出遅れ勇者の無双蹂躙~世界滅亡寸前からの逆襲~

友理潤

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第3章

ベトジア掃討戦5

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「爆ぜろ!烈光のごとく弾けろ!爆烈魔法!『エクスプロージョン』!」

以前、北の塔を破壊した時の超階位魔法とは規模は大きく異なるが、『エクスプロージョン』は究極魔法と言っても過言ではない程の破壊力を誇る。

光の線が天からトレントウォーリアーに降りてくると、空気が収縮し始める。

「うわぁぁぁ!!止めろ~!止めてくれぇ!」

必死に命乞いをするトレントウォーリアー。

「…もう遅い」

ヒュ~ン…

空気の収縮が終わり、光の線もトレントウォーリアーに吸い込まれる様にして消えた。
何事も起こらないかの様な静寂に包まれた。

トレントウォーリアーは魔法が失敗したと思ったのだろう。
その表情に余裕が戻ってきた。

「グハハハ!残念だったなぁ!圧倒的な実力差ゆえに、魔法が俺様には効かなかったとみえる」

俺は驚きの表情を浮かべる…
その表情をトレントウォーリアーは見逃さなかった。

「グハハハ!貴様もようやく気付いたようだな!俺様と貴様には圧倒的な実力差がある事に!」

俺は心から驚いていた…




ヤツの能天気さに…


「…伐採の時がきたようだ」

俺がボソリと呟くと、
「グハハハ!まだ言うか!?死ね!!」
と攻撃の構えを見せた。

その時…


ドゴォォォン!!!


猛烈な爆発音が街を揺らした。

爆破された物が粉々になって、周囲を土煙りに変えていった。
畑や家の中で俺の様子をうかがっていた人々は思わず耳を塞ぎ、あまりの衝撃に腰を抜かす。

屋敷の中にいた町長のおばば様があまりの出来事に、外に飛び出してきた。

「なんじゃ!?何が起こったのじゃ!?」

俺は町長を見ると、
「…爆発」
と答えた。

「そんなの見れば分かるわい!何が爆発したのじや!?」

爆発で生じた土煙りがようやく収まっていく。

俺は言葉で町長に答えずに、目線を爆発が起きた方に向けた。

「…見れば分かる」

そこにあったのは…


根本だけになった、トレントウォーリアーの残骸であった。

「ま、まさか…トレントウォーリアーの内から爆発したのか!?」

俺はコクリと頷いた。
それを見た町長のおばば様は喜色を顔一面に浮かべると、パンと手を叩いて喜んだ。

「あはは!これは愉快じゃ!長年苦しめられてきた化け物を痛快なやり方で葬り去ってくれおったわい!あはは!」

コイツに長年苦しめられていたのか…
だから家の中や畑には攻撃してこない事を知っていたのだな。
しかしなぜそれらには攻撃してこなかったのか…未だに謎なままだ。

ウワァァァァ!!!

街から歓声が上がる。

人々は道に出て、踊りださんばかりに喜びを現していた。

「さすがは勇者様だ!」
「勇者様!万歳!!」

俺への賛辞が続く中、ティナが俺に抱きついてきた。

チュッ!

俺にそのまま口づけをする。

そして離れると悪戯な笑顔を向けて
「えへへ、やっぱり素敵!私の勇者様!」
と嬉しそうに俺を褒めた。

パチパチパチ~!

歓声から拍手に変わる街の人々。
そして口々に
「ティナちゃん!おめでとう!」
「おいらのティナちゃんがぁ…」
「ティナちゃん!挙式には呼んでね!」
と悲喜こもごもではあったが、一様にティナを祝福している。

ティナの行為が盛大な勘違いを生み出したのだ。
俺は否定しようにも、言葉が出てこない。

ティナはしたり顔でそんな俺を見て、
「街公認カップルね!」
と舌を出した…


幸せと平和が一気に訪れた穏やかな雰囲気の中、それは一瞬の事だった。


ボコッ!!

突然俺から離れた所で音がした。
俺はその音の方へ顔を向けると同時に駆け出した。

「…しまった!」

完全に油断していた。
俺だけじゃない、街の人々全員が、あの大爆発で全てが片付いたと思っていたのだ。

「キャァァァ!!」

少女の声がする。
先程俺が助けたあの少女だ。

目を向けると少女に絡みつく根…

そして次の瞬間!

少女ごとその根は地中へと姿を消した。
俺は再度振り返る。

「…本体は!?」

根本だけが残っていた本体も地中へと既に消えていた。
さすがに地中に潜った相手を追いかける術はない。
大地ごと吹き飛ばすという荒業は出来なくもないが、さらわれた少女の命も同時に吹き飛ばす事になるから、その選択肢は取れなかった。

「…やられた…」

俺が肩を落としていると、遠くから少年の声が聞こえる。

「パトラ!パトラ!」

少年はトレントウォーリアーが消えていった先へと追いかけようと走り出している。
俺の横を通り抜けようとした瞬間、
「勝手に行っちゃダメよ!」
とティナが少年の首をムズっとつかんで、動きを止めた。

「離せやい!おばさん!俺はパトラを助けに行くんだ!」

「おばさん」という表現にピクっと反応するティナ。

「ちょぉっと僕ちゃんには『躾』が必要かなぁ」

「やめろ!離せ!ババア!」

「うるさい!弱っちいあんたが助けに行ったって、街を出た瞬間に殺されるだけよ!身の程を知りなさい!」

ティナの一喝に、涙目で大人しくなる少年。
すると少年が俺に近づいてきてボソっとつぶやくように言った。

「俺は、ゲンって言う名前だ。パトラは俺の幼馴染なんだ…兄ちゃん強いから…パトラを助けてくれないか…お願いだ」

俺はゲンの頭を撫でて
「…約束だ。必ず助ける」
と優しく言った。

ゲンの泣きじゃくる声だけが、目の前の出来事を受け入れられない街の人々の前にこだましていた。

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