俺の召喚魔術が特殊な件〜留年3年目から始まる、いずれ最強の召喚術士の成り上がり〜

あおぞら

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第2部 降臨魔術

第25話 優等生と召喚魔術部門

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 VIPルームを出た双葉は、誰が見ても分かるほどに幸せオーラを撒き散らしていた。
 その理由は勿論降魔のことだ。

(やったわ! やっと降魔を魔術のこと以外で誘うことが出来たわ! 断られたらどうしようと思ったけど杞憂だったわね。……一緒に行くために優勝頑張ろっと)

 優勝する理由が少し変わってしまっているが、双葉はそのことに気付く事なく選手控室まで移動した。

 


~~~~~




「それでは召喚魔術部門の予選を始めます!!」

 双葉が出ていって既に30分が経ち、アナウンスでも言っていたがとうとう双葉の出場する召喚魔術部門の予選が始まった。
 降魔はVIPルームで双葉の母親である小百合に色々と質問をされながら見ている。

「ねぇねぇ降魔君」
「何でしょうか小百合さん」
「双葉ちゃんのことはどう思っているの?」
「双葉のことですか……?」
「そうそう。双葉ちゃんは随分と降魔君に懐いているから貴方はどうなのかなって気になったなの」

 小百合にそう言われ、降魔は横から視線を感じながら考える。
 しかしすぐに1人で頷くと口を開いた。

「双葉は俺の友達ですが、最近では可愛い妹のように感じています。俺は3年留年しているので学年は同じですが年齢は俺のほうが3歳年上なので」

 と降魔が優しそうな笑みを浮かべて返すと、小百合は嬉しそうにしたものの、その後に少し残念そうに眉を下げた。
 そしてそれと同時にあることを決めた。

(妹かぁ……双葉ちゃんは降魔君のことお兄ちゃんとは思っていないわよねぇ……。まぁでも降魔君は大人びているからそうなってしまうのも仕方がないのかしらね……。今度双葉ちゃんには男を落とすテクニックを教えてあげないといけないわぁ)

 小百合がそんなことを思っている傍らで、総司は降魔の言葉にホッとしていた。
 降魔はVIPルームが静かになったのでアナウンスの声に耳を傾ける。
 今は選手紹介を終え、競技のルールを説明していた。

「ルールは簡単! お互いに召喚魔術で召喚した召喚獣が戦うというシンプルな競技! その代わり召喚魔術以外は使用禁止だ! それで先に召喚獣を倒すかより長く顕現させられた方の勝利!」

 既に4回聞いている降魔は完全にルールを熟知しており、この部門での双葉の負けはあり得ないと考えている。
 しかし降魔はこの学園にいるほぼ全員と同級生になったことがあるため、油断できない人物も何人か知っていた。

「双葉ちゃんは勝てるかしらぁ……」

 小百合が少し不安そうに言うと、

「――大丈夫ですよ小百合さん。双葉は負けません。絶対に――」

 降魔はそう断言した。
 そんな降魔を2人は不思議そうに見ている。

「どうしてそう言えるのかね?」

 総司がそう聞くと、降魔がニヤリと笑い、

「俺は留年3年目の男です。ほぼ全ての生徒を知っていると言っても過言ではありません。それに―――ここ最近は俺がずっと近くで見ていたので」

 その自信満々な言葉に2人は思わず少し安心してしまった。





~~~~~




 第4回戦。
 遂に双葉の出番が来た。
 相手は2年生のSrankの男子生徒。
 相手にとって不足はない。

 双葉は緊張を解すためにチョコを食べてから控室を後にする。
 舞台にの入り口に行くと会場の中は歓声に包まれていた。
 そして既に相手の男子生徒は舞台に上がっている。
 双葉が入場すると、それと同時に司会者から双葉の紹介が始まった。

「——そんな壮馬選手の相手は……この選手だ!!」

 沢山のTVカメラの向く先には双葉が立っていた。
 その表情は先程のどの表情とは違っており、赤い瞳には闘志を宿している。

「きっとこの学園で知らない人などいないであろう彼女の名前は来場者のために紹介しておきましょう! 彼女の名は龍川双葉! 名家龍川家の一人娘であり、日本初の最高適合者であります!! そんな彼女がどのような召喚獣を召喚してくれるのか楽しみです!!」

 双葉は紹介されている間に既に舞台に上がっており、手首には専用の魔導バングルをつけている。
 特に過度な緊張はしておらず、落ち着いているように見えた。

(絶対に降魔とパパとママにいい所を見せてやるわ)

 心の中では燃えていたが。
 そんな双葉に、相手の壮馬と言う男子生徒が話しかける。

「貴女が双葉さんですか……噂はかねがね聞いていますよ」
「そうですか。それで先輩は何故私に話しかけてきたのでしょうか? それと私を下の名前で呼ばないでください」

 双葉は口調は丁寧なものの、大して興味なさそうであり、下の名前で呼ばれるのも拒否している。
 そんな双葉の態度に一瞬真顔になった壮馬だったが、直ぐににこやかな笑顔に戻った。
 
「確かにいきなり下の名前で呼ぶのは失礼でしたね。しかし貴女はどうやら下の名前で呼ばせている男がいるとか……」
「……何が言いたいの?」

 要領のつかめない壮馬の物言いに眉をひそめる双葉。
 そんな双葉に壮馬は笑みを浮かべたまま思いっ切り地雷を踏み抜いてしまった。

「いえ、ただ関わる相手を選んだほうがいいですよ。貴女はあんなゴミに関わっていい人じゃない」
「…………ゴミ……?」
「そうです。貴女がいつも一緒に過ごしている八条降魔のことですよ。彼は落ちこぼれだ。去年も俺によくボコボコにされていましたよ。年上のくせに召喚魔術が使えないからね。あの時の無様な姿は実に———」


「———五月蝿い」



 双葉がポツリと呟く。 
 その声は決して大きくなかったが、言葉を遮り、壮馬を一歩後ずさせることとなった。

「な、何ですか……! 俺は事実を言ったまで……」
「……ならあんたには期待できないわね。でも―――容赦はしないわ。本気で潰す」

 双葉は能面のような顔でそう吐き捨てると、術士の立つ位置まで行ってしまった。
 壮馬も少し遅れて移動する。
 そして遂に司会者が開始の合図を出した。

「それではこの舞台のみ亜空間に移動させて———第4回戦スタートおおおお!!」

 しれっと喪失魔術を使う運営側。
 辺りが目に見えない何かで断絶され、開始の合図と同時に2人が言葉を紡ぎ出す。

「《我、龍川双葉が契約獣に命じる。我が現し世へ顕現せよ———》【召喚サモン・ファフニール】」
「《我、安藤壮馬が契約獣に命じる。我が現し世へ顕現せよ———》【召喚サモン・アイアンゴーレム】」

 2人の召喚獣が同時に出現する。
 壮馬の召喚獣は、鋼鉄の体を持った6mほどの巨人である。
 
 しかし双葉の召喚獣はそんなゴーレムよりも大きく、体中に禍々しくも神々しいマナを纏った巨大な竜が現れる。
 そのあまりにも強大な力に、その場にいた降魔を除く全ての人間が圧倒されてしまい、一気に静かになった。
 心なしかゴーレムも怯んでいるように見える。
 しかしそんなことなどお構いなしに双葉がファフニールに告げる。

「ファフニール、あのゴーレムをこの世から消滅させなさい」
『……荒れているな双葉よ……』
 
 ファフニールがそう言うと、双葉が憤怒に顔を染めながら言う。

「だってあの屑が降魔のことをゴミ呼ばわりしたんだもん! だから必ず再起できないように、完膚なきまでに潰すことに決めたの」
『……了解した。……すまんなゴーレムよ。我の契約者は降魔という男にべた惚れなのだ。なのでお前は消滅してしまうかも知れん』
「わ、私は別に降魔に惚れてなんかいないわよ!!」

 双葉がそう叫ぶと同時に、逃げ出そうとしていたゴーレム目掛けて、ファフニールの口から発射されたドス黒い『消滅』のマナを宿した光線が飛んでいく。
 そして『パァァァン!!』という破裂音と共にゴーレムは呆気なくこの世から消滅した。

「———……えっ……」

 それは誰の声だったのか。
 壮馬だったのかもしれないし、観客の誰かだったのかもしれない。
 しかし皆んなが思っていることは1つだった。

 ———規格外すぎる。

 双葉は余りにも他とは次元が違った。
 亜空間も先程の光線で維持できなくなり崩壊している。
 元に戻った舞台で、双葉はゆっくりと壮馬に近づいて行く。

「——ひッッッッ!! く、来るなぁ!!」

 壮馬は完全に怯え切っており、ズルズルと後ろに下がっていく。
 しかし双葉は速度を変えずに壮馬の元へ歩く。
 そしてついに舞台の端まで来てしまった。
 そこでやっと追いついた双葉は、壮馬の耳元で一言だけ言う。




 ———次降魔のことをバカにしたら許さないから———




 それだけ言うと双葉は1度も振り返らず、舞台を降り、初めての友達の所へ直行した。 

「第4試合、勝者———龍川双葉ぁああ!!」
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