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第二章 メインヒロイン決定戦 

第33話 シリー達、ダンジョンを攻略する。

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 ルートB 増殖迷宮  

  

 現在の魔法陣の数は30。既に何百匹のモンスターを倒しニック達は疲弊している。徐々に数を増やし強力にもなるモンスターを前に、ニック達は焦りを見せる。暗号の謎を解明しなければ、どうにもならない。 

  

 しかし、ここでニックが塾長の話を思い出す。 

 それは塾ヒロシがその昔、とても偉いお方の命令で塾長の祖先に作らせた大学という教育機関だと言う話だった。塾自体の正式名称も現在とは違うし、生徒達の呼び方も正式名称は学生だと言っていた。 

  

「全員共通 6゛174。俺達は全員がくせいで、問題の答え、最初の6174はかくせいだ。」 

  

 ニックの言葉で、アマンダが自分の名前についての暗号を話す。確信は持てないが話を進める為に仮説として必要だと感じたのだ。 

  

「それならアマンダのダ。表にするとダに+3でダジヅデドを3つ進んだらデになるかしら。あっていれば『覚醒で』になるわね。」 

  

 エイミーがそれに続く。 

  

「私、家を本家にされて爵位を上げられた時に、つい最近、ムーン公爵に聞いた事があります。七曜の家がどうのと。たしか月、日、水、木、金、土、日で私の家は木と言っていました。偶然かもしれませんが、今朝の自己紹介で集まった生徒達、例えばニックさんが火に対応していたり、それらしい家柄ばかりだと思ったんです。セイラさんのアースって大地で、大地は土であるとも考えられませんか。もしそうならそこらか一を引くと十になります。『覚醒で十』でしょうか。」 

  

「それなら最後は『い』で始まる『ー』かもしれません。4がセイラのイで5がファイヤーの最後とエイミーの最後になりますから。でも、それだと、少し無理があるかな。」 

  

  

 6174 +3  -1  5(4〇) 

 書 ⇔ 読 

  

「それだ。無理は無いかも。-1と5の暗号の下に書⇔読って書いてない? オレンジとか背景色と似た色で見え辛くしてあるのかもだけど。読みと書きを入れ替えると、とおの方は読み方で『とお』から『とう』に ーの方は書き方で『ー』を『一』に変更する。そうすると『とういつ』で『統一』になるかな。」 

  

「覚醒で統一になるね。」 

  

「この部屋で最大レベルのモンスターカードと進化、覚醒素材がたくさん手に入る事の意味がそれですね。きっと、誰かもしくは全員がデッキを覚醒したモンスターカードで統一しなければいけないんです。これって私達でないとクリア出来ないんじゃないでしょうか。教会で転職技を取るか鑑定技を取得していないとモンスターカードを操作する事は出来ませんよ。」 

  

「いえ……やっぱり。見て下さい。レアドロップアイテムに聖鑑技というクラスが入っています。この聖の文字は、おそらく鑑定技の上位のものなんじゃないでしょうか。」 

  

「まじか。良い事ずくめだな。よしっ。これで覚醒装備終了。」 

「やはりモンスターカードは一人が持つと私達の中で共有出来るみたいね。私もセットが終わったわ。」 

「私もです。」「終わりました。」 

  

「じゃあ。いくわよ。お願い。これで最後にして頂戴。【サンダーストーム 】」 

 アマンダのとっておきの呪文で、部屋全体に無数の落雷が轟いた。部屋中のモンスターが一変に消え去った。 

  

 赤の石板に『 Congratulation 』の文字が浮かび上がる。 

 部屋の真ん中に、人数分の特大宝箱が出現すると、奥の壁が崩れ、次の部屋には大きな魔法陣とその中央にある台座にモンスターコアが乗せられていた。 

  


『ははははは。ついにお前達もやってくれたみたいだな。』



 どこからともなく、シリーの声が聞こえて来る。


「お前達もって事は?」


『ああ。すでに全てのルートを攻略した。それで俺の所にある最終ボスを撃破したのだ。準備が終わったら転移の魔法陣に乗ってくれ。』
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