無愛想な婚約者の心の声を暴いてしまったら

雪嶺さとり

文字の大きさ
5 / 5

第5話

「やれやれまったく、世話が焼けるよ。本当に……」

会場の隅で、ノーランは事の顛末を見守っていた。
ようやくこれで万事解決だと、一息つける。

ウィラードはこちらが辟易するほどルーシャへの愛を語っていた男なのだ。
浮気なんてあるわけないと思っていたが、やはり想像通りのことになっていた。
ウィラードの恋心を利用して、その地位を狙っている女性が彼に接触していたことは知っていたが、簡単に心変わりするわけが無い。
ルーシャを言い訳に、いいようにされていただけなのだ。

(懐かしいなぁ、昔からずっとどうやってルーシャに接したらいいかって聞いてばっかりで)

研究室で手伝ってくれるのかと思いきや、ルーシャの可愛さを延々と語られるだけだったり。
ルーシャが可愛いすぎて、顔がにやけてしまうから表情を鍛えなければ、だとか言い出したり。
凛とした美しい顔も、ルーシャの好みの顔では無いかもしれないと言い出して絶望しかけていたり。
ルーシャのことになると、冷静なはずのウィラードが気狂いでもしたかのようになるのだ。

(そんなことしなくてもルーシャは君のことが好きだよって言っても信じてくれなかったしなぁ……ホント、ルーシャもウィラードもよく似てるよ)

隣国へ留学してちょっとは成長したと思っていが、肝心のルーシャへの耐性がまったく変わらないとは。
ルーシャにそれとなくウィラードは君のことが本当に好きなんだと、何度も伝えてみても、簡単には信じてくれない始末だ。
二人の間に妙な誤解があることは分かっていたが、手出しはするなと言われていたので何もしなかっただけであって、ここまで来ればさすがの自分だって手を出さざるを得なくなる。

幸せそうに寄り添う二人を見て、ノーランは踵を返していく。
それなりに素直に生きている方が、良いこともあるということだ。
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~

瀬里@SMARTOON8/31公開予定
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)  ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。  3歳年下のティーノ様だ。  本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。  行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。  なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。  もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。  そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。  全7話の短編です 完結確約です。

すれ違ってしまった恋

秋風 爽籟
恋愛
別れてから何年も経って大切だと気が付いた… それでも、いつか戻れると思っていた… でも現実は厳しく、すれ違ってばかり…

婚約者に好きな人ができたらしい(※ただし事実とは異なります)

彗星
恋愛
主人公ミアと、婚約者リアムとのすれ違いもの。学園の人気者であるリアムを、婚約者を持つミアは、公爵家のご令嬢であるマリーナに「彼は私のことが好きだ」と言われる。その言葉が引っかかったことで、リアムと婚約解消した方がいいのではないかと考え始める。しかし、リアムの気持ちは、ミアが考えることとは違うらしく…。

おにょれ王子め!

こもろう
恋愛
レティジアは公爵令嬢で、王子フリードの婚約者。しかし現在、フリードとの関係はこじれまくっている。 見た目は気が強そうだが実は泣き虫なレティジアは人知れず毎日涙を流し、フリードはなんだかイライラしている。 そんな二人の前に現れるのは……!

女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る

小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」 政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。 9年前の約束を叶えるために……。 豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。 「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。 本作は小説家になろうにも投稿しています。

私の旦那様はつまらない男

おきょう
恋愛
私の旦那様であるロバート伯爵は、無口で無愛想な仕事バカ。 家庭を返り見ず仕事に精を出すのみのつまらない男である。 それでも私は伯爵家の妻として今日も面倒な社交の場に出なければならないのだ。 伯爵家の名を落とさないために。あぁ面倒くさい。 ※他サイトで投稿したものの改稿版になります。

私と彼の恋愛攻防戦

真麻一花
恋愛
大好きな彼に告白し続けて一ヶ月。 「好きです」「だが断る」相変わらず彼は素っ気ない。 でもめげない。嫌われてはいないと思っていたから。 だから鬱陶しいと邪険にされても気にせずアタックし続けた。 彼がほんとに私の事が嫌いだったと知るまでは……。嫌われていないなんて言うのは私の思い込みでしかなかった。

優柔不断な公爵子息の後悔

有川カナデ
恋愛
フレッグ国では、第一王女のアクセリナと第一王子のヴィルフェルムが次期国王となるべく日々切磋琢磨している。アクセリナににはエドヴァルドという婚約者がおり、互いに想い合う仲だった。「あなたに相応しい男になりたい」――彼の口癖である。アクセリナはそんな彼を信じ続けていたが、ある日聖女と彼がただならぬ仲であるとの噂を聞いてしまった。彼を信じ続けたいが、生まれる疑心は彼女の心を傷つける。そしてエドヴァルドから告げられた言葉に、疑心は確信に変わって……。 いつも通りのご都合主義ゆるんゆるん設定。やかましいフランクな喋り方の王子とかが出てきます。受け取り方によってはバッドエンドかもしれません。 後味悪かったら申し訳ないです。