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第1章
二人の夜
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ゴブリン軍団を殲滅した翌日、俺は既に次の戦いに向けて準備を開始した。
翌日には俺は北の塔へ向けて旅立つ事に決めていた為、この日は旅の準備の為の買い出しをする日とした。
北の塔ではムクロが手をこまねいていると思うが、もしこの国を襲撃するつもりなら昨日の夕食会を狙ったはずだ。俺はムクロにはこの国をすぐに襲撃する意思がないと踏んでいたのである。
それであれば、今後の長旅の事を考えた準備を整えても問題ない。
俺にとって姑息な手段を使ってくるような魔物など、旅の通過点程度にしか考えていなかったのだ。
もっと言ってしまえば、魔王討伐自体も俺にとっては通過点なのだが…
まあそれは少し先の話だ。今はこの後すぐに必要な旅の準備を整えることにする。
食料、
薬、
武器、
防具、
洗濯する為のグッズ、
テント…
旅をするのに最低限必要なものはこの街にも揃っているに違いない。
俺はサヤと手分けして買い物する事にし、彼女には食料や生活必需品を揃えてもらう事にした。なぜなら、残念なことに生活必需品の事を俺が理解できていないからだ。
そして俺は戦闘に必要なもの…装備品や薬の調達を担当することにした。
それぞれどれくらいお金が必要かがさっぱり分からないので、俺はサヤに1万ゴールドを渡そうとした。
しかし、サヤはビックリしてしばらく現金を眺めている。俺はその様子に心配になった。
勇者ともあろう者が、ケチなもんだ…そうサヤに思わせてしまったのではないか…?
せっかく少し心を開いてくれたと思ったのに、ここでまた厚い壁が出来てしまうのか…
俺は恐る恐る尋ねた。
「…足りないか?」
そして、もう1万ゴールドを出そうとした。
それをサヤは慌てて制する。
「滅相もありません!ご主人さま!むしろ多すぎて驚いていたのです。
こんな大金…初めて…怖いのですぐにおしまい下さい!
私のはこれで十分足ります!」
と、サヤは100ゴールドだけ手にしていた。
金銭感覚が分からないので、本当にそれで足りるのか、問い詰めたくなるが、言葉として出てこない…仕方ないからサヤの言う通りに残りのお金はしまった。
逆にサヤが心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。
「サヤはご主人さまが心配です…」
「…どうしてだ?」
「悪い人に騙されて、ぼったくられないでくださいね」
「…うむ」
仮にぼったくられたとしても、俺にはその判断すらつかないだろう。
もっとも旅さえ出来れば、それ以上の金などいらない。
欲しいやつには豪快にばらまけばいいじゃないのか?それが俺のお金に対する価値観であった。
俺の分かったような分かってないような複雑な表情を見て、「む~~っ」とサヤは不安な表情を浮かべたままであった。
なにはともあれ、これで買い物の準備は整った。
俺たちは買い出しが終わったら前日に風呂だけ借りた宿の部屋に戻る事にして、各々の買い出しへと出発したのだった。
もちろん宿の主人には同じ部屋に泊まる事は頼んである。
「旦那様も好きだねぇ」
と相変わらず宿の主人は何やらイヤらしい想像をしていたようだが、全く意に介することはしなかった。
◇◇
サヤと別れた俺は武器屋の前に立っている。
腰にある短剣は使いやすいがリーチが狭すぎると感じていた。
それに攻撃力も低い。
もう少し長くて攻撃に長けた武器が欲しかった。
さらにサヤにも何か武器を持たせたかった。
いざという時の自衛くらいはやってもらう必要もあるだろうと踏んでいたのだ。
そんなわけで武器屋で買い物をしよう。
他人と会話出来ないという致命的な欠点はあるが…
「へいっ!いらっしゃい!
…って、これは勇者様じゃねえか!」
武器屋の親父は引き締まった体の気のいい中年だ。
その彼がひょろっとした俺を見てびびっている。
なんとも滑稽である。
俺は商談の様なものが面倒なので、
「…これで見繕(みつくろ)ってくれ」
と1万ゴールドをカウンターに置いた。
親父はサヤと同じ様に驚きを隠せない様子で、
「おいおいおい…勇者様ってのは強いだけじゃなくて、金持ちでもあるのか…」
と呟いていた。
「うちだとこれが限界だな」
武器屋の親父が俺の
「…長剣」
「…ナイフ」
「…杖」
という三つのオーダーによって取り出してきた武器が並んでいる。
長剣は鉄製だ。片手で持てない事はないが、短剣に比べれば随分と重く、振りも遅くなるだろう。
しかし攻撃の面ではスピード減を補っても余りがある程に強化されそうだ。
ナイフも鉄製である。短剣よりも短いが、通常の生活で使うようなナイフに比べれば長い。重さも非力な女性でも十分に使いこなせそうだ。
さらに杖…これは使う機会があるかどうかも分からないが考えがあって一応購入しておいたものだ。
木製のもので魔力が込めやすい工夫がされている。
武器屋の主人が選んだものはどれも上質なものばかりで、俺は満足して店を出た。
ちなみにこれだけ買っても1000ゴールドしなかったのだから、不思議なもんだ。
もしかしたら100万ゴールド以上持っている俺は金持ちなのか…
そんな事を考えながら、次の店へと移っていった。
こんな調子でどの店にいってもお金を先に出して、買う物は店の主人に任せるという、いかにも金持ちがしそうな買い物の仕方で必要なものを揃えた。
最後の店の目の前には女性が好きそうな菓子屋がある。
ケーキでもサヤに買って帰ってあげよう。
苦手な買い物を終えた俺は、ゴブリンどもを殲滅した以上の達成感に、機嫌を良くして菓子屋へと入っていった。
◇◇
部屋には既にサヤが戻っていて、俺に心配そうにたずねてきた。
「ご主人さま…大丈夫でしたか?」
「…うむ。問題ない」
その俺の言葉を聞いて安心したのか、サヤのお腹が「クゥ」と可愛らしく鳴った。
顔を真っ赤にしてうつむくサヤ。
「…夕食へ出かけるか」
俺が優しく提案すると、彼女は顔を上げて
「はい!ご主人さま!」
と笑顔で俺の提案に頷いた。
夕食を取る為に宿の外に出る。すでに太陽は沈みかけていて、道には俺たちの影が長く伸びていた。
ふと俺はサヤに質問をする。
「…サヤは何が食べたい?」
「え…う~ん…」
俺の質問にサヤが少し悩んだ。俺がじっとその様子を見つめていると、彼女はハッとした表情をして俺に答えた。
「サヤは何でもいいです…ご主人さまの召し上がりたいものを選んでください」
「…ダメだ。サヤが選べ」
俺は想定通りの彼女の回答に対して、即刻それを拒否した。
サヤが顔を赤くしてうつむく。
「うぅ…ご主人さまのイジワル…」
「…これからはもっと自分の希望を言え」
俺なりの彼女への配慮のつもりだ。彼女が自分の意志で何でも決められるように、俺は少しずつでも手助けがしてやりたい。
そんな風に考えていた。
結局、あれやこれやと考え込んでいるうちにサヤのお腹は限界を迎えたようで、宿屋の目の前の定食屋で食事をすませたのであった。
あたりはすっかり暗くなっている。そんな闇夜の中でも、サヤの満足そうな笑顔ははっきりと俺の目には映っていた。
◇◇
宿に戻ってしばしくつろいだ後、俺は買って帰ってきたケーキをサヤに渡した。
「…今日のお礼だ」
「これを私にですか?」
とサヤは驚き、戸惑っている。
俺はその様子に少し不安になり、
「…嫌いか?」
と聞いた。
サヤはブンブンと頭を振り、
「いや、嬉しいです。ご主人さま」
とはにかみながらケーキを受け取ってくれた。
これから長い旅を一緒に過ごすのだ、ぶっきらぼうな俺なので嫌われない様にしなくては…
あの聖女が言っていた事を思い出す。
「たまには女の子が喜ぶような事を自分からしなくちゃダメよ」
俺もたまにサヤを喜ばせる事をしなくてはいけないな、そんな風に考えながら、美味しそうにケーキを頬張るサヤを見ていた。
サヤより先にに風呂に入り、昨日は使う事のなかったベッドに潜り込む。
もう一つベッドはあるから、サヤはそこで寝てもらう事にしている。
それさえもなぜか恐縮していたのだから、奴隷という身分は俺が思うよりずっと扱いが悪いのかも知れない。
うとうとし始める。これは彼女が風呂に入っている間に寝てしまいそうだな…
そんな風にまどろんでいた。
◇◇
柔らかい感触が身体を包み、俺は目を覚ました。
まだ空は暗い。
寝入ってからそれ程時間はたっていないようだ。
「ご主人さま…先ほどのお礼をさせて下さい」
「…サヤ…」
目の前には一糸まとわぬサヤの姿。
窓からの月に照らされて、そのシルエットは妖艶さを加えている。
どうやら二人で同じベッドで横になっているようだ。
「ん…ん…」
彼女が優しく口付けをする。
俺は疲れもあってか、なされるがままに、彼女に委ねていた。
「ご主人さまは言いましたよね?『もっと希望を言うように』…と。だからサヤの希望を聞いてくださいますか?」
俺はその問いには答えなかった。
その様子に満足したのか、サヤはニコリと笑うと俺の足の方へと潜り込んでいった。
こうして二人の夜は更けていった。
◇◇
事を終え、俺の腕にしがみつくサヤ。
「ずっとこうしてサヤをお側において可愛がってくださいね。ご主人さま」
サヤはそう幸せそうに微笑むと、すやすやと寝息を立て始めていた。
俺はそんな彼女の横顔をいつまでも見つめていた。
翌日には俺は北の塔へ向けて旅立つ事に決めていた為、この日は旅の準備の為の買い出しをする日とした。
北の塔ではムクロが手をこまねいていると思うが、もしこの国を襲撃するつもりなら昨日の夕食会を狙ったはずだ。俺はムクロにはこの国をすぐに襲撃する意思がないと踏んでいたのである。
それであれば、今後の長旅の事を考えた準備を整えても問題ない。
俺にとって姑息な手段を使ってくるような魔物など、旅の通過点程度にしか考えていなかったのだ。
もっと言ってしまえば、魔王討伐自体も俺にとっては通過点なのだが…
まあそれは少し先の話だ。今はこの後すぐに必要な旅の準備を整えることにする。
食料、
薬、
武器、
防具、
洗濯する為のグッズ、
テント…
旅をするのに最低限必要なものはこの街にも揃っているに違いない。
俺はサヤと手分けして買い物する事にし、彼女には食料や生活必需品を揃えてもらう事にした。なぜなら、残念なことに生活必需品の事を俺が理解できていないからだ。
そして俺は戦闘に必要なもの…装備品や薬の調達を担当することにした。
それぞれどれくらいお金が必要かがさっぱり分からないので、俺はサヤに1万ゴールドを渡そうとした。
しかし、サヤはビックリしてしばらく現金を眺めている。俺はその様子に心配になった。
勇者ともあろう者が、ケチなもんだ…そうサヤに思わせてしまったのではないか…?
せっかく少し心を開いてくれたと思ったのに、ここでまた厚い壁が出来てしまうのか…
俺は恐る恐る尋ねた。
「…足りないか?」
そして、もう1万ゴールドを出そうとした。
それをサヤは慌てて制する。
「滅相もありません!ご主人さま!むしろ多すぎて驚いていたのです。
こんな大金…初めて…怖いのですぐにおしまい下さい!
私のはこれで十分足ります!」
と、サヤは100ゴールドだけ手にしていた。
金銭感覚が分からないので、本当にそれで足りるのか、問い詰めたくなるが、言葉として出てこない…仕方ないからサヤの言う通りに残りのお金はしまった。
逆にサヤが心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。
「サヤはご主人さまが心配です…」
「…どうしてだ?」
「悪い人に騙されて、ぼったくられないでくださいね」
「…うむ」
仮にぼったくられたとしても、俺にはその判断すらつかないだろう。
もっとも旅さえ出来れば、それ以上の金などいらない。
欲しいやつには豪快にばらまけばいいじゃないのか?それが俺のお金に対する価値観であった。
俺の分かったような分かってないような複雑な表情を見て、「む~~っ」とサヤは不安な表情を浮かべたままであった。
なにはともあれ、これで買い物の準備は整った。
俺たちは買い出しが終わったら前日に風呂だけ借りた宿の部屋に戻る事にして、各々の買い出しへと出発したのだった。
もちろん宿の主人には同じ部屋に泊まる事は頼んである。
「旦那様も好きだねぇ」
と相変わらず宿の主人は何やらイヤらしい想像をしていたようだが、全く意に介することはしなかった。
◇◇
サヤと別れた俺は武器屋の前に立っている。
腰にある短剣は使いやすいがリーチが狭すぎると感じていた。
それに攻撃力も低い。
もう少し長くて攻撃に長けた武器が欲しかった。
さらにサヤにも何か武器を持たせたかった。
いざという時の自衛くらいはやってもらう必要もあるだろうと踏んでいたのだ。
そんなわけで武器屋で買い物をしよう。
他人と会話出来ないという致命的な欠点はあるが…
「へいっ!いらっしゃい!
…って、これは勇者様じゃねえか!」
武器屋の親父は引き締まった体の気のいい中年だ。
その彼がひょろっとした俺を見てびびっている。
なんとも滑稽である。
俺は商談の様なものが面倒なので、
「…これで見繕(みつくろ)ってくれ」
と1万ゴールドをカウンターに置いた。
親父はサヤと同じ様に驚きを隠せない様子で、
「おいおいおい…勇者様ってのは強いだけじゃなくて、金持ちでもあるのか…」
と呟いていた。
「うちだとこれが限界だな」
武器屋の親父が俺の
「…長剣」
「…ナイフ」
「…杖」
という三つのオーダーによって取り出してきた武器が並んでいる。
長剣は鉄製だ。片手で持てない事はないが、短剣に比べれば随分と重く、振りも遅くなるだろう。
しかし攻撃の面ではスピード減を補っても余りがある程に強化されそうだ。
ナイフも鉄製である。短剣よりも短いが、通常の生活で使うようなナイフに比べれば長い。重さも非力な女性でも十分に使いこなせそうだ。
さらに杖…これは使う機会があるかどうかも分からないが考えがあって一応購入しておいたものだ。
木製のもので魔力が込めやすい工夫がされている。
武器屋の主人が選んだものはどれも上質なものばかりで、俺は満足して店を出た。
ちなみにこれだけ買っても1000ゴールドしなかったのだから、不思議なもんだ。
もしかしたら100万ゴールド以上持っている俺は金持ちなのか…
そんな事を考えながら、次の店へと移っていった。
こんな調子でどの店にいってもお金を先に出して、買う物は店の主人に任せるという、いかにも金持ちがしそうな買い物の仕方で必要なものを揃えた。
最後の店の目の前には女性が好きそうな菓子屋がある。
ケーキでもサヤに買って帰ってあげよう。
苦手な買い物を終えた俺は、ゴブリンどもを殲滅した以上の達成感に、機嫌を良くして菓子屋へと入っていった。
◇◇
部屋には既にサヤが戻っていて、俺に心配そうにたずねてきた。
「ご主人さま…大丈夫でしたか?」
「…うむ。問題ない」
その俺の言葉を聞いて安心したのか、サヤのお腹が「クゥ」と可愛らしく鳴った。
顔を真っ赤にしてうつむくサヤ。
「…夕食へ出かけるか」
俺が優しく提案すると、彼女は顔を上げて
「はい!ご主人さま!」
と笑顔で俺の提案に頷いた。
夕食を取る為に宿の外に出る。すでに太陽は沈みかけていて、道には俺たちの影が長く伸びていた。
ふと俺はサヤに質問をする。
「…サヤは何が食べたい?」
「え…う~ん…」
俺の質問にサヤが少し悩んだ。俺がじっとその様子を見つめていると、彼女はハッとした表情をして俺に答えた。
「サヤは何でもいいです…ご主人さまの召し上がりたいものを選んでください」
「…ダメだ。サヤが選べ」
俺は想定通りの彼女の回答に対して、即刻それを拒否した。
サヤが顔を赤くしてうつむく。
「うぅ…ご主人さまのイジワル…」
「…これからはもっと自分の希望を言え」
俺なりの彼女への配慮のつもりだ。彼女が自分の意志で何でも決められるように、俺は少しずつでも手助けがしてやりたい。
そんな風に考えていた。
結局、あれやこれやと考え込んでいるうちにサヤのお腹は限界を迎えたようで、宿屋の目の前の定食屋で食事をすませたのであった。
あたりはすっかり暗くなっている。そんな闇夜の中でも、サヤの満足そうな笑顔ははっきりと俺の目には映っていた。
◇◇
宿に戻ってしばしくつろいだ後、俺は買って帰ってきたケーキをサヤに渡した。
「…今日のお礼だ」
「これを私にですか?」
とサヤは驚き、戸惑っている。
俺はその様子に少し不安になり、
「…嫌いか?」
と聞いた。
サヤはブンブンと頭を振り、
「いや、嬉しいです。ご主人さま」
とはにかみながらケーキを受け取ってくれた。
これから長い旅を一緒に過ごすのだ、ぶっきらぼうな俺なので嫌われない様にしなくては…
あの聖女が言っていた事を思い出す。
「たまには女の子が喜ぶような事を自分からしなくちゃダメよ」
俺もたまにサヤを喜ばせる事をしなくてはいけないな、そんな風に考えながら、美味しそうにケーキを頬張るサヤを見ていた。
サヤより先にに風呂に入り、昨日は使う事のなかったベッドに潜り込む。
もう一つベッドはあるから、サヤはそこで寝てもらう事にしている。
それさえもなぜか恐縮していたのだから、奴隷という身分は俺が思うよりずっと扱いが悪いのかも知れない。
うとうとし始める。これは彼女が風呂に入っている間に寝てしまいそうだな…
そんな風にまどろんでいた。
◇◇
柔らかい感触が身体を包み、俺は目を覚ました。
まだ空は暗い。
寝入ってからそれ程時間はたっていないようだ。
「ご主人さま…先ほどのお礼をさせて下さい」
「…サヤ…」
目の前には一糸まとわぬサヤの姿。
窓からの月に照らされて、そのシルエットは妖艶さを加えている。
どうやら二人で同じベッドで横になっているようだ。
「ん…ん…」
彼女が優しく口付けをする。
俺は疲れもあってか、なされるがままに、彼女に委ねていた。
「ご主人さまは言いましたよね?『もっと希望を言うように』…と。だからサヤの希望を聞いてくださいますか?」
俺はその問いには答えなかった。
その様子に満足したのか、サヤはニコリと笑うと俺の足の方へと潜り込んでいった。
こうして二人の夜は更けていった。
◇◇
事を終え、俺の腕にしがみつくサヤ。
「ずっとこうしてサヤをお側において可愛がってくださいね。ご主人さま」
サヤはそう幸せそうに微笑むと、すやすやと寝息を立て始めていた。
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