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第2章 ソラの幼馴染

第42話 クリスティーネへの疑惑

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 今俺とサラとシューマとクリスティーネは中庭にいる。

 周りには野次馬が沢山集まっており、正直めちゃくちゃ鬱陶しい。

 折角サラとの昼ごはんだったのに……。

 俺が落ち込んでいると、サラが俺に弁当のおかずを差し出してきた。

 こ、これはあーんではないですか!

「ん。あーん」

 はい、確定。

「あーん。…………めちゃくちゃ美味い!」

「ん。よかった」

 サラはそう言って微笑む。

 いやマジで美味い。

 ゲームでもサラは家事能力がとても高いと書いてあった通り、物凄く美味かった。

 俺は取り敢えず一旦飲み込み、横で頬を膨らませているクリスティーネ会長に話しかける。

「それでどうしたのですか? 突然教室にきて……」

 俺が聞くと、なんでもないふうに言う。

「ただソラと会いたかっただけだよ? ソラはお姉ちゃんに会えなくて寂しかった?」

「あ、うん……」

 ごめんなさい、クリスティーネさん。

 俺は全然覚えていないんです。

 しかしそんな事は絶対に言えない。

 そうする事で、自分がソラではなく空とバレてしまうかもしれないからだ。

 できる限りそう言う可能性が出る事はしたくない。

 しかしクリスティーネに幼馴染がいる事は、キャラ設定集で見たことあるから知っていたけど、まさか俺じゃないよな?

「あれ? そんなに寂しくなかった? もう10年来の付き合いなのに……ソラが薄情な人だったなんて……お姉ちゃん悲しく……」

「いや悲しかったよ! めちゃくちゃ寂しかった! 強がっただけだから!」

「なぁんだ~やっぱり寂しかったのかぁ。ごめんね? 突然会えなくなって」

 あ、幼馴染って俺だったのね……。

 ここに来て衝撃の裏話を知ってしまった気がする。

 しかしだとしたらやばいぞ……。

 もし学院中に生徒会長の幼馴染って知られたら、余計に俺の実力がバレるかもしれないじゃないか!?

 これはまずいな。

 しかしここで無視したりするわけにもいかない。

 そして付き合い過ぎてもいけないとなると、適切な距離感が必要になってくる。

 だが見たところ、クリスティーネは大分距離感がおかしい。

 何でこんなに積極的なんだ?

 こんなことは、キャラ設定集にも書いたなかったぞ。

 とにかく分からないことだらけだ。

 もう少しじっくり観察しておくか……。

 俺はみんなに見えないようにため息を吐いた。

 


☆☆☆





 あれから直ぐにクリスティーネは帰って行ったため、クラスで質問攻めにあったこと以外は、特に俺の生活に支障はなかった。

 しかしどうにも引っかかる。

 ソラの日記には、クリスティーネのことなんて一切書かれていなかった。

 勿論家に写真や思い出の物などもない。

 それなのに彼女は、俺の幼馴染だと言った。

 全く分からないことだらけだ。

 せめてソラの記憶があればな……。

 今俺の頭の中にはソラの記憶はなく、この世界の常識や自分がソラであるという事と、前世の記憶があるくらいだ。

 だから、クリスティーネが幼馴染なのかを確認することができない。

 もしこれが記憶操作の類いで、誰かが俺目当てでやってきたのであれば、相当警戒しないといけないのだが……。

 俺は転移石を割ってある場所へと転移した。






☆☆☆





 転移してきた場所は、エレノアとフェンリルの家だ。

 まぁ元俺の家とも言えるが。

 今はエレノアとフェンリルが使っている。

 俺に気づいたエレノアが笑顔で。

「おかえりなさい、ソラ様!」

「ただいまエレノア」

『おかえりだ、ソラ殿。急にどうしたのだ? 何か我達にして欲しいことでもあるのか?』

「ただいまフェンリル。そうだ、今からエレノアに調べてもらいたいことがある」

 俺がそう言うと、エレノアは笑顔をやめて真剣な表情になる。

「どんなことをすればいいのでしょうか?」

 俺はエレノアを椅子に座らせて話を再開する。

「エレノアは、クリスティーネ・フォン・アイス・ヘルツォークを知っているか?」

「勿論です。歴代最強の生徒で生徒会長だとか。歴代最強は元ですが。今はソラ様です」

 俺は全て本当なので苦笑いで流す。

「そのクリスティーネが俺の幼馴染らしいんだ」

「えぇっ!? ……すいません取り乱しました」

「いや俺もそうなったし、これに関してはしょうがない。話を戻すが、俺には彼女と幼馴染だと知らない。だから調べて欲しいんだ」

「了解しました。それでは明日から2日ほど時間をください」

「わかった。それじゃあ俺は寮に戻るな」

「はい、お気をつけて」

 さて、それじゃあ報告を待つとするか。

 俺は【加速】を使いながら、急いで自室に戻った。



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