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第22話
(25)
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和彦と中嶋は、まず互いの体に触れ合うことを、次に、快感を引き出すことを楽しみ始める。高ぶった欲望をすぐに爆発させてしまうのはもったいない気がした。やりたいように相手に触れ合い、感じ合い、そうしているうちに、意識が切り替わっていくようだ。〈オンナ〉という意識が。
「ヤクザに目をつけられる前まで、ぼくにとってのセックスは、純粋に楽しむものだった。相手が何者かなんて関係なかったし、束縛もし合わない。気ままに、気楽な関係を持って――長続きはさせない。だけどそれが、性に合っていた」
「今は、まったく逆でしょう。先生に触れられる相手は限られていて、セックス一つにいろんな事情が絡み合う。だからこそ先生は執着されて、大事にされて、束縛される。この世界で生きる限り、そんな状況はずっと続く」
「君とのセックスに惹かれる理由は、そこにあるのかもな。君相手なら、ぼくは自由に振る舞える」
中嶋のものが、先端から透明なしずくを滴らせ始める。反り返った形を指先でなぞった和彦は、さきほどのお返しとばかりに、中嶋の内奥に指を挿入していく。声を堪えるように唇を引き結んだ中嶋だが、和彦が指を動かすと簡単に声を洩らすようになる。
「秦に、慣らされているようだな」
奥まで突き入れた指をきつく締め付けられ、和彦は口元に笑みを刻む。発情した襞と粘膜が絡みつき、吸い付いてくるようで、その感触だけで和彦の体は熱くなってくる。
中嶋の片手が伸びてきて、和彦の欲望に触れられる。腰を密着させ、熱く濡れそぼった欲望を再び擦りつけ合っていたが、先に限界を迎えたのは中嶋だった。
和彦の体はベッドに押さえつけられ、しなやかな獣のように中嶋がのしかかってくると、両足をしっかりと折り曲げるようにして抱え上げられた。
「ううっ……」
内奥を、中嶋のものによってこじ開けられる。この瞬間、和彦が感じたのは痛みでも苦しさでもなく、身を捩りたくなるような肉の愉悦だった。襞と粘膜を強く擦り上げられ、喉を反らして呻き声を洩らす。緩やかに内奥深くを突かれてようやく、下腹部に重苦しさが広がったが、それすら、すぐに快感と区別がつかなくなる。
自分にとって男を受け入れることとは、苦痛も快感も大差ないのかもしれない。頭の片隅で、ふっとそんなことを考えた和彦は、間近から顔を覗き込んできた中嶋と貪るような口づけを交わす。
「――やっぱり、先生の中は気持ちいい。物欲しげなきつい締め付けも、甘やかすような襞の動きも素敵だけど、この感触を、先生を大事にしている怖い男たちが堪能しているのかと思ったら、ゾクゾクしますよ」
深く押し入ってきた中嶋のものが力強く脈打ち、感じている興奮を物語っている。その興奮に感化されたように和彦も乱れ、突き上げられるたびに首を左右に振る。〈女〉を感じさせている男に犯される状況に、自分がひどくか弱い生き物になったようで、倒錯した悦びが押し寄せてくるのだ。
「あっ、あっ、あぁっ――……」
間欠的に声を上げながら和彦は、中嶋の乱れた髪を掻き上げてやる。顔を上気させ、息を弾ませた中嶋は、荒々しさと鋭さ、凄絶な色気も加わって、普段以上に魅力的に見えた。
そんな中嶋が、ニヤリと笑って和彦のものを強く握り締めてくる。
「俺はもうすぐイきますけど、先生はイッちゃダメですよ。次は、先生の番なんですから」
内奥を抉るようにゆっくり深く突き上げられ、そのたびに和彦はビクッ、ビクッと体を震わせる。本当なら、精を噴き上げて絶頂に達しているところだろうが、中嶋にしっかりと欲望の根元を押さえられているため、それが叶わない。
「うっ、ううっ……ん、あんっ」
抜き差しされる中嶋のものを、絞り上げるように懸命に締め付ける。
「すごいな、先生……。よすぎて、腰が溶けそうですよ」
恥知らずな嬌声を上げてしまいそうで、和彦は口元に指を当てて声を堪える。和彦のその姿に感じるものがあったのか、ふいに中嶋が顔を寄せてきて、唇に軽いキスを落とされた。深く唇が重なってきて、口腔に中嶋の唾液が流し込まれる。同時に、内奥深くを大きく突き上げられ、熱い精を注ぎ込まれた。
「ふっ……、ん、くぅっ、んうっ――」
下肢が震える。内奥は快感を貪っているが、中嶋の手に縛められた和彦の欲望は、一刻も早く絶頂を迎えたがっている。中嶋は大きく肩を喘がせてから、汗を滴らせたしなやかな体を離し、ベッドに転がった。
言葉はなくても、次に何をすべきかはわかっている。和彦は中嶋に覆い被さると、高ぶったままの自分の欲望を、綻んだ内奥の入り口に押し当てた。
「……いまさら言うまでもないが、ぼくは、受け止める立場にしかなったことがないんだ」
「俺もこの間まで、男を受け止めたことなんてありませんでしたよ」
「ヤクザに目をつけられる前まで、ぼくにとってのセックスは、純粋に楽しむものだった。相手が何者かなんて関係なかったし、束縛もし合わない。気ままに、気楽な関係を持って――長続きはさせない。だけどそれが、性に合っていた」
「今は、まったく逆でしょう。先生に触れられる相手は限られていて、セックス一つにいろんな事情が絡み合う。だからこそ先生は執着されて、大事にされて、束縛される。この世界で生きる限り、そんな状況はずっと続く」
「君とのセックスに惹かれる理由は、そこにあるのかもな。君相手なら、ぼくは自由に振る舞える」
中嶋のものが、先端から透明なしずくを滴らせ始める。反り返った形を指先でなぞった和彦は、さきほどのお返しとばかりに、中嶋の内奥に指を挿入していく。声を堪えるように唇を引き結んだ中嶋だが、和彦が指を動かすと簡単に声を洩らすようになる。
「秦に、慣らされているようだな」
奥まで突き入れた指をきつく締め付けられ、和彦は口元に笑みを刻む。発情した襞と粘膜が絡みつき、吸い付いてくるようで、その感触だけで和彦の体は熱くなってくる。
中嶋の片手が伸びてきて、和彦の欲望に触れられる。腰を密着させ、熱く濡れそぼった欲望を再び擦りつけ合っていたが、先に限界を迎えたのは中嶋だった。
和彦の体はベッドに押さえつけられ、しなやかな獣のように中嶋がのしかかってくると、両足をしっかりと折り曲げるようにして抱え上げられた。
「ううっ……」
内奥を、中嶋のものによってこじ開けられる。この瞬間、和彦が感じたのは痛みでも苦しさでもなく、身を捩りたくなるような肉の愉悦だった。襞と粘膜を強く擦り上げられ、喉を反らして呻き声を洩らす。緩やかに内奥深くを突かれてようやく、下腹部に重苦しさが広がったが、それすら、すぐに快感と区別がつかなくなる。
自分にとって男を受け入れることとは、苦痛も快感も大差ないのかもしれない。頭の片隅で、ふっとそんなことを考えた和彦は、間近から顔を覗き込んできた中嶋と貪るような口づけを交わす。
「――やっぱり、先生の中は気持ちいい。物欲しげなきつい締め付けも、甘やかすような襞の動きも素敵だけど、この感触を、先生を大事にしている怖い男たちが堪能しているのかと思ったら、ゾクゾクしますよ」
深く押し入ってきた中嶋のものが力強く脈打ち、感じている興奮を物語っている。その興奮に感化されたように和彦も乱れ、突き上げられるたびに首を左右に振る。〈女〉を感じさせている男に犯される状況に、自分がひどくか弱い生き物になったようで、倒錯した悦びが押し寄せてくるのだ。
「あっ、あっ、あぁっ――……」
間欠的に声を上げながら和彦は、中嶋の乱れた髪を掻き上げてやる。顔を上気させ、息を弾ませた中嶋は、荒々しさと鋭さ、凄絶な色気も加わって、普段以上に魅力的に見えた。
そんな中嶋が、ニヤリと笑って和彦のものを強く握り締めてくる。
「俺はもうすぐイきますけど、先生はイッちゃダメですよ。次は、先生の番なんですから」
内奥を抉るようにゆっくり深く突き上げられ、そのたびに和彦はビクッ、ビクッと体を震わせる。本当なら、精を噴き上げて絶頂に達しているところだろうが、中嶋にしっかりと欲望の根元を押さえられているため、それが叶わない。
「うっ、ううっ……ん、あんっ」
抜き差しされる中嶋のものを、絞り上げるように懸命に締め付ける。
「すごいな、先生……。よすぎて、腰が溶けそうですよ」
恥知らずな嬌声を上げてしまいそうで、和彦は口元に指を当てて声を堪える。和彦のその姿に感じるものがあったのか、ふいに中嶋が顔を寄せてきて、唇に軽いキスを落とされた。深く唇が重なってきて、口腔に中嶋の唾液が流し込まれる。同時に、内奥深くを大きく突き上げられ、熱い精を注ぎ込まれた。
「ふっ……、ん、くぅっ、んうっ――」
下肢が震える。内奥は快感を貪っているが、中嶋の手に縛められた和彦の欲望は、一刻も早く絶頂を迎えたがっている。中嶋は大きく肩を喘がせてから、汗を滴らせたしなやかな体を離し、ベッドに転がった。
言葉はなくても、次に何をすべきかはわかっている。和彦は中嶋に覆い被さると、高ぶったままの自分の欲望を、綻んだ内奥の入り口に押し当てた。
「……いまさら言うまでもないが、ぼくは、受け止める立場にしかなったことがないんだ」
「俺もこの間まで、男を受け止めたことなんてありませんでしたよ」
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