チートを貰えなかった落第勇者の帰還〜俺だけ能力引き継いで現代最強〜

あおぞら

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第1章 落第勇者の帰還

第1話 落第勇者、帰還する①

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 ―――異世界。

「おおーメチャクチャモンスターいるなぁ……」

 俺の師匠であり、この世界の人間としては世界最強を誇るS級1位冒険者――『闘神』の異名を持つギルバードがそんな呑気なことを宣う。
 しかしそれを指摘するものは俺以外に誰も――

「師匠、そんな当たり前のことをいちいち言わなくてもいいですよ」
「ギル! アンタはもう少し緊張感を持ちなさい!」

 ――居た。
 俺の他に1人だけ、特徴的な長い耳と恐ろしく整った顔立ちをしている女性が師匠を注意する。
 彼女は俺や師匠と同じ冒険者で、S級2位の『精霊神』の異名を持つパトリシア。
 まぁ彼女は異名が恥ずかしいらしく、本人の前で言うことはタブーだとされているが。

 因みにパトリシアさんはエルフ族であり、異名の通り精霊魔法が得意で全属性の精霊王と契約をしたすごい人だ。
 そして年齢は俺が27歳で師匠が45歳、パトリシアさんは125歳とエルフの中ではまだまだ若輩者らしい。

 まぁ俺からすればめちゃめちゃ歳上なんだが。

 そして落ちこぼれとして城を追放された俺は、自身のスキルを完全に使いこなす事に成功したため、S級10位冒険者に成ることが出来た。
 ―――異名は『剣神』。
 これは俺が剣神と呼ばれていた冒険者に剣で勝ったため、名前を引き継ぐことになった。

 閑話休題。

 今俺たち冒険者は王都の外壁に集められていた。
 そして目の前には魔王軍の軍隊がワラワラと列をなして此方に接近してきている。
 しかし魔王軍幹部や魔王本人はここには居らず、そちらは勇者たちが戦いを挑みに行っているはずだ。
 
「チッ、めんどくせぇなぁ。何で冒険者が王都を守らねぇといけねぇんだ?」

 ブツクサ文句を言う師匠だが、しっかりと戦闘態勢には入っている。
 師匠はゴツいイケおじの癖にツンデレなのだ。
 それを知っているからこそ他の者は誰も指摘などしないのだが。
 逆にS級の人達は俺を含めて優しい目を向けているくらいだ。
 
「———な、何だ、おい! その目はやめろ! 全員ボコボコにするぞ!」
「師匠1人対S級9人で師匠が勝てると思っているのですか?」
「アンタなんか私の精霊達の餌にしてやるわ!」

 次々と師匠を狙って戦闘態勢に入るS級達。
 ん? 俺は勿論その中に入ってるぞ。
 こう言うのはノリに乗るもんなんだよ。
 
「あ、おい弟子! お前まで俺を見捨てたのか!」
「俺は有利な方についただけですよ。これも生き残る術だと師匠に教わりましたので」
「ぐぬぬ……こうなったら魔王軍が来るまでにお前ら全員ボコボコにしてやる! かかって———」
『冒険者の皆さん! 魔王軍が攻めて来ました!! 戦闘を開始してください!!』

 師匠が飛びかかろうとした所でタイミングがいいことに魔王軍が侵攻を始めた。
 勿論邪魔をされた皆んなの勢いは何処に行くのかなど明白で…………

「俺たちの序列変動戦を邪魔しやがって! 絶対に許さん!」
 
 俺に負けた元剣神の人がひと足先に魔王軍に突っ込みバッサバッサと切り刻んでいく。
 そのスピードは1秒に2、3体は倒していおり、魔王軍のモンスターは恐怖で所々混乱が巻き起こっている。

「張り切ってるわねアイツ……まぁ隼人くんに負けたからしょうがないのもあるけどね」
「…………俺の頭を撫でながら言うのやめてもらえませんかね、パトリシアさん」
「嫌よ。だって可愛いんだもの」
「いや俺もう27———」
「私からしたら赤ちゃんも同然よ」

 確かにそう言われれば何も言えなくなるけどさ……。
 だけど俺としては大人になっても美人のお姉さんに頭を撫でられるのは恥ずかしいのですが……。
 
「でも私達も働かないとお金貰えなくなるし、行きましょ」

 パトリシアさんが頭を撫でるのをやめる代わりに俺の手を引きながら周りに何体もの精霊王を召喚させていく。
 その瞬間に魔力の奔流が発生する。
 相変わらず凄まじいことで……。

 俺がそんなことを思っていると、精霊王達が俺の存在に気付いた。

『お、あの俺たちに近い奴じゃ無いか』
「やめて下さいよ。俺は貴方達より断然弱いんですから」
『だが俺達と同じで人間を超越してるじゃ無いか』

 そう宣うのは火の精霊王イフリート。
 口数の多い暑苦しい奴だ。
 勿論そんなことは言わないけどな。

「こら、隼人くんと話してないで早く倒すわよ!」
『了解だ!』
『分かりました』
『うむ』
『うんっ!』
『私が骨抜きにしてやるわ』
『…………』

 それぞれの精霊王がパトリシアさんの声に反応して力を振い出す。
 時には炎が荒れ狂い、濁流が流れ、暴風が吹き魔王軍を蹴散らしていく。
 パトリシアさんが出た途端に戦場はお金稼ぎの作業場に変貌してしまった。

 それを見ていた俺と師匠はボソリと呟く。

「「これ……俺たち要らなくね?」」

 それにはまだ戦ってないS級やA級の冒険者も思いっきり首を縦に振っていたのは言うまでも無い。

 

 
 
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