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第22話
(17)
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「刺青の前に、先生にはこっちを可愛がってもらおう。美味そうにしゃぶって見せてくれ」
そう命じられ、全身を羞恥で熱くしながら和彦は賢吾を睨みつける。しかし、逆らうことはできなかった。身を屈め、あぐらをかいたままの賢吾の両足の間に顔を埋めた。
浴衣を捲り上げ、反り返ったふてぶてしい欲望に丹念に舌を這わせる。舐め上げるたびに、自分はこの男の〈オンナ〉なのだという想いが強くなる。愛しいという純粋な気持ちからではなく、快感のために尽くしてやりたいという、身を焼かれそうな衝動に突き動かされていた。
口腔に含んだ欲望が瞬く間に逞しさを増していき、力強く脈打つ。賢吾に頭を押さえられて、和彦は喉につくほど深く呑み込む。苦しさに耐えながら吸引していると、手荒く髪を撫でてから掴まれた。無言の求めに応じてゆっくりと頭を上下に動かしながら、欲望に舌を絡め、唇で締め付ける。
和彦の口淫をじっくり堪能してから、賢吾は口腔で達した。放たれた精を舌で受け止めて嚥下すると、次の瞬間には和彦は、浴衣を剥ぎ取られて布団の上に突き飛ばされる。賢吾も浴衣を脱ぎ捨てて、のしかかってきた。
「あっ……」
両足を抱えるようにして大きく左右に広げられ、賢吾が顔を埋めてくる。和彦のものはいきなり熱い口腔に含まれたかと思うと、容赦ない愛撫に晒される。痛いほど強く吸引され、舌先で先端を攻められたかと思うと、括れを唇で締め付けられる。
「うあっ、あっ、もう少し、優しく、してくれ――」
和彦は震えを帯びた声で訴えるが、賢吾は聞き入れる気はないようだった。それどころか、加虐的なものを刺激されたのか、先端に歯列を擦りつけてくる。和彦は、感じすぎるからこそ、この攻められ方が苦手だ。
反射的に腰を揺らして愛撫から逃れようとしたが、執拗に先端を攻められると、もう体が動かない。まるで大蛇が牙を突き立てているようだと思った。牙から毒は出てこないが、反対に、和彦の先端から透明なしずくが滲み出てくる。大蛇は嬉々として舌で舐め取り、もっと出せといわんばかりに攻め立ててくるのだ。
和彦の体から力が抜け、愛撫に身を任せるのを見計らっていたように、賢吾が動く。枕の下から何か取り出したのは見えたが、それがなんであるかまでは、涙でぼやけた目では捉えることはできなかった。
「……一体、何を……?」
わずかな不安に襲われて和彦が問いかけると、賢吾は残酷なほど楽しげな声で言った。
「ひどいことはしない。先生はすでに一度、経験しているからな」
さすがに体を起こそうとしたとき、快感に震える和彦のものが根元から締め上げられる。何事かと思って視線を向けた先で、賢吾は和彦のものに皮紐を巻きつけていた。こちらを見た賢吾が、唇だけの酷薄な笑みを浮かべた。
「少しの間、こいつは使わない。――オンナらしく、尻だけでイイ思いをさせてやる」
和彦は身がすくんで動けなかった。これまで賢吾は、和彦を肉体的に痛めつけることはなかったので、恐慌状態に陥ったりはしなかったが、それでも怖いものは怖い。
内奥にたっぷりの潤滑剤を施した賢吾が、両足の間に逞しい腰を割り込ませ、和彦の下肢に視線を向けてくる。皮紐で締め上げられた欲望や、潤滑剤で濡れて綻んでいる内奥の入り口が、賢吾の目にはどう映っているのかと思うと、和彦は羞恥のあまり哀願したくなる。
しかしそんな間も与えられず、賢吾は高ぶった欲望を内奥に挿入してきた。
「んああっ、んんっ、んっ、くうっ……ん」
内奥をこじ開けられながら、脆い襞と粘膜を強く擦り上げられる。腰から背にかけて電気にも似た感覚が駆け抜け、それが快感だと知ったとき、和彦の体は弛緩した。一気に鮮やかな赤に染まった和彦の肌を撫でながら、賢吾は大胆に腰を使う。
「もう、イッたのか、先生。尻に突っ込んだだけだってのに、堪え性のない体だ」
両足を抱え直され、内奥から激しく賢吾のものが出し入れされる。潤滑剤と粘膜が擦れ合う淫靡な音が、一際大きく室内に響く。
「あっ、うあっ……、賢吾さんっ――」
内奥を突き上げられて体中に快感が行き渡るたびに、皮紐で縛められた欲望が苦しさを訴える。精を放てない分、内奥は浅ましいほど蠢き、奥深くにまで挿入されたものを貪欲に締め付けている。それが賢吾にはたまらない快感となっているのだろう。
和彦は首を左右に振りながら、何度も皮紐を外すよう頼むが、聞き入れてはくれない。それどころか、さらに和彦を追い込むように、柔らかな膨らみを乱暴に揉みしだき始める。
「ひっ……」
弱みを弄られる恐怖に体が強張るが、一瞬あとには腰が溶けそうな感覚が湧き起こる。賢吾は、和彦が甲高い嬌声を立て続けに上げる様子を、楽しげに見下ろしていた。
そう命じられ、全身を羞恥で熱くしながら和彦は賢吾を睨みつける。しかし、逆らうことはできなかった。身を屈め、あぐらをかいたままの賢吾の両足の間に顔を埋めた。
浴衣を捲り上げ、反り返ったふてぶてしい欲望に丹念に舌を這わせる。舐め上げるたびに、自分はこの男の〈オンナ〉なのだという想いが強くなる。愛しいという純粋な気持ちからではなく、快感のために尽くしてやりたいという、身を焼かれそうな衝動に突き動かされていた。
口腔に含んだ欲望が瞬く間に逞しさを増していき、力強く脈打つ。賢吾に頭を押さえられて、和彦は喉につくほど深く呑み込む。苦しさに耐えながら吸引していると、手荒く髪を撫でてから掴まれた。無言の求めに応じてゆっくりと頭を上下に動かしながら、欲望に舌を絡め、唇で締め付ける。
和彦の口淫をじっくり堪能してから、賢吾は口腔で達した。放たれた精を舌で受け止めて嚥下すると、次の瞬間には和彦は、浴衣を剥ぎ取られて布団の上に突き飛ばされる。賢吾も浴衣を脱ぎ捨てて、のしかかってきた。
「あっ……」
両足を抱えるようにして大きく左右に広げられ、賢吾が顔を埋めてくる。和彦のものはいきなり熱い口腔に含まれたかと思うと、容赦ない愛撫に晒される。痛いほど強く吸引され、舌先で先端を攻められたかと思うと、括れを唇で締め付けられる。
「うあっ、あっ、もう少し、優しく、してくれ――」
和彦は震えを帯びた声で訴えるが、賢吾は聞き入れる気はないようだった。それどころか、加虐的なものを刺激されたのか、先端に歯列を擦りつけてくる。和彦は、感じすぎるからこそ、この攻められ方が苦手だ。
反射的に腰を揺らして愛撫から逃れようとしたが、執拗に先端を攻められると、もう体が動かない。まるで大蛇が牙を突き立てているようだと思った。牙から毒は出てこないが、反対に、和彦の先端から透明なしずくが滲み出てくる。大蛇は嬉々として舌で舐め取り、もっと出せといわんばかりに攻め立ててくるのだ。
和彦の体から力が抜け、愛撫に身を任せるのを見計らっていたように、賢吾が動く。枕の下から何か取り出したのは見えたが、それがなんであるかまでは、涙でぼやけた目では捉えることはできなかった。
「……一体、何を……?」
わずかな不安に襲われて和彦が問いかけると、賢吾は残酷なほど楽しげな声で言った。
「ひどいことはしない。先生はすでに一度、経験しているからな」
さすがに体を起こそうとしたとき、快感に震える和彦のものが根元から締め上げられる。何事かと思って視線を向けた先で、賢吾は和彦のものに皮紐を巻きつけていた。こちらを見た賢吾が、唇だけの酷薄な笑みを浮かべた。
「少しの間、こいつは使わない。――オンナらしく、尻だけでイイ思いをさせてやる」
和彦は身がすくんで動けなかった。これまで賢吾は、和彦を肉体的に痛めつけることはなかったので、恐慌状態に陥ったりはしなかったが、それでも怖いものは怖い。
内奥にたっぷりの潤滑剤を施した賢吾が、両足の間に逞しい腰を割り込ませ、和彦の下肢に視線を向けてくる。皮紐で締め上げられた欲望や、潤滑剤で濡れて綻んでいる内奥の入り口が、賢吾の目にはどう映っているのかと思うと、和彦は羞恥のあまり哀願したくなる。
しかしそんな間も与えられず、賢吾は高ぶった欲望を内奥に挿入してきた。
「んああっ、んんっ、んっ、くうっ……ん」
内奥をこじ開けられながら、脆い襞と粘膜を強く擦り上げられる。腰から背にかけて電気にも似た感覚が駆け抜け、それが快感だと知ったとき、和彦の体は弛緩した。一気に鮮やかな赤に染まった和彦の肌を撫でながら、賢吾は大胆に腰を使う。
「もう、イッたのか、先生。尻に突っ込んだだけだってのに、堪え性のない体だ」
両足を抱え直され、内奥から激しく賢吾のものが出し入れされる。潤滑剤と粘膜が擦れ合う淫靡な音が、一際大きく室内に響く。
「あっ、うあっ……、賢吾さんっ――」
内奥を突き上げられて体中に快感が行き渡るたびに、皮紐で縛められた欲望が苦しさを訴える。精を放てない分、内奥は浅ましいほど蠢き、奥深くにまで挿入されたものを貪欲に締め付けている。それが賢吾にはたまらない快感となっているのだろう。
和彦は首を左右に振りながら、何度も皮紐を外すよう頼むが、聞き入れてはくれない。それどころか、さらに和彦を追い込むように、柔らかな膨らみを乱暴に揉みしだき始める。
「ひっ……」
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