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勇者と魔王 3
しおりを挟むいよいよ、魔王討伐に向けて出立する日になった。王宮は旅支度や旅先の宿などの手配で追われているのか、バタバタと何人もの人が忙しなく行き交っている。
討伐隊のメンバーは勇者をいれて三人となった。騎士団長の男と、魔術に精通しているという魔女だ。
旅たちの前に、はじめて王に会うことになった。
「おお勇者殿、よくぞ参った。このたびの魔王討伐、まことに大義である。」
王だという小太りな男は、豪奢な衣服を引きずって現れた。頭に金の王冠を乗せ、太い指にはゴツゴツした宝石の指輪を何個もはめている。まるで物語の中の王だ。
自分を一番だと信じて疑わない王は、それだけのために口を開くと、宰相に目をやった。
「魔王討伐は苦難の道のり。あなた方には秘密裏にこの国を出ていただく。この謁見の後、裏口より出立しなさい。」
全てが丸投げだった。裏口には人数分の馬と、わずかな食料や物資をいれた荷物が置かれている。騎士団長と魔女はそれを不思議に思うことはないようだ。
なんてばからしいんだろう。金を使いたくない欲深い王とその腹心に、この国の境遇に疑問をいだかないこいつら。
出立する前に、最後にあの犬に会いたかった。
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