と寝ようが、忘れられないぐらいしっかりと」
大蛇の執着は怖くて淫らだ。そんなことを頭の片隅で考えながら和彦は、賢吾にしがみついて何度も頷いた。
ビールを呷っていた賢吾が低く笑い声を洩らし、それが振動となって背に伝わってくる。つられるように和彦も小さく笑い声を洩らしてから、まだ汗に濡れている賢吾の背に唇を押し当てる。
激しい情交の最中、喉が渇きすぎて和彦の声が出なくなり、賢吾が部屋にビールと水を運ばせてきた。一度は体を離したもののすぐに賢吾の熱さが恋しくなり、和彦は喉の渇きを潤してすぐに、賢吾の背にしなだれかかっていた。
そして、ここぞとばかりに大蛇の刺青を愛撫する。
汗を舐め取り、大蛇の鱗に丹念に唇を押し当て、巨体の輪郭に舌先を這わせる。柔らかく肌を吸っていると、賢吾に片手を取られ、まだ高ぶっている欲望を握らされた。
「大蛇だけじゃなく、こいつも可愛がってやってくれ。嫉妬して暴発しそうだ」
「……さっき、さんざん――」
言いかけた言葉は、口中で消える。口にするにはあまりに露骨すぎる言葉だと気づいたからだ。
大蛇の刺青を唇と舌で愛撫しながら、賢吾の欲望を緩やかに片手で扱く。
「いやらしいな、先生」
笑いを含んだ声で賢吾が言い、和彦はぼそぼそと応じる。
「どっちがだ」
体の奥がまだ疼いていた。声も出なくなるほど嬌声を上げ、よがり狂い、賢吾と獣のように絡み合ったというのに、情欲の火は燻ったままだ。体のほうは、いつもならとっくに限界を迎えているはずだが、手の中で脈打つ欲望を受け入れたくてたまらなかった。
賢吾の見せた強い執着心によって、和彦の中で歯止めが壊れたのかもしれない。
大蛇の刺青に対する愛撫が熱を帯びる。和彦は、大蛇が巨体を巻きつけている剣をじっくりと舐め上げ、その感触に呼応するように、手の中で賢吾の欲望が震える。
今なら、とんでもなく淫らな〈オンナ〉になれそうだった。恥知らずな言葉で賢吾を求め、腰を突き出す姿勢すら、嬉々として取るだろう。
しかしここで、情欲を一気に冷ますようなことを賢吾が言った。
「――パンは美味かったか、先生?」
和彦はすぐには、賢吾の言葉の意味が理解できなかった。
「えっ……」
動きを止めた和彦が戸惑っていると、賢吾が肩越しにちらりと振り返る。口元には薄い笑みが浮かんでいた。
「オヤジとの旅行に出かける前の話だ。秦と中嶋との夜遊びを楽しんだあと、わざわざ遠回りして買いに行ったパン屋があるんだろ。先生は、周りが世話を焼いてやらなきゃ、自分から美味いものを食おうとしないのに、その先生が自分で足を運んだぐらいだ。うちの者から話を聞いて、珍しいこともあるもんだと、気になっていたんだ」
78
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
悪役の僕 何故か愛される
いもち
BL
BLゲーム『恋と魔法と君と』に登場する悪役 セイン・ゴースティ
王子の魔力暴走によって火傷を負った直後に自身が悪役であったことを思い出す。
悪役にならないよう、攻略対象の王子や義弟に近寄らないようにしていたが、逆に構われてしまう。
そしてついにゲーム本編に突入してしまうが、主人公や他の攻略対象の様子もおかしくて…
ファンタジーラブコメBL
シリアスはほとんどないです
不定期更新
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる